「平成14年度新東京国際空港周辺航空機騒音実態調査報告書を読む」

 千葉県環境生活部大気保全課から「平成14年新東京国際空港周辺航空機騒音測定結果報告書」が送られてきました。
昨年の話では「測定は共生財団の方で一括して処理をしており、共生財団が詳細な報告書を作成しているので、千葉県としては平成13年度で報告書の作成は終わりにする。」と聞いていました。
 そこで、共生財団にお願いして報告書を取り寄せたのですが、「共生財団の立場としては結果の分析や環境基準の適用状況について語る立場でない。」とのことで、住民として知りたい部分がありませんでした。
 「これは困った事になった。」と思っていたのですが、先日、共生財団を訪問した時にその話をした所、「千葉県の方で環境基準の適合状況などについてまとめるようですよ。」と聞き、早速県に連絡した所、今回の報告書を送ってくれました。
 県の財政難から報告書の印刷も外部に発注する事が出来ず、内部で印刷製本をしたという苦労があったようです。印刷機の順番待ちで遅れたとの事でした。この報告書の感想を簡単にまとめてみます。

1、環境基準達成率は41.5%
 千葉県の財政難の影響もあるのでしょうが、平成14年度からは夏と冬に各1週間行っていた広範囲の測定はなくなりました。従って、87カ所の固定局だけの結果をもとにした報告になりました。測定局とその結果は別表になります。また、達成されている局と、未達成の局を図で表したのが図1になります。
 これにより、環境基準の達成率は41.5%になりました。平成13年度の50.6%よりもかなり低くなっていますが、平成12年度に比べますと約10ポイント高くなっています。平成13年度はアメリカであった同時多発テロの影響で発着回数が大幅に落ち込んで、結果的にし騒音が少なくなり達成率が上がりました。

2、逆転現象についても報告されています
 いわゆる、A滑走路の騒音と暫定平行滑走路の騒音を合わせたWECPNL計算すると、1本の滑走路の騒音だけで計算したWECPNLよりも小さくなる逆転現象についても、平成14年度で6局ある事が数値とともに報告されていました。その原因が日本式の簡略化にある事も指摘されています。

3、70WECPNLコンターは滑走路端から20Km先まで
 コンターズを見てみますと、図2にある通り、環境基準である70WECPNLのコンターは南ではA滑走路の端から20Km先の九十九里浜手前まで伸びています。これに対して、航空機騒音防止法による民家防音工事助成地域は図1のピンク色の地域で滑走路端から13Km地点までしかありません。

4、環境基準未達成地域全てに民家防音工事を実施してください
 同時多発テロから重症急性呼吸器症候群(SARS)・イラク戦争・鳥インフルエンザと続いて、発着回数はこのところ減少しています。これが、本来の発着回数に戻れば、騒音はさらに増大し、騒音地域は拡大するはずです。環境基準は本来なら、昭和58年(1983年)を超える時期に「可及的速やかに達成する」事になっているのです。言うなれば、20年も住民は我慢しているのです。環境基準を1日でも早く達成する事を望みます。そして、未達成の地域の全てに民家防音工事を国の責任で実施してください。

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