国土交通大臣 扇 千景 様

平成13年5月18日

要望書

成田空港から郷土とくらしを守る会
会長 堀内 徳司

 日頃から日本の航空行政と、成田空港の整備に努力しておられることに敬意を表します。
 また、私たち周辺住民の環境整備のためにお骨折りをいただき感謝しております。
私たち成田空港から郷土とくらしを守る会は空港建設がこの地に決定したときより35年にわたり、周辺住民の生活と権利を守るために活動してきました。
 成田空港周辺の騒音対策は全国的にみても進んだものである事は確かですが、朝の6時から夜の11時まで航空機の騒音にさらされている、飛行コース直下の住民にとって十分なものと言えないことも事実です。
 さて、ここに来て成田空港をめぐる情勢は大きく変化し、来年の初夏には暫定平行滑走路も供用が開始され、騒音特別措置法の規制も発効することになりました。
 この時期にあたり、下記事項について要望いたします。

要望事項

1,昭和48年12月に告示された「航空機騒音に関する環境基準」では、10年以内に、成田空港周辺の航空機騒音は70WECPNL以下にする事がうたわれています。
 しかるに、千葉県の調査によりますと、この環境基準の達成率は約35%にとどまっています。
 この環境基準を1日も早く達成出来るよう、さらなる努力をお願いいたします。

2,近く、千葉県知事の都市計画の告示により、いよいよ、騒音特別措置法の「防止地区」・「防止特別地区」に対する制限が発効します。
 この騒音特別措置法の国会における審議過程においても、この法律が私権の制限にふれかねない内容を持っており、指定地域の住民に十分な配慮を求める国会決議も採択されています。
 今回告示される都市計画が地域振興をはかる“配慮”にあたると言われていますが、この都市計画には具体的な財源対策はなく、財政基盤の弱い周辺市町村にとって、このままでは実施困難な計画と言わざるをえません。
 この都市計画に対しての、特別な財源処置の配慮をお願いいたします。

3,空港周辺対策交付金は国内空港の燃料贈与税に準ずるものと聞いておりますが、成田空港周辺においてはこの周辺対策交付金の配分をめぐり周辺市町村の間で、ともすれば、確執が生じています。
 成田市のように空港敷地や付属施設設備への固定資産税収入などが十分にあるところは別にしても、騒音だけを被る地域は「その対策だけでも交付金では間に合わない。」との声もあります。
 新東京国際空港公団ではその配分に苦慮しているようですが、総額が増えないかぎり、限界があると考えられます。
 このような、不公平感をなくすためにも、交付金の総額を増やす法的な処置をお願いいたします。

以上


環境大臣 川口 順子 様

平成13年5月18日

要望書

成田空港から郷土とくらしを守る会
会長 堀内 徳司

 日頃から環境を守るため努力しておられることに敬意を表します。
 私たち成田空港から郷土とくらしを守る会は空港建設がこの地に決定したときより35年にわたり、周辺住民の生活と権利を守るために活動してきました。
 成田空港周辺の騒音対策は全国的にみても進んだものである事は確かですが、朝の6時から夜の11時まで航空機の騒音にさらされている、飛行コース直下の住民にとって十分なものと言えないことも事実です。
 さて、ここに来て成田空港をめぐる情勢は大きく変化し、来年の初夏には暫定平行滑走路も供用が開始され、騒音特別措置法の規制も発効することになりました。
 この時期にあたり、下記事項について要望いたします。

要望事項

,昭和48年12月に告示された「航空機騒音に関する環境基準」では、成田空港周辺の航空機騒音は住居の用に供る地域では、10年以内に70WECPNL以下にする事を目標としています。
 しかるに、千葉県の調査によりますと、この環境基準の達成率は約35%にとどまっています。
 成田空港周辺地域の環境を守るため、この環境基準を1日も早く達成出来るよう、また、環境基準が達成できないための騒音対策である、民家防音工事助成対象地域を現在の75WECPNL以上から、70WECPNL以上にするように、関係各省庁に働きかけていただきたいと要望いたします。

以上


《国土交通省とのやりとり》

国土交通省の方の声が小さく、録音でも聞き取れない部分もありましたので、一部、正確さを欠く可能性もあります。

国土交通省;「第1点については、発生源対策に努力しているところだが、指摘の通り環境基準の達成には至っていない。そこで、屋内での環境を改善するために、空港公団とも協力して、共生財団の事業として第1種区域の拡大や、谷間対策などを実施している。
 第2点については5月11日の都市計画決定でよりよい地域作りが進むのではないかと考えている。財政的な面では今までも空港公団が周辺対策交付金でいろいろやってきている。今回の都市計画についても、対応できるものは協力させていただきたいと考えている。
 第3点であるが、交付金制度そのものも燃料贈与税に準じて作らせてほしいと、財政当局にお願いして作ったものである。そこで、これを変えないかぎり、総額を増やすのは難しいと考えている。」

鵜澤会員;「北側に位置する下総町であるが、防止特別地区はない。都市計画であるが、本来なら、上下水道など生活基盤を整備するものであるべきと思うが、とても出来ないので、道路3本の整備だけである。それでも63億円かかる。上下水道の整備はやらざるを得ない。これは、町独自でやる予定である。道路の整備にしても、今までは成田財特法の事業としてやれたが、この補助率は10分の8だった。ところが、今度の都市計画ではこれが2分の1にすぎない。これを、成田財特法の事業としてやれれば、非常に助かる。交付金の問題だが、民家防音工事が済んでいる民家では空調の基本料金はすでに払い始めている。そして、A滑走路関係では成田・芝山では7万から5万円が独自補助されているのに、下総町では『平行滑走路がまだ供用されていない。』という理由で払わないわけにもいかないので、乏しい予算の中から年間3万円を6年前から補助している。これは、総額では大きい額になる。それから、民家防音工事の住民負担であるが、第1種の外になる谷間・準谷間の民家防音工事は住民負担がないのに、共生財団の実施する隣接区域の民家防音工事は住民の負担が5%以上ある。これは不公平であり、住民負担はなくすべきではないか。また、先にもふれた空調施設の維持管理費は大変だが、補助せざるを得ない。これを賄うには交付金の増額しかないのではないか。」

小泉参議院議員;「発生源対策で環境基準の達成率35%をいつまでにどのくらいにするのか、はっきり出来ないか。」

国土交通省;「この点はいつもおしかりを受けながらやっているのだが、なかなか、成果が上がらない。我々もこれでよいと考えているわけではないので、今後も出来るかぎりの努力していきたい。成田財特法の話であるが、我々だけでどうこうできる話ではないので、関係機関ともはかって考えていきたい。」

小泉参議院議員;「成田財特法についても地元から強い要望がでているのでしょう。」

国土交通省;「『延長してほしい。』と言う要望は出ている。」

鵜澤会員;「成田財特法は再々延長されているが、前回の延長時より新規事業の採択は認めないと言う傾向が出てきている。これを何とかしてほしい。」

国土交通省;「ここに都市計画関係の人がいればよかったのだが、申し訳ないが、この問題は我々だけで言える問題ではない。」

木内会員;「住民の要求は具体的になってきている。『移転したいのだが、山林は補償の対象にはならない。困ったな。』と言うように、移転しても、しなくても『よい町になったな。』と感じられるような事が本当の共生ではないか。国策に対する恩恵が肌で感じられるようになって、共生になるのではないか。交付金問題だが、交付金だけに固執するのではなく、もっと別の財源措置が考えられないだろうか。先日の成田平和塔の落慶法要に集まった500人の気持ちは「平和・安全・共生」が今後の成田空港発展の道と言うものであったと思う。」

岩田会員;「地元は『田畑や山林も移転補償してほしい。』と騒音対策委員会でも強く要望している。騒特法で制限を受けるのだからこの要望は当然ではないか。また、昨年の騒音対策委員会で私が要望した、これらの地域に対する固定資産税の減免措置を国として考えてもらえないだろうか。さらに、環境基準が達成されていないにもかかわらず、民家防音対策がなされていない75WECPNL未満70WECPNL以上の地域に対する民家防音工事の実施は当然ではないか。」

国土交通省;『一概には言えないところがある。近くに移転して通いで農業をやる方もいる。どこかで線を引かなければならない。税の減免については答えられる立場ではない。」

秋山会員;「固定資産税の減免は地方自治体の収入が減ることになるのだから、その分、国で考えてもらわなければならない。」

石井正二(参議院比例区予定候補);「31年前から成田空港問題には関わってきた。夜中に騒音測定に行ったこともある。千葉県弁護士会も守る会の要請も受けて、調査し、提言をまとめた。未だに環境基準が達成されてないのだから、国土交通省として、具体的に『こうこうこうして、環境基準を達成します。』と言う具体的な筋道を示すべきでないか。そして、達成が難しいのであれば、代わりの対策をとるのが当然と思う。」

小泉参議院議員;「同じようなことはダムの建設でも起こっている。住居はダムで沈むから移転するが、田畑はダムの近くに残ってしまう、と言うように。公共事業のやり方として考えなければいけないのではないか。米軍の基地関係の移転対策なら、湯水のように金を出すのはおかしいではないか。米軍基地が国策というのであれば、空港整備も国策だ。」

木内会員;「地元では少数の熱田派だけを相手にして“共生”“共生”と話が進むことにとまどいと不信がある。『早くから空港建設に賛成し、協力してきた我々の意向はどうでもいいのか。』と言う声もある。」

国土交通省;「我々の方も地元の方々に不利益にならないように区域を広げるなどの対策はとってきているのだが、思うようには行っていない。今後も努力はしていく。」

岩田会員;「国土交通省の対応をもっと機敏なものにしてもらいたい。氷塊落下問題で『洋上で脚下げをすれば減る。』と言うのは20年も前に本会が言っている。しかし、取り上げられたのは共生委員会で共生委員会の成果として10年前に取り上げられている。騒音対策委員会の席で取り上げられる事項も5年も10年も同じ事が毎年言われている。努力はしていると思うが、もっと、地元の意見に耳をかたむけ、機敏に対応してほしい。」

金澤会員;「蓮沼に住んでいるが、私の所では音はそんなに大きくはないが、聞こえている時間が長い。住宅の防音もよいが、飛行機の音そのものを小さくできないか。機種の選定などで、国土交通省の方も考えてもらいたい。」

柏崎会員;「私どもの富里町は共生財団に1億500万円も出資している。Cランは凍結しているのに。納得できない。一般会計が約100億の中でのこの額だ。他の施策にも影響が出ている。元々、『被害を受けているもの同士が助け合って』と言うのは本末転倒ではないか。国の責任でやるべき事ではないか。その意味でも、周辺対策交付金の増額などをお願いしたい。」

環境省への要望のまとめは近く追加いたします。