第39回騒音対策委員会における本会の質問と回答要旨
本会の質問と回答は下記のようになっていますが、今年の騒音対策委員会の特徴を簡単に書いてみます。
(1)国土交通省や成田国際空港株式会社(NAA)の答弁は相変わらずの、「官僚答弁」でした。特に、運用時間制限問題についての本会質問「説明会で出た、住民の切実な不安・怒りについてどう考えているのか」については、「申し訳ない」と口では言うものの、夜間騒音への影響などについては一切触れませんでした。
(2)各部会からの質問や要望は、以前からのものが多く、対策が進んでいないことを表していました。
(3)茨城県の稲敷市長は、理由は明らかにされませんでしたが、欠席し、河内町長は出席したものの、発言し、回答を聞いた段階で退席しました。私の感じでは無理もないと思います。河内町長の質問事項は「1、稲敷市の騒音が大きいところを、隣接地域に繰り入れて欲しい、2、騒音測定局を増設して欲しい、3、テレビの電波障害がなくなっていないので、調査して欲しい、4、標準飛行コースをいつでも確認出るように公表し、飛行コースについての問い合わせの窓口をはっきりさせて欲しい」というものでしたが、1・2の質問は毎年出されているものでした。成田国際空港株式会社の回答も毎年「無理です」というものです。腹も立ちますね。ましてや、飛行コース問題は「面的運用」(リンクの赤点線で示された飛行コース)で茨城県南部全体に飛行コースが拡がっていますので、深刻です。その実態を把握するためにも、また、夜間の騒音を把握するためにも、測定局の増設は当然の要求だと思われます。
(4)多古町長は発言の中で「30万回に国とNAAが方向性を示してくれ、そこに向かっている。今回の弾力的運用やオープンスカイも始まっており、地域と空港が共存共栄を図りたい、と言う事になっている。その中で、騒音対策委員会も少し方向性を変えて、名称も変えながら発展的な議論の場に変えていただきたい」と発言しました。その後に、東側地域の発展などについて、4項目の“おねだり”をしていました。
騒音対策委員会は周辺自治体などが、一同に集まって開く唯一の会議です。四者協議会や成田空港圏自治体連絡協議会などは細かい要望などは出てきませんし、茨城県や稲敷市・河内町は参加していません。
原発やダムなどの大きな公共事業はどれも同じでしょうが、地元政財界の利権が絡み、各市町の要望はNAAが個別に対応することが多く、他市町がどのような要望をしているかは分かり難くなっています。騒防法の地域指定なども、決まるまでは個別に示し、全体像は出そうとしません。「この市ではこうなっているのに・・・」というような文句が出ないようにしているのです。そして、市町ごとに多少の“色つけ”で、承知させていくのが旧空港公団時代からのやり方でした。多古町長の発言もこの“色つけ”を期待したのでしょうか?
騒音対策委員会はこの“個別撃破”の枠を超えて、NAAの“事前調整”はあるものの、周辺市町がお互いの生の意見を聞ける唯一の機会となっています。
質問1、運用時間制限緩和案白紙撤回を
本会としては成田空港の適正な発展を望んでいる。しかし、今回の問題は人道上の問題である。憲法第25条の「すべて国民は 、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に明らかに違反している。
2月24日に行われた芝山町の説明会では「(24時間化することは)睡眠時間が削られ、人間の尊厳が損なわれる。」といったそうであるが、今回の提案そのものが「人間の尊厳が損なわれる」問題なのだ。
また、2月18日の芝山町の説明会質疑要旨では、騒音体験調査時の感想を求められて80dBの騒音が出ているにもかかわらず、「さほど大きな音がしているとは感じなかった。」と答えたという。この感覚こそが問題だ。
地方自治体での夜間、この夜間の規定は8〜9時間がほとんどだが、における野外での騒音規制値は、多くが住居専用地域で40dB(A)、商工業地域でも50〜60dB(A)となっている。なのに、「80dB」でも「さほど大きな音ではない」とは、どういう事か。
私の住んでいるマンションでは「夜11時から朝7時までに、音楽や洗濯機の音、ウオーターハンマー音、どたどた歩くなどの音を出すのは常軌を逸している」と理事会ニュースで書かれている。これが世間の常識なのだ。成田空港の周辺地域では現状でも「常軌を逸している」現状なのだ。騒音下の住民は35年以上も静かな時間が7時間で我慢し、成田空港に協力してきた。
特に、睡眠への障害は「WECPNL」や「Lden」のような「加重等価平均感覚騒音レベル」では評価しにくい。1回の騒音でも、起きてしまえば、眠れなくなる事もある。起きなくても、睡眠は浅くなり、血圧や心拍数が上り、心疾患などのリスクが増える。
最近、新空港が開港し、使われなくなった旧石垣空港近くの保育園の保育士は「新空港が開港してから、昼寝時間に起き出す子供がいなくなった」と言っている。
芝山町の説明会でも、「子供は小さい頃飛行機が通ると泣いたが、今いる孫は泣かない。心配だ。」との意見があったという。このようなことがあるから、住民は反対している。説明会で出た住民の意見を全て詳細に公表して欲しい。
今回の案では、回数を事実上、制限できない可能性が大きい。朝、早く来てしまったものを制限するのは事実上難しい。「検証する」とは言うが、割り増し着陸料さえ払えば、事実上、航空会社の申請通りになるのではないか。
会社は芝山町の説明会で「町民の20の1が成田空港で働いている。7・8家族に1家族。格安航空会社(LCC)が成田に定着するかどうかではなく、芝山町の将来がどうなるかという観点で議論いただきたい」と言ったという。「空港の発展がなければ、町の発展もない」と言うことになる。これは“おどし”ではないか。
成田空港を「選ばれる空港にするため」の努力は、35年間も「静かな時間が7時間しかないと言う、人間の尊厳が損なわれる状態」で協力してきた騒音下住民に、さらなる負担をかけるのではなく、LCCを初めとする、航空会社に理解を求めるなど、国土交通省や成田国際空港株式会社の努力で行ってもらいたい。LCCは「24時間飛ばしたい」と言っている。歯止めがなくなるではないか。なぜ、航空会社に「住民のために我慢してくれ」と言えないのか。
今回の提案はただちに白紙撤回してもらいたい。
【回答】
国土交通省(加藤成田国際空港企画室長)
「運用時間の6時〜23時は開港当初からの重い約束であり、これは変えない。しかし、成田空港を取り巻く状況から今回の弾力的運用を提案した。説明会でも様々な意見が出て、昨日の成田空港圏自治体連絡協議会で5時から6時は除いて、健康調査・公表などの4項目を条件にする、と言う事で了解をいただいた。地域の人たちの意見は重く受け止める。」
NAA(行方地域共生部長)
「『たいしたことがない』と言う意味の発言があったとすれば、本当に申し訳ない。意見の公表であるが、説明会は自治体の要望で行っているものであり、NAAが公表すべきものではないのではないか。緩和時間帯に受け入れるかどうかの判断は、航空会社からの申請を受けて、NAAが判断する事になる。しかし、後に検証も行い、公表もする。必要があれば航空会社への指導も行う。芝山説明会における私の発言であるが、真意は『これまでも、大きな問題があったときには、お互いに話し合って乗り越えてきた。この歴史を大切にしたい。共生の精神で芝山町の発展を考えていきたい。』と言う事で、理解して欲しい。『白紙撤回しろ』とのことであるが、昨日の成田空港圏自治体連絡協議会で約束したことを、国とよく相談して、受け入れる方向で検討していきたい。」
質問2、騒音を出して、利益を上げている側の責任として、騒音下住民の健康調査を実施する事は、当然ではないのか
従来から、ことあるごとに、この騒音対策委員会でも何回も要望してきたが、国土交通省も成田国際空港株式会社も「住民からの要望があれば、考えます」と逃げてきた。
騒音を出している加害者として、住民にどのような影響があるかを、明らかにするのは、当然ではないか。
環境省は本会に対して「夜間騒音の調査はやっている」と表明しながら、昨年の騒音対策委員会の国土交通省の答弁で、環境省は「そのような調査はやっていない」と言ったという。環境省は明らに嘘をついている。予算2千万円をつけ調査を委託し、環境省図書館には分厚い報告書もある。
成田国際空港株式会社はこのような、不誠実な対応では困る。独立した、騒音影響に詳しい学者や騒音下住民代表などによる公正・中立な第3者機関をつくって、少なくても、九十九里から茨城県も含めた騒音下住民を網羅する疫学調査・健康調査を実施するべきだ。
【回答】
国土交通省(加藤成田国際空港企画室長)
「昨年の私の説明がいたらなかったが、環境省では『航空機に特化した夜間騒音の影響調査は行っていない』と言う事であった。私の言葉が足りなかった。環境省の調査は21・22年度に行っている。一般的な夜間騒音の影響、とのことだ。」
NAA(行方地域共生部長)
「昨日の成田空港圏自治体連絡協議会での提案事項でもあるので、真摯に受け止め、関係市町とよく相談しながら実施していきたい。」
質問3、利益者負担の原則に沿って、旅客から騒音迷惑料を徴収し、騒音地域住民一人一人に還元すべきではないか
迷惑料があり、騒音下住民に一部還元されていることは確かだが、裁判の判決では騒音被害に対する損害賠償が認められている。
しかし、成田空港で騒音被害に悩まされている住民一人一人に対する損害賠償金のような制度はない。
もし、そのような制度が、成田国際空港株式会社の経営上厳しいというなら、利益者負担の原則から言うなら、航空機を利用する人たちに「騒音迷惑料」を100〜200円程度負担してもらってでも、このような制度を作って欲しい。
会社の資料でも、成田空港の旅客が負担する金額は欧米の空港に比べて、かなり安くなっている。円安で変わっていると思うが、成田空港は空港使用料は2540円だが、ヒースロー空港は15563円、フランクフルト空港は8347円、シドニー空港は9164円、ニューヨークのケネディ空港は5296円だ。成田空港は十分安い。
【回答】
NAA(行方地域共生部長)
「一人一人に還元を、とのことであるが、周辺対策交付金で民家防音の空調施設の更新や固定資産税補助制度などを各自治体で考えてもらっている。これで、騒音地域の方々には還元できていると考えている。また、周辺対策交付金の使途については、30万回時での合意でもあり、拡大する方向である。」
質問4、騒音対策委員会をマスコミ関係者に公開すべきではないか
何故、騒音対策委員会をマスコミに公開しないのか。過激派暴力集団の乱入などは、今は考えられない。今の民主主義の世の中でマスコミ排除は異常だ。
また、忙しいとは思うが、年2回の開催を要望する。
【回答】
NAA(行方地域共生部長)
「マスコミ関係者には、別室で全ての議事を傍聴出来るようにしているので、ご理解いただきたい。」
質問5、フェデラルエクスプレス機の事故報告はどうなっているのか
2009年3月のフェデラルエクスプレス機の事故から既に4年が経っているが、運輸安全委員会の最終報告書がまだ出ていない。成田空港にとって、最大級の事故なので、安全対策を考える上でも、原因を明らかにすることは重要なことと思う。どうしてこれほど時間がかかるのか理解に苦しむ。どうなっているのか。
【回答】
国土交通省(松永航空局保安部長)
「これについては運輸安全委員会が作業中であり、前回は『報告書作成中』とお答えしたが、問い合わせたところ『意見照会中』とのことだった。これが終われば、公表されることになる。」