成田空港機能強化についての成田空港騒音対策地域連絡協議会申入書と NAA 夏目社長のコメント要旨


平成29年1月11日

成田国際空港株式会社
代表取締役社長 夏目 誠 様

成田空港騒音対策地域連絡協議会
会長 成尾 政美

申入書

 拝啓、貴職におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。さて、この度、昨年9月の四者協議会において、成田空港の更なる機能強化策として、貴社よりこれまでの検討の結果として第3滑走路の位置やB滑走路の北側延伸、空港の敷地範囲、夜問飛行制限の緩和・環境対策などが具体的に提案されました。当日の四者協議会ではこの提案を地域へ説明することが了承され、国と貴社により、昨年10月から空港周辺地域住民への説明会が行われているところです。

 我々、騒音下に暮らす住民も、成田空港の更なる発展が、ひとり空港のみならず、空港周辺地域、千葉県、ひいては国益にも寄与するというその果たす役割や、あるいは空港を取巻く環境が急速に変化しつつあるという状況は理解しております。

 しかしながら、騒音下に住む住民の多くは、開港後に騒音下に住み始めたものではなく、その計画以前からこの北総台地で営々孜々として政府の農業政策等にも添いながら、国策に十二分に協力してきた自負があり、開港に際しても、また開港後も苦渋の選択として自らの生活環境などの一部を犠牲にしつつ、空港の円滑な運営に協力してきたところです。

 こうした中、カーフユーの弾力的運用が開始されてから、3年半しか経過していない今日、1日うちわずか4時間しか静かな時間が確保されない案が貴社から示されることは、あまりに非常識であると考えております。

 我々の協議会に貴社から行われた説明や意見交換の場では、会員から、「国は内陸空港として成田を整備した以上、近隣諸国の海上に建設された国際空港と同レベルで競争しようとすること自体に無理がある。」、「夜間飛行制限緩和は絶対に認めることができない。」「空港にはメリットがあるかもしれないが、住民にはデメリットしかない」「なし崩しにしないという約束をどう考えているのか」など、夜問飛行制限緩和の提案に関する批判や不満の声が噴出したところであり、各地域の住民説明会においても、今回のカーフユーの緩和に関して住民から賛成の意見はほとんど聞かれず、全てが反対と言っても過言ではありません。

 しかも、その対策として示されたのが、寝室の内窓設置のみ、対象となる地域も防音対策の基本となる騒防法の1種区域ではなく、より狭い範囲である騒特法の防止地区内という小出しの対策でしかありません。今でさえ航空機騒音に悩まされながら空港の発展のために我慢しつつ協力してきた、騒音下住民の生活の実情を本当に分かっているものとは思えません。

 双方向の対話による機能強化を進める以上、こうした声に真摯に対応すべきです。

 また、一昨年11月の四者協議会で、これまでの約束事項への対応が先決であると私自身が強く要請したにもかかわらず、依然として落下物多発地域での抜本的な対策の明示がありません。

 現在行われている各地区での住民説明会において、落下物の危険に日々怯えながら暮らす飛行コース直下の住民の心情が毎回噴出しており、住民の不満も限界に達しております。

 地元の成田市長も「法律の枠を超えた対策を」と求めており、人身事故や死亡事故が起きる前に新たな法を制定するか、または現行法を改正し、真正面から新たな対策を示すべきです。

 先般、国土交通省は、「航空機からの落下物に関する質問主意書」への回答を閣議決定した上で国会へ提出しており、その中では落下物事案は成田でしか発生していないとしています。成田空港特有の問題であれば、成田限定の落下物対策の仕組みを作って対応すべきです。

 このような意味で、空港を運営する貴社が、今までこの間題を放置してきた責任は大変重いと言わざるをえません。

 そこで、こうした騒音下住民の意見を踏まえ、次の点を貴職に申し入れます。

 夜間飛行制限の緩和については、地域住民の反対意見を真摯に受け止め、同じ人間としての生活に思いを寄せた上で、その提案内容を改めて関係機関と協議すること。

2 人命にもかかわる危険のある航空機からの落下物について、空港を運営する当事者として、落下物の原因者である航空会社を監督する国と協議し、成田限定の抜本的対策を自ら責任を持って明示すること。

3 不安を抱える地域住民の生の声を踏まえて、空港を海上に造るに匹敵する対策を実施し、騒音下住民の生活の質をしっかり確保すること。

4 空港の発展が地域の発展につながると真に実感できるよう、空港周辺地域の騒音下に暮らす地域住民の将来に希望を与える地域づくりの検討を関係機関と行うこと。

敬具


NAA  夏目社長のコメント要旨

 日頃より皆様には航空機騒音等によりご迷惑をお掛けしていることにつきまして、この場をお借りしてお詫び申し上げるとともに、成田空港に対する多大なるご協力に改めてお礼申し上げます。

 さて、「成田空港の更なる機能強化」につきましては、昨年10月より騒対協の各部会や小さな地区単位での説明会、これに加えて12月25日から27日の間に成田市役所で対話型説明会を開催させて頂いております。成尾会長をはじめ、役員の皆様には地区説明会にご同席いただくなど大変お世話になっておりますこと、改めて感謝申し上げます。

 これまでの説明会で地域の皆様からは、不安や懸念の声、特に、夜間飛行制限の緩和については厳しい意見をうかがっており、弊社といたしましては、こうした声を重く受け止めております。

 また、本日、特に4つの事項について申入れを受けました。本日のご意見も含め、説明会が一巡した段階で、それまで頂いたご意見や課題への対応について、関係者間で相談を行っていくことになると考えているところです。

 いずれにしましても、更なる機能強化については、地域と空港の将来を決定づける大変重要な課題です。私共としては、皆様の想いに寄り添って、空港があって良かったと思っていただけるよう、最大限努力して参る所存です。


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