畑野君枝衆議院議員の総務委員会質疑

(2019年3月12日)



○江田委員長
次に、畑野君枝君。

 

○畑野委員
日本共産党の畑野君枝です。成田国際空港周辺整備のための財政上の特別措置法一部改正案について、石田真敏総務大臣を始め、政府に伺います。成田空港の機能強化の提案がされて、ことし十月から成田空港の飛行時間を一時間延長することが、国交省、千葉県、九つの地元自治体の長、成田国際空港株式会社の四者で合意したとされています。しかし、住民の皆さんは納得しておりません。そこで伺います。成田空港の飛行時間は、開港時の約束で、午前六時から午後十一時と確認されています。この約束は、県知事及び関係市町村長とも交わされ、同時に、一九七二年四月十五日に、三里塚平和塔奉賛会会長、日本山妙法寺三里塚道場主任及び運輸大臣、千葉県知事職務代理者、新東京国際空港公団総裁の四者で締結した取決め書にも記されています。この取決め書の附属文書として、一九七二年九月二十日に、新東京国際空港公団総裁と三里塚空港から郷土とくらしを守る会、現在の成田空港から郷土とくらしを守る会事務局長が結んだ航空公害に関する交渉覚書があります。この覚書は、当時の航空局長が立会いのもとで締結されたものです。この文書が存在することについて伺います。間違いありませんか。

○久保田政府参考人
お答え申し上げます。委員御指摘の航空公害に関する交渉覚書につきましては承知をしておるところでございます。

○畑野委員
存在するということで確認しました。そこで、この締結された覚書の飛行時間に関する部分について説明してください。

○久保田政府参考人
お答え申し上げます。航空公害に関する交渉覚書の飛行時間に関する部分につきましては、住民側の主張といたしまして、夜間二十一時から七時まで、飛行機の発着を禁止するというふうにございます。これに対します公団側の回答といたしまして、夜間の迷惑をかけないよう努力するが、日本の主要国際空港であり、世界一周航路等も乗り入れる関係上、要求どおりの制限を実施することは、困難である。また成田空港については、夜間の飛行禁止時間の決定はされていないが、羽田空港並みの禁止を厳重に実施することは可能と考えられる。なお、夜間飛行の制限は、民家の防音工事や、民家の移転補償等の対策を十分に行うことにより、ある程度までは解決される問題と考えられるので、騒音地域の拡大や土地利用計画の策定等を十分に行って住民の被害をできるだけ解消したい。さらに、飛行ダイヤ等についても検討を加え、夜間の飛行便を減少するようにしたい。このような対策の一つとして、主張されている空港周辺の騒音調査、住民の睡眠調査等も実施するとございます。

○畑野委員
説明していただきました。そのとおりです。この交渉覚書の冒頭では、新東京国際空港の開港に伴う航空機公害防止の諸施策に関して、住民側の、三里塚空港から郷土とくらしを守る会、平和塔奉賛会、三里塚農民組合と、政府側の運輸省及び設置管理に当たる新東京国際空港公団は、千葉県知事のあっせんにより二回の交渉と十数回の事務レベルの折衝を積み重ねた。諸課題のうち、かなりの部分が未解決であるため、残された課題については、住民側の要求の都度誠意をもって交渉することを前提として、ここに双方は、現在までの交渉を記録にとどめ、合意点、問題点、並びにこれに関する双方の主張を確認するとあります。ことしの十月からの成田空港の飛行時間延長について、交渉覚書の住民側、成田空港から郷土とくらしを守る会との交渉はされましたか。

○久保田政府参考人
今委員御指摘のことしの十月からというよりも、成田空港のさらなる機能強化ということにつきましては、平成二十八年九月に、四者協議会におきまして具体的な方策の提案といったものを行った次第でありまして、それ以降、二回のフェーズで計二百回以上の住民説明会などを開催しまして、延べ一万人近くの地域の皆様に御参加をいただくなど、機能強化の必要性や環境対策について丁寧に説明をしてまいったところでございます。地域の皆様の御理解、御協力が得られるよう、関係者とともにできる限りの努力を重ねてきたところでありまして、その結果、昨年三月に開催されました四者協議会におきまして、最終的な結論を得たところでございます。加えて、ことし十月からの夜間飛行制限の緩和につきましては、ことしの二月四日に、四者協議会におきまして、A滑走路の夜間飛行制限の変更の実施時期を二〇一九年冬ダイヤからとすることを確認したというところでございまして、これに基づいて対策をとろうと考えているところでございます。

○畑野委員
質問したことにちゃんと答えてください。つまり、会とはやっていないということでしょう、四者協議というのは違いますから。そういう会とこういう覚書があるんだから、きちっとやってください、航空局長も当時立ち会ったんだからということですよ。そのことだけ答えてください。やってください。

○久保田政府参考人
お答え申し上げます。国土交通省としましては、成田空港のさらなる機能強化を進めるに当たりましては、引き続き関係者とともに丁寧な説明を行っていくこととしております。より多くの住民の理解と協力が得られるよう、最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

○畑野委員
じゃ、関係者、この会の皆さん、入っているということでいいですね。確認です。確認です。

○久保田政府参考人
お答え申し上げます。より多くの住民の理解と協力が得られるように、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。御理解賜りたいと思います。

○畑野委員
会が入っているというふうに私は受けとめたいと思いますが、曖昧です。引き続きこれはやっていきます。しっかりと、約束、覚書をとっているんですから、そういうところと一つ一つやらないとだめですよ、曖昧では。しっかりとした会への対応を求めて、次に進みます。
法案についてですが、今回の改正では、成田用水の改築に財特法の適用が認められました。地元の皆さんの、長年の農家の皆さんの要望です。我が党にも寄せられてまいりました。この成田用水の改築に関する農家の個人負担はどうなるのでしょうか。

○横井政府参考人
お答えいたします。委員御指摘の成田用水施設改築事業につきましては、既存の成田用水の改修及び耐震化を行うということを目的に、平成三十一年度に事業着手を予定しておりまして、独立行政法人水資源機構が行うという予定でございますが、これによりまして、地域の農業の、農業用水の安定供給、農業振興を図ろうというものでございます。本事業の費用負担につきましては、水資源機構、千葉県、関係市町及び成田用水土地改良区といった関係機関の事前合意におきまして、今般の成田財特法の改正による補助率かさ上げにより、かさ上げ後の国庫補助率を除いた残額について、千葉県と関係市町が全額負担をし、農家負担は求めないこととされているところでございます。

○畑野委員
農家の戸別の負担はないということを確認させていただきました。
次に、横芝小学校の改築も急ぐ必要があると要望を受けてきました。今回、横芝小学校改築も補助率かさ上げの対象になっております。ところが、この横芝小学校は、機能強化により新設されるという予定のC滑走路の飛行予定コースの直下にあるんです。本当に心配の声があるんですが、これはどのようになりますか。

○林政府参考人
お答えいたします。今回、成田財特法を改正した場合に補助率かさ上げ対象となり得る事業といたしまして、横芝小学校の校舎の建てかえを予定しているところでございます。今、直下といったようなお話がございましたけれども、現行、校舎の建てかえによりまして整備をするということでございまして、仮に、今後、千葉県からまた別の具体の要望がございますれば、個々の事業を所管する主務大臣、この場合は文科大臣になりますけれども、文部科学省とも協議をしながら適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

○畑野委員
成田空港の機能強化をめぐっては、地元住民の皆さんのお話を私も伺ってまいりました。飛行時間の延長で睡眠時間が削られるのは我慢できない、開港時の約束を守ってほしいという声です。また、別の方は、B滑走路の延長によって移転した集落がまた機能強化で移転地域になるんじゃないか、そういう問題も生まれていると。さらに、成田用水の改築の補助はいいのだけれども、そもそも騒音が激しくて、ここでは農業が続けられないと離農する人や後継者不足が深刻になっているという訴えも聞いてまいりました。
空港ができて四十年、飛行コースの下の住民は、騒音に悩まされ、落下物の不安を抱えながら暮らしています。成田財特法の第一条は、法の趣旨として、「成田国際空港の周辺地域における公共施設その他の施設の計画的な整備を促進するために必要な国の財政上の特別措置について規定するもの」と定めております。
例えば、成田市と合併した旧大栄町の道路の整備がおくれているという問題がありまして、デマンドバスが住民の希望するところまで入れない、こういう取り残されていた地域もまだあるわけです。
空港と共生する住民のためでなく、成田空港にとって利便性があるということであってはならないという声も上がっているわけです。
周辺地域の整備を進めるに当たっては、石田大臣、理解と合意を得るために、住民や地方議員の要望を聞く場をつくることがぜひとも必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○石田国務大臣
成田財特法第二条におきましては、千葉県知事は、成田国際空港周辺地域整備計画の案を作成し、総務大臣に提出する、この場合において、千葉県知事は、あらかじめ、関係市町村の長の意見を聞かなければならないこととされているところでありまして、千葉県や関係市町村によるこれらの手続におきまして、御指摘の趣旨については適切に対応されているものと考えております。

○畑野委員
地元の農民の方に聞きますと、いや、何にも知らない、この法律が自分たちの知らないところで進んでいるんですねというふうに驚かれたんです。ぜひ、こういう一つ一つの法律を、地域の皆さん、また地方議員の皆さんが全体、理解をして、また要望も上げられるようにしていただきたい、そのことを、更に大臣にも御尽力いただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。


「成田空港機能強化リンク集」に戻る