WECPNLとは?

(2004年2月1日改訂)

 現在、航空機騒音の単位として“WECPNL”が使われています。本来、音の大きさを表す単位は“db”が使われます。昔は航空機の音を測る単位は騒音計のA特性で測った1機毎の最高音が使われました。これは今でも基本的には変わらないのですがこの“WECPNL”は大きな音の飛行機もあれば小さな音の飛行機もあるので、凸凹な道を平らにならすように、音の大きさを平均化して考えようとする単位です。
 また、まわりがうるさい昼間の航空機の音は影響が少なく、寝静まった夜中の音は影響が大きいと考えるのです。このように考えた騒音の量を積み重ねていって平均化した量を1日の騒音の全体量と考えます。
 正式な計算は複雑でコンピュータで計算しますが、日本の環境基準測定方法は、次の略式計算方法を使っています。常時測定する施設がないところは、夏と冬にそれぞれ1週間ずつ連続測定して年間のWECPNLとします。

WECPNL=db(A)+10・logN−27

db(A)=10×log1/n×Σ10db(A)/10

1日の機数;n=N1+N2+N3

1日の加重機数;N=N1+3×N2+10×N3

時間帯別機数;N1は7〜19時、

       N2は19時〜22時、

       N3は0〜7時および22〜24時

 WECPNLの正式名称は

“ Weighted Equivalent Continuous Percived Noise Level”

です。日本語では“加重等価平均騒音レベル”と訳されています 世界的に見ると騒音の単位としてWECPNLを使っている国は多くありません。各国がそれぞれ「これがよい。」と考える単位を採用しているのが現状のようです。

 本会としてはこの単位を航空機騒音の基準として使うことには疑問を持っています。何故かというと、この単位が航空機騒音の被害を受ける住民の被害感覚を正確に表しているとは言い難いのではないか、と言う理由からです。

 1例を挙げますと、この単位では概算で、1日に100機の航空機が飛び、その1機1機の騒音が70db(A)としたとき、63WECPNLになります。所が、機数が倍の200機になって、1機1機が70db(A)の音を出しても、WECPNLは約3ポイントしか上昇せず、66WECPNLなのです。この3ポイントの上昇は住民の被害感覚から見るとと少なすぎると考えます。

 また、暫定平行滑走路が供用開始になってから、とんでもない問題が明らかになりました。それは、2002年4月に成田市が実施した暫定平行滑走路飛行コース直下の地域で測定した航空機騒音に基づいて計算したWECPNLで、暫定平行滑走路を使う航空機だけの騒音で計算したWECPNLよりも、暫定平行滑走路を使う航空機と4000m滑走路を使う航空機の騒音を加えて計算したWECPNLの方がわずかですが小さくなってしまったのです。聞こえてくる騒音の回数は4000m滑走路のものが圧倒的に多いのです。しかし、WECPNLで言うと4000m滑走路の騒音を加味すると「静かだ」と言うことになるのですから、住民としては納得できません。その後、この逆転現象は4000m滑走路直下でも起こっていることが明らかになりました。

 私たちはWECPNLと住民の被害感覚との相関関係が正しいかどうかを明らかにする調査を要求します。