第25回騒音対策委員会における本会の発言と答弁

全部会の質疑応答要

第25回騒音対策委員会の簡単な報告です。正確なものは空港公団から議事録が送られてくる1カ月ほど先になります。その時は、特別のページにして載せたいと思います。聞き取りが正確に出来ない部分もありましたので、不正確な部分もあるかも知れません。

 最初に騒音対策委員会の委員長であり、空港公団の副総裁である佐々木建成氏の挨拶がありました。
 その後、空港公団の担当者から環境対策の実施状況の報告がありました。その中では『成田空港環境監視・情報公開システム』のなかで、空港周辺4カ所の大気質の測定結果がリアルタイムで検索できるように4月1日からなることと、同じく4月1日から前日の離発着機の飛行コース図が公開されるようになることが明らかになりました。しかし、これはシステムの端末機がないと見られず、コース図は情報公開センターに掲示されるだけのようです。リアルタイムのデーターがインターネット上でいつでも見られるようになれば、かなり利用できると思うのですが。

 [各部会からの質問と回答]

成田地区部会(成田市長 小川国彦氏)
Q;1]平行滑走路の完成後の飛行コースを出きるだけ早く提示していただきたい。2]空港へのアクセス道路と空港をめぐる環状道路を整備してもらいたい。3]平行滑走路の北側に成田広域公園をつくっていただきたい。これらを実現するためにも成田財特法の期限延長をお願いしたい。
A;(運輸省飛行場部長)1]以前より要望がある。現在検討中で出きるだけ早い時期に提示したい。
  (千葉県企画部参事)2]空港の利便性を高める上でも重要。現在、検討会で長期マスタープランを作成したところ。具体的には関係市町村とも相談しながらやっていきたい。3]国との調整もあるので、県の5カ年計画として考えたい。今行っている計画の進捗状況を見て検討する。また、成田財特法の延長は国の財政状況で非常に厳しいが何とかお願いできないか努力する。

芝山地区部会(芝山町長 相川勝重氏)
Q;1]騒特法の規制が出てくると家なども新たには建てられなくなる。宅地のみの買い上げも検討してほしい。2]今回の共生財団の事業でもA・B滑走路の間になった地域に平成60年1月1日以降に建てられた住宅については対策の対象とはならない。これを何とかしてほしい。谷間対策を制度化してほしい。3]騒音・低周波による住民の健康への被害がはっきりしていない。宇部空港で実施されているような健康調査を実施してほしい。4]芝山鉄道は町の発展の要である。町の中心部までの延伸を早期に実現してほしい。
A;(空港公団)1]騒特法の効力が発行していない前に先行して買い上げを実施しているが、ご質問のようなケースは現行では無理である。2]谷間対策は現在は関係自治体で実施していただいている。指摘された点については今後考えていきたい。3]宇部空港での調査は医師や保健婦も関係して実施されている。成田空港周辺では現在は健康被害は問題になっていないが今後実施の方向で相談したい。4]芝山鉄道の延伸については基本計画の具体化を検討している。早期実現に努力したい。

松尾・横芝・蓮沼地区部会(蓮沼村長 金杉擇氏)
Q;1]落下物がなくならない。昨年1月11日には松尾町の庭先に氷塊が、5月3日には横芝町の倉庫に氷塊が落下した。特に5月3日のは着陸する飛行機からではなくて、上空を通過する飛行機からの落下ではないかと聞いて驚いている。再発防止を要望する。2]先ほども成田市長からも出たが、飛行コースの提示問題であるが、答弁は不十分である。もっと具体的に答弁してほしい。3]個々の人を責めるわけではないが、私は21回のこの会議でも「騒音対策に血の通った対策を。」と要望したが、進展が見られない。運輸省や公団は騒音の基準としてWECPNLを使っているが、これが本当に被害を受けている人達の感覚を表しているのか。このWECPNLが絶対的な基準になってしまっている。蓮沼村はこの基準によると何でもないことになるが、電話も聞こえなくなる、テレビの音も聞こえなくなる、このときのせつない気持ちを考えたことがあるのか。測定の方法も問題があると思う。運輸省や空港公団の方々は現状固持の感覚でやっているのではないか。住民の立場に立っているとはとても思えない。共生財団には私も賛成だが、平成8年11月1日に新聞で発表されるまで全く知らなかった。町民からは「今までの枠を越えてやってくれるというのなら、蓮沼でも何か恩恵があるのではないか。それを、町長が知らなかった、というわけはないだろう。」といわれた。B滑走路が完成すれば、蓮沼村はA滑走路の飛行機が真上を、B滑走路の飛行機が東の端を飛ぶことになり、まさに谷間になる。こういう立地条件になる。なのに、一言の相談もなかったのはどういうことだ。
A;(運輸省成田空港長)1]落下物については平成8年5月にATISで洋上での脚下げを公示して徹底を図ってきた。実態把握の調査もしてきた。メーカーにも要請し、ICAO33回アジア大平洋飛行場長会議でも要請した。さらに徹底させたい。
  (運輸省飛行場部長)2]飛行コースの提示について飛行コースの幅の検討を今行っている。出きるだけ早い機会に提示したい。
  (佐々木委員長)3]空港公団の対応の足りない点は申し訳なく思っている。問題はあるかもしれないが、WECPNLが国際的にも使われている。しかし、これだけではまずいということで共生財団を作り柔軟に対処できるようにした。しかし、作る過程で不手際があった所はお詫びをする。心配りの問題として考えていきたい。測定もばらばらだった測定点を財団で一括してまとめることにより、公正なデーターの公開を考えたものだ。
蓮沼村長
 蓮沼村としても今、運輸省への意見書を準備しているので、その際には善処をお願いしたい。

大栄・多古・下総地区部会(大栄町長 山倉正男氏)
Q;1]平行滑走路が完成した後で騒音の影響がどのくらいあるのかが非常に心配だ。早期の飛行コースの提示をお願いしたい。また、大気汚染の様子も心配になるので大栄町に観測局を設置してもらいたい。2]空港周辺の朝夕の渋滞は申告だ。今後の道路網の整備計画を教えていただきたい。
A;(飛行場部長)1]出きるだけ早い時期に提示したいと考えている。
  (空港公団)測定装置の設置については共生財団とも相談して適当な場所を考えたい。
  (県企画部参事)2]国道296号線もようやく開通した。他の道路も平成8年に用地買収が始まった。これらを鋭意進めていきたい。

富里・山武地区部会(富里町長 相川義雄氏)
Q;1]空港環状道路計画の具体的なルートを平成10年度中に示してもらいたい。何はさておいても、道路網の整備が必要だ。小さな自治体では1本の道路を作れば、もう、数年は道路は作れなくなってしまう。2]航空機事故などの緊急事態に対応する医療体制の充実計画についてうかがいたい。
A;(県企画部参事)1]今、マスタープランを作っているところだ。ようやくこれが出きるところで、これから、交通量などの定量的検討を行って行きたい。10年といわれると困るが、出きるだけ早く示したい。
  (空港公団)2]緊急事態が起これば、すぐに対策本部を設置する。より円滑に行えるように空港消防署と成田市消防署などと協定を結んでいる。すぐにトレアイズを行い、搬送を始める。それでも対応できないときには空港周辺の医師会などの協力を要請する。これらを行うために、毎年秋には1000人規模の訓練を実施し、成田市とも春に訓練を実施している。
  (県企画部参事)医療体制としては各医院の輪番制をお願いしたり、赤十字にも協力をお願いしている。
富里町長;道路計画についてはぜひ、県の土木部長さんにもおいでを願い実情を見てほしい。

佐原・神崎地区部会(佐原市長 鈴木全一氏)
Q;1]平行滑走路完成後の飛行コースを早く提示していただきたい。幅を検討しているというが、2000年度末の完成を目指しているのだから、時間はぎりぎりのはずだ。提示は協議するための公表でなければならない。協議の時間を十分にとれるようにしてほしい。この問題は毎年取り上げられているのだ。昨年は「6月頃公表。」「秋になる。」「年度内には。」と変わって、今回は「早期に。」となった。運輸省の態度は後退しているのではないか。2]平行滑走路関係地域の振興を考えてほしい。騒音を軽減させる努力は当然だが、第1種区域に入らないといっても相当うるさくなるであろう。電波障害対策だけでは十分ではないと考える。
A;(飛行場部長)1]今、専門家も交えて検討している。時期を明確にして、それがずれることでかえって迷惑を掛けることはしたくない。地域の振興策は当然必要と考えている。
  (県企画部参事)2]2010年を目標とした振興策を現在推進している。2000年度末に平行滑走路が完成し、新たな要素が入ってきたら、計画の見直しを考えざるを得ないだろう。
  (空港公団)公団としても全面的な協力はもちろんするつもりである。
河内・新利根・江戸崎地区部会(新利根町長 坪井和夫氏)
Q;1]電波障害対策の区域を私たちの部会の全域に拡大していただきたい。2]飛行コースを逸脱している飛行機があるのではないか。気象条件などもあると思うがそれだけではないようだ。住民からも不満が出ている。コースの逸脱は安全上も問題ではないか。逸脱した航空会社を指導してほしい。
A;(空港公団)1]平成9年に電波障害対策は基本的には完了している。しかし、状況によっては対策を考えざるを得ないだろう。平行滑走路関係の飛行機による電波障害がどのようになるかは現在シュミレーションを行っている。対策は平成10年度よりやっていきたい。
  (成田空港長)2]飛行コースは列車のようにレールを走るのではないが、必要に応じて航空会社を指導して生きたいと思う。
 これで質疑応答が終わりました。この後、立食パーテイ形式の懇親会があるのですが、守る会はこれには出席しません。かって、公団の人に「こんな懇親会はやめて質疑応答の時間を伸ばしたら。」と言いましたら、委員の中にはこのパーテイーの食事の味に文句をつける方もいると聞きました。楽しみにしている方もいると言うことなのでしょうか。

【今回の委員会の感想】
飛行コースの早期提示とそれに対する意見の提出をしたいという要求がたくさん出ました。航空局の飛行場部長は「コースの幅を検討しているから。」と言っていましたが、このコースの幅の問題は昨年の佐原市上空の飛行コースの新設問題のときに本会が「コースの幅が14Kmでは1本のコースが引かれたら全町が騒音下に入ってしまう。」と指摘して、検討し始めた問題で、それ以前に飛行コースを発表できなかった理由にはなりません。運輸省は住民の要求に真摯に答えようとはしていません。

 蓮沼村の金杉村長の発言が迫力がありました。財団の事業対象からもれたことで村民から突き上げが強かったのではないでしょうか。共生財団の矛盾が表れています。
共生財団の事務所は交通の利便性から成田の駅前になったと言うのですが、誰の利便性でしょうか。財団の役員や職員の利便性ではないでしょうか。騒音区域の住民はほとんど交通手段は車ですから、成田の駅前でも空港周辺でも同じはずです。都会と違うのですから。かって、空港公団の本社が東京にあると言って成田の地元を軽視している、と主張した人達がこのことをスッと受け入れたのはなぜでしょうか。
質疑応答の時間が足りません。私の質問はいつも最後なのですが、いつも、「再質問はなし。」と委員長に言われ、今回も発言の途中で「手短にお願いします。」と遮られ、「時間の関係で再質問はなしということで・・・」と最初に念を押されました。それを押して、今回も再度発言をしているのです。
運輸省と公団側の答弁は官僚的です。質問の趣旨をはぐらかしたり、門切り型の答弁の繰り返しです。都合の悪いことにはまともに答えず、たいしたことがないということにはいい顔をしてみせます。
しかし、かっては社会党の党員としてならした小川国彦氏や旧熱田派の活動家だった相川勝重氏らが、この騒音対策委員会の席上で完全空港化推進の立場で臨むのを見ると、ずいぶんと年を経たな、という感慨に浸ります。


本会の質疑応答(議事録より)

【成田空港から郷土とくらしを守る会(岩田事務局長)】

 守る会の事務局長をやっております岩田です。よろしくお願い致します。また数が多くなるので申し訳ないと思いますけれどもよろしくお願いしたいと思うんです。

 第一点ですけれども、今、日米防衛協力に基づくガイドラインの法制化が非常に急がれているようですけれども、昨年もその前にも申し上げましたが、成田空港の軍事利用については本会と空港公団、そこには運輸省の航空局長も立ち会いましたけれども、それとの約束でたとえチャーター便であってもそういうような軍事利用というのは無いんだ、という約束をしております。ところがこの約束があるからこういう事は無いんだろうなという事でいろいろ運輸省の方などに聞いてみますと、どうもあまりはっきりした答えがいただけないんですね。「そういう約束があるというのは承知しています」と。それでは承知しているんだからそういう軍事利用というのは無いのかと言いますと、そこについては答えがございません。公団の方に聞きましても、やっばり「約束があるというのは知っているけれども、それは運輸省の管轄であるから我々はただそれに従うだけだ」と、こういう話なんです。やはりこういう約束があって、これは本会だけではなくてたしか千葉県ともそういう約束があったと思うんですが、運輸省の方としましてはこういういろいろな事情があるにしても、アメリカからのいろいろな要求があるにしても、その軍事利用についてはやらないというはっきりしたお答えをいただきたい。

 それから第二点目はさんざん出て、それだけ住民の心配とかそれから要望が多いと思うんですけれども、平行清走路が完成した後の飛行コース問題です。これはたしかに佐原の市長さんもおっしやいましたけれども、時期が一度示されて、それが延び延びになって、私が聞いたところによりますと昨年の12月と今年l月、茨城県の牛久市で新たなコースが設定された、というので住民との問題があったようなんですけれども、その時に参加した運輸省の方も「3月末迄には出す事になっているが、延びそうだ」という話がそこの席上で出たということなんです。こういうふうにずっと延び延びになっているんですね。どうしても素人なりに考えると納得出来ないんですね。何故かと言えば、この問題はもう15年も前から私共からも騒音対策委員会があるごとに質問事項として出して来たと思うんですね。そうすると運輸省としては15年問、検討して検討して検討し続けて、それでもなおかつ結論が出ない、全然原案も作れない、そういう事なのかと。一体それ程難しい何があるんだろうかと。例えば管制方式だとか、そういうものがガラっと変わるというなら話は分かります。ですけれども、管制方式や何かがそんなに大きく変わったとか、あるいは空域の変更があるとか、そういう話はあまり伝わってこないんですね。そうすると一体何でこれを出さないのかと、かんぐりになるかもしれませんが、「あまり早く出しすぎるとまた住民の方からいろいろ心配が出てくるだろう。ならば開港がある程度、供用開始がはっきりするその時期を待とうじやないか」と、そういうような考え方が運輪省の中にないのかどうか。私はそこらへんあるのではないかという気がするんですよね。それがやっばり今回いろいろな問題があったといいます。例えば、牛久の問題もそうです。それから佐原市の上空やなんかを通る飛行コースの新設の問題がありました。こうゆう問題でもやっばりもうちょっと運輸省の方が「住民に真撃に意見を聞くんだ」と、こういう態度を取っていただかないとやはり不信感というのは拭えないんじやないかなとこういうふうな気がする訳なんですね。

 第三点目になりますけれども具体的な問題に入っていきますが、増便問題、今回各市町村にこの春からの増便について「どうだろうか」という相談があったという事は非常に大事な事だと思うんです。ところが増便が非常に曖味というでしょうかね、というのは何故かというと芝山の議会の方で増便が一応了承という形になったのは確か今年のl月か2月だったという気がするんですけれども、ところがですね、実際にはもうその間に日米の航空交渉は進んでいて、「成田の昼間の枠の便数をアメリカの航空会社に何便分けるんだ」と、こういう話が進んでしまっている。そうすると相談はしたけれども了承する事を前提にしてこういうものはもう作られているんじやないだろうかと。そうすると一体、住民に問う姿勢というのは確かに評価するんですけれども、「それは一体何だったのか」と、こういう気がしてしょうがないんですね。

 それから第四点目ですが運輸省の方はA滑走路の1日当たりの便数、あるいはl時間当たりの便数、この安全上の限度というのを一体どう考えているのか。確か1日の便数で、この騒音対策委員会で私が質問しました時に当時の公団の吉田理事さんが「340便が安全上の限度だ」と、お答えをいただいたように思うんですよね。ところが今回、日米の航空交渉その他がありまして、370便迄は良いんだというふうになっている。それから1時間当たりにしても、確か1時間当たり17便とかそういうふうな話があったんじやないかと思うんですけれども、今回それが20便位迄は大丈夫だと。一体その間に管制上の安全を保つ技術とかそういうものがそれだけ進歩してそういう事になったのか、という事に非常に疑問を感じる訳です。何か我々、これもかんぐりと言われるかもしれませんが、増便を認める為に運輸省自らが、自ら決めていた基準を便宣的に改正をしていってしまうと、これで良いんだろうかと、こういうふうな気がする訳です。

 それから五点目ですけれども、共生財団について、昨年の質問でもしましたけれども、非常に、これがどうも不思議でしょうがない点がいくつかあるんです。例えばですね、何故事務所が成田の駅の真ん前でなければいけないんだろうかと。確かに一等地です。ですけれどもこの共生財団というのは文字通り、住民との共生を目指した財団のわけですね。そうしますと、何故共生を目指した財団の事務所が成田の駅の真ん前でなければいけないのか、何故実際に騒音の被害とか、そういう被害を受けている住民のごく近く、例えばですね、この空港の周りに公団が買った土地などが一杯あるはずですよね。何故、そういう所に事務所を建設して、そして、姿勢として「被害を受けている住民の方々と同じレベルでもって物を考える」と、そういう気持ちがあったならば事務所は当然この空港の被害地域のすぐ側にあってよかったんじやないかなと、こういう点がまず第一点なんですね。それから、第二点としては民家防音工事などの事業、これを3年の期限付事業というふうにしているんですけれども、3年経ってもし事業が終わらなかったらどうなるのか。あるいはこんな事は考えたくないとおっしやるかもしれませんけれども、2000年度末の完成が延ぴて、そして外国からの増便要請はどんどん来ると、それでまた便数は増える。騒音がひどくなる。じやあそれで騒昔区域が広がっちやった。それで新たな対策が必要になったなんて事が出て来た場合に一体これはどこでどうやるんだろうかと、こういう疑問があります。それから次は出資金が100億円程度ですね。ところが私達がいただいた資料、あるいはいろいろな所から集めた資料によりますと、事業費そのものは47億円位、例えば民家防音工事とか、それから研究事業とかそういうものでは47億円位しか使う予定が無いわけです。なのに何故100億円という基本財源というんでしょうか、そういうものを作ったのだろうかと、これが非常に疑問になるわけですね。それを周辺の自治体が出すような形、ただし、これ確かかどうか分かりませんけれども私共が聞いた事によりますと、「自治体が負担したお金というものは結局後で公団の方から特別交付金で補填されるんだ」と、こういう話があるんですけれども、例えそうであっても周辺対策交付金というのが、飛行する航空機の便数によって額が決められているわけですから、そうしますと結果的に、これは去年も言ったんですが特別交付金をそれに使うっていう事は今まで使われた特別交付金を他のいろいろな事業、例えば周辺の道路整備だとかそういうものに使っていたわけですよね。ところがそういうものに使っていたお金の中から共生財団に出資した出資金、その補填に回したら結局、極端な事を言えばこれは違う雑な言い方で申し訳ないんですけれども、例えば今まで30億円使われていた、そんなに無いでしょうけれども特別交付金が、それが補填の為に15億円使われたら、結局今まで30億使ってた交付金が結果的には15億円しかいろいろな他の事業に使えないという事になるじやないか。こういう事になるわけですね。何故これが50億円という額じやいけなかったのか。もちろん100億円という額は後でいろいろ運用してその運用の費用の中から、いろいろ10年間事業を続ける費用を捻出するんだと、こういう事になっているわけですけれども10年経ったらば、結果的に60憶円なり50億円なりというお金が余るわけですね。そうすると寄附行為という規約集みたいなもの、会社でいえば約款というんでしょうか、それを読んでみますと結果的に10年経ったらそれはあるいろいろな決議を経てその寄附をするんだと、という事はどういう事なのか。何かまた10年経てば他の同じような財団みたいなものを設けてそこへ残ったお金はそっくり移管するんだと、そして新しい事業を始めるのかどうかそこらへんよく分からないです。何も書いてありませんから。全然分からないんですけれどもそういう形になるわけですよね。だったらば何も今100億円というものを作らなくても50億円の出資金なら出資全でもって10年間の事業を何とかやって、それで他に10年経ってまた別のものが必要だったら別に考えれば良いじやないか、その分だけ特別交付金が従来通りいろいろな道路整備とかそういう対策に使われるんじやないか、という疑問があるんですけれども、その辺一体どうなっているのだろうかという事になるわけです。

 それから六番目ですけれども、環境基準の達成これは一体何時になるんだろうかと。牛久町の飛行コース問題で開かれた公聴会では、運輸省から出席した方が「これだと環境基準が達成出来ないところがあるからちょっと問題のところがあるんだ」という説明をしています。ところがこの成田空港周辺では、私が何回も「この環境基準の達成はどうするんだ」とこう質問しても、「環境基準というのは努力目標だ。だから何も達成する必要は無いんだ」と言わんばかりの態度でずっと来てるわけです。大気の汚染や何かの環境問題では公団自身が環境基準というものを問題にしているわけですよね。ところが騒音については一切この環境基準というものは持ち出さない。それで追及されると「それは達成すべき目標の、努力目標なんだからそれで良いだろう」と、こういうふうな感じになっているという事ですね。

 それから次にですね、民家防音の空調機の補助というのを各周辺自治体で行っていると思うんです。全部じやありませんけれども。当然民家防音がある所なんですけれどもね。ところがですね、これはちょっと周辺自治体がやるべき事ではないんじやないかという気がするんですね。何故かと言えば民家防音工事というのは防音の効果を上げる為にやるわけです。これは何故かと言えば私が言うまでもないですけれども防音の効果を上げる為には、閉め切って、そして音をシャットアウトしなければいけない。そうすると夏なんかは暑い。だから空調機器がどうしても必要になる。だから結局、空調機器というのは防音の効果を上げる為には絶対必要条件なんですね。だとすればその空調機器を運転する為の電気代、これは当然防音の為にはどうしても必要なお金なわけです。ところがそれについては私も何年か前に質問したんですけれども、そしたら当時の松本委員長に一蹴されました。「周辺対策交付金が出てるんだ、それでやりやあいいだろう」と、こういうようなお答えをいただいたんですけれども。ところがですね実際問題、これは各市町村が独自でやってますので、多分、間違いないと思うんですけれども、各市町村ごとにその電気代の補助額が全部違ってるんですよね。それは当然なんです。というのは結局、各自治体の、こんな言い方すると失礼かもしれませんけれども財政の力が違うわけですよね。ですから当然ここまで豊かな所はうんと出せる、厳しい所は少ししか出せない、こういう不公平が生まれてるんじやないかという気がするんですよ。これを何故国で出さないのか。だって防音の効果を上げる為には絶対必要条件でしょう。そしたらそのお金を個人に負担させるという事自体おかしい。地方自治体に負担させる事自体がおかしいわけです。だって閉め切らなければ防音の用をなさないんですから。それをどうして自治体に任せるのか。だから結局不公平が出来てくる、不平等が出来てくるとこういう事になってるんじやないかと思うんですね。これを国でもってちやんと面倒見るべきじやないかと思います。

 それから次にですけれども、今年の冬、うちの会の会員の畑で、エンジンテスト場の近くですけれども、その畑の自菜が黒く汚れました。これは今年だけじやないんです。数年前にもそういう事がありまして私の方から、「これは公団の方に掛け合ってちやんと調べてもらった方が良いよ」と言ったわけなんです。何か知らないけれども、この黒い煤みたいなものが自菜の葉の中へ入ってしまう。どんどんどんどん雨や何か降ると、それで下に溜まっちやうものですから白菜は非常に白いから、非常に目立つんですね。これは売り物にならなくなっちやうと、こういう問題が出て、去年の冬、別の方に相談をしてそしてその実態を見て、公団の方に来てもらって見てもらったようです。その結果を2月の12日に公団に呼ばれまして、それで説明があったようなんですけれども。これがちょっとひどいと思うんですね。何故かというと公団のその結果を私もその人から見せていただきまして検討してみましたけれども結論的に言えば、その周辺の大気汚染調査、これは先程の説明では今回から4月l日からずっと恒常的にやるという事なんですけれども、今までは1年に1週問だけの大気汚染調査でした。その結果を見ても「この空港周辺が特別汚れがひどいという事はなかった。それとすぐ近くを道路が通ってる。今も渋滞で問題になっていますけれども1日17,000台の交通量がある。それから最近この近くには運送会社のターミナルが出来ている。」という事を挙げて、結論を言いますと「航空機の排ガスによる汚れとは断定出来ないという結論だ」と言われたんですね。それで、その方怒っちやったわけですよ。結局、公団が来てその汚れを持ってったわけですね。じやあその汚れの物質を調べたのかと、その「調べた」という結果は何も出てない。ただ、「こうこうこういう事だから航空機の排ガスの汚れとは判断出来ません」と、これだけの結論です。一体これじや何の為にやったんだ、という事なんですね。例えばですね、公団の方としては、私が思うにはね、ちやんと航空機の排ガスじや無いという事を証明するのが公団の仕事じやないかと思うんですよ。それだったらある程度「分かりました」と言えると思うんですね。だけどもいろいろな理由、きちっとその汚染物質を持ってってそれを調べているわけじやないのに、「航空機の排ガスが原因とは断定出来ません」とこういう結論を伝えに来ただけなんですね。それはちょっとひどいと思うんですよね。もうちょっと真剣にやってもらえれば、私、専門家じやないから分からないんですけれども、例えば自動車の排ガスから出るその油煙、あるいは航空機これはエンジンテスト場のかなり近い所ですから、そのエンジンテスト場から出るその油煙、これとの区別なんか厳密な化学調査、分析をやれば判走出来るんじやないかという気がするんですね。そういう事をやらないでこうこう汚れてないよ、自動車一杯通ってるよ、だから航空機のあれとは言えないよ、こういう結論だって言われたんですね。ちょっとこれはやっばり公団が共生を言う態度からしたらちょっと不親切じやないだろうかなとこういう気がするわけなんですね。まあ以上いろいろありましたけれども終わります。

【佐々木委員長】

 今、大変たくさんのご質問があったわけですが、答弁する側としては干葉県、運輸省、空港公団と3つに分かれるわけですけれども、それぞれご自分の所にあった質問に対する答弁をなさっていただきたいと思います。運輸省からお願いします。

【荒尾運輸省東京航空局飛行場部長】

 それでは、まず成田の軍事利用という事でございますけれども、これにつきましては歴代の大臣のこれまでの答弁にもありますように、その方針は変わっておりません。それから飛行コースの早期公開が何故出来ないんだという事でございますが、これは先程から綾々説明しておりますように飛行コースに幅という概念を入れてそれをお示しして、皆さんに十分検討をしていただく為の材科を整えるというわけでございまして、決して他意があって遅らせているという事はございません。これにつきましては、先程言いましたように私共としても真撃に検討を進めておりますのでお答えとしては極力早い時期に公開をさせていただくという事でご理解を賜りたいと思います。それから増便問題がございました。これにつきましては、発着枠の拡大につきましては国際航空事業の増大に対応する為、1日当たり現在の360の発着枠を10枠拡大させていただくという事としておりますが、発着枠の制限につきましては主として環境上の制約によるものでありまして、今回の発着枠の拡大がただちに安全上の問題を意起する事は無いと考えております。

【佐々木委員長】

 どうもありがとうございました。この後公団から答弁がありますけれども、だいぶ時問を超過しているものですので再質問は無しにしていただきたいと思います。よろしくご協力の程をお願いします。では公団の方からお願いします。

【伊藤地域共生推進総室共生企画室長】

 空港公団の地域共生推進総室共生企画室長の伊藤です。私の方から共生財団の問題、環境基準の問題そして民家防音家屋の電気料負担についてお答えしたいと思います。先ずどうして駅前のいい所にというようなお話がありましたけれども、事業を進めますのに関係機関と調整しながらやっていかなくてはいけないという事から交通の利便性を勘案して現在の場所に事務所を構えたというように聞いております。それから共生財団の民家防昔工事の事業につきまして3年間に限ってというような話につきましては、多少誤解があるのかなという事で改めて説明させていただきます。財団の民家防音工事につきましては、便宣上、短期集中事業というものと継続事業というもの2種類に分けております。短期集中事業につきましては平行滑走路が整備される前に現滑走路での騒音の影響を軽滅させる為、出来るだけ早期に事業を開始させるという事を目標としております。申し込みの締切りという事を設けておりますけれどもその趣旨を示したものであります。従いまして、その時点で事業の進捗状況等勘案して再検討するというように聞いております。また、継続事業につきましては後継者の為の新増築の住宅の防音工事、それからサッシ部品の修繕を助成するものというものがあります。これは将来継続して発生するものである事から申し込み期限を設けておらず、10年と言わず事業がある限り行っていくというように聞いております。事業費の話ですけれども、事業費50億円と指摘されておりますが、これは単に短期集中事業と継続事業を合計した10年間の事業見込みを算出したものであります。残り50億円強、推計では60億円位になるのではないかと推計されてますけれども、これにつきましては基金として積立て、その運用益で継続事業を行っていくというように聞いております。なお、財団事業につきましては事業の対象となる市、町、県及び公団がそれぞれの負担割合を決め、それに基づき出資しております。続きまして、環境基準についてでありますけれども、航空機騒音にかかる環境基準につきましては、昭和48年12月27日の環境庁告示第154号というところによると、「航空機騒音の防止の為の施策を総合的に講じても達成期間で環境基準を達成する事が難しいという地域においては、当該地域に引き続き居住を希望する者に対し家屋の防音工事等行う事により環境基準が達成されたと同等の屋内環境が保持されるようにするとともに、極力環境基準の速やかな達成を期するものとする」というように書かれております。この考えに基づきまして空港公団は騒防法の第一種区域75W以上でありますけれども、屋内で65WCPNL以下の屋内環境が保持されるよう防音工事を実施しているところであります。もう一つの民家防音家屋の電気料負担についてであります。民家防音家屋の電気料補助につきましては、関係自治体のご努力によりまして、それぞれの状況に応じて独自のお考えにより住民負担の軽滅を図られ、地域住民の生活の安定に寄与されているというように聞いております。公団といたしましては、今後共引き続き関係自治体におかれまして周辺対策交付金等の有効な活用を図られたいと考えておりますのでよろしくお願い致します。

【小出環境管理室長】

 白菜の汚染の問題についてでございますが、私も現場でこの内容については確認しております。そして明らかに煤であるという事は確認しております。もうちょっと化学的に言いますとこれは空気中の浮遊粉塵、埃ですね、いろいろ浮いてますけれどもこの中の炭素成分であるという事は間違いございません。その炭素成分はどうして生まれるのかというのは、一つは先程からお話が出ていますけれども内燃機関の燃焼ですね。これは航空機もあるだろうし、エンジンテスト場もあるだろうし、それから周辺の車もあるだろうし、ターミナルのトラックもあるだろうし、いわゆる化石燃料を燃やした時に出るものですね。それ以外に自然界で言えば物の不完全燃焼だとか、あるいは周辺の麦藁とか野焼きだとかそういうものもございます。結果的にですね、その成分というのははっきり申しまして車と航空機を区別しろとおっしやいますけれど、これは同じ化石燃料を燃やしてますので灯油、ガソリン、あるいは軽油という形で成分の違いや発生する量は違いますけれども、成分はまったく同じ物で、はっきり申しまして極めてその区分というのは非常に困難だと思います。あえてこういう発言をさせていただくのは、私共約2年間空港周辺のビニールハウスの汚染という形で地域の方からいろいろなご要望がございまして、2年から3年にわたっていろいろな調査をしてまいりました。そして、特に航空機直下の場所、あるいは航空機とまったく縁の無い遠隔地、そういうものを比較してまいりました。特に浮遊粉塵の炭素成分について、結果として成分に地域差が無いという事から、そのデータをお見せして「こういう事で地域差は無いんです」と、「はっきり言って因果関係は明確には出来ません」と、そういうふうなご説明をざせていただいたわけです。今後でございますが、l年にl週間しかデータが無かったものに対して、毎日これからデータを取らさせていただきます。それによって空港から発生する各種の汚染物質の動向と申しますか、傾向、そういうのをこれからデータを積み重ねていってご要望にお応え出来るかどうか別ですけれども、そういう前向きの姿勢で今後取り組んでいきたいと思いますのでよろしくご理解いただきたいと思います。以上です。

【佐々木委員長】

 もう時問が相当オーバーしておりますので、これでご了解いただきたいと思います。

【成田空港から郷土とくらしを守る会(岩田事務局長)】

 あのですね。一つは環境基準、先程のお答えだと75Wを問題にしてますけれども、環境基準は70W迄なんですね。そうしましたら先程全杉村長さんがおっしやいましたけれども70Wのコンター引いたら蓮沼の九十九里の海岸迄すっぼり抜けちやうんですよ。そこら辺の事を全然言わないでですね、75Wでそれを室内でこうなってるからいいじやないかと、こういうお答えはちょっと誕弁じやないかなあという気がします。それからですね、大気汚染についても例えばですね今日発表したところで、このパンフレットの図を見ていただければ分かるんですけれども、常時測定する局が、エンジンテスト場の近くには全然無いんですよ。それから、この私も2年間の、この資料ですね、検討してみました。そしたらこの白菜の汚れが一番ひどいすぐ近くにある測定点、これは炭素物質という成分がどれもこの12筒所中の第l位か第2位なんですよ。という事はたしかに航空機か自動車か分からないと言うけれども、その炭素物質はかなりここでは多いという事になると思うんです。決して汚れてないという事は言えないと思います。

【佐々木委員長】

 空港公団としては出来る限りの調査をずっとやって来ているわけですけれども、只今のお話は、ご意見はご意見として承っておきたいと思います。それでは時問が相当オーバーしまして、私の不手際もございまして大変延びた事をお詫び申し上げたいと思います。特に他にご発言が無ければ終わらさせていただきたいと思いますが、大変時問が延びたという事はそれだけ各部会等で皆さんいろいろご議論いただいた結果が今日の活発な議論に反映したんだと思うわけでございます。本当にありがたく感謝申し上げるわけでございます。今後も各地区部会を一層活用していただきまして、各地区部会固有の課題等検討していく項目に関しまして、その中で十分協議を重ねて皆様のご意見をきめ細かくお伺いして、これらに対応したいと考えております。その為には今日のご説明にもありましたけれども、出来るだけ皆様方に情報公開を進めていくという事が必要だと思っております。今日出ましたご意見ご要望につきまして考えてみますと、相当広範かつ多岐にわたっているわけでありますが、こういった点について相互理解を更に深めるためにも、今まで以上に運輸省、干葉県、茨城県さんにご支援、ご協力をいただきたいと考えております。この委員会総会におきまして、実りの多い協議を行いますためには地区部会の充実が不可欠だというように考えております。今後共本日ご出席の委員の皆様、並ぴに各地区部会の皆様のご協力をお願い致したいと思っております。以上、私の感想を述べさせていただきましたけれども、その他この場で協議する事項がありましたら伺いたいと思いますが、特に無ければこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。


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