千葉県内高度6000フイートの約束


国騒第1号
昭和46年1月8日


新東京国際空港建設実施本部長
運輸大臣 橋本登美三郎 殿


千葉県知事 友納武人


新東京国際空港の騒音対策について

 このことについては昭和45年10月22日付け国騒第2号およぴ昭和45年12月12日付け国騒第3号をもって要望をいたしましたが、この施策の実施は地元住民の最大関心事であり、また新空港建設のためには欠くことができたいものであると信じますので下記項目について特段の御配慮を賜わり、御回答くださるようお願いいたします。

 次の項目について確約を賜わりたい。

1 航路の設定
(1)進入角度
  ILS(計器着陸装置)のグライドパス(降下経路)の角度を3度に設定されたい。
(2)北向き着陸復行の場合の飛行
  銚子上空方面で待機するための飛行は、利根川上空まで直進上昇を行い、しかる後銚子沖上空に向かわれたい。
  また、御宿上空方面で待機するための飛行は、利根川上空まで直進上昇を行い、しかる後御宿沖上空に向かわれたい。
(3)待機飛行
  新空港に着陸する航空機のホールディングエリア(待機飛行空域)は海上に設定されたい。
(4)飛行高度
  離着陸のための飛行を除く県内上空の飛行高度および御宿より進入して空港北側より着陸する航空機の御宿から利根川までの間の飛行高度は、6、000フート(1、829メートル)以上とされたい。
  もし後者について技術的に不可能であれば御宿からの進入経路を再検討されたい。

2 運行時間
 緊急の場合を除き23時から6時までの運航停止を厳守されたい。また、22時以降の運航便数を極力制限されたい。

3 騒音区域(2、000メートルx600メートル)の買収
(1)新空港の供用開始時点までに目標を設定し、積極的に買収を推進されたい。
(2)空港公団に専門の職員を配置して、騒音区域内の被買収者に対する代替地の積極的買収を図られたい。

4 学校等に対する防音工事
 空港供用開始後航空機の騒音下におかれると予想される地域の25施設について、防音工事が施工されることとなっているが、この地域外であっても「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」によるr航空機の騒音の強度及びひん度の限度」以上の騒音があった場合は、前述の25施設と同じ条件で防音工事を施工されたい。

5 エンジンの試運転
 整備地域におけるエンジンの試運転を実施する際には、防音壁を完全に設置するとともに早急に移動式消音装置を使用するようにされたい。

2 次の項目について特段の配慮を賜わりたい。

1 民家等の騒音対策
 県の行う民家等の防音工事、テレビ難視聴対策について起債等の財源措置を講ぜられたい。また、これらの償還財源については、地方交付税等をもって充当できるよう配慮を賜わりたい。

2 地域開発
 県は、新空港南側の芝山町を中心とした地域の住民福祉の向上と生活の安定を図るため地域開発を推進するが、これに必要な経費について財政上、金融上の援助を賜わりたい。



空新第6号
昭和46年1月29日


千葉県知事 友納武人 殿


運輸大臣 橋本登美三郎


新東京国際空港の騒音対策について


 昭和46年1月8日付け国騒第1号で要望のあった標記について、下記のとおり回答します。

1 航路の設定について

(1)進入角度について
  ILSによる進入角度については、2.5度が最適であるが、B滑走路(2、500メートル)供用開始するまでの間、当面、3度として運用することとしたい。

(2)北向き着陸復行の場合の飛行について
  要望どおり飛行させるようにしたい。

(3)待機飛行について
  洋上で待機させるようにしたい。

(4)飛行高度
  民間の大型航空機が離着陸以外の飛行で千葉県上空を通過する場合は、要望の飛行高度で飛行させるようにしたい。

2 運行時間について
 23時から6時までの間は航空機の運航ダイヤを認めないこととするが、航空機の運航に当たって遅延等を生じた場合は、例外として処理することとしたい。また、22時以降の運航便数についても、東京国際空港の現行便数を上回らないように努力したい。

3 騒音区域の買収について

(1)新空港の供用開始時点までに目標を設定し、積極的に買収を推進することについて新空港の第一期建設計画に対応して、概ね250へ一クタールの土地を買い入れる計画としており、46年度末までには、概ね160ヘクタールの土地を買い入れるようにしたい。

(2)空港公団に専門の職員を配置して、騒音区域内の被買収者に対する代替地の積極的買収を図ることについて騒音区域内にある家屋の移転補償及び土地の買入れは、相手方の申入れにより行うもので、 特に代替地の必要を生じた場合は、貴県の協力をお願いするとともに、空港公団に担当職員を配置して、貴県との連絡に当たらせたい。

4 学校等に対する防音工事について
 航空機の運行により、25施設と同等の航空機の騒音の強度及びひん度に該当する施設があれぱ、同じ条件で防音工事の助成措置を講ずることとしたい。

5 エンジンの試運転について
 エンジンの試運転場所の選定に当っては、十分配慮するとともに、防音壁(プラスト・フエンス)を設置し、さらに適切た消音装置があれば、その採用について考慮したい。

6 民家等の騒音対策について
 要望の趣旨については、自治省に対し十分連絡することとしたい。7地域開発について要望の趣旨については、関係各省に対し十分連絡することとしたい。


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