国際式の方がWECPNLは大きくなる
(下総町平成14年秋の結果から)

 成田空港の北側に位置する下総町から平成14年秋に1週間(9月20日〜26日)行われた騒音測定の結果を提供していただきました。
 同町はどちらかというと4000m滑走路よりも、暫定平行滑走路の飛行コース直下に位置します。このデータの調査地点のおおよその位置は下表の通りです。

西大須賀 4000m滑走路北端から約10Km、東へ約1Km
滑川 暫定平行滑走路北端から約8Km、ほぼ直下
大菅 暫定平行滑走路北端から約7.5Km、東へ約0.8Km
芙蓉邸 暫定平行滑走路北端から約6Km、東へ約0.5Km

 今回、このデータを日本で現在使われている航空機騒音評価方法の時間帯により機数を補正するWECPNL(これをここでは「日本式」と呼ぶことにします)と、かって、国際民間航空機関(ICAO)が勧告した時間帯により測定騒音値そのものを補正するWECPNL(これを、ここでは「国際式」と呼ぶことにします)で計算してみました。結果は以下の通りです。

1,“逆転”はありませんでした
 今回のデータを使って計算してみたところ、「日本式」で問題になっている“逆転現象”は見られませんでした。
 “逆転現象”というのは4000m滑走路の騒音と暫定平行滑走路の騒音を合わせて計算したWECPNL(表では“総合”となっている欄の数値です)が4000m滑走路のみの騒音で計算したWECPNL(“A”欄の数値)や暫定平行滑走路 のみの騒音で計算したWECPNL(“B”欄の数値)のいずれかよりも小さくなってしまう現象です。
 具体的に言いますと、「2本の滑走路からの騒音を合わせたよりも、どちらか1本の滑走路からの騒音の方が大きい事になる。」と言う住民の感覚からは理解できない現象です。
 私たちの会は、『この現象を生じないように、すぐに「国際式」の計算方法を採用すべき』と主張しています。

2,「国際式」の方が大きな値になる
 今回計算してみて分かったことは、表の「日本ー国際」欄にあるように、「日本式」で計算した数値から「国際式」で計算した数値を引き算してみると、ほとんどの場合マイナスになると言うことです。具体的に言うと、『「国際式」の方が大きな数値を示す』と言うことになります。
 表を見て分かるとおり、「西大須賀」で国際式の方が
0.8WECPNLだけ大きくなり、日本式では環境基準に「適合」しているものが、国際式では、後、0.1WECPNL上がれば環境基準「不適合」となることになります。
 これが、75WECPNLを挟んだ問題になりますと、事は深刻です。何故かというと、75WECPNL以上になれば航空機騒音防止法の『民家防音助成対象地域』になり、75WECPNL未満なら『民家防音対象地域外』となってしまうからです。

3,「国際式」では早朝・深夜便の割合が数値をより押し上げる
 「日本式」と「国際式」の差を見てみますと、20日は「日本式」の数値が「国際式」の数値を上回っていますが、25日は「国際式」の方が遙かに「日本式」を上回っています。
 20日と25日の違いを見てみますと、20日は早朝・深夜(午後10時〜翌朝午前7時)の時間帯に飛んだ機数の割合が大きくなっています。20日は早朝・深夜に飛んだ機数が全体の
6.9%だったのに対して、25日は15.1%に達しています。このことは、「日本式」に比べ、「国際式」の方が深夜・早朝の騒音をより重く見ていることになります。
 住民が睡眠を取る時間帯に飛ぶ航空機騒音の影響を大きく見る「国際式」の方が住民の健康を考えた場合、合理性があると考えられます。
 このことからも、「国際式」の採用を1日も早く実現しなければならないと考えます。

(注)「国際式」の計算は次の式によります。WECPNL=騒音値のパワー平均+10 log 騒音機数―26.365

以上

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