平行滑走路供用による経済波及効果(概要)
1 調査の概要
1、はじめに
現在、新東京国際空港(以下「成田空港」という。)においては、国際線旅客が約年間2500万人、国際航空貨物が年間約170万t、航空機の発着回数は12万5000回(いずれも平成9年度実績)にまで達しており、現滑走路はほとんどその処理能力の限界に達している。そのため、首都圏を中心とした多岐にわたる国際交流を質的にも量的にも長期にわたって支えていくためには平行滑走路の供用が緊急の課題となっている。
本調査は、平行滑走路の供用が、空港周辺、関東圏内に及ぼす経済波及効果について推計を行ったものである。
今回の推計の前提は以下の通りである。
2、推計手法及び予測対象項目
(1)対象事業
平行滑走路の整備
(2)推計年次
平成22年度(2010年度)→20万回
平成27年度(2015年度)→22万回
(3)推計手法
第7次空港整備5箇年計画に基づく成田空港の需要予測値をべ一スに、空港関連産業、空港利用産業について、産業連関表等を用い、平行滑走路の供用こよる域内総生産額の増加などの経済波及効果を求めた。
(4)空港関連産業
成田空港及び周辺市町において、直接空港に関連する売上げがある産業を空港関連産業とし、以下の項目について推計した。
2、評価対象効果
@平行滑走路供用こ伴う効果
・空港関連産業就業者数、空港関連産業売上額・総生産額、外国人旅客国内消費関連総生産額、空港利用産業(貨物)総生産額、空港が支える総生産額等
A算定年時・現状の効果
・平成22年度(2010年度)→20万回
・平成27年度(2015年度)→22万回
3、分析方法
将来の旅客数、貨物量、発着回数をもとに、関東圏の産業連関表等を用いて、平行滑走路供用後の空港関連産業売上額等が、関東圏全体に及ぼす波及効果を算出。
4、分析結果
平成9年(A)実績 |
平成22年(B)予測 |
平成27年(C)予測 | ||
需要 |
発着回数 | 12.5万回 |
20万回 |
22万回 |
旅客数 | 2,600万人 |
4,100万人 |
4,600万人 | |
貨物量 | 160万t |
230万t |
260万t | |
波及効果 |
空港関連産業従業者数 (内空港内) *(内空港周辺) |
51,700人 |
61,400人 |
67,900人 |
39,600人 |
47,500人 |
52,OOO人 | ||
12,100人 |
13,900人 |
15,900人 | ||
空港関連産業売上額 (内空港内) *(内空港周辺) |
1兆4,900億円 |
2兆3,200億円 |
2兆5,700億円 | |
1兆3,200億円 |
2兆1,OOO億円 |
2兆3,OOO億円 | ||
1,700億円 |
2,200億円 |
2,700億円 | ||
空港関連産業による総生産額(a) | 3兆9,OOO億円 |
6兆円 |
6兆7,OOO億円 | |
空港利用産業による総生産額(b) | 17兆7,OOO億円 |
24兆5,OOO億円 |
28兆5,OOO億円 | |
外国人旅客による総生産額(C) | 4,000億円 |
6,O00億円 |
7,000億円 | |
空港が支える総生産額(a+b+c) | 22兆円 |
31兆1,000億円 |
35兆9,OOO億円 |
@就業者数
空港内一航空会社、航空機サービス業、旅客サービス業、貨物サービス業、施設その他サービス業、物販販売業、飲食業、官公署職員
空港外一運輸・商業・サービス業でアンケートを実施r空港に関連する売上げがある」と回答した事業所を対象としてしている。
A売上額
現状の空港関連産業売上額を基に発着回数、旅客数、貨物量といった航空需要の伸びを用いて、今後の空港関連産業の売上額を推計した。
B総生産額
売上額をべ一スに産業連関表を用いて関東圏内における域内総生産額を推計した。
(5)空港利用産業
@貨物
成田空港で取り扱う輸出入貨物を取り扱う企業の産業活動から発生する関東圏内での域内総生産額を推計した。
A外国人旅客
成田空港を利用する外国人旅行客が国内で観光1宿泊等に消費する額から、商業サービス業等の生産額増を推計し、これから発生する関東圏内での域内総生産額を推計した。
まとめ
成田空港の平行滑走路供用による経済波及効果は以下のとおり。
1、分析対象事業
@事業概要
平行滑走路の整備
A事業実施の必要性
新東京国際空港は現滑走路1本で運用しているが既に処理能力の限界に達しており、航空旅客の需要増加に対応した平行滑走路の完成が必要。
効果増
(B)一(A) |
(C)一(A) | ||
需 要 |
発着回数 | 7.5万回 |
9.5万回 |
旅客数 | 1,500万人 |
2,OOO万人 | |
貨物量 | 70万t |
100万t | |
波及効果 |
空港関連産業従業者数 (内空港内) *(内空港周辺) |
9,700人 |
16,200人 |
7,900人 |
12,400人 | ||
1,800人 |
3,800人 | ||
空港関連産業売上額 (内空港内) *(内空港周辺) |
8,300億円 |
1兆800億円 | |
7,800億円 |
9,800億円 | ||
500億円 |
1,OOO億円 | ||
空港関連産業による総生産額(a) | 2兆1,OOO億円 |
2兆8,OOO億円 | |
空港利用産業による総生産額(b) | 6兆8,OOO億円 |
10兆8,OOO億円 | |
外国人旅客による総生産額(C) | 2,OOO億円 |
3,OOO億円 | |
空港が支える総生産額(a+b+C) | 9兆1,OOO億円 |
13兆9,OOO億円 |
資料:空港公団