平成23年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果(年報)を読む


 9月に「財団法人 成田空港周辺地域共生財団」から、「平成23年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果(年報)」「資料集」が発表されました。これが、ネット上に出ていましたので、読んでみました。以下、そのまとめと、感想を個条書きですが、書いてみます。


総発着回数は東日本大震災の影響もあり、2.2%減の18万7237回で、総発着回数は平成16年度からほぼ横ばいとなっています。

風向は例年と大きな変化はなく、従って、南北の離着陸割合も大きな変化はありません。

・午後23時から翌朝午前6時までの離着陸禁止時間帯に離着陸した航空機は26機で、前年度よりも3機減少しました。
 内訳は悪天候24機、機材トラブル1機、急患発生1機となっています。

時間帯別の離着陸数では、全体の離発着が減少している中で、N2(07時〜19時)のA滑走路の発着回数が4298機増えています。
 しかし、同じ時間帯のB滑走路では5843機減少しています。

機種別の発着回数は高騒音大型機のB747-400型機が前年度比25%減となっている、一方、低騒音大型機のA380型機は同55%増えています。

茨城県地域では飛行コースから離れている地域で8〜9月に、蝉や虫の鳴き声で、測定数が減り、W値が低くなっています。

A滑走路北側飛行コース直下では着陸機の騒音は飛行コースがほぼ同じために、機種によって変わります。
 B747-400 と比較してB-777 は3〜5dB 程度、B-767 は4〜8dB 程度、B-737 は6〜10dB 程度低めになっています。

B滑走路北側飛行コース直下では着陸機が多いために、最大騒音レベルが離陸機に比べて5〜8dB低いが、頻度分布は集中します。
 離陸機は高度がまちまちになるために、最大騒音レベルが分散します。

空港側方の近いところでは月別の変動はほとんどありません。
 離れたところではW値が月により、8dB程度変動しています。

A滑走路南側飛行コース直下では、月別の変動が少ない。

B滑走路南側飛行コース直下では、10月から3月にかけてW値が増加します。これは着陸が多くなるためと思われます。

23年度のW値は減少傾向です。0.5以上減少した局は59局、0.5以上増加した局は0局でした。
 これは、低騒音機の増加と発着回数の減少が原因と思われます。

23年10月以降の同時離発着方式導入により、B滑走路の着陸が減少し、A滑走路で増えました。離陸はB滑走路で微増でした。

24年2月の1ヶ月間の同時離陸は29日間で19日実施されました。日平均時間は48分でした。
 また、同時着陸は29日間中27日実施され、日平均で75分間でした。
 両方合わせて日平均123分(運用時間の12%)でした。

・飛行コースと高度の測定では、
 機種別騒音はB747-400、MD11、A340、A330、A380、B777、B767、B737、A320、B757 の順に騒音レベルが低くなっています。
 ただ、これは機種固有の騒音ではなく、飛行高度とコースを加味した、実際の地上での騒音です。
 測定結果から、B747-400型機よりもA380型機の騒音が、赤荻断面で平均2.8dB、長沼断面で同2.3dB低くなっていることが分かります。

飛行コースを大幅にずれた航空機の割合は示されていません。

まとめとして、全測定局で「年間W値については、『公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律』(騒防法)に定める基準を満たしていた。」と結論しています。
 財団法人 成田空港周辺地域共生財団では、立場として『公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律』(騒防法)に適合しているかどうかを判断する事が役割で、「航空機騒音の環境基準」については扱いません。
 環境基準についてはこの測定資料を基に千葉県が作る報告書(例年、年末頃発表)で、判断されます。千葉県はこの報告書で、騒音コンター図も発表します。

要望事項ですが、(1)A380型機やB787型機などの新鋭機騒音の詳しい分析
         (2)混雑時間帯の南側離陸時における、九十九里平野での騒音の分析、
         (3)蝉の鳴き声などによる、騒音不測定の解消、
         (4)飛行コース逸脱機の割合公表と、原因の分析


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