首都圏における空港の役割分担として、「成田空港が国際線、羽田空港は国内線」という考え方のもとに、成田空港の整備が進められ、この間、多くの人々の流した血と汗の上に、今、2002年の供用開始をめざして2,180mの暫定滑走路の整備が着々と進められているところである。しかし、これはあくまでも暫定であり、本来の2,500@の平行滑走路の実現に向けた関係者の昼夜を問わぬ懸命の努力が今も続けられているところである。
このような状況のなかで「羽田空港の国際化」の議論は、これら関係者の努力を無視し、信頼を裏切り、かつ、空港反対派に力を与えることとなる。これまで・羽田から離発着する約700回のほとんどは、東京都内上空を避けて、千葉県上空を飛行して、千葉県内に騒音を撒き散らして飛び去っていったが、さらに、羽田空港の24時間運用によっても、千葉県内(浦安市、市川市、千葉市、市原市、袖ケ浦市、木更津市、君津市等)において深夜の騒音問題が現に発生し、その悪化が懸念されているところであり、この上「羽田空港の国際化」を進めることは、重量級の国際線航空機によって、さらに騒音が増大・拡大することは論を待たず、千葉県民にとって到底認め難いものである。
今般の日韓首脳会談以降の議論も含めた一連の「羽田空港の国際化」発言を聞くとき、まず「羽田空港の国際化」ありきの感を抱かざるを得ない。
千葉県における成田空港問題の歴史や、羽田空港の騒音のほとんどを千葉県民が受けていること、さらには、空港反対派のゲリラによって、県収用委員か襲撃され瀕死の重傷を負い、他の収用委員の家族に対する執拗な脅迫等によって、県収用委員会が機能停止に追い込まれていること、多数の空港関係の県職員、また、4名の県議会議員が時限発火装置による放火あるいは爆発物による襲撃を受け、家財等の被害はもとより、人命の危険すら招いている事実が、余りにも軽んじられた、甚だ理不尽なものである。
また、「羽田空港の国際化」については、千葉県内各界においても一貫して、「千葉県における県民生活や県経済に対して、重大な影響を与えるものである」として、強く反対する意思表示がなされてきたところである。
よって、「羽田空港の国際化」については、断固反対し、今後、運輸省など関係当局が「羽田空港の国際化」をなし崩し的に強行するようなことがあれば、羽田離発着航空機の千葉県上空の飛行をあらゆる方法をもってこれを断固阻止することを表明する。
以上、決議する。
平成12年10月10日
千葉県議会