第27回騒音対策委員会における本会の発言

【成田空港から郷土とくらしを守る会(岩田事務局長)】

 岩田です、今日は主に4点についてご質問させていただきたいと思います。

 まず、第1点なんですけれども、今年の1月10日の朝日新聞だったと思いますけれども、それによりますと、暫定滑走路を南に延ばせない場合というんでしょうか、本来の2,500mの滑走路が出来ない場合には、さらに北に延ばして2,500mなり、それ以上になるのかどうかわかりませんけれども、そういうような考え方があるという報道がありました。これについて、運輸省やなんかがどう考えているのかなあということを伺いたいと思います。それと関連なんですけれども、やはり2,180mの滑走路では、ジャンボが使えないということで、非常に使いづらい滑走路であることは間違いないと思うんですね。従いまして、どうしてもやっぱり、本来の2,500mの滑走路を建設しなければ、成田空港の機能としては十分なものではないと思うわけです。そうしましすと、南側に現在残っておられる方々との話し合いというんでしょうか、納得の上で移っていただくということが、一番いいんじゃないかと思うんですけれども、去年の公聴会でも私申し上げましたけれども、やっぱり、今残っている、反対されている方々との話し合いをやるためには、もう一度そういう場を設けて、そして、周辺の住民、団体、それから賛成・反対いろんな考え方があると思うんですけれども、「その中に入ってくれ」といっても、中には全然対応をとらない、或いは拒否をする方々もおられるとは思うんですけれども、そういうような場を設けてやるというような努力が、やっぱり必要なんではないかなという気がするんですね。このままいっちゃいますと、さきほども考え方があるといいましたけれども、もっと北側に延ばしてと、こういう考え方が出てくるんじゃないかという気がいたします。それについて、どう考えていらっしゃるかということをお伺いします。

 それから、2点目ですけれども、さきほども横芝の町長さんの方から話が出ましたけれども、県の環境基準ですね、70WECPNLの、この環境基準の達成を一体いつまでに行おうと考えていらっしゃるのか。これは、国が決めたことなんですけれども、もちろん、指定をしたのは千葉県ですが、で、その環境基準をいつまでに達成しようとなさるのかという事をお伺いしたいと思うんです。それから、もう一つは騒音の評価というのが、はたして現在行われているWECPNLだけを基準として、行われていいのかどうかということについて、考えていただきたいと思うんですね。というのは、かって、私は成東町に住んでましたけれども、成東町というのは、飛行機は見えますけれども、音は早朝の着陸待ちというんでしょうか、それで旋回する飛行機の音は結構響きましたけれども、普段はほとんど聞こえないんですね、ところがですね、1年に何回かコースをずれで真上へ飛んでくる時があるんですよ。そうします。いきなりものすごい音が聞こえるんです。そうします。正直言って心臓の鼓動がですね、倍位にキャーと上がるんですね、なんか落ちるような気がする訳です。そして、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキとして、しばらくその鼓動は納まんない。そういうような状況なんですね。そういうことを考えますと、その、いわゆる加重平均というんでしょうか、WECPNLだけではなくて、最高の音がどのくらいであるか。それをやっぱり加味して、人体への影響ってものも考えていただかなければいけないんじゃないか。こういう気が自分の体験からもそういう気がするわけなんですね。それについてどうなんだろうかということです。

 それから、3点目ですけれども、今回、騒特法がまもなく効力を発すると思うんですけれども、そうしますとご存知のように防止地区、或いは防止特別地区、ここでは非常に制限を受ける訳ですね。そうしますとはっきり言いまして、これに指定された地域というのは、実際にはもう他から新たに人が入ってくるということは考えられません。なぜかといえば、防止地区でも新たに家を建てるとなれば、数百万円からの自分の持ち出しでもって、防音工事をやらなければいけない訳です。そうします。この地域にとってはもう、これ以上発展するというような余地というのは全くなくなる訳ですね。この騒特法が国会を通りました時も、確か国会の特別決議でもって、この法律は憲法違反になるかも知れないような、私権の制限を一部伴うものである。だからそれに対する対策というのは十分とらなければいけないというふうに、国会決議があったはずなんです。そうします。一体その国会決議に沿うような対策というのを、この騒特法が効力を発するこの時期に、どういうものを考えていらっしゃるのか。こういうことにっいてお伺いしたいと思うんですね。私は取り敢えず、たとえばそういう制限を受けた地域になれば、当然土地だとか、家屋やなんかの評価は下がる訳ですね。そういうことを考えます。この指定された地域については、取り敢えず固定資産税を減免、或いは免除する。こういうような対策がとられて、しかるべきじゃないかという気がします。それから、たとえばさきほども出ましたけれども、ちょうどこの地域というのは、南側でいえば、ず-と空港の南側へ下がっていく訳ですね、九十九里の方まで。ということは、さきほどやはり横芝の町長さんの方から出ましたような、芝山鉄道をこの地域に延ばしていくということが、具体的にはそのひとつの、それで別にこの地域が発展するとは思いませんけれども、ひとつの対策ではないかという気がいたします。それから、周辺対策交付金についても、これは、別枠の特別な加算かなんかを考えてよろしいんじゃないかという気がするですね。というのは、さきほどからの公団の方がおっしゃてますけれど、周辺対策交付金でいうのは、燃料譲与税に準じたものである、ということは、飛行機の飛ぶ回数によって、当然総額は決められてしまう訳ですね、そうします。もし、その特別交付金をこの騒特法が、騒特法で指定されたこの地域だけに厚く盛るってことは、当然他の地域が薄くなる、減額されるっていうことになります。だけれども、それでは筋が違うと思うんですよね、やはりこうやって、特別な私権の制限を受けることであれば、当然それに見合うような特別の、別に交付金じゃなくても結構なんですけれども、特別な対策費が必要になるじゃないか。こういうふうに考えるんですけれども、こういう対策についてはどういうふうに考えていらっしゃるのかなあという気がいたします。

 それから、4点目ですけれども、市町村独自で今いろいろやっております。たとえば、さきほどからちょっと話がでてます谷間対策、それから、最近も新聞でちょっと出てきましたけれども、公団では助成できないような地域に対する、空調機器の町独自っていうんでしょうかね、自治体独自の、その補助、或いはその空調機器を、もちろん家の中全部じゃないんでしょうけれども、一部屋とか、二部屋とかそういうものを付ける。こういう対策が今とられてきているんですね。これはやっぱりはっきり言いまして、国と空港公団の責任で行うべき事ではないかなあという気がいたします。でまあ公団の方にこれ伺いましたらば、例えば、確かはっきりおぼえてませんけれど、この間千葉日報に出てた記事です。多いところは来年度予算で、9,000万近くの費用をその空調機器の設置でもって支出する。「やあそういう部分は周辺対策交付金で出してるんですよ。」とこういう話なんですね。ところが、周辺対策交付金っていうのは、要するに、これについて何万円、これについて何万円、これについて何万円っていう形で出てるもんじゃないんですね、要するにあなたの町には、一般交付金これですよ、特別交付金これですよと、ポンと出てくる。だから正直言って出してんのかも知れませんけれども、それが枠の中ではっきりとした形で出てこない。そうすると公団では出してるという、だけども、なんか外から見てると、「本当これ出してんのかいな。」こういうような感じになってしまう訳なんですね。ですから、交付金は枠をはめられない方が使い道としては、いわゆる町の行政預かる方々は、やりやすいってものは確かにあるのかも知れませんけれども、もうちょっと分かり易い方向がないもんだろうか。こういう気がする訳なんです。それから、もう一つは、その学校などの公共施設、これについての騒音対策、これをもうちょっと枠を広げるべきじゃないのかなって気がしてるんですね。具体的に言います。光町、空港の南側で平行滑走路のコースの東側に位置します光町では、四つの小学校が防音対策をとられているというふうに聞いてるんですけれども。ところが現在飛んでいるA滑走路の西側、例えば成東町の縁海小学校なんてのは、私、成東町に住んでたんで、位置はよく分かるんですが、縁海小学校だとか、こういうところは防音対策の対象になっておらないんですね。だけれども正直言って、その暫定滑走路のままだったらば、光町の海岸の方は非常に飛行機はもう高く飛んでいるはずなんです。ですからそれだけ音は、軽くなるはずなんですね。それに対してよく分かんないんですけれども、その光町の小学校と、この成東町の海岸寄りの方にあるこの縁海小学校ってのは、音が同んなじ位じゃないのかなって気がするんですけれども、まあそれがちょっと分からないんですが、そういう点から考えましても、もうちょっとその公共施設に対するその防音対策の区域っていうんでしょうか、それを広げるべきじゃないのかなあっていう気がするんです。

 それからこれは、質問と言うよりもお願いなんですけれども、さきほどもちょっと佐原の市長さんからありましたけれども、環境対策、或いはそのエコ・エアポート構想、こういうものにっいて公団さんの努力というのは、非常に大きなものがあると思うんです。ただやっぱりさきほどもいいましたけれども、あれだけこう先進的なものをやっているんですから、出来ればインターネットやなんかで誰でもがいつでも見られるような形にしていただければという気がいたします。それからこれは何ていうんでしょうか、もう一っ、私今日の新聞読んでて、VORDMEですね、あれをその250mずらしてあるのをこの滑走路の直下に置くんだと書いてある。これもですね、実は何でコースずれがおこるんだってことを、もう15年も前に私らの方で聞きました。その時に「どうもこのVORDMEが西にずれてることが、コースが西ずれになる原因らしい」ってことは、伺ったんですよ。「だったらそのVORDME真ん中へもってけぱいいじゃないか」ってことを言いましたら、「やあそれは出来ません」とこういう話だったんですね。なんかね、対策がはっきり言いまして、何か言ってもこっちは素人だから分かんないから、「ああ難しい」っていわわればそれでひっこんじゃうんですけれども、何か10年位経たないとなかなかその対策が実を結んでこないというような気がして、もうちょっと早く、その地元の人たちの意見を実際に対策に反映するという形でやっていただければということをお願いしまして終わりたいと思います。

【永井委員長】

 どうもありがとうございました。いろいろ多岐にわたったご要望・ご質問でございますが、大きく分けて5点ないし4点ほどに集約できる、まとめられるかと思いますが、第1点は、暫定滑走路計画、平行滑走路建設計画関連の話、それから2点目が環境基準の話、3点目が騒特法の防止地区、防止特別地区における地域振興策の関係、それから4点目が騒音対策の充実について、というようなことかと思いますが、各項日について関係しますのは、運輸省並びに空港公団だと思いますので、まず、運輸省の方から関係の項目につきまして回答をお願いいたします。

【高岡東京航空局保安部長】

 それでは、運輸省の方から、まず最初に暫定滑走路問題、それから平行滑走路建設のための話し合いの場といったことにっいて、まず私の方から回答いたします。暫定滑走路の北への延伸というようなお話でございますけども、今回の2,180mの暫定平行滑走路は、切迫した首都圏の国際航空需要に応えるための緊急の措置として考えておりまして、運輸省としては、東峰地区の方々のご理解を得まして、最終的には現在の計画に基づく2,500mの滑走路を整備したいと考えているところでございまして、現在北側へさらに延ぱすとういようなことは考えておりません。それから、それに関連しまして、話し合いの場ということでございますけれども、平行滑走路の整備にっきましては、周辺自治体からの早期完成要望や26万人署名に表れておりますように、地域の多数の方々もそれを望まれていると認識しておりますが、なお一層のご理解をいただくべく、昨年5月の新たな方針とりまとめ以降、昨年12月の工事着工までの間だけでも、150回以上の住民説明会等。それから地域の方々をご案内しての20回に及ぶ騒音実体験等を行ったところでございます。今後も必要に応じまして、このような住民説明会、騒音実体験調査等を開催させていただきまして、地元の方々とのきめ細かな意思の疎通を図ってまいりたいと考えております。なお、新たな話し合いの場の設置ということにっきましては、今述べましたように現在までも自治体、議会、各種住民団体、地域住民、空港関係者等の方々。多岐にかつ多層にわたって話し合う場を設けて、このような場におきまして、十分にご説明しご意見を伺ってきているものと理解しております。運輸省、公団としては、今後とも本来の2,500mの平行滑走路の早期完成に向けまして、地権者の方々に対して最大限の話し合いの努力を続けてまいりたいというように考えでございます。私の方からは以上でございます。

【井上新東京国際空港長】

 はい、それでは航空機騒音対策、或いは騒音の評価につきまして、ご説明します。成田空港では、航空機騒音障害の防止のため低騒音機の導入、或いは早朝・夜間の便数制限、これらの発生源対策、或いは緩衝緑地帯整備などの施策を講じております。また、環境基準が達成された場合と同等の静穏な環境を屋内で確保することを日指しまして、航空機騒音防止法に基づき、第1種騒音区域における民家防音工事などの助成を行っているところであります。さらに、第1種騒音区域外においても、さきほど報告がありましたように共生財団によります成田空港独自の対策として、防音工事の助成を行っているほか、現滑走路と平行滑走路の第1種騒音区域に挟まれたいわゆる谷間地域においても防音工事の協力を行っているところであります。今後とも航空機騒音による障害の防止に向けて引き続き可能な努力を進めてまいります。次に、航空機騒音の評価の尺度であります、WECPNLですが、これは航空機騒音について1回1回のピークレベルの大きさはもちろんのこと、騒音の回数或いは騒音が発生している時間帯を総合的に評価して計算しているものでございます。環境庁におきましても生活環境を保全し、人の健康の保持に資する上での維持することが望ましい基準を定めるという観点から、その評価手段としてWECPNLを採用しているところであります。運輸省としては今後とも、これを基準といたしまして各種対策を講じていきたいと考えています。以上です。

【伊藤地域共生部長】

 それでは、私の方から騒特法の地域における地域振興策ということ、騒音対策の充実ということでお答えいたします。地域振興策の中で、防止特別地区については固定資産税の減免というようなお話が1点あったかと思いますけど、固定資産税の問題にっきましては、関係市町のお考えによるものと考えております。それからもう1点は、周辺対策交付金の話があったかと思いますけども、周辺対策交付金の配分に当たっては、既に普通交付金の算定において、騒音の程度の違いや騒特法の防止地区の予定区域内の面積等に応じた配分基準を定め、交付しており、関係自治体の地域振興策に活用していただいていると考えております。それと、芝山鉄道の延伸のお話があったかと思いますけども、芝山鉄道の延伸につきましては、先程もお答えさせていただきましたけども、当面整備場前駅までの早期開業が必要であると考えておりまして、芝山町中心部までの延伸につきましては、「芝山鉄道整備基本計画について」を具体化するため、運輸省、千葉県、成田市、芝山町、空港公団等からなる「芝山鉄道延伸整備計画検討協議会」を設置して、具体化に向けた必要な課題検討を鋭意進めているとこでございます。それから、騒音対策の充実というようなお話で2点ほどあったかなというふうに思っています。1点は、成東町の縁海小学校のお話、もう1点は空調機の話だったかと思いますけども、公共施設の防音工事にっきましては、騒防法の規定により、防音工事の対象施設になるかどうかということが定められていることになっております。というようなとことで、今縁海小学校が対象になっていないということであります。それから、空調事業でありますけども、町の事業として空調機の補助というような事業をやっている、それに対して、空港公団としては、交付金の枠の中で、協力させていただいているというようなことであります。以上です。

【永井委員長】

 はい、運輸省並びに公団からの回答について、いかがですか。

【成田空港から郷土とくらしを守る会(岩田事務局長)】

 ちょっとピントがずれてんじゃないかなと思うんですけれども、それは、あの私が騒特法についていっているのは、それはもちろん固定資産税の減免だとかっていうのは、これは、市町村になるのかも知れませんけれども、市町村がそれやるのには、やっぱり国として考えなけきゃいけないと思うんですよね。何らかの対策を。それから交付金もさっきから言っていますように、今までの枠の中で考えたってそれは出ないのは当たり前なんですよ。だからそうじゃなくて、国会決議でその私権の制限を伴うんだからという国会決議があるんだ。そしたらこれは国の責任だと思うんですね。だから国としてどうするんだ。こういうことを伺っている訳なんですよね。ですから、公団さんの立場では、今のようなお答えしか出来ないと思うんですよ。それは分かるんです。だけど、国会決議でその十分なものをやりなさいよという国会決議があるこの騒特法について、国としてどういうふうに答えるんだ。こういうことをお伺いしてるんで、何かちょっとピントが完全にずれちゃってんのかなっていう気がする訳なんですけれども。

【伊藤地域共生部長】

 今、固定資産税の話だとか、周辺対策交付金の話で国会決議というようなお話の中であったわけですども、固定資産税は固定資産税でいろいろな問題があると思います。当然、関係市町の固定資産税につきましては、関係市町のお考え方だというふうに考えております。それから、周辺対策交付金につきましては、燃料譲与税に準じた形で進められてきているところでありまして、成田空港で出来る範囲の先取りっていうようなことはしてきてるところでありまして、そういうことで、地域振興策には活用していただいているというふうに考えているというふうに思っております。以上です。

【永井委員長】

 よろしゅうございますか。

【成田空港から郷土とくらしを守る会(岩田事務局長)】

 あの一、運輸省の方は、これについてどうお考えですか。

【永井委員長】

 ちょっと私の方からよろしいでしょうか。岩田委員おっしゃられたように、固定資産税の問題は、正に公団の問題ではなくて国の問題ということかも知れませんが、お国から来ておられますけども、税の問題を所管する省庁でございませんので、この問題について運輸省の方から見解を求めるのはちょっと酷かな。こういう感じがいたします。ちょっと申し訳ないんですが、この問題について、岩田委員のご質問にお答えする立場にある人は、この場に臨席しておられないように思いますがが・・・。よろしゅうございますか。

【補足】空港公団の担当者との事前の打ち合わせで、10項目以上の質問事項を絞り込んで、今回の発言になりました。また、この事前の打ち合わせで、私の方からは、騒特法問題について、運輸省の方から答えて欲しい旨要望しましたが、結局、お答えを頂けませんでした。決して、「その場ですぐに答えてほしい」と言っているわけではなく、時間的にも国としての態度をまとめる時間は十分にあるはずなのですが、今回のような結果になることが多いのです。

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