2015年9月10日 参議院内閤委員会速記録(辰巳孝太郎議員 成田空港軍事利用問題部分)
辰巳孝太郎君
日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
…中略…
今日は、関連して、空港問題を取り上げていきたいと思うんですね。
2004年から2006年までのいわゆるイラク復興支援活動において、武器弾薬を民間航空会杜を使って陸上自衛隊は輸送していたということが明らかになっております。
もろん使われたのは日本の空港であります。情報公開請求による資料が私の手元にもありすけれども、この資料によりますと、この装備品ですね、武器弾薬含む装備品を運搬し空港として少なくとも新千歳空港が41回、成田空港が5回、関西国際空港が4回、仙台空港が5回、名古屋空港が2回、福岡空港2回、熊本空港3回、それぞれ最低でも利用ているということが明らかになっております。
同時に、自衛隊はイラクに、9ミリ拳銃、八九式5.56ミリ小銃、5.56ミリ機関MINIMI、12.7ミリ機関銃等々、重武装で赴いているわけでございまして、復興支援でと非戦闘地域でのサマワに行ったはずの自衛隊がそれだけの装備をして出かけていたということであります。
国交省に確認しますけれども、これらの武器弾薬も空港から運び出したということでよろしいですね。
副大臣(西村彰彦君)
国土交通省といたしましては、今お尋ねのような事実は承知しておりません。しかしながら、取極書がございますので、この取極書を含めた成田空港の建設の経緯などにつきましては、これまでも防衛省の方にしっかりとお伝えしておりますし、ご理解いただいているものと考えております。
また、一般論で申し上げますと、自衛隊の活動が軍事利用か否かにつきましては、政府で安全保障を担います防衛省において適切に判断がされているものと認識しております。
国土交通省といたしましては、成田空港における自衛隊の活動につきましては、防衛省の判断を尊重し、同空港の適切な運用が行われているというふうに理解しております。
辰巳孝太郎君
防衛省に確認しますけれども、武器弾薬を含む装備品をこれらの空港から運んだ、ということでよろしいですね。
副大臣(左藤章君)
お答え申し上げます。イラク特措法に基づく活動における民間航空会杜の実績とかそういうものについては、関連文書の保存が満了して破棄をされておりますので、現時点で確定的なお答えをすることは困難でございます。
ただ、その上で中し上けれは、イフク特措法に基づき派遣された部隊、要員、各方面からの要員が派遣されており、各地域の国際線を運航している主な空港を利用しているものと認識をしております。
また、先ほどお話にあった弾薬等なんですが、この特措法では、いわゆる自己保存型の武器使用権限が認められておりますので、イラク南部のサマーワに派遣された陸上自衛隊の部隊は、先ほど御指摘もありましたけれども、部隊の安全確保のため、拳銃、小銃、機関銃、無反動砲、個人携帯対戦車弾を携行していました。そのうち、無反動砲や無人携帯対戦車弾は、例えば自動車を利用した自爆テロなどの対策の一つとして有用であることなどから、隊員の安全確保のために携行をしております。
辰巳孝太郎君
危険なところに行くからそういうものが必要だということでありますね。それで、成田空港の話がありましたけれども、この成田空港での武器弾薬を含む装備品の輸送ということも否定はされないわけですね。資料がないから分からないという話ですけれども、それもあり得ない話なんですけれども、いずれにしろ成田で武器弾薬を運んだことを否定はできないということであります。
成田空港は、1972年、地域住民の代表と当時の運輸大臣、千葉県、そして空港管理者との間で軍事利用しない旨の取極書が交わされております。
国交省に確認します。この取決め書の第三条一項を読み上げてください。
政府参考人(和田浩一君)
お答えいたします。お尋ねの取極書の第三条第一項においては、新東京国際空港、これ今の成田空港でございますが、純然たる民問空港であり、安保条約及びこれに基づく地位協定の存在にもかかわらず、これを軍事的に利用することは絶対に認めないとされております。
辰巳孝太郎君
はっきり軍事利用はいけないと否定しているわけですね。
加えて、この公団が確認した(交渉)覚書の中でも、この管理者である新東京国際空港公団は、「空港は純然たる民間航空のためのものであり軍事利用はさせることはならない、させることはない」というふうに答えているわけであります。
この成田で武器弾薬を運搬することは、取極書や覚書にある軍事利用に当たって、住民や自治体との合意に違反するんじゃないですか、どうですか。
副大臣(左藤章君)
1972年に、当時の運輸大臣、そして空港公団、千葉県と地元間で、御指摘のような取決めがなされたことは承知をしております。
一方、そもそもイラクに派遣された自衛隊はイラク特措法に基づきイラクの復興支援のため派遣されたものであり、かかる活動のために成田空港を利用することは、御指摘のようないわゆる軍事的利用には該当しないものと思っております。
このような考え方は、イラク派遣当初の平成16年の3月に、国会の場において当時の石破防衛庁長官からも既に御説明をさせていただいているところでございます
辰巳孝太郎君
平成16年3月には、これは軍事ではない、あくまで復興支援だという話しを石破大臣がしたといっことですね。これ、10年以上前の話でございます。
しかし、実際のイラクの特措法に基づく復興支援活動はどうだったのかということであます。陸上幕僚監部が作成したイラク復興支援活動行動史というのが、当初は黒塗りで出されていたものが先日黒塗りが全部取っ払われて、このイラクの復興支援なるものがどういったものだったかというのが明らかになっております。左藤副大臣、この支援活動動史、お読みになりましたか。
副大臣(左藤章君)
直接は見ておりません。報告はいただきました。
辰巳孝太郎君
是非見ていただきたい。10年以上前の話と、実際に行われたイラクの活動が全く違うということがお分かりになると思います。
あくまで軍事利用ではないと言いますけれども、このイラク復興支援活動行動史によりすと、サマワでは、迫撃砲弾やロケット弾による宿営地に対する攻撃は合計10回以上発したと記述をされております。宿営地内に着弾したケースもあり、被害も発生したと。そして、武器の使用に関しては、指揮官は、最終的に危ないと思ったら撃てと、そう指揮した指揮官が多かったということも明らかになっております。そして、この陸上自衛隊の活動は純然たる軍事作戦だったと、この陸上幕僚監部が作成したものにははっきりと書かれているわけであります。
平成16年の話ではなくて、今この復興行動史を見て、左藤副大臣、この活動は軍事的面もあったということをお認めになりますね。
副大臣(左藤章君)
今お話ありましたけれとも、イラク特措法に基ついて、当時は人道興支援、安全確保に取り組みながら活動した、いわゆる非戦闘地域の要件を満たしたものと当時は認識しておりました。
その上で申し上げれば、イラクにおける治安状況は全体として予断を許さない状況であり、テロ等の可能性も否定できなかったことから、派遣された部隊や隊員は様々な状況を想定して、現地の治安状況等についての情報収集、必要な装備、教育訓練など、隊員の安全確保に細心の注意を払いながら緊張感を持って任務を遂行したわけでございます。
こうした様々な取組の結果、自衛隊に人的被害はなく、また、我が国は国際社会の一員してイラクの再建に貢献し、イラクや国際社会から高い評価を得ることができたと認識しております。
辰巳孝太郎君
再建に貢献したと言いますけれども、アメリカ軍がイラクをぼろぼろにしたことに賛成しておいて、再建も何もないと私は思うんですね。そもそも、非戦闘地域なるものは危険だったということはもうこれ常識なんですよ。
このような一連の活動、作戦の一環として装備品を運んだ空港として成田空港、これが、分かっているだけでも5回も使用されているわけであります。2004年1月の16日、陸上自衛隊の先遣隊が成田空港からクウェートに向けて出国した際に、これバスで成田空港に向かっている。しかし、空港近くで自衛官はスーツに着替えて、わざわざ、飛行機に乗り込んだんですよ。それだけ後ろめたいという気持ちがあったからであります。
国交省並びに防衛省の立場は、成田空港の成り立ち、歴史、取極書に関わった住民の方々の思いを踏みにじるものだと私は言わなければなりません。取極書の第四条に従って再協議をすべきだということを申し上げたいと思います。
さて、自衛隊がこのイラクに持っていった武器弾薬は、そもそも、そもそも民間航空機で運ぶことが許されているものだったのか、ということについて聞きたいと思います。
弾薬となると、これは爆発物でございます。航空法第八十六条で輸送は禁止をされております。ただし、航空法施行規則百九十四条二において、容器又は包装が告示で定める安全に関する基準に適合しているなどとすればこれは除外されるということであります。国交省に確認しますが、具体的にどういう基準でありますか。
政府参考人(島村淳君)
お答えいたします。航空法施行規則第百九十四条第二項においては、航空法第八十六条で輸送が禁止される吻件から除外されるものが規定されております。具体的には、除外される物件として、告示で定める物件であって、所定の容器又は包装等の告示で定める技術上の基準に従って輸送される物件、また、航空機の運航、航空機内の人命の安全の保持その他告示で定める目的のために輸送される物件、搭乗者が身に着け、携帯し、又は携行する物件で告示で定めるもの、航空機以外の輸送手段を用いることが不可能又は不適当である場合において、国土交通大臣の承認を受けて輸送する物件などが定められております。
辰巳孝太郎君
国連の危険物輸送に関する勧告のお話はありませんか。
政府参考人(島村淳君)
ここの、航空法の施行規則、第二項の中では国連の勧告に基づくものは入っていないと承知をしております。
辰巳孝太郎君
その八十六条に基っいた容器や包装という話と、どういう包装にすればいいのかという詳しいものがICAO条約に基づくIATA基準というのがあるはずなんですね。このIATA基準の区分と国連基準に照らして、今回、自衛隊がイラク・サマワに持っていった八十四ミリ無反動砲の弾薬、百十ミリ個人携帯対戦車弾は、これそもそも抗空で輸送できるんでしょうか。
政府参考人(島村淳君)
IATAの基準というものと同等のものが告示で定められておりまして、その中に御質問の物件、それの国連区分でございますが、先ほど申し上げましたとおり、国連が定めているいわゆる国連区分の 一・一のE、またその中のさらに国連番号一〇八一番及び○〇六番に該当するものが先生御指摘の砲弾であります。
これらについては、先ほど告示で定める物件には該当しない、除外する物件には該当しないものですが、先ほど申し上げましたように、航空機以外の輸送手段を用いることが不可能又は不適当である場合においては、国交大臣の承認を受けた場合には輸送することができるということになっております。
辰巳孝太郎君
原則運べないということでよろしいですね。原則運べない、飛行機では運べないということでよろしいですね。
政府参考人(島村淳君)
そのとおりでありまして、まず原則としては運べない、承認を受けた場合には運べると。
今の答弁の中で国連番号〇一八一番というのはちょっと間違えましたので、訂正させていただきます。
辰巳孝太郎君
国土交通大臣の承認を受ければということですね。国交省、承認はあったんですか、承認申請はあったんですか。
政府参考人(島村淳君)
今申し上げているのは一般論の航空法のルールを申し上げておりまして、ここで議論になっているその弾薬の輸送については、国交省として御指摘のような輸送が行われていたかについては記録もなく確認できておりません。
辰巳孝太郎君
君今申し上げたのは、幾ら包装しても幾ら頑丈な容器に入れても余りにも危険な弾薬、火薬などは、これは国連基準に照らして航空機では運ぶことができないということなんですね。自衛隊が航空機で運んだ、これ中谷防衛大臣が私の質問に対して、八十四ミリ無反動砲の弾薬、百十ミリ個人携帯対戦車弾は航空機で運んだと言っているんですよ、答弁しているんですよ。これは運べないということですね。運んじゃ駄目なものを運んだということですね。
委員長
島村航空局安全部長、時間ですから簡潔に。
政府参考人(島村淳君)
はい。再度申し上げますが、先ほど申し上げましたように、原則は禁止でございますが、国土交通大臣の承認があれば輸送の可能なものとなっております。ただし、先ほど申し上げましたように、その記録は確認されておりません。
辰巳孝太郎君
むちゃくちゃな話ですよ。もう、とんだけずさんなんだと。
戦争法案が可決となれば、軍事利用される空港や港湾、兵たん活動を行う民間航空機、船舶が軍事目標となる。運んじゃいけないこういう弾薬も運んだと、それが分からない、確認できないということが明らかになりました。この施設の平和利用を求めて、私の質問を終わります。ありがとうございました。