暫定滑走路案に対する千葉県知事の回答

 貴省から提案された成田空港暫定滑走路案の案(以下「暫定案」という。)について、空港の用地にかかわる成田市及び芝山町とも協議した結果、次のとおり意見を述べさせていただきます・

1、成田空港問題30年の経緯とシンポジウム、円卓会議の趣旨を踏まえれば、平行滑走路の整備については、共生策、空港づくり、地域づくりを三位一体として取り組むことを原則としつつ、あくまで2500メートル計画を基本とし、話し合いにより早期解決を図ることを目標に努力を尽くすべきであると考えます。

2、一方、我が国が国際社会の一員として、その役割を果たしていくため、国際空港の最大拠点である成田空港の機能拡充を早期に図ることは、喫緊の課題であると考えます。また、県内における世論の大勢も、地域と空港の共生を図り、早期に平行滑走路の整備を進めるべきものとしております。

 このような状況を勘案すると、話し合いにより地権者の理解を得られない場合は、暫定的に計画変更をせざるを得ないとする貴省の提案については、基本的には理解すべきものと考えられます。

3、しかし、30年に及ぶ成田空港問題の発端が、地域の十分なコンセンサスを得ることなくスタートしたことにあったことを考えれば、今回の暫定案については、整備計画及び運用方法、さらに計画に伴う問題点等の詳細について、市町村、周辺住民及び円卓会議の経緯のなかで生まれた共生委員会等に提案し、.理解を得るための丁寧なプ口セスが必要であります。

 また・.用地内地権者の方々に対しては、話し合いによる解決が図られない場合には、我が国の社会情勢からして暫定案を進めざるを得ないとの説明を十分行い、再度話し合いの努力を行う必要があります。

 このような理由から、暫定案を進める場合であっても、その手続きの開始時期については、これらの努力を進めるために必要とする期間を置いた後に行われるべきものと考えられます。

4、県と市、町は、地域住民を預かる代表として、この間、地域住民や地域団体のご協力を得つつ、地権者との話し合い解決について、最大限の努力をしてまいります。

5、なお、暫定案が進められることとなる場合には、特に、次の2点について十分な配慮が必要であると考えられます。

(1)地権者を含め、新たな騒音問題が起こることが予測され、この解決のための抜本的な手だてが必要であること。

(2)暫定案によって影響が予想される成田市の土地利用について、対策を講じること。