住民のための航空機騒音簡易測定法

1,「簡易」とは言っても騒音計は必要

 「簡易」とは言っても飛行機の騒音を測るには騒音計は必要となります。騒音計には精密騒音計と普通騒音計(指示騒音計)があります。精密騒音計は高額で私たち素人にはちょっと手は出ません。(自治体で持っていて、貸し出しをしてくれるところもあるようですが。)
 そこで、普通騒音計となるのですが、これも、値段は約15万円程度になります。最近はオークションで気長に待ちますと結構安く手に入ることもあります。簡単な「サウンドメーター」もありますが、これは、航空機騒音を測るのには使えません。
 しかし、ここでもう一つお金のかかる問題があります。それは、精密機械なので年と共に機械が劣化していき、正確な測定値を示さなくなることです。そこで、2年に1度は補正をしてもらわないといけないことになるのです。ところが、この補正の出来るところが少なく、しかも、1回につき約2万円程度の代金が必要なことです。でも、これをやっておかないと、航空会社や空港設置者や国から「正確ではない。」と相手にされないこともあります。

2,飛行機の最高音を記録する

 空港公団や千葉県などが行う測定は精密騒音計を使い、音の強さをレベルレコーダーでグラフに記録し地上の音と区別するために、ある一定レベルの音が何秒持続したときに航空騒音とするなど細かい規定があるようですが、私たち住民ではそこまで出来ません。
 そこで、普通騒音計を使い飛んできた飛行機の最高音を db(デシベル)で記録することになります。
 このときに、最高音と共に、(1)測定した年月日と時間・(2)離陸や着陸の区別・(3)測定地点・(4)使用滑走路・(5)分かれば航空会社や機種 などを記録してください。

3,普通騒音計の使い方

 普通騒音計の外観は図のようになっています。では、具体的な手順にそって説明しましょう。

(1)まず、ファンクションダイヤルBAT に合わせて、メーターの針がメーター面の BAT マークよりも右にふれて 電池が十分にあることを確認します。

(2) 次にファンクションダイヤル CAL に合わせて、メーターの針がメーター面の CAL マークにぴったりと合っていることを確認します。この時、針が CAL マークからずれていたときには、右下にある CAL ダイアルで補正して、 CAL マークに合わせます。

(3) 次に、ファンクションダイヤルA に合わせます。

(4) 次に、動特性スイッチ S に合わせます。

(5) 次に、レベルダイヤル を予想される最高音にセットします。80db 程度が予想されれば レベルダイヤル を80にセットします。この時はメータ0目盛80db になるわけで、一番右の 10 目盛90db と言うことになります。

(6) 飛行機が飛んでくるとメーターの針がだんだんと右に振れてきます。この針の動きはスムーズではなく、左右に振れながら右に上がっていき、やがて、左に下がっていきます。
 この時に、針が右に振り切れそうになったら、急いでレベルダイヤル1ランク上げてください。騒音計によっては図1の左側面にあるボタンを押すと、自動的にレベルが1ランク上がるものもあります。
 この時に、一番右にふれたところを1目盛の10分の1まで 73.2db と言うように読みとり、最高音とします。
 飛行機の騒音測定で注意してほしいのは、「最高音は飛行機が頭上を通り過ぎて、しばらくして出ることがほとんどだ。」と言うことです。

4,騒音計を設置する時の注意

(1) 騒音計は音の反射を出来るだけ避けるために、建物や塀などから出来るかぎり離してください。どんなに近くても5m程度は成してください。建物や塀が高くなればなるほど離す距離は大きくする必要があります。

(2) 地面からの反射を避けるために、高さは1.0m以上にしてください。

(3) 手で持って測定してもかまいませんが、その時には、自分の体が音を反射させたり、遮ったりしないように注意してください。

(4) 風が強いときには写真にあるようなスポンジ性のフードをマイクロホンにかぶせて風切り音が発生しないようにしてください。

(5) 電池のチェックは時々やってください。また、CAL ダイヤルは間違ってさわって動いてしまうことがあるので、サージカルテープのようなもので保護すると良いと思います。

 以上が本会が行っている航空機騒音測定の方法です。

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