第41回騒音対策委員会議事録(本会関係質疑のみ)

(2015年3月27日)


【成田空港から郷土とくらしを守る会(岩田委員)】

 それでは、大きく4点お願いしたいと思います。

 第1点は、この成田空港の需要についてお伺いしたいですね。年間30万回可能だということですけれども、今はだいたい23万回ぐらいということだと思うんですけれども、これが30万回に達するのはいつ頃と、国土交通省の方が考えていらっしゃるのか。
 それから、オリンピックの時に成田空港でどのくらいの発着回数が必要になるのか、これは一時的なものですから、恒久的にはオリンピックが終わればまた下がることは分かりきっているんですけれども、それはどの位なのか。
 全体的に言えば、今までいろんなところで、例えば機能強化の委員会の需要予測にしても、やはりこれも過大じゃないのかなという気がするんですよね。確か、今年度末の需要予測、あれで見ますと23万回よりもかなり高く見積もっている、だけど実際には羽田空港の国際化なんかもありましたけれども、これは想定の中に入っているはずで、それを考えてもかなり低くなっている。
 こういう中で、実は最近、去年から芝山町、あるいは多古町でその強化委員会が出した第3滑走路、これは2020年以降ということになっていますけれども、これにかなり具体的な案が出ているんですね。それについて、非常に地元としては、本当にこれでできるのとか、できたら自分のとこは移転だとか、敷地の中に入っているだろうとか、こういうような心配がかなり出てくるんですね。
 それから、北側にしても、これがあの第2滑走路を作られると同時に、B滑走路はどうも北側に1000m延伸されて3500mになるらしい、そうするとまた、騒音が増えるじゃないかと、いったいこれはどうなっていんだ、という心配が出ているんですけれども、その第3滑走路について、こんな具体的な案が出るような、なんて言うんですかね、そういうものがあるのかどうか。
 それからやはり我々の会としては、その基本的には、今以上にこの騒音区域を拡大するといっているのは賛成できません。反対です。
 ですから、それを過大な需要予測でもって、どんどん推進しようとすることについては、やはりおかしいんじゃないのか、とこういうふうに考えています。

 それから2点目が、カーフユーの弾力的運用の検証なんですけれども、私もNAAの方に何回かお伺いしたんですが、あの色んな情報を見ても、検討してああいう報告書が出てきたと、けれども、どういう検証が行われたかというその内容については、全く伝わってこないと、公表されていないと。これはやっぱり、住民との四者協議の合意ですけれども、これは言うなれば住民との合意だと思うんですよ。その住民に対して、その検証結果というものが、やはり公開公表されるべきじゃないかと、ごういうふうに思います。
 それじゃないと、なんかいつの問にか会社の方で言う通りの結論が、そのまんま受け入れられると、こういうような形になりはしないだろうか。まあ、会社名は挙げませんけれども、倒えぱ今回の結果でも、ある会社のある便は、4回、5回とあのカーフユーの弾力的運用をやっているわけですよね。そうすると、確か合意事項の中に、こういうふうに繰り返す場合は、それに該当するかどうかは知りませんけれども、繰り返すあの会社、便については注意をすると。それでも改善されなければ、そのダイヤの検討をやるんだと、こういうふうな合意があったと思うんですけれども。その点について、今回この委員会って言うんでしょうか、その報告の会議でもってちゃんとした検討を行ったのか、これをお伺いしたいと思っています。

 それから3番目について、健康調査はもう間もなく結果が出るんだということなんですけれども、その結果が出ていないんで何とも言い難いんですけれども、私たらの会としては、これが例えば騒音区域、例えぱ第1種区域でも構いませんけれども、全員を対象としていないことと。
 それから2つ目として20歳未満が調奄対象になってないことは、結局どういうことになるかというと、やっぱり影響の大きい立揚の人の意見が反映されてないってことになるんじゃないかと。そうすると、いったいこういう調査結果がどう出るかわかりませんけれども、出たとしてもこれを取り上げて、はい、この通りですだから影響がありません、影響があります、こういうことが言えないんじゃないか、こういうような心配があるんですね。
 例えば、我々も何回か会社の方に要望しましたけれども、睡眠中の血圧や、心拍数の調査、こういうものについても、あの数は少なくて100でも200でもいいからやって欲しいと。実際に、心拍計なんかを付けて、血圧計なんかを付けて、今良い道具がありますから、そういうものを付けて実際に計ってもらいたいと、こういう要望をしたんですが。これを委員長さんは、どういうふうに、調査委員会のですね、委員長さんはどういうふうに考えているんだろうかとお伺いしたい、とこう言いましたら、会社を通しての答えは、そういうものはプライパシーの問題があるんだ、だからそれはできないんだ、こういうことを委員長さんが言ってたってことなんですけれども、これはちょっとおかしいんじゃないか。だってそういう調査が一切プライバシーの問題でできないとすれば、学術的な調査の研究なんかは全くできないってことになりはしないか。私らなにも強制的に.その調査対象を全員にやれって言ってた訳じゃないんですね。大変だから。だから、希望者100でも200でもいいからやってもらえないか、とこういう要望をしたんですけれども、お答えがそういう答えだと。これはやっぱり常識で考えてもおかしいんじゃないですかと、こういうことを考えるわけです。

 それから4番目として、色々なところから要望が出ていますけれども、騒音対策、これについては結局、今の制度の中では限界があるってことは今の質疑応答の中で明らかだと思うんですね。そうすると、結局この抜本的な、その対策を考えていかなきゃいけないんじゃないかと。それをお願いしたいんです。
 例えば周辺対策交付金をどうすべきか、そうするとやっぱりその交付規程についての見直しが必要になる。これをちゃんとやるべきだ。
 それから我々としては騒防法の第1種区域で移転を希望する人については、やっぱり国や、それから会社の責任でもって移転を補償すべきじゃないか。希望する人にですよ。希望しない人まで無理やりってことじゃないですからね。そういうような、法改正をすべきじゃないか。
 それから、それよりももっと,外側のいわゆる環境基準、これを達成してない地域に住んでいる方については、やっぱりこれも希望になりますけれども、希望するなら個人の負担なしに民家防音を行うべきじゃないか。これもやはり法の改正が必要になると。
 こういうことをやっていかない限り、いや、それは法の範囲内でできません、だからちょこちょこっと、なんか手直しみたいな形でなんとかするしかありません、もちろんお金がかかることは分かるんですけれども、そういうようなことをやってかないといけないんじゃないか、という気がするんですね。
 以上が質問の主旨です。

【深谷委員長】

 それでは、4点ご指摘を頂いたと思います。まず需要予測関係につきましては、国土交通省さんからお願いしたいと思います。カーフユーの弾力的運用の関連につきましては、千葉県さんとNAAの方から。健康調査についてはNAAから。それから最後の騒音対策の抜本的な対策につきましては、国土交通省さんとNAAからそれぞれ回答して頂きたいと思います。宜しくお願いします。

【国土交通省(鈴木室長)】

 1点目の成田空港の需要予測関連の問題に関しましてご回答させて頂きたいと存じます。国で行っております需要予測では成田空港単独ということではなくて、羽田空港と併せて首都圏空港ということで需要予測をしておりますが、現在の羽田空港は約45万回、成田30万回、併せて75万回の受け入れ能力があるわけでございますが、前提条件にもよりますけれども、国の需要予測では、2020年半ぱというか条件によって変わりますが、2020年代には、その需要が容量を超過するものと、こういうふうに予測をしてございます。
 オリンピック後という意味では、2020年の時、2020年にオリンピックが開催されるわけでございますので、その時点においては、この容量が需要を上回っているということではございませんが、ただ利用しやすい時間帯にも受け入れられるようにするという意味で、現在ほ、当面の取り組みとして、高速離脱誘導路の整備でございますとか、管制の高度化でございますとか、こういうことをして時間当たりの処理容量を増やすということをやろうとしているという状況でございます。
 また、オリンピック後の需要予測が過大ではないのかということでございますが、当然、将釆的な経済成長を先ほども申し上げたように前提条件として、その一番大きな前提条件が我が国、日本のGDPがどういうふうに設定するか、ここが一番大きな予想になるわけでございますが、当然幅を持って複数のケースでもって予測をしておりますので、決して過大な予測ではないというふうに考えてございます。
 また、第3滑走路ということでございますが、咋年夏の技術検討小委員会での中問取りまとめということで、複数の案が技術的な方策ということで示されているところではございますが、国としては、成田空港の機能強化は必要な重要なことであると考えてございますが、過去の成田空港問題の経緯も踏まえましても、国が航空行政の視点で地域にこういうのが必要ですよということで、一方的にお願いするのではなく、地域のご意見を良くお伺いしながら、成田空港と地域が共に発展できるような将来像を議論し、その上でどのように取り扱っていくのかということを考えていきたいと思っておりますので引き続き地域のお考えをお伺いしながら、検討を今後も進めて参りたいと考えてございます。1点目は以上でございます。

【千葉県(板倉次長〕】

 次に、カーフユーの弾力的運用の検証にっいてでございますが、今回の検証では個別事案58件にっいて、悪天候であれば、航空気象情報に関する資料、急病人の発生であれば、診断書や出国証印の取消願書など、事例ごとの関係書類を添付Lた資料をNAAが作成し、国及ぴ関係市町と共に事前に全て内容確認をしたところでございます。その上で、より技術的、専門的な見地からの意見が必要であると判断したものについては、学識経験者等からなる検証小委員会の場で確認し、ご意見を頂きました。その内容を踏まえまして、再度、関係市町などに意見照会をした上で、四者担当部課長会議で検証を行いました。検証は、このような手順で行われているため、適正に行われたと考えております。

【NAA(行方部長)】

 次に、NAAの方から回答させて頂きます、平成25年度に実施されたカーフユーの弾力的運用は先ほどもお話がありましたように、年間58件でございまして、同じ航空会社の同じ便が複数回にわたって適用を受けたものは、25年度の夏ダイヤと冬ダイヤの期問ともに最多で3回でございました。このようなことから、「恒常的な遅延」とは言えないのではないかと考えております。
 また、その要因は濃霧、強風、雷雨、降雪など季節的な要因でございまして、一時的に同じ便に弾力的運用が続くようなことがございました時には、適宜航空会社に直接ヒアリングをして、定時運航の努力を航空会社にお願いしております。航空会社の方もきちんと努力して頂いておりますので、これまで指導の対象、あるいは弾力的運用の対象外とした航空会社はございませんでした。
 NAAと致しましては、これからもカーフュー弾力的運用につきましては、地域の皆様からご心配頂くことのないよう、厳格な運用に努めていきたいと、このように思っております。
 次に3点目の健康影響調査でございます。健康影響調査につきましては、四者協議会において合意した「成田空港の離着陸制限カーフユーの弾力的運用に関する確認書(平成25年3月25日付〕」でございまして、これに基づいて調査を実施するものでございます。その時NAAは、学識的な知識の必要性及び公平性の観点から、学識経験者等で構成する第三者評価委員会、正式名称は「成田国際空港航空機騒音健康影響調査委員会」でございますが、これを平成25年4月1日に設置しております。この第三者評価委員会におきまして、不快感や聴取妨害等の感覚的影響、夜の睡眠影響、それから精神的及ぴ身体的な影響などにっいて調査対象とする項目や、それらの調査方法、分析方法、それから健康影響調査に関する審議をやって頂いたというところでございます。
 そして、今回のご指摘の全員を対象にしていないということでございますけれども、こちらも、第三者委員会からお聞きしたところ、「今回の調査対象範囲は、騒防法第1種区域、谷間地区、隣接地区、こういうところも入っておりまして、世帯数としては約1万世帯と多数であることから、原則として標本調査を採用することにした」と伺っております。そして、この標本調査というのは、母集団、これは統計の調査対象となっている事物の集団でございますけれども、そこから抜き出した標本を対象として調査して、数学的、確率的に、母集団の性質を推定する方法でございまして、これについては、全数調査、できないときにはこれが広く一般的に用いられている調査方法でございます。このような調査方法を行ったということでございます。
 それから、20歳未満が調査対象になっていないということでございますけど、これにつきましても、第三者評価委員会からは、「一般的に、社会学調査では成人を対象にしている」ということで、20歳未満の方は対象外とさせて頂いたと伺っております。
 それから、睡眠中の血圧や心拍数の調査にっいて、これはサンブルとしてやったらどうかとこういうお話だと思いますけれども、これにつきましても、第三者評価委員会からは「一般に騒音による心身の建康への影響については、本人の自覚症状にしか現れていない段階から臨床検査結果など客観的指標にも表れる段階まで広くある」ということです、今回の調査は、成田空港の騒音区域にお住いの多くの方々を広く対象として現状を調査することから、アンケート調査としたということでございます。
 そして、このことにつきましては、平成19年11月の「疫学研究に関する倫理指針」、こういうことから勘案して、睡眠中の血圧や心拍数を調べるような、臨床的な調査をするのは難しいと伺っております。
 そして、これは本健康調査のアンケート調査票の回答を頂いた方には、診断結果とあわせて、専門家による健康アドバイスをきちんと書いて返信させて頂いております。3番目までは以上でございます。

【国土交通省(鈴木室長)】

 続きまして、4番目の抜本的な騒音対策にっいて、まず国の方からご説明させて頂きます。
 特に具体的にお話がございました周辺対策交付金でございますが、こちらにっきましては、航空機燃料譲与税制度等の基本的な平衡バランスを図りながら、その財源になる着陸料でありますとか影響範囲、その財源の必要性を示す影響範囲ということで、騒音対策区域内の世帯数、この二っの要素で基本的に総額が算定されている現状になってございます。当然年間30万回の拡大の合意にあたって頂いたご要望に応じまして、使途を拡大させるなどの制度の充実は図っているところではございます。
 また、1種区域内での移転補償ということでございますが、地域からのご要望というところで、各会より頂いている重要なご意見ということで認識をしておりますが、現在の環境基準の考え方、その体系の中で色々な課題が多いことで、実現は容易ではないというふうに考えてございます。
 いずれに致しましても、環境対策の今後の充実につきましては、地域の皆さんのご要望を頂きながら、色々な議論をして、その充実に取り組んでいきたいと考えてございます。以上でございます。

【NAA(行方部長)】

 次にNAAから交付金の増額について回答させて頂きます。周辺対策交付金の交付総額につきましては、国土交通省の告示に基づき、国際線の航空機の重量及び着陸回数と騒音区域内の世帯数を基に算定することになっております。なお、周辺対策交付金につきましては、今後、発着回数の増大や騒音区域の拡大等、交付金制度の見直しの必要が生じ出た場合に改めて検討させて頂きたい、このように思います。
 それから、騒防法第1種区域内の希望者の移転でございます。NAAで行う移転補償につきましては、騒防法及び騒特法に基づき実施しております。騒防法第1種区域に指定された区域におきましては、NAAは住宅防音工事の助成を行うこととされております。ですから、NAAとしては引き続き、法に規制された騒音対策をまずしっかりと実施してまいりたい、このように思います。
 それから、環境基準を満たす地域への防音工事の実施についてでございます。航空機騒音にかかる環境基準につきましては、環境省が定める生活環境を保全して人の健康の保護を資するうえで維持することが望ましい基準で、?類型、これはもっぱら住宅の用に供される地域でございます。?類型、これは、?類型以外で工業地域などでございます。これらに分類されます。そして、成田空港周辺につきましては、千葉県知事が、成田市、富里市、山武市、印旛郡栄町、香取郡多古町、山武郡芝山町と横芝光町の全域、この中の、工業専用地域及び成田空港の敷地を除いたところを?類型としております。そして、千葉県が昨年12月18日に発表した、平成25年度の航空機騒音の環境基準達成状況につきましては、騒音測定局の84局のうち、達成しているのが48局で、達成率57%という結果でございました。これは、平成25年の4月から、航空機騒音の環境基準がWECPNLからLdenに変更されたことによるもので、ちなみにWECPNLで評価した場合には、25年度の達成率は71%ということで、前年度の69%をわずかですが2%上回る結果となっておりますので、成田空港周辺の環境が著しく悪化したものではないと思います。
 また、環境基準の未達成となった36局のうち、32局は騒防法の第1種区域内にございまして、外におきましても、市町又は共生財団による防音工事の助成が行われており、これら未達成地域においても、屋内の環境基準を達成するため、きちんと対応させて頂いていると考えております。そして、住宅防音工事を実施するに当たり、住民の方にも空調機の設置工事費の一部をご負担頂いているところですが、現行制度上、このご負担を頂かないとすることは困難であることをご理解頂きたい、このように思っております。


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