第31回騒音対策委員会発言要旨
成田空港から郷土とくらしを守る会
1.「成田空港を軍事的に利用しない」という約束を守る事
自衛隊イラク派遣部隊の先遣隊が成田空港から出発したが、これは明白な「軍事的利用」であり、「通常の商行為」とは言えない。今回の事態は1972年に結ばれた本会他2団体と空港公団との「航空公害に関する覚書」や、日本山妙法寺と国・空港公団・千葉県との間に結ばれた「平和塔遷座のための取極書」に違反している。国会に提出される有事関連法によると、成田空港と空域は丸ごと軍事利用されると言われるが、約束では「安保条約およぴこれに基づく地位協定の存在にもかかわらず、これを軍事的に利用することは絶対に認めない。」としている。今後、このような約束違反を行わない事。
2.騒音評価を「機数補正」から「騒音値補正」に変更する事
騒音評価値のWECPNLで逆転現象が起こった事は広く知られている。国では5年をめどに検討中との事であるが、WECPNLの計算方式を日本式の「機数補正」から、かってICAOが勧告した「騒音値補正」に変えれば逆転は起こらない。これを直ちに実施すべきである。また、抜本的改正にあたっては住民の被害感覚に合致した評価値を採用すべきである。
3.環境基準を早期に達成し、達成できない75WECPNLから70WECPNLの地域に対して民家防音対策を講じる事
環境基準の達成期限を20年近く過ぎても成田空港周辺の達成率は50%以下である。県内の基地飛行場周辺と比べても達成率が著しく低い。1日も早く達成して欲しい。特に、75WECPNL未満、70WECPNL以上の地域で環境基準を達成していない所には民家防音をC工法以上で実施すべきである。
4.民営化に関する「四者協定」の継続協議を早く開始する事
周辺自治体や住民は「空港公団民営化で周辺対策の充実が難しくなるのではないか。」との恐れを抱いている。民営化に関する「四者協定」でも充実の部分は先送りされた。完全民営化まで後3年と言われるが、積み残しの問題に関する協議を早く始めて十分に議論すべきだ。
5.暫定平行滑走路の北側への再延伸は行わない事
総裁は平行滑走路の2500m化問題で結論を今年中にも出す旨の発言を繰り返している。その中で、北側への再度の延伸も視野に入れているとしているが、北側に再延伸した場合、北側地域の騒音が激しくなる。これは、本来の計画にないもので、住民にとっては迷惑以外の何者でもない。また、北側に再延伸しても誘導路問題などで機能が制限を受けるし、北側の百里空域との関係で安全性に疑問がある。2500m化は本来計画で行うべきである。
6.需要予測の過剰な見積もりは行わない事
平成13年度の国土交通白書を見ると成田空港の需要予測で「発着回数が22万回に達するのは2015年」としている。ところが、平成14年度の同じ白書では「発着回数が2010年には22万回に達する」としている。たった1年で5年も繰り上げられているのはどうしてか。これは、平行滑走路の2500m化や羽田空港再拡張を正当化するための水増しではないのか。現状を見ても、このように伸びてはいない。過剰な見積もりはするな。
7.成田財特法の適用範囲を広げ、新規事業も採択する事
成田財特法が延長された事は関係各位の努力の結果と感謝しているが、残念なのは対象となる事業が大幅に制限されてしまった事である。成田空港周辺地域の生活基盤整備は騒音への見返りであり、共生の具現化である。新規事業の採択を働きかけて欲しい。
8.物流業者の進出に対応する周辺地域の道路整備と交通安全対策を至急行う事
成田空港周辺に物流業者の保税倉庫などが林立している。これは、地元自治体にとって税収面では歓迎すべき現象である。しかし、昔ながらの農村地帯に大型貨物車が入り込む事により、交通安全上の危険がましている。大型貨物車と周辺住民が安全に共存できるような道路整備や交通規制は緊急な課題である。対策をお願いする。
以上