第33回騒音対策委員会における本会関係質疑

(2006年3月22日)


【成田空港から郷土とくらしを守る会 (岩 田事務局長)】
 岩田でございます。 よろしくお願いいた します。
 第1点目はレイクスポイントの2段階化。今も河内とか佐原の方からお話が ありましたけれど、これについて別案を考えていただけないかとこういう件が 第1点でございます。
 なぜかと申しますと、我々の計算でもレイクスポイント を4, 0000フィートで通過することになりますと、やはり70デシベルを 超える騒音が結構出るようになると思います。この70デシベル、たいしたことない じゃないか と思われるかも知れませんけれ ども、ところが、例えば新幹線 の 環 境 基 準 、あ る い は 工 場 地 帯 の 特 定 工 場 騒 音 基 準 、こ れ を 調 べ て み ま し て も 、 新幹線の規制が70デシベル、それから特定工場の基準が夜間で65デシベル。こういうふうになっているわけですね。
 最近、例の騒音おばさんで問題になり ました奈良県の平群町ですか、これが3月 議会で騒音防止条例を作ったと。そ うするとこの騒音防止条例の基準が昼間で65デシベル、それから夜間は60デシベルとこうなっているわけですね。そうしますとやはり6,000から4, 000に下げることによつて70デシベルを超える騒音が相当出てくることに なれば、それはやはり問題じゃないかという気がするわけです。
 私、色々調ベ てみました。そして国土交通省の方にも色々お願いし、あるいは航空安全推進会議の方々とも相談を色々やりました。それで考えたのですが、我々としても 安全上の問題もありますし、機能拡充ということについては、それはやむを得ないと思います。ですからそれに反対するわけではございません。ですけれど も、高度を引き下げることによって、騒音が増えるということについては、や つぱり住民としては容認できないじゃなかろうかと、こういうふうに考えるわ けです。
 それで我々の考えた案は、どうせ上下2段階にするなら、6, 000 フィー トと8, 000フィートにすればいいんじゃないかという案を考えまし た。この案で航空安全推進会議の議長さんと成田支部の事務局長さんでしたか ね。そのお二人と1時間ちょつと検討したのですが、両名ともパイロットでし た。パイロットから聞いたところでは、この案でパイロットとしては特段、間題になることはないのではないかと、出来るだろうとこういう話があつた。
 それで国土交通省さんの方には、前にも確かこういう案があるよ、我々考えたと いうことを提案したのではないかと思うので、これならば騒音を増大しないで なんとか機能拡充ということが出来るのではないかと、こういうふうに考えま した。それで実は今、国土交通省の話を聞いていて、あれと思つたのですが、実は私達は17日に国土交通省に伺いまして、この問題についてやはりこういう 案でなんとかならないのかとそれを要望いたしました。そして、そこで応対して くれた方から色々話を伺ってきたのですが、その中に我々の方からじゃあその 時間制限、混雑時間帯というならば、だいたい混雑というのは着陸ですから、 午後の1時から午後の5時位までじゃないかなと、その時間帯に限るというこ とが出来ないのだろうかとこういう質問をしました。そうしましたら、出てき たのは確か航空局管制部の方だつたと思いますけれど、その方がおつしゃるに は、それはかなり難しいと、その判断はやはり管制官にまかせていただきたい と、こういうことで時間制限については、端的に言つてしまえば難しいから出 来ないと、こういうお答えだつたのです。
 ですから、今の課長さんのお答えで 「おや、ちょつと違うのではないか」と思って不思議ですけれど、17日の約 一週間後の今日ですから、これは何かその間に変更があつたのかなということ でちょつと疑間に思います。そこら辺やつぱり時間制限出来るものならしてい ただきたいというのはやはり住民の気持ちだと思います。

 それから2点目ですけれど、2015年 コンターで国土交通省の方から発表 になつておりますけれど、これが果たして妥当な、こんなこと言つては専門家 に対して失礼なのですが、妥当なコンターなのかどうかと、我々無い頭をしばつて検討したいと思うのですが、検討すべきデータが何もないのです。国土交 通省さんから示されたのはA4、 1枚のデータだけです。だけど本当にこのコ ンターの計算をしていくためには色々条件があると思うのです。例えば、時間 毎にどの方面からどういう騒音を出す飛行機がどのくらいくるのか、こういう ことが全部揃っていなければ、この騒音コンターというのは引けないわけなの です。もちろん計算はコンピュータでやるわけですが、そしてその来る飛行機 の同じ機種であつても高度はバラバラになる。そうするとどの位の高度でどの 位が来るのか、こういうような細かいデータがないと果たしてこのコンターが 本当にこれで妥当なものか、あるいは航空会社が発表しているその機種の標準 的なその騒音コンターと実際に運用しているその機種のデータ、これは千葉県 の方で調べたので浦安の方の羽田再拡張の時のや りとりの中で、どうも国土交 通省が発表しているデータよりも実測値の方が高いとこういう結果が出ており ます。ですから、そういうものが本当に実測値でもつてやられているのかどう か、ということもわからない。是非こういうデータを住民の方に、あるいは各 市町村の方に出していただきたい。そうしないと果たしてこの15年コンター は本当にこれで正しいのかどうかという検証が出来ないのではないのだろうかという気がするんです。それが第2点日です。

  それから第3点目は先ほどからも出ていますけれど、騒音評価方式ですね。これをやっぱり住民の被害感覚にあったものにしていただきたいとこういうふ うに考えるわけです。例えば今日千葉県から平成16年度の成田空港周辺の騒 音測定の結果報告書が送られてまいりました。それを見ますと環境基準の達成 率というのは千葉県内だけですけれど、この成田空港周辺では47.0%で す。 達成率が半分もいつてないです。それでもちょつとひどいなという気がするの ですが、この騒音評価方式、今のWECPNL、 これは住民にとっては厳しい 評価値だと思います。こんなちょつと例をあげると誤解があるかなという気が するのですが、このWECPNLは 1年間の騒音を全部平均いたします。だけ どこれでいいのだろうかという気がするのです。例えば刑務所かなんか、拘置 所かなんか入つている方が、冬が非常に寒い。じゃあ「毛布1枚足してくれ」とこう刑務所側、あるいは拘置所側に要求した。そしたら拘置所側の話はどういう ことになるかと、「いや、今は寒いかもしれないけど夏は35度位にもなるのではないか。1年間平均すればちょうどいい20度位だよ。だから必要ないだろ う。」、こういう例と同じになるのではないかという気がするのです。
 1年間の内にはうるさい時期もそれから静かな時期もある。それを1年間全部で平均して、 これだよ、だからこれでいいのではないか。こういうような評価方式だと思う のですが。ですが例えばうるさい時は3ヶ月続く、その3ヶ月間に体調が崩れ てしまった。だけど年平均すればこれだからいいのではないか。というふうな考え方は出来ないのではないかという気がするのです。
 従いまして、私達も私 達の会も評価値をどんなものにしたらいいか一生懸命考えています。色々手は あると思 うのですが、例えば年平均ではなくて、うるさい時期で計算をして、 エネルギー平均ならエネルギー平均を出すと、こういうやり方もあるでしょう。 それから、それに加えてやはりその1つ1つの飛行機の騒音について、規制値 をもうける。例えば、どの位言えばいいのかわかりませんが、70デシベル以 上を超えた場合にはペナルティーを課すとか、あるいはそんなこと言つたら飛 行機が飛べないのではないかとおっしゃるかもしれませんけれど、そういう場 合にはその地域でもつて対策をきちつと取ると、こういう考え方をすれば住民 の被害感覚にあった考え方ができるのではないかという気がするんですね。そういう検討を是非お願いしたいと思うのです。

 それから4番目として、市町村合併後の周辺対策交付金、これについては合併した市町村の交付金を併せて、それで計算するつてことになるのではないか と思うのですが、ちょっと今までの話だとどういうふうになるんだろうってこ とが一つと、それから出ております周辺対策費そのものの増額。これをやっていただかないと非常に困ることになりゃしないかな。
 というのは先ほどから出 ていますけれど、会社からのご答弁の中で市町村が独自にやるのだったら交付 金なんかを使つて、考慮しますよ。こういうお話ですけれど、それで交付金を 使ってしまつたら他で使う交付金というのが当然、交付金の総額が決まってい る限り、特別交付金がある程度増えれば、一般交付金が少なくなるはずですね。 そうしたら他のものに使える交付金が少なくなつてしまうのではないかという 気がするのです。これはやつぱり地域にとってはまずいのではないかという気 がします。

 それから5番目ですけれど、先ほどから出ましたリアルタイムの騒音値と飛 行経路をインターネットで何とかしてほしいと。これもすぐやつていただきた い。中部国際空港会社のホームページを見て下さい。中部国際空港のホームペ ージでは1分毎に各測定点の騒音値が今何デシベルと出ます。それも1秒毎に 全部出てきます。その1秒毎に出てくるのが1分間毎に更新されているのです。 それだけのことをやつているのですね。この成田空港でそれが出来ないという わけがないと思うのです。
 私がたぶん2000年 だと思いましたけれど、共生 財団で伺いまして、この問題についてインターネットで公開出来ないのですか とお伺いしました。そうしたらお答えは何だつたかというと、「いや、今の能力 から言えばいつでも出来ます。ただ、警備上の問題があるから今やつていませ ん」こういうお答えでした。まあ、警備上の問題というのはたぶん、どの飛行機 がどこを飛んでいるかとい うと過激派に狙われるとこういうことではないかと 思うのですが、でも、どの飛行機がどこら辺を飛んでいるかつていうのは、航空 無線を聞けばだいたいわかつちゃうのです。ですからこれはあんまり意味がな いのではないかと。是非すぐにやっていただきたいという気がいたします。

 それから6番目ですけれど、実はインターネットを調べてみましたら、とん でもないものが出てきました。それは何かと言いますと、インターネット、これ は日本語のサイ トじゃないのですが、米軍のサイ トで米軍のジップコー ド、日本 で言えば郵便番号ですね。特に米軍関係の郵便番号の一覧表の中に「96336 成田エアポート」と、こういうのが堂々と載つているのです。
 すなわち、成田空 港に米軍の郵便番号がついている。 これは、実は我々軍事利用 とい うのは絶対反 対していますから、ですから米軍の軍事郵便局を置く、置かないと開港当時大問題にもなりました。たしか国会でも取りあげて社会党の小川みつお議員が中 曽根運輸大臣を追及したと思います。「米軍の軍事郵便局は羽田ではあつたけれども成田には設けません」こういう話だつたと思うのですよね。
 ところがこう やって郵便番号が堂々と出ている。いつたいこれは何なのだ。もちろん横田基 地の郵便番号、それから三沢基地の郵便番号、全部それ と一緒に載っています。 今でも探してみれば出てきます。それはやつぱり米軍の軍事利用の1つではな いかということで、これはいつたいどういうことなのかご説明をいただきたいと思うのですね。

 それから7番目ですが、先ほど出ましたからくどくは言いません。やっぱり佐原市街地も騒音の常時測定局は必要だと思います。これを是非お願いしたい と思うのです。

 それから通告にはなかったのですが、今 日見ておやつと思つたのは、騒音対 策委員会を市町村合併で組み替えるということですね。その時に、まだ八街市 がオブサーバーなのですよ。これ実は前に騒音対策委員会の区域を改革したと きに、私の方からこの席でお願いをしたのです。横風用滑走路の延長線の真下に八街市があるのではないのか、どうしてこれを騒音対策委員会に加えないので すかと言つたら、「もう案が出来ちゃつたから次の時まで検討しますと。オブザ ーバーでやります。」こういうお話だつたのですが、今日見たら人街市はオブザ ーバーになっている。是非八街市を加えていただきたいと思 うのです。加える にも何も不都合がないと思います。以上です。

【田邊委員長】

 では、だいぶ質問数が多いようです。8つ程出ておりますの で最初に飛行高度の変更に伴う運航方法について、これを国土交通省からお願 いいたします。

【国土交通省】
 レイクスの話をしたのは先ほどご説明をした通りでございま す。時間帯を取りだして選定をして運用することが難しいということはお話を した通りでございます。又、私どもの部内で様々なやり方を考えて、結果水平に分離することも先ほど申し上げましたように私ども利用できない空域が北側 にあることから難しいと、又垂直に高く分離する場合にも安定した効果が水平 飛行距離、最終的に計器進入を行 う場合に水平飛行距離が必要となりますので、 そういうことを考慮すると難しいと、現在提案をしている案がこれしかないと いう案でございます。以上でございます。

【田邊委員長】
  では2問目のコンターの詳細なデータ公表について、これは 空港会社からお願いします。

【NAA】
  コンターの作成について、でございますが、北伸の予測騒音コン ター作成の根拠 となります仮想ダイヤにつきましては、次の様な条件で作成をいた しました。 まず需要予測でございますが、2015年の成田空港の需要予測値を元に発着可能回数を235, 000回としております。 2番 目に、年間発着回数はそれぞれの滑走路の上限まで発着が行われた場合を想定して、A滑走路が135,000回 、平行滑走路は100, 000回で 設定をいたしました。発着回数につきましては、日中の時間帯、いわゆる7時 から19時の発着回数は、A滑走路が282回/日 、平行滑走路が203回/ 日でございます。夜の時間帯19時から22時の発着回数は、A滑走路が70 回/日 、平行滑走路が54回/日 となつております。深夜早朝22時から翌日 の7時までの時間帯の発着回数は、各滑走路の22時台は10回/日までとし、6時台はA滑走路の現状である8回/日 で設定をいたしました。滑走路の割り 付けは、A滑走路は現状のダイヤで固定をし、需要予測増加分を平行滑走路に 割り付けをしてございます。飛行コース等の条件については、現状と特に変更 はございません。これらの条件で作成された仮想ダイヤのデータを国のコンタ ー作成プログラムに入力して、北伸予測騒音コンターの作成をいたしました。 以上でございます。

【田邊委員長】
 はい。では次の3点日ですが、騒音評価方法の見直し等の間 題ですね。これは国土交通省からお願いいたします。

【国土交通省】
  東京航空局でございます。騒音の評価値として用いられてお ります、このWECPNLと いうものは、ICAOに おきまして航空機騒音の 特徴を取り入れて考案された評価単位でございまして、我が国におきましては航空機騒音に係る環境基準において、この評価につきましてはWECPNLと いうものを用いることが定められております。この中で測定方法についても規 定されておりまして、ご意見にございました、うるさい時期を指定して測定す るということはこの基準にそぐわないものと考えますので、当面は環境基準に 沿つた測定を行つてまいりたいと思います。
 それから個々の航空機騒音の規制につきましては、いわゆる旧基準機チャプ ター2、 旧基準機は平成14年度から運航が禁止されまして、更に平成18年以降の製造機につきましては、チャプター4というより厳しい騒音基準が適用 されるということになつておりますので、全体といたしまして、航空機の低騒音化に努めてまいりたいというふうに考えます。以上でございます。

【田邊委員長】
  ありがとうございました。続きまして4問から8問なおござ います。まず、周辺対策交付金の配分の関係、それから情報公開システムの充 実の点、それから米軍の問題、それから佐原市での測定局、それとあと八街市 のオブザーバーの問題ですね。これらいずれも空港会社ですので一括、時間も 過ぎておりますので恐縮でございますが、続けて答弁をお願いします。

【NAA】
  それでは交付金についてでございます。まず市町村合併後の周辺 対策交付金の配分でございますが、当然のごとく合併後の自治体を対象に配分 をすることを考えております。その配分額につきましては、これまで同様各自 治体からのご要望を聞きながら対応してまいりたいと考えております。また周 辺対策交付金の総額は、成田空港の発着回数や騒音地域の世帯数に応 じて額を 算定する仕組みとなつておりまして、北伸平行滑走路の整備に伴う騒音区域内 の世帯数の増加や北伸平行滑走路の供用後の発着回数の増加 と連動 して周辺対 策交付金の総額が増加すると、こういうことになっております。
 続きまして、いわゆるリアルタイム騒音値の件でございます。弊社が設置し ております33局の騒音測定結果、いわゆる速報につきましては翌日にホーム ページで公開をしているところでございます。また北地域相談センター等では 成田空港に離着陸する航空機の6, 000フィー ト未満の飛行経路等の情報を 平日午前9時から午後5時までの間公開して飛行経路等の過去の実績につきましても、お問い合せをいただければお調べし、回答するということが可能にな っております。先ほどご説明している通りでございます。繰り返しになります が、インターネットを利用しての情報公開の方法、あるいは内容の充実につき ましては、今後検討をしてまいりたいと考えております。
 米軍施設の郵便番号ということでございます。米軍の郵便番号につきまして は、どのような取り扱いをしているのか私どもとしては、知りうる立場にござ いませんので、大変申し訳ございませんがわかりかねるということで回答をさせていただきたいと思います。
  佐原市街地にも騒音常時監視装置の設置をしてはどうかというご要望でございますが、これ も繰 り返 しになるわけでございますが、飛行高度の変更により まして航空機騒音の実態把握につきましては、運用開始前後に騒音調査を実施 することとしております。その調査方法等につきましても、関係自治体とよく 相談をさせていただきながら対応していきたいと考えているところでございま す。佐原市への常時測定局の設置につきましては、繰り返しになりますが騒音 調査の結果、あるいは航空機の騒音に著 しい変化があつた場合においては、適 切な対策を実施させていただきたいと考えております。
 それから八街市の騒音対策委員会のお話でございます。オブザーバーという ことで現在八街市さんとはご理解を得ているところでございます。平行滑走路 が完成しまして、横風用の計画についてどうするかということが具体化した時 には、再度関係自治体等と協議をさせていただきたいと考えておりますので、是非ともご理解を賜りたいと存じます。以上でございます。

【田邊委員長】
  はい。岩田委員よろしゅうございましょうか。

【成田空港から郷土とくらしを守る会 (岩 田事務局長)】
 八街市については前 回も同 じ答えですよね。 これはどうですかね。横風用滑走路の延長線上でも皆 さ ん 入 つ て い る ん で す よ 。 な ぜ 八 街 だ け が 入 ら な い の か ち ょ っ と腑 に 落 ち な いのですが。

【田邊委員長】
 では、お答え下さい。

【NAA】
  どこの市町村をお指 しになっておっしゃつているのか、ちょっと 私わかりませんが、少なくとも八街市当局とはお話をさせていただいている中 の オ ブ ザ ー バ ー で 結 構 だ と い う よ うな お 話 で 双 方 が 共 通 の 認 識 を 持 つ て い る ふうに理角翠をしているところでございます。


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