第38回騒音対策委員会質問事項と回答要旨

(回答は茶色で書きました。録音したのですが、不鮮明なところもありました。)


1、需要の見通しについて

 成田空港の需要見通しについて、明らかにして欲しい。成田空港の今後のあり方の基本となるものであるから、希望や建前でなく、科学的なものを。

(増便計画についての説明だけだった。)

2、米軍チャーター機着陸問題

 昨年11月21日に米軍のチャーター便が「燃料不足」を理由に成田空港に臨時着陸した。本会と成田国際空港株式会社前身の空港公団は、航空局長立ち会いの下に「成田空港は純然たる民間空港であり、軍事利用は一切しない。米軍の民間チャーター便(MACと言う)の使用も一切認めない」と約束している。

 今回の着陸は「緊急事態」と言うには疑問が多い。100Km弱しか離れていない横田基地にも飛べないような燃料不足なら、もっと手前の空港で燃料補給するのが常識だ。しかも、最初は横田基地に着陸する予定が、成田空港での給油後は嘉手納まで直接飛んでいる。最初から、成田空港で給油するつもりだったのではないのか。

 過去に成田空港において、米軍機、または、米軍チャーター便の発着はあったのか。

 今後、米軍機や米軍チャーター便の臨時着陸は、機材の故障などの「本当の緊急事態」以外は認めないで欲しい。今回の件についても、米軍側にこのようなことが今後ないように、申し入れて欲しい。

国土交通省
「空港公団との約束については承知している。今回の米軍チャーター機は燃料不足と言うことで、人道的な見地から認めた。しかし、米軍チャーター機が安易に成田空港を使用することがないように、該当航空会社に成田空港会社から申し入れるよう指導する。」

成田空港会社
「今回は“燃料不足”と言う事で受け入れた。成田空港会社としては空港公団と貴会との開港当時の約束については承知しているし、今後も尊重する。燃料不足と言うことで成田空港を利用しないように該当航空会社に申し入れる。」

3、運用時間延長問題

 エアアジア・ジャパン社長は2月2日の記者会見で、「成田空港も23時以降の離発着を」と発言した。現在でも静かな時間は7時間しかない。住民は運用時間が終わっても、すぐに眠れるわけではない。運用時間は現状よりも、短くしてもらいたいのが、本音だ。

 国土交通省と成田国際空港株式会社は運用時間を厳格に守ってもらいたい。

 主に、欧州の各種研究によると、交通騒音による睡眠障害が循環器系の病気を引き起こすリスクが高いと指摘されている。これを元に、2009年に「欧州WHO:夜間騒音ガイドライン」を制定している。これによると、夜間の屋外でのガイドラインLnightを「40dB」とし、暫定目標値を「55dB」としている。しかし、研究者は「夜間の騒音にエネルギー平均のLnightを使用することは適切ではなく、LAmax,nightを使用すべき」としている。

 我が国での騒音と睡眠の研究状況を教えて欲しい。また、健康を維持するに足りる睡眠を保証する基準を制定して欲しい。

国土交通省
「睡眠への影響調査・研究は、国土交通省は行っていない。環境省にも問い合わせてみたが、“今のところ、該当するような調査・研究は行っていない”とのことだった。また、基準を設ける事については、色々なケースがあるので、一律の基準というのは直ちには難しい。」

成田空港会社
「欧州の世界保健機関(WHO)の睡眠障害調査については承知している。また、“LdenMAX値の採用を”と言う事であるが、影響があるとの研究は承知しているが、様々な調査研究があるので、今の段階での採用は時期尚早と考えている。成田空港周辺で睡眠障害の情報があったときには自治体に連絡して、成田空港会社の方に連絡して欲しい。成田空港会社としては航空機の低騒音化率の向上を進めている。また、航空機の離発着が規定通りに行われるようにしていく。」

4、周辺地域の人口流出問題への、国と会社の見解と対策は

 周辺の騒音地域は人口の減少に悩んでいる。これを解決するには、騒音を減らすのが一番だが、それが出来ないのであれば、これに代わる、抜本的な地域振興策を考えるべきである。

 例えば、市や町の比較的騒音の少ないところに、家族向けの「地域振興住宅(仮名)」を建設し、安い賃料で空港に働く若い家族などに入居してもらい、市町の活力を高めるなどの施策は考えられないか。

国土交通省
「人口減少は全国的課題で、国としてもどうするか考えていかなければならない。ただ、提案があったことも含めて、まず、地域のみなさんで検討していただきたいと考えている。」

成田空港会社
「成田空港会社としても、地域振興には協力していきたい。例えば、成田空港会社の所有している土地の地域活性化のための有効活用を考えたい。提案のあったようなことが地域から話があれば、相談したい。」

5、A・B両滑走路同時離発着運用の現状は

 A・B両滑走路同時離発着の運用上の問題はどうなっているのか。どの程度利用しているのか。管制上の問題はないのか。

国土交通省
「同時離発着方式はシャルル・ドゴール空港などで行われている。同時離発着飛行コースを監視する管制官の配置を行っている。この同時平行離発着方式は概ね、離陸は午前中の2時間程度、着陸は午後の3時間程度の使用となっている。」

6、フェデラル機事故の調査報告書はいつ出るのかそれに基づく対策は

 3年前のフェデラルエクスプレス機横転炎上事故の最終報告書が出た、と言う報道はないようだが、このような重大事故の報告書が、3年経っても出てこないのはなぜか。「重大事故だから時間がかかる」というのは分かるが、それにしても遅い。

 二度とこのような事故を起こさないためにも、原因を解明し、早く対策を取るべきと、思うが国土交通省はどう考えているのか。

国土交通省
「事故調査は運輸安全委員会が行っている。運輸安全委員会では関係者から話しを聞くなどしているために、最終報告書をまとめるには、まだ少し時間が必要。今は運輸安全委員会で審議が行われている段階である。運輸安全委員会で議決されれば、最終報告書が公表されることになる。」

以上


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