騒特法とは?

(2004年1月10日改訂)

 正式名称は『特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法』といいます。成立は昭和53年にさかのぼります。

 大阪空港をめぐる騒音訴訟で痛めつけられた政府は、大阪空港が開港した後に周辺に宅地開発が進み人口が増えて騒音問題が大きくなった経験に懲りて、成田空港ではこのようなことにならないようにと、宅地開発が進まないように考えた法律がこの騒特法なのです。『特定空港』といっても実際は成田空港だけが対象なのです。

 法律の内容は80WECPNL以上の区域を『特別防止地区』と呼び、ここでは、原則として民家や学校や病院は建築を禁止します。移転や買い取り請求が出来ますが、違反すると罰金に取り壊し命令がでます。

 また、79〜75WECPNL以上の地域を『防止地区』と呼び、ここでは新築、改築のときには定められた基準の防音工事が義務づけられます。もちろん、費用は本人負担です。従って、建てるためには余計な費用が何百万円かかかることになり、事実上建築は難しくなります。

 この法律で地域を指定するには都市計画法の手法を使い、周辺市町村がこの計画をまとめなければなりません。そして、地域を決めたらそれを住民に公示し2週間以内に住民の意見を出させて、知事がこれに答えなければなりません。所が、この住民への説明会をやろうとした矢先に、千葉県の収用委員会委員長の襲撃テロ事件が起こったのです。そして、警察当局が「警備に責任が持てない。」として、説明会が頓挫して、2001年5月に千葉県が地域指定を定めて、騒特法の効力が発効しました。

 この法律は当初から、「私権の制限を伴い、憲法違反ではないか。」との指摘がありました。これを補うために、地域の振興計画を各市町村から出させたのですが、特別な財源の手当てがなく、25年たった現在でも完全達成にはなっていません。 
 また、都市計画に基づく各種事業についても、財政が豊かな成田市を除いては見通しは暗いものとなっています。