有事関連法案の慎重審議を求める要望書

  衆議院議長 河野洋平 殿
             

平成16年5月 18日              

成田空港から郷土とくらしを守る会
会長 木内昭博

有事関連法案に反対し、慎重審議を要望します

 私たちは30年以上に渡り、成田空港の周辺で騒音公害や地域の安全のために行動して参りました。
 今国会で審議されている有事関連7法案は、国民の生命や権利に著しい影響を与える重要法案です。
 条約3案件及び資料を含めると全体は60万字に及ぶと聞きます。
 このように膨大で、憲法上も疑義があり、今後の日本の将来に大きな影響を与えると考えられる法案にも関わらず、十分な審議が尽くされているとは言えません。慎重かつ十分な審議を尽くされるよう要望します。
 特に、交通・通信管制法案は、米軍と自衛隊が空港、空域を強制的に軍事利用するものであり、以下の理由から絶対に認められないことを申し上げます。

 1972年、国(運輸省航空局)は本会と平和塔奉賛会に対し『成田空港は純然たる民間空港であり、軍事的利用はしない』と約定し、度々その遵守を国会でも表明してきました。例えば、当時の中曽根運輸大臣は『戦闘目的として成田空港を使うことは拒絶する』と明言しています。
 成田市等に対しても同様の回答を行っております。
 4月28日増田好平内閣官房審議官は、赤嶺政賢議員の質問に対し『成田空港など軍事利用しないという方針で運営されている空港もあるが、関係者の理解も得られるだろう』と答弁していますが、約束の当事者であり、当然「関係者」にあたる私たちは「成田空港の軍事的利用は絶対に認めない」事をたびたび表明しています。
 国の約定違反は絶対に認められません。

 千葉県下総町議会、大阪府泉佐野市議会、島根県益田市議会など各地で、空港の軍事利用を拒否する決議が可決されています。
 また、日本乗員組合連絡会議なども、航空安全の観点から軍事利用に反対しています。
 さらに日本弁護士連合会や自由法曹団、憲法研究者なども反対を表明しています。
 このように、広範な反対意見や懸念が存在しています。審議不十分なまま採決を強行することは、国の安全を危うくし、民間航空の発展を阻害するものです。

 日本国憲法は、国民が等しく遵守すべき規範です。憲法は『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意し、』『戦力を保持せず、戦争と武力の行使を放棄し』ています。
 平和外交に徹せず、戦時状況を作り出す有事関連法案は憲法に抵触すると断ぜざるをえません。

以上

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