第26回騒音対策委員会質問要旨

成田空港から郷土とくらしを守る会

1、成田空港の軍事利用について

 去る2月23日付け朝日新聞の記事によりますと、1994年にアメリカは朝鮮有事の際に成田空港の使用を要求した、とのことです。

 「成田空港を軍事利用させない。」と言う約束が本会と日本山妙法寺との間にありますが、この約束を絶対に守ってもらいたい。

 この約束は空港公団総裁との間に交わされたものですが、運輸省も立ち会い、千葉県も仲介を行なっています。

 軍事利用されたときの問題点は多々あります。

第1に敵から成田空港が攻撃されても文句がいえません。ミサイルが飛んできても後方支援する限り覚悟すべき事なのです。

第2に日本の航空機が軍事物資を輸送したとすれば、これも、攻撃の対象となります。どの航空機が軍事物資を運んでいるのか分かりませんから、日本の航空機がすべて攻撃目標になります。

第3に過密な成田空域に速度も飛行形態も違う軍用機が入り込めば、それだけ管制が複雑になり、航空機事故の危険が増大します。

第4に軍用機は防音対策が施されていません。従って、その騒音は民間機とは桁違いの大きさになり、騒音公害を増大します。

第5にアメリカ軍は24時間の成田空港の運用を要求しています。これも夜間の大きな安眠の妨害になりかねません。

 このような点から考えると成田空港の軍事利用はとうてい認めることはできません。

 新ガイドラインが国会で審議されているこの時期に改めて「成田空港の軍事利用はしない。」事をこの席で運輸省に確認してほしい。(答弁;運輸省)

 また、約束の仲介の労をとっていただいた千葉県の考え方を伺いたい。(答弁;千葉県)

2、環境基準の達成について

 4月から車の騒音の環境基準が改正されます。これについては「改悪だ。」との批判もあります。この改正では室内で昼間の騒音が45db、夜間が40dbになっています。2月に放映されたNHK教育テレビの「サイアンス・アイ」によると、1週間の実験により、睡眠中は30dbぐらいから、寝返りなどの睡眠障害が現れるそうです。

 成田空港周辺では第1種区域の外側でも70dbの騒音は日常茶飯事です。例えば、県の平成9年度騒音調査報告によりますと、20Km以上離れた蓮沼村や成東町の海岸でも平均で70db・ピークで84dbにもなっています。

 空港公団の言うように、防音工事を実施していない日本家屋を締め切った場合で15dbの騒音削減効果があるとしても、室内では55dbになります。「改悪」と言われる自動車の環境基準と比べても非常に高いものです。従って、1日も早く成田空港周辺でも環境基準を達成して欲しい。国の機関が決めた基準なのすから。

 達成が出来ないのなら、70WECPNL以上の地域には民家防音工事をやるべきであると考えます。70WECPNL以上の地域で民家防音工事が行われていない第一種地域の外側の住民は20年以上も我慢し続けているのです。未だ、これからも「我慢し続けろ。」と言うのでしょうか。(答弁;運輸省)

3、標準飛行コースについて

(1)昭和46年1月29日の千葉県に対しての回答(空新第6号)の中で「(3)待機飛行について『洋上で待機させるようにしたい。』」と約束をしています。しかるに、今回の「標準飛行コース」では九十九里浜に一部かかる待機空域を設定しています。これは、明らかな約束違反ではないでしょうか。この待機空域は完全に洋上に移して下さい。(答弁;運輸省)

(2)昨年10月16日の下総町に対する回答の中で、北側に離陸して東に旋回し、千葉県内に戻ってくる高度が現滑走路で4500フィートと言っているが、これは約束違反ではないでしょうか。

県への回答では「離着陸時を除き県内通過は6000フィート。」となっています。「離着陸時」とは九十九里浜から利根川までの直進部分のはずでした。だから、県の担当者も1981年2月24日の本会との話し合いの中で、「県としては6000フィートまでは直進と考えている。」と言っていました。上昇中や降下中を「離着陸時」というのなら、成田空港を使う航空機は事実上千葉県内での「上空通過」などはなくなってしまいます。私たちは運輸省や空港公団との話し合いの中で「県内への進入は6000フィート以上ですね。」と言ってきました。これを訂正されたことはありません。今回のような見解はここに来て初めて聞く話です。運輸省は我々の『間違い』を知りながら黙っていた、と言うことなのでしょうか。こうなることを承知で最初から運輸省は「約束」をしたのでしょうか。事実経過を明らかにし、千葉県内に6000フィート以上で戻ってくるようにしてください。(答弁;運輸省)

(3)次に新しく「面的運用」と言う新しい言葉を用いています。この必要性についても疑問があります。今まででも、雷雲の発生などでは安全性から飛行コースを大幅に逸脱することは珍しくありません。だとすれば、今回、改めてこのような概念を導入する必要はないはずです。

 この概念は「千葉県の北総地域の全体で航空機が自由に飛ぶための概念」と考えざるを得ません。言い換えれば、「どこを飛んでも文句が言えないようにする。」のが目的ではないか、と考えられます。この考え方は撤回していただきたい。(答弁;運輸省)

(4)次に後から出た九十九里浜と利根川までの直進部分の飛行コース幅の問題です。この飛行コース幅は現状の飛行コースずれを正すものではなく、現状の飛行コースずれを承認するものでしかありません。その証拠に、その後の調査によっても飛行コース違反とされた航空機がほとんどありません。住民が問題にしているのはこのような大幅なコースずれではないのです。日常生活に支障のあるコースずれなのです。

 今回示された飛行コース幅は現在の半分以下にすべきです。(答弁;運輸省)

(5)今回、初めて「標準飛行コース」と言う言葉が使われました。この言葉に象徴されるように、今回の飛行コース案は「飛行コースに幅を持たせる」考え方を基調としています。確かに、飛行機は空にレールが引いてあるわけではありませんから、電車のようにはいかないと思います。しかし、安全上からも騒音対策の上からも出来うるかぎり決められた線上を飛ぶ必要があると思います。この点からも、「標準」と言う言葉は適切でないと思います。この「標準」と言う言葉は削除して、飛行機はできうる限り決められた線の上を飛ぶ事を航空会社とパイロットに徹底して欲しいと思います。(答弁;運輸省)

4、防音対策の充実について

 2項でも申し上げましたが、環境基準をクリアー出来ていないところには民家防音の対策をやるべきです。20年間も我慢させられてきた、住民の気持ちを考えて欲しいと思います。そこで、すぐに行なうべき対策として、谷間対策を全額国の負担で行うべきです。(答弁;空港公団)

5,機動隊のライフル射撃場の設置について

今、多古町と芝山町の境界に機動隊のためのライフル射撃訓練場が計画されています。この計画は場所を変更していただきたい。ハイジャック対策のものと聞いていますが、それならば、なおさら空港隣接地域に計画を変更してもらいたい。この射撃訓練場は相当大きな射撃音がする、と言われています。地元民からは「地下式にしたらどうか。」と言う提案もあったようですが、これについては、機動隊の方は「風などの影響を極自然の状態での訓練にしたい。」とのことだったようです。この地域はそれでなくても、平行滑走路が供用開始になれば、航空機の騒音が大きくなります。それに加えて、射撃の爆発音では地域は益々寂れてしまう、と言うのが地元の住民の方々の気持ちです。空港隣接地域には空港公団が所有している土地がたくさんあるときいています。この土地の有効利用の一つとして考えていただきたい。射撃場は騒音が激しい地域でも支障がないと思います。ハイジャック対策には飛行機の騒音は付き物と思います。(答弁;空港公団、千葉県)

以上

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