芝山町から一坪共有地共有者への手紙


一坪共有者の皆さんへ、芝山鉄道の早期実現に、ご理解とご協力を。

 寒冷の侯、御家族皆様には、益々ご健勝のこことお慶び申し上げます。

 此の度、突然お手紙を差し上げますこと、誠に恐縮に存じておりますが、今日の芝山町にとりまして、芝山鉄道の整備が大きな課題となっており、住民こぞってその早期完成が町の発展の基盤となるものと考えています。そこで皆様方の御理解とご協力を切にお願いするために筆をとらせて頂きました。

 承知のように昭和四一年(一九六六年)、新東京国際空港建設位置が成田市三里塚に閣議決定されました。以来空港建設によって、土と共に生きる農民・地域との間に三〇年にも及ぶ対立が続いて来ました。

 しかしながら、シンポジウム、円卓会議の話し合いを通じて、強制的な空港づくりの進め方の問題点が指摘されるとともに、国、空港公団はその誤りを認めて収用申請を取り下げ、あくまで話し合いによる空港づくりを行うこと、そして地域と空港の共生のために努力することを明らかにしました。その後、国・空港公団の行う空港の整備・運営を監視する共生委員会が設置され、地域住民の視点に立ち、円卓会議合意事項の点検と空港によるマイナスの影響の監視を実施しております。又、騒音対策の充実を図る成田空港周辺地域共生財団の設立なども進められています。

 今日では、地域住民と国・空港公団の対立はもとより、地域の中にあった対立構造も徐々に解消しつつあり、地域と空港の「共生」という観点から空港問題の解決、地域づくりに向けて関係者による真剣な努力が続けられています。

 さて、昭和五三年(一九七八年)に開港した成田空港は、昨年開港二十周年を迎えましたが、発着回数が二〇〇万回に達するなど利用が増加する一方で、空港を活用して地域づくりが進んでいる地域といまだ荒廃した地域があることも事実であります。芝山町を含む空港南側地域は今日なお地域の将来像といいますか、地域づくりの核になる拠り所を求めて苦しんでいるのが実情です。空港に隣接するという地理的条件にありながら、南側の地域は、その条件を活かすことができないでおります。なによりも交通手段が限られていることがその大きな原因のひとつだといえます。

 そして今、空港南側地域の再生の証として、芝山鉄道の期待は大きく、芝山町全体を対象とした署名運動では、実に九二%の人々が早期開通を求めるという結果が出ております。したがいまして、芝山鉄道の開通は地域住民の悲願となっております。町・町議会はもとより、芝山鉄道早期実現住民会議など地域住民が一体となってその実現に向かって努力しております。

 今後とも空港問題の解決に向けて、住民の視点と活力を礎として関係者による話し合いを進めていくべきであると考えますが、芝山鉄道につきましては、一日も早く列車を走らせることが、空港問題で苦悩する地域に光と希望を甦らす第一歩になると確信いたします。

 以上述べさせていただきましたが、今後において芝山鉄道にかかる各関係機関等により早期実現に向け、皆様への御協力依頼があります。その際には、ぜひとも地域のおかれている現状をご推察のうえ、格段の御高配を賜りますよう切にお願い申しあげます。

 どうか皆様におかれましては、地域に住み続ける私どもの言葉に耳を傾けていただき、暖かい御理解と御支援を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

 終わりに、皆様の御健勝と御繁栄を御祈念申し上げます。

 ご連絡いただけれぱ幸いです。

芝山町企画空港対策課

〇四七九-七七⊥二九〇六

平成十一年 月

芝山町長 相川勝重

芝山町議会議長 岩澤幸男

芝山鉄道早期実現住民会議会長 平山義一