成田空港視察報告
(2004年11月9日)

 11月9日午後に成田国際空港株式会社のご好意で成田空港を視察しました。今回は、世界でも珍しい格納庫型消音装置(NRH)と25日にオープンする第1ターミナル・第4サテライトと暫定平行滑走路の3カ所を視察しました。
 また、午前中に私だけ第2ターミナルに行って展望台から暫定平行滑走路南端部分の旅客機の出入りを観察してきました。
 以下、写真を中心にその様子を書いてみます。

1、格納庫型消音装置
 まず最初に世界で数カ所しかないと言われる、エンジンテスト用の格納庫型消音装置を視察しました。残念ながら、内部はメーカーからの要請で撮影禁止とのことで、写真が撮れませんでした。最初の印象は「広い」と言うことです。中で野球が十分にできそうな広さでした。それもそのはずで、間口が83m、奥行き108mあるとのことです。消音装置ですから上部が前方に空気取り入れ口と、後方に排気吹き出し口が開けられていますが、四方は壁で囲まれていました。この壁も吸音材が張ってあるそうで騒音軽減の効果があるとのことでした。飛行機を入れる前面にも扉がありますが、飛行機を入れると閉じて利用します。はじめは、前面を開放して空気が入りやすくしようとも考えたそうですが、前面に日本航空のジャンボ格納庫があり、十分な空気の流入が確保できないのではないかとの懸念から、上部から空気を取り入れる方法にしたそうです。しかし、出来上がった当初は、この上部からの空気の取り入れがうまく行かず、改修を重ねたとのことでした。
 意外だったのは、現在ではエンジンテストの約97%がこの装置を使って行われており、写真の手前にある古い屋外型のノイズサプレッサーはほとんど使用していないとのことでした。私はもう少し屋外型のノイズサプレッサーが使われていると思っていました。現在では、1日に3〜4機の割合でエンジンテストが行われているそうです。
 この格納庫型消音装置でエンジンテストをするようになってから、それまであった、周辺住民からの苦情は全くと言って良いほどなくなったそうです。

手前のパイプのような装置が古い屋外型ノイズサプレッサーで、飛行機の後ろにある建物が格納庫型消音装置です。上部の金網は空気取り入れ口で、鳥などが飛び込まないように覆ってあるそうです。

2、第4サテライト
 次に、25日にオープンする第1ターミナル・第4サテライトに行きました。ここも、「オープン前なので、撮影は遠慮してほしい。」と言われ、内部の撮影はできませんでした。少し、意外だったのはスポットはかなりできているのですが、25日に使えるようになるのは2個だけで、第3サテライトの1個が舗装のため使えなくなるので、差し引き1個しか増えないということでした。理由はエプロン部分の改修工事が出来ないため、とのことでした。もちろん、内部はかなり出来ていますから待合所(ラウンジ)は広くなるのですが、使う旅客も少なく商店なども採算の関係から2006年夏に予定されている第4・第5サテライトの全面オープンまでは少ない、とのことでした。
 エアバス社のA380型機の対応について質問したところ、「第4サテライトのスポットのほとんどはA380型機でも使えます。ただ、A380型機は総2階建てですが、2階部分の出入り口は使えません。だから、1階からの出入りになります。どのくらい就航するかわからない機種のために、搭乗橋を改修することは今は考えていません。」とのことでした。

第4サテライトの西面(A滑走路に面した部分)、左手奥が第3サテライトになります。

3、暫定平行滑走路
 最後に、暫定平行滑走路の南端部分の防音堤にある観望台から暫定平行滑走路の様子を見ました。かなり便数も増えたためか、何機もが離発着をしていました。誘導路の「くの字」部分で一旦停止し、着陸機を待っている様子がよくわかりました。この部分がネックになっている様子がよく分かります。下の写真で確認してください。

「くの字」手前で着陸するのを待ちます。 着陸後に「くの字」部分に入ります。 飛行機の手前の黒い部分が滑走路です。 「くの字」部分を抜けていきます。

4、暫定平行滑走路の南端・エプロンとの連絡誘導路部分
 午前中に第2ターミナルの展望デッキから第2ターミナルエプロン部分と暫定平行滑走路南端をつなぐ誘導路の出入りを観察しました。何回も蛇行しながら滑走路や誘導路に出入りします。もちろん、「交互通行」でかち合ったときにはどちらかがエプロンや誘導路で待たねばなりません。これも、暫定平行滑走路の効率を悪くしています。暫定平行滑走路をさらに北に延長してもこの「くの字」誘導路や「交互通行」の問題は残ります。

両側が未買収地になっており、その隙間を縫うように誘導路が蛇行しています。 暫定平行滑走路から出てくるときも同じ誘導路を通ることになりますから、交互通行にならざるを得ません。


 これらの問題の原因は成田空港建設当初の強引な進め方にあります。ところが、歴代の政治家や官僚で責任を認めて辞任した人は一人もいなかったように記憶しています。「辞任すればよい」と言うことではありませんが、もっと真摯な態度で接していればこれほどこじれることはなかったと思うのですが。

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