飛行機の高度と位置の簡易測定法


はじめに

 私たちの会は成田空港が開港する前から、航空機騒音の実態を明らかにしようと、羽田空港や木更津などで騒音測定を行ってきました。そして、成田空港に航空機が出入りをはじめると騒音だけではなく、航空機が何処を飛んでいるかを調べる必要性を感じるようになりました。私たちのような住民団体ではお金のかかるものはとても出来ません。そこで、自分達の工夫と手作りで、下記のような測定方法を編み出しました。

 現在では、空港公団や千葉県などの自治体は、いくつかのマイクロホンを使って、それぞれのマイクロホンに航空機の音がどのくらいズレて届くかをコンピューターに読み取らせて飛行コースを割り出す装置や、複数の測量用のトランシットを使って飛行コースを割り出すなどの方法で飛行コースを測定しています。

 しかし、少なくても成田空港の周辺では飛行コースの測定をはじめたのは本会が最初でした。本会はこれらの測定結果から、『航空機が南側に離陸するときに西側にズレる傾向があり、そのために騒音もコースの西側が激しくなること。』を明らかにして運輸省と空港公団に是正を粘り強く要求しました。この結果、誘導電波の向きを東に1゜変えさせることにより、西へのズレを少なくさせることに成功しました。

 また、ノースウエスト航空や、今はない、フライングタイガー社のジャンボ機が他の航空会社のジャンボ機に比べて異常に低く離陸することを指摘しました。

 以下に書いた測定方法はごく簡単に出来、しかも、精度もまあまあの方法ですので、皆さんの工夫で是非試してみてください。

 なお、このホームページのタイトルの左にある写真は『写真による飛行コースの測定』をしている様子を撮ったものです。

1、大型分度器による方法

 図1のような大型分度器を作り、一直線上に十分を距離をもった二地点P,Qを定め、そこがら、この直線上を通過する飛行機の仰角を測り、ぞれぞれα,βとする。

  

 第2図の時、Sは、S=B×tanα/(tanβ-tanα)………(1)となる。

 また、hは、h=S×tanβ………(2)となる。

 第3図の時、Sは、S=B×tanα/(tanβ+tanα)………(3)となる。

 hは(2)式で出てくる。

 なお、第1図の豆電球は夜間にパイプの穴をはっきりさせるためであり、分度器は写真の三脚などに取りつけられるように工夫する。

2、写真による方法

 原理は遠くの飛行機は小さく写り、近くの飛行機は大きく写ることを利用する。

(1)ほぼ真上の時

 ほぼ真上というのは真上より10゜以内と考えれぱよい。10゜ズレても、高さ1000mの時15mの誤差になり、水平距離で175mのズレになる。このくらいなら、測定結果にはぼぼ影響ないと考えられる。

      

 飛行機の長さをL、フィルムに写った像の長さをl、カメラの焦点距離をf、とすると、レンズがら飛行機までの距離Xは 

 X=L・f/l………(4)

で表わされ、この時はXがそのまま高さになる。長さを正確に出すためには、飛行機の胴体軸と両翼の先端を結ぶ線が直角になる時を狙ってシャソターを切る。

(2)飛行機が真上でない時

 図5のように(下の写真も参考にしてください)、カメラに分度器をつけて飛行機を撮った時のカメラの仰角を測っておく。この時の仰角をα度とすると、まず、レンズから飛行機まての距離X´は

X´=L・f/l………(5)  

となり、そのときの高さhは

h=X´・sinα………(6)

水平距離yは  

y=X´・cosα………(7)  

となる。

 この時の注意は

 飛行機を出来るだけ真横から撮ること。

 測定をはじめる前にカメラが地形図の上で何処を向いているか確かめて置くこと。

 測定をはじめたら、三脚の水平軸は動かさないようにし、鉛直軸を動かして飛行機を捕らえて写すこと。

 撮るときは、距離は∞(無限遠)、露出はなるべく速くすること。絞りと露出の目安はフィルム感度100でF4の1/1000秒、感度400でF8の1/1000秒である。飛行機の外形さへ写ればよいので、夕方薄暗くなっても結構写る。

 レンズは望遠の方がよいが、飛行機までの距離が1000m〜2000mぐらいのとき200mmレンズがよい。空港に近いときは200mmレンズでは全体がはみ出て使えなくなってしまう。

 現像したフィルムはライトボックスか窓硝子に張りつけて、ルーペ(10倍で長さの目盛りがついているものが便利。)でlを1/10mm単位で測定する。

 この時、フィルムの中央に写っていればよいが、フィルムの上や下にズレて写っている場合は仰角に補正を加える。35mmフィルムの場合、真ん中からフィルムの端までは、200mmレンズの場合で5゜、100mmレンズの場合で10゜になる。従って、フィルムの上の方に写っている場合は仰角αに補正角をプラスし、下の方に写っている場合は仰角αから補正角をマイナスすることになります。

 揺れると(ブレると)精度が悪くなるので、シャッターにはレリーズをつける。

 計算は関数電卓を使ってやると便利です。

 撮る前にこれから撮る飛行機の機種を双眼鏡で確認しておいた方がよい。ジャンボでもSP、ー200、ー300、ー400など型によって機体長;Lが違ってしまう。フィルムの上で判断することが難しい場合も多い。

 撮った時間は必ず、仰角とともに記録する。時間と機種が分かれば、ダイヤ表から何処に向かった飛行機か分かる。

 以上が飛行機の飛んでいる位置の簡易測定法です。もし、分からないことがありましたらEメールで問い合わせてください。


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