第24回騒音対策委員会の特徴

1997年3月28日 於:成田全日空ホテル

成田空港から郷土とくらしを守る会事務局

 第24回騒音対策委員会が3月28日に開かれました。昨年の会議から出席者が少なくなり、会議そのものはスリムになりましたが、内容は旧態依然として変化はありませんでした。

軽視される騒音対策委員会

 公団は騒音対策委員会の位置付けを問われれぱ、『伝統のある、大事な会議です。』と言いますが、騒音対策委員会が形骸化していることは隠し切れない事実です。その証拠に、この騒音対策委員会を報道したのは私が知る限り読売新聞しかありませんでした。これは、私が今回の質間で指摘した通り(別紙の“議事録’を参照して下さい。重要なことを、一部の住民しか参加していない“共生委員会”で決定し、騒音対委員会は“その決定を知らされる場’にさせられている事にあります。これでは騒音対策委員会が“白けた場”にならぎるを得ないし、委員は“猿芝居の猿”とも言えると思います。

作文を読むだけの答弁

 今回目立ったのは、答弁に真剣さが感じられなかったことです。質間に対して、門きり方の答弁が多く、委員、ひいては、住民に対する暖かみが感じられませんでした。特に、周辺整備部の答弁は“作文の朗読”を思わせました。その部署について間もなかったのでしょうか。それにしても、“勉強不足”と言わざるを得ませんでした。こんな所にも、運輪省と公団の“騒音対策委員会軽視’を感じたのは私だけではなかったと思います。

飛行コースの決定に住民の意向を

 飛行コースについては『その案の発表が今年の夏以降になる』と言う事がはっきりしました。そして、『それは、原案である。』と言う事を言わせたことは成果だと思います。しかし、『その案について直接住民が意見を述べる機会を設けよ。』と言う要求に対しては触れる事を避け、『自治体の皆さんに提示し、ご意見を伺い・・・』という言い方に止どまりました。今後も追及していく問題と思います。

『軍事利用しないという約束に変わりはない』と明言

 ガイドラインの見直しに伴って民間空港の軍事利用も検討されている問題については「従来からの約束に変わりはない。」と明言しました。しかし、最近の報道によると、『どの空港と言うような固有名は挙げない。』と言う方針のようで、成田空港が外されるかどうかについては一抹の不安が残ります。

『夏でも空調機器なしで、閉め切って生活せよ』というのか

 環境基準については、運輪省・公団のウイークポイントらしく、『75WECPNL未満の地域においても、室内の騒音は環境基準の60WECPNLになっていると考えている。』と従来の考え方を繰り返しました。私の方から、「60WECPNLになるとしても、それは閉め切った場合の話だろう。夏でも空調機器もなしに閉め切って暮らせと言うのか。」と言う反論に対しては答えがありませんでした。

『空港周辺の飛行コースの幅は14Kmにこだわらないで検討する』

 

「飛行コースの幅が14Kmと言うのではコース1本引かれたら、全町が騒音下におかれてしまうではないか。」と言う指摘に対しては、「安全運行のために14Kmとなっているが、空港周辺の場合はそうも行かないので、どうしたら良いか検討している。」と答えました。この点でも住民の意見を聞く必要があると思います。

『ヨーロッパ直行便はトンネル空域をとんでいる』

 委員会が終わってから、運輪省航空局新東京国際空港課の専門官K氏と1時間ほど懇談しました。その中で、佐原市上空の飛行コース新設の問題で、『何故、近距離便の中国方面のコースを大回りさせるのか。』と言う疑間について説明がありました。すなわち、『今までは、北に向かう便は百里と羽田の空域に囲まれたトンネルのような航空路を飛んでいた。ところが、便数が増えて、狭い空域のトンネルコースでは安全上間題が出て来たので、中国・韓国方面の近距離便を羽田空域の上を飛び越させるようにした。そのために大回りさせる必要があった。ヨーロソパ便は従来どおりのコースを飛んでいる。』との事でした。

『B滑走路はA滑走路と交互に使用する』

 その懇談の中で、「B滑走路を北側に離陸した航空機は安全のため利根川の手前で早めの旋回をせざるを得ないだろう。」と質問したのに対して、倉富氏は「飛行機をA‐B滑走路から同時に離陸させることは安全上出来ない。交互に離陸させざるを得ない。そして、利根川上空で旋回させて、飛行コースに乗せて行くしか方法がない。だから、利根川手前での旋回はない。」と答えました。運輪省の考えている新しい飛行コースの一瑞を垣間見た気がしました。夏の飛行コース案の提示に向けて、煮詰まって来ていることを感じました。

以上が今固の騒音対策委員会の報告です。


本会の発言とそれに対する答弁

【成田空港から郷土とくらしを守る会事務局長(岩田委員)】

成田空港から郷土とくらしを守る会の事務局長をやっております岩田と申します。毎回、私の方は部会の参加というものがございませんので、色々なものを多岐にわたると思いますけれども、ご勘弁願いたいと思います。

 最初に、質問事項には入っていないのですけれども、最初いくつか気になることがあるので、これは今回は立場を表明するだけに止めたいと思いますけれども、一つは芝山の方に出された騒音コンターの中で2010年コンターというのがでてきた、というそういう資料が手に入ったんです。ところが、この2010年コンターについては現在のコンターに比べて非常に狭いものになっているわけなんですけれども、ただ便数がちょっと少なすぎると、263便ということで、先程説明がありましたけれども、例えば20万回の発着回数ですと274便になるので10便ぐらい違いがあると。そうすると、もうちょっと正確なものをやっぱり出すんならぱ出してもらわないと困るんではないかということなんです。

 それからもう一つ、これはいつも運輸省が出すコンターで気が付くのですけれども、運輸省が出すコンターというのは75WECPNLまでしか出してないんです。だけども、やっぱり私共の立場から考えますとこれは環境基準である70WECPNLのコンターまできちっとその図には載せるべきではないかという気がするわけですけれども。それは別にお答えはいただきません。

 それから、第2点に最近の新間記事なもので質問事項にいれられなかったのですけれども、A滑走路の空いてる便数を使って新たな乗り入れを認めるのだという新聞記事が千葉日報に出ていました。その中に、運輸省のどなたか分かりませんけれども、この方が、安全上は360便までA滑走路が使えるんだということをおっしやています。ところが、私も17回のこの委員会においてその便数の問題を質問したとき、当峙の加藤理事さんは340便までは認められると、340便を守るとこうおっしやっていたと思うのですが、そのへんがちょっと違ってきたのかなという気がするわけです。

 それからもう一つ、これも最近の朝日の記事でノースウエスト機についてアメリカ航空局に対して注意を促した、という記事が大きく一面に出ていました。これについて非常にいいことだと思うんです。ですから大賛成なんですけれども、ただちょっとやっぱり対応が遅いんではないかと。実は、私はこの件については19回のこの委員会と21回のこの委員会でやはりお願いをしたんだと思うんです。でも、その時はそういうことはなかった。そこで、我々の会では、実際に開港当初よりどのくらいの高さ、コースで飛んでいるかというのを簡単な機械ですけれどもそれを使って調ぺてきたわけです。その時から、非常にノースウエストと今はありませんけれども当時のフライングタイガー、この2社の航空機については異常に低いのもがあると。普通は、松尾の辺りですと大体1,000メートル前後で離陸をしていくのですけれども、この2つの航空会社のものについては、下手をすると500メートルの高度を切って飛んでいくと。そういう指摘は、公団の方に対しては開港当初、開港から1年か2年経った時点で確か指摘をしたと思うんです。そういうことが今になって実現をしたということは悪いことではないので、もう少し対応を早くしていただけれぱと思うのですけれども。

 そういう前置きをしまして、質問に入りたいと思うんですけれども、一つはこの騒音対策委員会について、この騒音対策委員会をどういう位置付けに考えているのかということを質問したいと思います。これは21回のこの委員会でも同じ質問をしたと思うんですけれども。というのはどういうことかというと、共生委員会で非常に重要なことが次々に決定されている。ところが、その共生委員会というのは何であるか。これをもう一度考えていただきたいという気がするんです。共生委員会に参加している住民の方というのは一体どういう立場でどういう資格でもって参加をしているのか。私たちは別に住民代表としてあの方々を認めたわけでもなんでもない。ですから、その共生委員会で話し合っている内容というのは、私はもう十何回も出ていますけれども、この騒音対策委員会の中で出てきた問題がほとんどなんです。私の記憶では、独自に共生委員会の中で話し合われていることというのは、先程もちょっと出ましたけれども、その実験村構想ですか、これくらいしかないんじゃないかという気がするわけです。それくらいいろいろな問題がこの騒音対策委員会で取り上げられ、そして話し合われてきたのではないかと思うのです。そうするとこの騒昔対策委員会というのは、もう今年で24回目で歴史もありますし、実績もあります。そういう騒音対策委員会でこそ、そういう問題を話し合っていくべきなのではないのか。なにか共生委員会と運輸省、公団の方でいろいろと話し合って重要問題を決められて、我々はこういうl年に1回の騒音対策委員会で「は一、そうですか」とその結論を聞くだけというのはどうもやっぱりおかしいのではないだろうかという感じがするわけなんです。その点について、この騷音対策委員会の位置付けというのはどうなっていくのかというのが第一点です。

 第二点ですけれども、先程から出てますけれども飛行コース、これは我々も6月というのは県との話し合いの中でちょっと聞きました。6月ごろという話をね。そういうことが根拠になってるんじやないかと思うんですけれども、これを発表するとそのこと事態我々が毎年この騒音対策委員会で要求してきたことですから、非常にいいことだと思うんですけれども、これについては大歓迎なんです。ところが、先程少し話が違ったのでまずいかなと思うんですが、たとえそれが8月、9月頃になったとしても、その発表というのは我々の立場から言うと、決定コースの発表であってはならないのではないかという気がするんです。コースの発表というのはおかしいと思う。あくまでもそれは原案の発表でなくてはならないと思うんです。その後、もちろん自治体の方々に説明するのは当然なんですけれども、それ以外にもそのコースを住民が自由に見ることができて、自由にそれについて住民が話を聞けて、質問ができて、そしてできれば意見を提出することもできる。それに基づいて住民の疑問に十分運輪省が答え、そして取り入れるべきものは取り入れて、そして最終決定としてやっぱりやっていくというのが民主的な手続きではないかと思うんです。それから、そのコースというのは今までのやり方ですと、要するに離発着のコースという形でもって、九十九里浜から利根川までの間を出してくるという形が多いんです。そうではなくて、やはりいろんな方面のコースも含めたその飛行コースの全体像を是非出していだだきだい。旋回してどこを通るのか、こういうこともやっぱり出していただかなけれぱいけないんじゃないかという気がします。

 第三点ですけれども、財団の設立という話が先程から出ています。この財団の設立の意味というのは分かるような気もするんです。現行上の法律のもとではやれないようないろいろな住民対策、あるいは施策というものをやっていく母体にするということで、そのことについて反対するわけではないんですけれども、ただちょっと疑問な点があるわけです。それは一つは何かというと、谷間対策だとか準谷間対策といわれるものをこの財団を母体にして今後進めていくのではなかろうかなという気がちょっとしています。私の理解がちょっと足りないかもしれませんけれども、そういうようなことをやっていくとすれば、私はこの財団の出資金というのは全額公団が出すべきではないかなという気がするわけです。なぜかと言いますと、これは運輪省それから公団の方、触れると嫌がることなんですけれども、その環境基準というのはあくまでも70WECPNLにするんだと、しかもその期限というのはいつだったかというと「今から13年前までに70WECPNLにしなさい」というのが環境基準なんです。その環境基準が全くどこかに置き去られている。もし、その環境基準を達成するというような意味から言うと当然この70WECPNLの範囲に、いま谷間対策とか準谷間対策とか呼んでいる地域は完全に入ってしまうのではないかという気がするわけです。そうしますと、やはり13年前に達成すべき環境基準を達成できていないわけですから、これは公団なり、なんなりがその防音対策なり、その達成されていないところについて、もちろん全部が達成されていないとは言いません。県のこの1月か2月に出た調査ですと達成率はほぽ50%だっだと思いますけれども、やはり公団が主になってそういう防音対策などを行っていくのが筋ではないのかなという気がするわけです。それをもし財団でやるとすれば、やはりその出資金というのは公団で全額持つべきではないのか。もちろん、公団さんの方で言うとすれぱ「いや、それは周辺対策交付金からお出しするわけだから、市町村に実質的な財政負担はありません」という言い方をされるかもしれません。ところが、周辺対策交付金とは総額が決まっているわけです。それを財団出資金の方に回すのであるということは、他に今まで使えた部分のお金を削ってそちらへ回すということになってしまえば、結局、他の対策がおろそかになってしまうということになりはしないのか、こういう気がするわけです。

 第4点は、ガイドラインの見直しということで、有事の際に民間の空港や港など、民間施設をアメリカ軍が使用するその検討が行われているということが大分前から話があります。現在どこまで話が進んでいるのかちょっと闇の中ですけれども、ただ、この成田空港については、国は私たちの会を初めとして、千葉県ともそれから日本山妙法寺と言われる宗教団体なんかとも、はっきりと軍事利用はしないんだということをお約束をしたと思うんです。そこで、そのお約束について、この場でもって再確認をしていただけれぱ、我々は非常に安心できるんですけれども、その点はいかがなものでしょうかということです。

 第5点ですけれども、騒特法の今後どうなるかというのは再三出ていましたので、もうそれについては言いませんけれども、一つだけ、前の騒特法の基本方針に盛られたものが一体、現在どのくらいできあがっているものだろうか、基本方針の内容ですね進捗率がどのくらいなんだろうか、ということをお伺いしておきたいと思います。

 それから第6点ですけれども、成田空域というのが非常に複雑というのは、開港当初から言われていることです。B滑走路が供用開始になった場合には、この成田空域というのは、なお複雑になるのではないか。今まで滑走路一本で複雑なのですから。そうすると、その狭い空域にB滑走路の飛行コースも引かなげればいけないということになりますと、ものすごい窮屈な空域になるのではないのかという気がするんです。ですから、そこらへんでちょっと心配なのは、もちろん空域の調整があるかどうか分かりませんけれども、現在のままの空域のままであった場合に、百里空域とか羽田空域との競合が起こるのではないのではないかということを心配しているわけでございます。それでその点について、現在までにこの成田空域をやむを得ずはみ出して、特に北側・西側ですけれども、百里の空域とか羽田の空域へ入り込んでしまった成田空港の発着の航空機というのはどのくらいあるのか、これを教えていただけれぱという気がします。

 それから最後の第7点ですけれども、6000フィート以上を飛行する航空機の飛行コースについてですけれども、昨年、佐原市議会で明らかになった飛行コースの新

設というのがあるわけですけれども、運輪省の方は今後はこういうことについては、ちゃんとした連絡とか、そういう手続きを取って、「新設する場合にはやります。」とおっしやっていたわけですけれども、その手続きとはどんなものなのかなということです。それからこの問題の時に私共もびっくりしたんですけれども、6000フィート以上の飛行コースは福が14キロメートルあるということを運輸省の方がおっしやっていました。そうしますと、6000フィート以上のコースが引かれた場合、幅14キロのコースだということになると、ほとんどの市町村はその市町村の中にその飛行コースを一本引かれたなら、だいたい全町に飛行機が飛ばされるようになってしまう。そういう状況になりかねないのではないのか。これが太平洋の真ん中で、アメリカの方へ向かっていくとか、そういうコースであれば、幅が14キロあろうと20キロあろうと関係ないわけですけれども、この陸上で幅が14キロというのはちょっと考えていただかなければいけないのではないのかという気がするわけです。それも非常に高い高度、例えぱ10000メートル以上の高度なんていうのはこれは音はほとんど関係ないのでしょうけれども、旋回してくれば、先ほど佐原の市長さんのお話しにもあったようですけれども、やはりこの6000フィートをクリアしないで旋回して飛んでくる飛行機だってあるわけです。そうすると、これはやはり大きな間題なのではないかなという気がするんです。このとき私共が手に入れた資料によりますと、どうも今回のこのコースの新設については、非常におかしなところがある。と言うのは、ちょっと細かいことになって恐縮ですけれども、今度の飛行コースはなぜ新設したかという運輸省の説明の、多分運輸省から出した図だと思うのですけれども、図面があった訳です。断面図とか。それを見ましたら、北へ飛ぴ上がって韓国・中国方面へ行く飛行機の飛行コースが、くるっと右へ旋回して、そして空港上空へ戻って西の方あるいは北の方へ飛んでいくときに羽田空域を飛ぴ越せないから大回りをさせて、その間に高度をどんどん稼いで羽田空域を飛ぴ越していくためにこれを新設したという説明だったらしいんです。ところが、我々が手に入れた資料ですと、実はこの韓国や中国へ行く飛行機よりも燃料をたくさん積まなけれぱいけない、したがって、非常に重くなって上昇率が悪くなるはずのヨーロッパ直行便、このコースは従前どおりの小回りでいいわけです。そのなかなか上がれない飛行機がどうして小回りで行って羽田空域の上を越せるというのに、軽いはずの、そして上昇率が非常にいいはずの、この中国・韓国便が大回りをしなけれぱいけないのか、ということが非常に疑問になるわけです。これは何かの間違いなのか。でも新聞にもそうはっきり出ていましたから間違いではないと思うんですけれども。あるいは何か別の意図があってこのコースの新設をしたのかな、という気がするわけてす。邪推になるかもしれませんけれども、例えぱ本当はB滑走路ができた時にもっと佐原市の上空なんかも飛ぷコースをつくらなきゃいけない、そのためには、実は前もって少し住民の方々に音に慣れてもらわないといけないから、だからそうやって飛行コースを新設したんじゃなかろうかと。邪推であれば幸いなんですけれども、こういうような感じさえするような気がするわけです。そういうような点についてお答えいただければと恩います。どうも長い間すみませんでした。

【佐々木委員長】

 冒頭にお話がありました4点ばかりは質疑ではなくてご意見だということなので、お答えはないということにしまして。それでは、お話しのありました順番にそれぞれお答えをさせていただきたいと思います。まず、騒音対策委員会の位置づけについて、空港公団の方からお願いいたします。

【周辺整備部長】

 それでは1点目の騒音対策委員会の充実についてでございます。この騒音対策委員会は昭和41年7月に閤議決定されました新東京国際空港の位置決定に伴います施策に基づき、昭和46年12月に新東京国際空港周辺におけます航空機の騒音によります障害を軽減し、または軽減するための必要な措置につきまして協議するために運輸省、千葉県、航空会社、自冶体、公団等の委員構成により組織されました。騷音対策等に関します諸対策につきまして、広範囲にわたりご意見をいただき、十分協議を行っておりまして、重要な委員会であると思っております。また、前の第22回の騒音対策委員会におきまして運営方法の改正につきまして了承され、本委員会の一層の充実を図る目的で協議内容を各部会の共通事案かつ重要な事項に絞らせていただくことにいたしました。また、各部会におきましては、住民の代表の方が入っていない部会につきましては住民の代表の方も加わっていただき意見を述べていただきまして、当該地区部会の固有の問題をきめ細かく協議していただいております。公団といたしましても地区部会の充実を図っていくためにオプザーバーとして各部会に出席しております。なお、運輸省、千葉県におかれましても必要に応じて地区部会からの要請がありました場合には、出席をしていただいております。このように、現在では地域住民の方々の意見も十分反映されているものと考えております。以上でございます。

【佐々木委員長】

 それでは、2番目の飛行コース決定にあたっての住民からの意見聴取の問題、運輸省の方からお願いします。

【東京航空局保安部長】

 飛行コースの決定にあたっては、十分な時間をとって住民の意見を十分反映してくれというご意見だと理解してございます。飛行コースの決定をするにあたりましては地域の皆様のご理解を得ることが必要だというぷうに考えてございます。そういう手続きにつきましては、千葉県あるいは茨城県、関係市町村等を窓口といたしまして調整をさせていただきたいというふうに考えてございます。先程、飛行コースを含む全体像あるいはその手順を今年の夏頃を目途にお示しをしたいということをお話しいたしましたけれども、これは飛行コースの計画案でございます。従いまして、その夏頃に計画案をお示しをいたしまして関係市町村を窓口といたしまして皆さんの意見を十分反映して、最終的な飛行コースを決定したいと考えてございますので、十分な時間を持ちたいというふうに考えてございますし、皆さんの意見を十分反映してコースを決定したいと、こういうふうに考えている次第です。以上です。

【佐々木委員長】

 それから、財団設立時の自治体負担の問題について、空港公団からお願いいたします。

【地域共生室長】

 私の方からお答えします。先程の基本的考え方の中で、新しい仕組みということで財団法人のようなものということを説明させていただきましたけれども、今般、成田空港周辺地域において早急にきめ細かな環境対策を実施するために、自治体と公団が協力して地域住民の生活環境を改善するという観点から財団という構想を進めてきたとこであります。従って、この構想の実現のためには、是非とも自治体と公団が共に協力することが必要だと考えております。それから環境基準のお話しがでましたので、ちょっと触れたいと思いますけれども、75W未満の区域においては、通常、屋内においては屋外より15W程度低減されることから、環境基準が達成された場合と同等の室内環境60Wは、ほぽ保持されているものと考えております。また今回、財団において第一種区域の隣接地区対策が実施される予定でありますので、環境基準上の室内環境の改善に寄与すると考えております。以上です。

【千葉県企画部空港地域振興課長】

 基本方針の進捗状況につきまして、答えさせていただきます。昭和57年に定めました基本方針に基づきまして、58年に施設整備計画が定めておりますが、その進捗率につきましてほ、平成9年の3月末の見込みでございますが、約67%でございます。ただ、この中には都市計画決定を条件にしました事業、例えぱ±地区画整理事業だとか下水道事業等が入っております。これらの事業を除きますと約89%の進捗率となっております。以上でございます。

【佐々木委員長】

 それでは、ガイドラインの見直しについて、運輸省からお願いいたします。

【東京航空局保安部長】

 ガイドラインの見直しで成田空港の軍事使用があるのではないかというご指摘でございますが、運輸省といたしましては、かねてから成田空港を軍事目的には使用させないという旨、国会答弁等においても言明しているところでございます。従いまして、この方針につきましては、従来と何ら変更がないということをお約束したいと思います。以上でございます。

【佐々木委員長】

 どうもありがとうございました。次に空域と飛行コースの問題について運輸省の方からお願いいたします。

【新東京国際空港長】

 空域の問題でありますが、成田空港に離発着する航空機というのは、成田空域の中で飛行できるような方式が設定されているのはご承知のとおりだと思いますが、そして隣接している空域に入り込むというのは、急激な気象の変化ということでやむを得ず入るという以外は入ることはありません。なお、やむを得ず入る場合でも必ず事前に関係機関と調整のうえ行われるわけでありまして、安全の確保は万全に行われているというぷうにご理解していただきたいと思います。そういう意味で、この数が何件あるかということを問題視されているのがちょっと疑間に思うんですが、やむを得ない理由でどの程度かと申し上げますと年間数件と申し上げたいと思います。以上です。

【東京航空局保安部長】

 6000フィート以上の飛行コースを新設する場合の手続きというご質問でございますが、飛行コースの設定につきましては、6000フィート以上というような形で定めるものではなくて、これは離陸の場合には空港を離陸した時点から6000フィートを経過してその先のコースも含めてコースを設定する、あるいは高い高度から降りて来て空港に着陸するまでの6000フィート以下も含めて飛行コースというのは設定されます。従いまして、新飛行コースというものを設定する場合には空港から離陸した時点から、それから航空路から着陸する時点まで全てを含んでの飛行コースを提示したいと、このように考えいるところでございます。そして、この新設の場合には従前から説明してございますように、十分な時間をもって事前にコース案を説明させていただいて皆さんの理解を得たうえで決定をしたい。こういう手続きを取りたいというふうに考えております。それから、2点目のコース幅14Kmというご指摘でございますが、これは航空機の安全運航を担保するということで、国際機関による基準がございます。それによりますと、飛行経路片側4ノーティカルマイルずつということで14Kmという形になるわけでございす。これを空港の近辺までこういうのでは困るというご指摘だと思いますけれども、昨年12月にお示しした基本方針の中でレーダー等を使って飛行コースを皆さんに情報公開しようというお話しをしているところでございます。その中で、やはり空港近辺の飛行経路、これにどういう幅を設けるか、今のところ基準はないわけですが、平成9年度末にレーダー等を使って情報公開をするという仕組みの中で、どういうコース幅を設定したらいいのか、こういうものを平成9年度、私共航空局の中に委員会を設置して決めていきたいというふうに考えております。従いまして、どこでも14Kmとこういうことではなくて、なんらかのガイドラインを私共としても模素していきたいと考えている次第でございます。それから、3番目の質間でございますけれども、平成2年に韓国・中国方面への出発方式ということで、神崎・佐原地区を迂回するような形のルートを設定させていただきました。これは韓国あるいは中国という比較的近距離の国際線のコースというようなかたちで設定させていただきました。従いまして、そういう近距離国際線は比較的上昇性能がいいということで、このルートの中で飛行高度を稼いで羽田の空域にかからないような形で飛ぷというようなことで設定をさせていただきました。しかしながら、ロシア、ヨーロッパこれは遠距離国際線でございまして、従いまして機体も非常に重いということで、なかなか高度が稼げないということがございます。従いまして、長距離の国際線につきましては、従前どおり成田の上空を飛ぷ場合には、先程の中国あるいは韓国ルートとは違った高度で、これは羽田空域をどうしても通過せざるを得ないということで、言ってみれば近距離国際線と長距離国際線のルートを分けたということでございます。

【佐々木委員長】

 以上でございますが、何かありますか。

【成田空港から郷土とくらしを守る会(岩田事務局長)】

 今の最後のことなんですけれども、分けるのであれば大回りする方というのは上昇率の悪い方というのはやっぱり疑間として残るんですけれども、それはちょっと置いておくことにします。ただ一つだけ、先程の環境基準の間題のお答えの中で、家の中では60Wになるからいいじやないかという主旨のお話しだったと思います。家の中に入れば環境基準が達成するからいいじやないかと。だけれども正直言って夏、家を閉め切っての話だと思うんですよ、10W落ちるというのは。そこで、夏の間、閉め切っていない時に10W落ちるんですかね。その辺のことをちょっと考えていただきたいと思うんですよ。別に空調も何もない、そういう家でもって夏開けっぱなし、それで70Wが60Wに落ち.るということなんでしょうか。そういう考え方ほちょっとおかしいんじやないかという気がするんですけれども。別にお答えしていただかなくても結構です。でも、それはやっぱり閉め切った中での話だと思うんです。

[以上]

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