第27回騒音対策委員会報告(要約)

2000年3月30日 リーガロイヤルホテル成田

☆永井委員長挨拶

 「昨年は記念すべき年であった。26万人の署名には大いに励まされた。平行滑走路の2000年3月完成は断念せざるを得なかったが、2002年の暫定滑走路建設は絶対にやらなければならない、との方針が運輸省から示された。工事は順調に進んでいる。しかし、2500mの滑走路は必要で、1日も早い完成に地域のみなさまのご協力をお願いしたい。」

☆空港公団の概況説明

(今年度の事業についての説明があり、その後、飛行コースをリアルタイムで表示するシステムの説明と航空科学博物館にエコ・エアポートコーナーを設けることの説明がモニターも使って行われた。)

Q;佐原市長発言

 「このようなすばらしいシステムなのだから、決められた3カ所でしか見られないというのは、残念だ。誰でもが気軽に見られるようにしてほしい。インターネットでの公開などはどうだろうか。」

A;空港公団回答

 「とりあえずこのような形で始めたい。世界でもきわめて珍しいと自負している。インターネットでの公開は動画ということもあり、すぐには難しい。」

【休憩の後質疑応答に入りました。】

Q;小川成田市長

 「最初に羽田空港国際化について言いたい。我々は成田空港の完全空港化に最善の努力をしている。このときに、運輸省が羽田空港国際化の検討委員会を設置するのはいかがなものか。質問に移る。第1に騒特法の基本方針についてであるが、地域指定にあって集落の分断を避けて欲しい、と要望したが、『今回の案では不十分。』との住民の意見がある。検討して欲しい。第2に落下物事故はなくならない。平行滑走路ができるとさらに増えるであろう。飛行コース直下の地域に対する移転も含めた対策と、情報公開と実際に事故が起こったときの新たな補償制度を検討してもらいたい。第3に空港周辺道路の渋滞が深刻である。渋滞対策を最重要課題として取り組んで欲しい。特に、空港周辺の環状道路の整備と圏央道の整備をお願いしたい。第4に成田市が策定した百年郷構想の基幹となる広域公園の実現に空港公団も協力して欲しい。」

A;千葉県

「騒特法の基本方針は今、運輸省にあげている。暫定滑走路の影響については実態の把握につとめたい。環状道路と放射状道路、それと、圏央道については重要なものと位置づけている。各種産業の発展にもかかせない。昨年の成田財特法の延長に際して、新たな道路整備も追加した。圏央道の成田ム松尾線については計画線として、建設省は都市計画に合わせて考えている。測量にも着手している。広域公園については住民のレクリエーションの場にもなるが、県立公園については全体のバランスも考え総合的に進めているので、今後検討したい。」

A;運輸省

「落下物事故対策については平成3年より洋上脚下げなどの対策をとってきている。整備についても航空会社やメーカーにも協力を求めている。今後は落下物事故のあった場合にはできるだけ速やかに公表したい。安全運行については最大限努力するが、万が一の事故の場合は航空会社任せではなく国として対処していく。」

A;空港公団

「広域公園につては共生大綱にも示されている。公団用地の計画的活用に努力している。落下物事故については着氷調査を実施している。航空機事故はあってはならないが、万一の時には当事者が処理に当たるが、国・空港公団としても対応する。」

Q;相川芝山町長

「空港が地域の発展に寄与していることも確かである。第1に移転跡地の管理であるが、農地はレンゲを植えるなどの対策をとっているが、宅地の跡地は有刺鉄線などの柵で囲われている。これは、地域にとってマイナスである。文化の継承という面から、家屋を残して町に貸してもらうわけにはいかないだろうか。第2に平行滑走路の騒音対策であるが、住民からは騒防法の範囲外の対策が不十分でないか、と指摘されている。1本の線で区切ってよいのか。現状について説明して欲しい。」

A;空港公団

「跡地の管理については不法行為や安全対策上実施している。農地は農家の方々に貸し出しているし、その他のところはレンゲやワイルドフラワーなどでいつでも農地に戻せるようにしている。家屋を残すのは移転保証の趣旨から言って、非常に難しいが勉強したい。平行滑走路の騒音については見直しについて意見を聞いている。騒音の実体験も行っている。具体的には供用開始後に見直すことになると思う。」

Q;相川芝山町長

「家屋を残すのが現行法で難しいのは承知している。しかし、これからは自然とともに生きる方向が強くなる。残せる方向で考えて欲しい。地域の実情にあわせて欲しい。平行滑走路では谷間になる地域で騒音を測定し、実態に即した対策を考えて欲しい。」

A;空港公団

「家屋については議論をしていきたい。谷間については供用開始後の実態を見たい。」

Q;実川横芝町長

「第1に平行滑走路の騒音対策は環境基準の70WECPNLまで、共生財団の事業範囲に入れて欲しい。また、谷間地域も入れて欲しい。第2に落下物事故は74.6%が南側地域である。原因がはっきりしないので、住民は不安を感じている。平行滑走路ができれば、もっと増えるのではないか。監視体制の強化をお願いしたい。第3に芝山鉄道を九十九里浜まで延伸して欲しい。地域の活性化・地域振興策として考えて欲しい。また、当面、我々のところでは空港駅までのバスの運行を考えている。運営への援助をお願いしたい。」

A;運輸省

「落下物事故は出発地での整備を徹底するようにお願いしている。また、氷塊がつかないような機体の構造をメーカーに働きかけている。」

A;空港公団

「谷間対策は自治体で、指定地域外は財団でやってきた。同様な対策を平行滑走路地域でも考えている。芝山鉄道は機能の役員会でルート変更が議決されたと聞いている。芝山中心部までの延伸は県や運輸省もまじえて検討している。さらに延伸して欲しい、という要望があるのは聞いている。バスの運行については相談していきたい。」

Q;土井多古町長

「第1に周辺対策交付金が減額になっている。これは非常に厳しい。市町村間の格差も大きくなっているように感じる。今後は新たな制度で増額になるように考えて欲しい。第2に住民は大気汚染に不安を持っている。測定局の公平な設置をお願いしたい。」

A;空港公団

『周辺対策交付金は航空機燃料贈与税に準じて算出している。従って、枠は決まっており、その枠の中でできるだけ公平になるようにしている。平行滑走路が完成すれば、周辺対策交付金も増額になると思う。平行滑走路が完成しても現滑走路と同じように測定できるように整備を進めている。大気質測定局は南北と東西に設置している。平行滑走路関係についても設置を検討している。』

Q;相川富里町長

「空港周辺の道路網の整備が当地区の課題である。東関東自動車道の測道も401号線もある。空港から当地区への連絡道路を考えて欲しい。平行滑走路が完成すれば、空港関係の貨物量も従業員も増えるのだから。」

A;千葉県

「環状道路では未確定の部分もあるが、早期整備を考えている。」

Q;鈴木佐原市長

「暫定滑走路には驚いたが、喜ばしい。第1に当地域は騒音区域からははずれているが、飛行コースが守られていないので騒音が激しい。千葉県内は6000フィートと言う約束を守らして欲しい。第2に落下物事故事故対策を徹底して欲しい。昨年10月に当地域にもあった。第3に当地域でも航空機事故に備えて、消防施設の整備を進めているが、これに対して財政的な措置を考えて欲しい。第4に空港による経済効果が狭い地域に限られている。これを、もっと広い地域が潤うように考えて欲しい。そのために、空港周辺の経済団体の交流会のようなものを組織して欲しい。」

A;運輸省

「飛行コースの遵守は重要な問題。守らせるために、便名も公開し、指導している。落下物事故はなくすように努力している。」

A;空港公団

「落下物事故については着氷調査などでなくすよう努力している。消防施設の整備などは周辺対策交付金で対処してもらっているが、なお、検討したい。経済団体の交流会は機内食会社や貨物会社に話をしている。会社の方も是非やりたい、と乗り気である。何とかまとめたいと考えている。」

Q;野高河内町長

「平行滑走路が完成すると周辺対策交付金が増額するとのこと、心強い。是非、そうなって欲しい。成田から北への道路網の整備が必要である。永利根橋(?)も老朽化している。考えて欲しい。」

A;茨城県

「ご指摘の通りで、渋滞も激しくなっている。永利根橋の上流の橋についても交通量を見ながら考えたい。」

A;空港公団

「周辺対策交付金の運用については相談しながらやってきている。配分の見直しも行った。配分は実状にあわせたものでなければならない。」

Q;岩田成田空港から郷土とくらしを守る会事務局長

「第1に1月10日の朝日新聞でも報道されたが、暫定滑走路のさらなる北延ばしと言う考え方があると言うが、これについてどう考えているか。さらに、2500mの平行滑走路を完成させるために、反対する人たちとの新たな話し合いの場を設けて欲しい。第2に環境基準の達成をいつまでに行うのか。また、騒音の評価はWECPNLだけではなく、ピークレベルも加味するべきではないか。第3に騒特法の防止地区・防止特別地区に指定された地域の振興は望めない。国会決議でも『私権の制限を伴うものであるから、十分な措置を講ずるべき。』としている。国はどのような方策を考えているのか。とりあえず、固定資産税の減免や芝山鉄道の九十九里までの延伸や周辺対策交付金の従来の枠にとらわれない、新たな法的措置による増額を考えるべきではないか。第4に市町村が独自で実施している、谷間対策や騒防法第1種区域外への空調機器の設置助成などは国や空港公団が責任を持って行うべきである。また、学校などの防音工事は今以上に範囲を広げて行うべきである。」

A;運輸省

「さらなる北への延伸は考えていない。2500mを完成させることに全力を注ぎたい。『暫定滑走路でもいいから早く作ってくれ。』と言うのが多数の方の考えと理解している。新たな話し合いの場をと言うことであるが、説明会を150回以上にわたってやっているし、公聴会も騒音の実体験もしてきているので、新たな話し合いの場は設ける必要はないと考えている。地権者の方々との話し合いの努力は今後も続けていく。環境基準については屋内で、環境基準を達成した時と同じような環境を作ることを目標にしている。成田空港では他空港周辺にはない独自の騒音対策を実施している。WECPNLは加重平均で合理性があると考えており、今後もこのWECPNLを指標とする。」

A;空港公団

「周辺対策交付金は便数によって決まってしまう。芝山鉄道も運輸省の方で検討している。指摘のあった成東の緑海小学校は騒音の指定区域には入っていないので、助成はできない。騒防法の第1種区域外の民家への空調機器を設置する事業は町や村で独自にやっていることである。」

Q;岩田成田空港から郷土とくらしを守る会事務局長

「騒特法の区域に指定された地域への振興策は国の責任で実施する特別のものでなければならない、と質問している。運輸省の方はどのように考えているのかお聞かせ願いたい。」

A;永井委員長

「税制の問題については運輸省は答える権限を持っていない。以上で質疑応答を終わります。」

《この後、レセプションが行われましたが、本会関係者は出席しませんでした。》       以上

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