成田空港問題円卓会議において国がその実施を約束したもので、94年12月I0日の円卓会議拡大運営委員会において、「合意事項」として確認された。
1.騒音問題
1)民家防音工事については、再助成を図る。
2)従来の防音工事の施工方法の見直しについては、サッシの軽量化や種類を増やすなど施工方法を改善する。
3)低周波騒音についての実態調査およぴ原因究明、さらに対応については継続的に取り組んでいく。
4)飛行機コースが守られるように取り組んでいく。
5)騒音等の監視・観測およぴ今後の騒音対策の研究の推進のための体制を整備する。
6)エンジンテスト等営業騒音については、極力、騒音を減らすよう努力していく。
7)防音林・防音堤の拡充を計画的に進めていく。
8)航空機の低騒音化を進めることなどを内容とする「航空法の一部を改正する法律」の趣旨に沿って、高騒音機について段階的に運航を禁止するなど、航空機エンジンの低騒音化に積極的に取り組んでいく。
9)第1種騷音区域コンターに隣接している区域に対する対策については、今後の課題として、自治体等と相談していく。
2.移転間題
1)空港用地内移転者と騒音地区移転者では税金や移転先用地の問題で不公平であるという点については、税の問題は、騒特法の線引によって解消されるが、線引以前についても線引後との不公平が生じないよう対応する。移転先用地の確保の問題については、不公平のないように取り組んでいく。
2)移転対策については、地域社会のつながりを維持した集団移転を基本に取り組んでいく。
3)80WECPN以下の一定の地域から、騒音を理由として移転を希望する者に対して助成のための対策を行う。
3.落下物間題
1)落下物対策については、点検整備の徹底、洋上の脚下げの徹底など再発防止にあらゆる知恵を尽くして努力していく。
4.環境問題
1)今後、公団の行う自己監査については、調査の方法、評価の方法、情報公関の方法について、第三者の意見が反映されるようなシステムを考えていく。
2)失われた緑・林の回復については、計画的な推進を図っていく。
3)空港内活動の環境への影響については、騒音・大気・水質等の測定値を積極的に情報公開していく。なお、環境基準値がないものについては、極力その影響を小さくするよう留意して対応を図っていく。
5.電波障害
1)電波障害対策は、今後も継続して工事を進めていく。
6.滑走路計画
1)平行滑走路の整備については、あらゆる意味で強制的手段が用いられてはならず、あくまで話し合いにより解決する。
2)横風用滑走路については、平行滑走路が完成した時点で改めて地域社会に提案し、その賛意を得て進めるのが適当であるが、これを地上通路として整備することは別の問題である。
3)平行滑走路の供用開始時における飛行回数は20万回を限度として、その後の回数増加は地元と協議する。ただし、騷音対策等の基本となる騒音コンタ一については、総飛行回数を22万回として対策を順次実施していく。
4)深夜便の運航については、A・平行滑走路とも飛行時間は23時までとするが、両滑走路とも平行滑走路の供用時点で、22時台の便数は、それぞれ現在のA滑走路の便数(10便/日)以下とする。また、22時台の運航機材は、平行滑走路の供用時点で新騒昔基準適合機による運用となるよう努める。なお、上記のうち3)およぴ4)については、地域社会に直接重大な影響を及ぼすことであるから、運輸省・空港公団は、供用開始にあたっては、騒音対策の実施状況を含め、改めて地元およぴ関係住民と協議すること。
7.移転跡地
1)移転跡地などの騒音対策用地の環境については、放置することなく、例えば伝統的な農家を保存し博物館のように整備するとともに、湿地帯については自然公園として整備するなど具体的に地域と相談する。
以上