2.地域と共生する空港をめざして
(1)地域との共生の観点を盛り込んだ空港づくり
@共生策の充実
円卓会議の合意事項については、例えば平成7年10月から全国の空港に先がけて民家防音工事の再助成を実施するなど全力を挙げて取り組んできました。しかしながら、平成8年12月に「基本的考え方」を公表した時点では、円卓会議の合意事項18事項(滑走路計画を除く)のうち、きめ細かな住宅防音工事助成や75W(第一種区域)隣接区域対策などの事項については、まだ実現されていませんでした。その後、未実施の事項についても、例えば、地方自治体の協カを得て昨年7月に成田方式とも言うぺき成田空港周辺地域共生財団が設立され、10月1日からきめ細かな住宅防音工事として実施されるなど新しい取り組みが行われてきています。これからも、共生委員会の点検を受けつつ円卓会議の合意事項を着実に実施するなど様々な施策に取り組んでまいります。また、現滑走路の第1種区域と平行滑走路の第1種区域にはさまれた地域については、双方向から多数回の騒音に曝されるということを斟酌し、地方自治体とともに先行的に第1種区域に準じた対策に取り組んでいるところです。今後も、地元自治体と相談しつつ、地域の実態に応じた対策の充実に努めてまいります。さらに、今後空港づくりを進めるにあたっては、平行滑走路の供用に伴うマイナスの影響をできる限り抑えるため、円卓会議の合意事項も踏まえ、共生策の一環として地域環境の保全に十分配慮した空港施設の整備を行ってまいります。例えば、防音堤・防音林の整備を進めるとともに、航空機のエンジン試運転よる騒音の対策として、現在稼働中の消音施設に加えて、南風時にも対応できる新たな消音施設の整備を行います。さらに、駐機中の航空機が機内の電力等を確保するために航空機補助動力装置(APU)を使用することによって生じる騒音、大気汚染ガスを低減させるために、地上動力装置(GPU)の整備をさらに進め、その利用を促進することによりAPUの使用を抑制してまいります。
4.地域づくり
(2)交通網の整備に対する協力
@芝山鉄道
地域整備の核となる芝山鉄道(東成田駅〜整備場前駅(仮称)間)については、地域の要望を踏まえ旅客の利便向上に資するため、京成電鉄との相互乗り入れにより都心と直結するよう既に計画が変更されています。また、本年1月から関係者の協力のもと工事が進められているところです。国・公団としましても、平成8年12月に示しました「今後の成田空港と地域との共生、空港整備、地域整備に関する基本的な考え方」に基づき1日も早い完成に向けて取り組んでまいります。また、芝山鉄道の経営が安定し、地域の足としての機能を果たすことができるように、地方自治体や地域の空港関連企業とともに需要の拡大に努めてまいりたいと考えています。さらに、芝山鉄道の延伸については、空港南側地域の振興のための重要な拠点施設であることから、大量輸送機関としての鉄道特性を発挿できるよう空港関連施設の立地、住宅団地の整備など鉄道整備に呼応した地域振興が進められることが必要であり、沿線地方自治体をはじめとする関係機関とともに延伸ルート、経営安定方策を検討し、需要の動向の観点から空港整備の進展にあわせ着実に実施してまいります。