周辺対策交付金勉強会報告
(2004年11月25日 成田国際空港株式会社)
11月25日に成田国際空港株式会社におもむき、周辺対策交付金を扱っている担当者の方に2時間弱説明してもらいました。今まで、疑問になっていた点がだいぶ分かりましたので、報告します。細かい点で理解不足があるかも知れませんが。
1、今回の改正のポイント
民営化前の周辺対策交付金の趣旨は国内線の燃料譲与税に準ずるものだった。そこで、国際線の発着回数が増えても、国内線の発着回数が増えていないと、国際線の実態を反映したものにならなかった。また、燃料贈与税に準じると航空機の燃費がよくなると燃料の消費量が減り音は変わらなくても、交付金が減ってしまう事になる。そこで、民営化を機により成田空港の実態を反映したものに改める事が改正の趣旨だった。
今回の改正では「成田国際空港株式会社法施行令」で(1)成田空港に着陸する国際線の1機あたりの平均最大離陸重量(トン)×年間着陸回数、(2)成田空港周辺に居住する世帯数(ただし、騒音の大きさにより世帯数に重み付けをする)で総額を計算する、事とした。
2、普通交付金と特別交付金の比率
特別交付金は総額の40%未満とする事になっており、その比率は年度によって変わってくる。
3、普通交付金と特別交付金の決め方
普通交付金は成田国際空港株式会社の「成田国際空港周辺対策交付金交付規定」(何故か『部外秘』との事。しかし、自治体には配布してあるらしい。)によって、2割を千葉県と茨城県に、残りの8割を周辺18市町村に配分する。その計算方法は交付金総額の15分の4が騒音地域(騒音の大きさによって重み付けをする)の面積で配分、交付金総額の15分の8を騒音地域に居住する世帯数 (騒音の大きさによって重み付けをする)で配分する。
「特別交付金は毎年8月頃に各市町村から周辺対策として実施したい事業計画を提出してもらい、それによって成田国際空港株式会社で査定して配分する。特別交付金が今までにどの自治体にどのくらい配分されたかなどの統計は出していない。あくまでも必要度から査定している。」との事でした。
4、報告は毎年8月にする
報告は翌年の8月に提出してもらうとの事で、普通交付金は対象となる周辺対策事業の中から各自治体で 収支を合わせて出してもらう。特別交付金は査定された事業計画をどのように行ったかを報告してもらうそうです。
5、過去5年間の総額の推移
過去5年間の総額については下表のような数字が示されました。しかし、「改正前の額と改正後の額がどう変わるのか過去の実績で具体的に計算で示してほしい。」と事前に要望しましたが、これは、出てきませんでした。
しかし、「重症急性呼吸器症候群(SARS)やイラク戦争の影響がなくなった事により、平成16年度は便数が増えているので、総額が増える事は間違いない。」との事でした。
年度
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平成11年
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平成12年
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平成13年
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平成14年
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平成15年
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総額
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3,634,694
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3,680,699
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3,703,627
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3,756,938
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3,860,818
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6、自治体の固定資産税や地方交付税とは無関係
各自治体に入る固定資産税や地方交付税と周辺対策交付金とは関係がないとの事でした。ただ、成田市については成田空港関係の固定資産税がほとんど成田市に入るので、特例として、地方交付税の不交付団体という事で配慮しているそうです。しかし、芝山町が不交付団体になるとしても成田市とは事情が違うのでどうするか今検討中であるとの事でした。
7、各自治体で周辺対策にどの程度の予算を取っているかはつかんでいない
私たちの側から、「各自治体では周辺対策交付金を上回る周辺対策を行っているが知っていますか?」と聞きましたが、「各自治体については全くつかんでいません。」との事で、今後も調べる様子はありませんでした。
8、周辺対策の唯一の財源が「周辺対策交付金」
周辺対策交付金は周辺自治体に取って周辺対策を実施する唯一の財源と言っても過言ではありません。しかし、周辺対策は多岐に渡り、住民の要望も強い事から独自の対策を実施している自治体もあり、自治体が周辺対策に使うお金は周辺対策交付金で支給される額を大幅に上回っているのが実情です。事情をよく知らない人たちは「周辺自治体は『周辺対策交付金』があるから、恵まれている。」と考えているようです。
成田国際空港株式会社の方々はこのような事情を十分知っていると思うのですが、私たちの会は事あるごとに周辺対策交付金の増額を訴えてきました。今回も、「このような実情を分かってほしい。」と要望しました。