『航空公害に関する交渉覚書』の全文


航空公害に関する交渉覚書

 新東京国際空港の開港にともなう航空機公害防止の諸施策に関して、住民側の「三里塚空港から郷土とくらしを守る会」「平和塔和塔奉賛会」「三里塚農民組合」と、政府側の運輸省及ぴ設置管理に当る新東京国際空港公団は、千葉県知事の斡旋により二回の交渉と十数回の事務レベルの接渉を積重ねた。

 諸課題のうち、かなりの部分が未解決であるため、残された課題については、住艮側の要求の都度誠意をもつて交渉することを前提として、ここに双方は、現在まての交渉を記録にとどめ、合意点、問題点、並びにこれに関する双方の主張を確認する。

一九七二年九月二十日

新東京国際空港公団総裁 今井榮文  

三里塚空港から郷土とくらしを守る会事務局長 円道寺政直 

〔原則的立場の確認〕−住民側要求−

 住民が希望する静かで平和にくらす権利は、憲法第三章によって保障されるぺき、基本的人権であり、国は、国の施策によって移転せざるを得ない住民と、騒音下に住まざるをえなくさせられる住民のすぺての生活面を保障する責務を負っていることを確認されたい。

〈原則一〉当空巻の軍事利用は一切許さず、当空港周辺の空路及び管制空域の設定等において軍事を優先させないこと。

〈原則二〉当空港に関係する航空行政の立案、実施に当っては、航空会杜の営業方針と住民生活の調和をはかるのてばなく、被害住民の立場を優先させる。

〈原則三〉航空機公害の対策は、事前に予防措置をとり、発生源で規制すること、及び被害が発生した場合には、発生源の一時中止措置をとり、被害は完全に補償すること。

〔公団側回答〕

 新空港の運営にあたっては、誠実に騒音対策に取り組み地元住民に迷惑をかけないよう対策を行なって行く。

一、新空港は、純然たる民間航空のためのものであり、軍事利用させることはない。

 軍事施設と思われるものの設置も一切認めない方針である。MACのチャーター機問題についても約定どおり処理する。又、民間機優先の原則は、新空港においても貫かれており、このため百里空域は、御要望どおり、北方に縮少して民間機との接触の危険がないようにする。

、新空港は、国際空港としての運営を前提とするが、住民優先の立場に立って各種の騒音対策を行なって行く。

、御趣旨の点については、できるだけ予防措置をとるようにする。

〔住民側主張〕

、第一回交渉の冒頭発言で、三里塚空港から郷土とくらしを守る会(以下「守る会」と略称)の佐藤会長は、この内陸大型空港には、基本的に反対であることを明確に述べたあと、軍事的に利用されない保障を要求した。つづいて、政府、空港公団は、今こそ被害者側の立場に立ち、加害者側を制限する姿勢を示すべきであると強調し、その確認を求めた。

、ニアミス等による墜落事故を未然にふせぎ、また、最小騒音飛行コースを設定するためにも、競合が避けられない百里基地の空域は北に圧縮し、航空管制は民間機優先とせよ。

、MACチャーター機の乗入れは禁止せよ。

(具体的事項)

 対策に必要な資料を積極的に公開・広報すること。

、当空港の騒音コンターと基礎となったデータ。

、国内外の騒音測定資料・被害調査資料・研究論文などを地方自治体や住民が気軽に利用てきるようにリストをつくり公開する。

(公団側回答)

、・騒音コンターの基礎資料は御要望のとおり提出します。

、各種参考資科は逐次共同利用施設内の学習施設に御要望どおりのリストを作成して、資料を整備することとしたい。

(住民側主張)

、当空港のWECPNL六○以上のコンターと時刻的、機種別機数及び行先別の騒音レペルを早急に回答すること。

、()騒音対策資料を住民が気軽に利用できる方法として、資料を関係市町村の公民館と図書館に寄附するか、または、航空公害に関する図書館を成田市と芝山町に設置すること。

  ()関資料のリストを附属文書として提出されたい。

騒音対策委員会を民主的なものにすること。

、構成は、加害者側代表・被害者側代表・学識経験者者の三者構成を原則とすること。

、被害者側代表の選出は住民の意志が直接、濃厚に反映する方法をとること。

、被害者側の調査請求権、規制権を尊重すること。

、連営は、公開を原則とし、民主的に行なうこと。

〔公団側回答〕

、騒音対策委員会は学識経験者も加入してもらい、民主的な運営にする。会議にあたっても地元代表の意見が反映するよう措置し、また、対策委員会も必要とあれば調査を行なうことがてきるよう規約等を整備する。ただ委員会は公開を原則とするが、地元代表も多数参加し公開も同然であるのて当分の間、ぞれぞれの自由な発言を守るため傍聴者は禁止する。

〔住民側主張〕

、()対策委員会を重層的に地方自治体地域、更に局所的な地域的対策委負会を積みあげて構成すること。

  ()対策妻員会の長は、空港運営に関係している運輪省、空港公団から選任せず、学識経験者又は、住民代表から選任すること。

、住民側は、対策委員会が住民の意向を正しくくみとり、住民から支持されるためにも、民主主義のルールである会議公開を特に強調して要求した。

 発生源で、規制することに関し、次の事項を要求する。

、夜間21時がら07時まで、航空機の発着を禁止する。

、騒音を受ける地域の住民に対し、離着陸の径路等飛行回数、関係する無線援助施設、騒音対策を明らかにし、事前に同意を得る。

、騒音低減方式を設定し、騒音対策委員会にもはかったのち、航空機騒音防止法第三条に基づいて告示する。

、騒音監視塔をふやし、各監視点における騒音のピークレペルの最高限度を、住民と協議して設定し、これを遵守させる。

、前項の騒音規制値を越える機種、およびSSTの発着を禁止する。

、エンジンテスト、ランアップ等の騒音により、住民が迷惑を受けた時は、一時中止の措置をとり改善する。

、C滑走路の使用は、主滑走路に関する横風分力(10分間平均)が13ノット以外は原則として許可せず、なお万全の公害防止対策をとる旨、関係市町村と協定する。

〔公団側回答〕

、夜間の迷惑をかけないよう努力するが、日本の主要国際空港てあり、世界一周航路等も乗り入れる関係上、要求どおりの制限を実施することは、困難である。また成田空港については、夜間の飛行禁止時間の決定はされていないが、羽田空港なみの禁止を厳重に実施する事は可能と考えられる。なお、夜間飛行の制限は、民家の防音工事や、民家の移転補償等の対策を十分に行なう事により、或る程度までは解決される問題と考えられるので、騒音地域の拡大や土地利用計画の策定等を十分に行なって住民の被害をできるだけ解消したい。さらに、飛行ダイヤ等についても検討を加え、夜間の飛行便を減少するようにしたい。このような対策の一つとして、主張されている空港周辺の騒音調査、住民の睡眠調査等も実施する。

、離着陸径路等については、運輪省において、航空安全対策の面から、十分検討のうえ、騒音対策委員会に発表してゆく。

、騒音低減飛行方式については、運輸省において検討のうえ、地元の意見も反映するように、騒音対策委員会に発表する。

、騒音監視施設は、用地等の関係もあり、当面は中郷小学校および芝山小学校の屋上に設定し、不足な点は測定車をもって補なってゆくが、将来は飛行径路をはさむように設定すると共に、御要望の中台、荒海地域にも設置する予定てある。各監視点の最高音については、実際の飛行結果によって、合理的に決定し、違反機については厳重警告を行ないその改善を要求する。なお、これらのデータは委員会の要求があれば提出する。

、SSTの発着については社会のすう性にしたがって慎重に検討する。

、エンジンランアップについては、付近の住民に迷惑をかけないようにノイズサプレヅサーを使用して行なう。

、C滑走路の使用率は、きわめて低く、住民に迷惑をかけることはないと信じているが、万一、他の滑走路と同様な迷惑をかける事態になれば、他の滑走路と同じ対策を行なって行く。またその使用はきわめて特殊な場合のみであるから協定で決めるものではない。

〔住民側主張〕

、夜間の発着禁止の要求は、広範囲な住民の安眠を守るため、とくに強く主張した。その重要性にがんがみ要求の根拠と資料を別紙付属文書(一)に詳述する。

)右付属文君(一)に基づき、次の要求と質問を提示する。

@夜間二十一時がら○七時まで、住民の睡眠時間を確保するため、航空機の発着を原則として禁止する必要性を認めよ。

A出発使のダイヤは、適切な洋上管制間隔がとれるように組み、最終便は、発着禁止時刻三○分前とし、到着便のダイヤは、発着禁上時刻六○分前とするようIATAのスケジュ−ル会議を改正すること。

B右の措置がとられない場合、開港までに航空機の騒音が、夜間六○ホンを越えると予測される民家の防音補償を行なうぺきだが、その用意をすぺきである。

C東京国際空港における国際便の時刻別発着状況を付展文審として提示されたい。

)最終騒音離発着コースを設定せよ。

)内陸旋回を行なうな。たとえば「多古町上空を旋回することは、全くない」という回答は再確認できるか。八街町と佐原市は離着陸コ−スに入るのか。

)飛行径路について航空局は「三月末二案にしぼったらおはかりします。」と回答したが、未だに提示されておらず、決定前に住民に了解を得る姿勢に乏しいことは遺憾である。航空機騒音防止法第三条は、知事の意見を諮問するだけでなく、関係住民の意見を聞き、関係市町村議会の同意を得るよう改正せよ。

)安全と騒音規制の観点から一日(○七○○〜二一○○時)の離陸許容回数は、A滑走路について百機を越えないものとする。

)進入騒音を少なくするため、高度千メートルで初期進入角六度とし、高度五百メートルで三度のグライドパスをキャプチャーすることを示唆する。

)推力抑制等による最小騒音推陸方式を設定する仁こと。

)騒音監視塔の設置を要求する地点を別紙付属文書(二)に示す。

)空港公団が設置を予定している騒音監視塔の数、位置、機能および規制値を明らがにされたい。

)監視のデータは、時刻、騒音レペル、継続時間、航空機名、気象条件を記録し、毎月定期に、および住民の要望に応じて常時公関すること。

)兵庫県、宝塚市の調査では、指定コースを守らない違反機が、昭和四六年六月から三ケ月で三百二十六機に達しているという。違反機を監視するモニターを制度化せよ。モニターには、飛行径路の偏位を観測し、コース違反と騒音規制値違反の航空機に対し、管制塔を経て迅速に規制命令を発することができる権限をもたせる。また、フライトプランを点検し、違反機と違反航空会社に対し、重量制限や飛行禁止等の指示ができる権限をもたせよ。

)航空機騒音防止法第三条の告示に違反した航空機に対し第十八条の罰則を適用すること。

)空港公団は、関係市町村に騒音計を貸与せよ。「航空公害図書館(略称)」に騒音計を置き、住民の利用をはかれ。

)空港公団は、関係市町村および住民組織と共同して、開港前の周辺地域の騒音測定をしておくこと。

、エンジンの試運転等、航空機の地上騒音によるコンターと、防止計画を明示せよ。整備試運転等の騒音が夜間の睡眠や乳幼児の昼眠、夕食後の休養を阻害する場合は、ただちに作業を中止すること。

、C滑走路の使用に関する協定とともに、航空法施行規則第九十三条の二の一項の二号によりその使用方法を特定すること。航空法施行規則第七十六条二項の五号による三ケ年以上の風向風速図、および霧日数等気象資料の提示を求める。

全面的な補償と完全な防音対策をとることに関し、次の事項を要求する。

、空港周辺のゾーニングについて明らかにする。

、とりあえず六五WECPNL以上の民家防音を国と空港公団の責任において実施し、自己負担金をなくす。

、住民の要求を基礎に移転、補償区域の拡大再指定を行ない、補償内容の改善をはかる。暫定基準として、八○WECPNL以上を移転補償区域とする。

、農村集落の特殊性を考慮し、共同利用施設の防音は、部落どとに実施できるよ基準を改める。補助率を大幅に引上げる。

、六○WECPNL以上の教育施設には、必要な防音対策をとる。とりあえず、大総小、松尾小、中、高、豊住小、中の防音工事を行なうこと。

、テレビのフラッタリング防止アンテナの設置と、騒音用電話機との交換は、無料で行なう。聴視料は無料とする。

、航空機騒音、振動、排気ガスが、住民の生活や健康、家屋、作物、畜産等に与える影響を充分調査し、農業、漁業以外のあらゆる損失について補償する。

、騒音による土地利用価値の低下に対応する措置をとる。空港周辺の土地利用計画は、住民の意志を優先させ、その実施については、関係住民と関係市町村議会、農業委員会の同意を得ること。

〔公団側回答〕

、空港周辺のゾーニング設定については、一応の試案を発表したが、これの具体的計画の設定やその実現化については、千葉県及ぴ政府の協力を得て実施できる問題であり、その際、地元の意見も十分参考にされることになると考えられる。特に御要望の騒音下における農業団地計画等は、十分検討のうえ、具体的計画を策定することとしたい。

、民家の防音工事については、当面、千葉県に八五WECPNLの範囲でお願いしているが、法律の改正が行なわれ、公団が、実施できるようになった場合は、公団において実施することになるが、この場合も利する限度を越えた部分まで負担の対象とすることは困難である。

、従来の移転補償区域を拡大するよう告示の改正等を行うことを検討したい。この場合の基準は、十分検討して、合理的なものとしたい。

、御要望の点については、再検討を行なって行く。

、学校が静かな環境を必要とすることは勿論であるが、六○WECPNL以上の学校をすペて鉄筋改築し防音工事をする必要ば認められないので、ぞれぞれ現実の被害状況に応した対策を行なって行く。御要望の学校については、実施を検討する。

、テレビ、電話の難視聴については、各種の科学的調査を行ない、その結果影響があれば御要望どおり必要な対策を構ずる。聴取料は、騒音の影響を受ける地域については、半額補助とする。

、住民に被害を与えることのないよう、各種の騒音影響調査を行ない直接的被害に対しては、補償して行く。

、騒音による、土地利用価値は、空港建設にともなう交通網の発達、入口の増加等にともなって低下するとは考えられないが、空港周辺の土地利用計画については、十分地元の意見も参考にして、計画されるものである。

〔住民側主張〕

、開港までに、WECPNLによる、最大限容量を駆使したコンターと、航空機騒音に関する環境基準を定め、対策の基礎とする。環境基準の具体的数値を決める時には、住民の感情と意見を尊重し、代表を参画させるよう環境庁に要請すること。

、「安眠を確保するためには、寝室内は四○ホン(A)以下でないといけない(通産省公害保安局編、公害防止の技術と法規)」とひろく一般に公認されている。空港公団は「屋内における航空機騒音のピークレベルは夜間五○ホンを越えないことが望ましい」と回答しているが、これを緊急に防音対策をとるぺき暫定基準とすれば、屋外において航空機騒音のピークレベルが夜間六○ホンを越える地域の民家について防音補償をするぺきであろう。

、また環境庁は、昼間の生活の障害を避けるため、特定工場などがだす騒音の限度は、住居地域で六○ホン(九○%レンジの上端)と定めている。従って、夜間の発着禁止が要求どおり実施されたとしても、昼間と夕刻に六五WECPNL(約七○ホン)以上となる民家には防音補償をするぺきてある。

、民家の防音補償についてつぎの点を要求する。

@換気、冷暖房装置を含めて補償する。

A少なくとも全寝室と居間、勉強室については防音補償をすること。

B防音工事等一切の費用は、全額空港公団が補償すること、なお防音完了後においても、戸外における影響は残り、また閉め切った生活をせざるを得ないことを考慮すれば、換気冷房の維持費までも補償しても、なお利する限度を越えているとはいえない。

C防昔壁は、屋内における航空機のビークレペルの平均が少なくとも夜間五○ホン以下となるようすること。

、防音壁を考慮しても、航空機の騒音が八五ホンを越えると、防音家屋内においても五○ホンを越えるおそれがあり、夜間の睡眠妨害や昼間の生活への影響が避けがたくなる。一時的な特定建設作業の規制値にしても、八五ホン以上の騒音は許されず、七五〜八五ホンの騒音でもきわめて制限された期間と時聞帯て許可されていることも考慮すれば、少なくとも八○WECPNL(約八五ホン)以上の騒音激甚地域は、移転補償区域として空港公団が責任を持つべきでぱないか。また、この基準以下であっても航空機公害によって住民が移転を希望する場合は補償に応じること。

、現行移転補償区域「滑走路延長ニキロメートルX六百メートル」は不合理極まるものである。空港公団の回答にある九○WECPNLは、空港公団が公表した騒音コンクー図においても滑走路延長六・三キロメートルに達している。現行の航空機騒音防止法によっても移転補償区域は進入表面内「滑走路廷長三キロメートル、両側六○○メートル」に改めることができる。ただちに、この範囲まで拡大再指定されたい。

、開拓の汗のしみ込んだ土地で、また、先祖代々受継いだ土地で郷土を愛し農業を中心に自活してきた住民が、みずがらの意志に反して移転させられる痛恨の心情を理解し、もう少し、愛情ある行政をお願いしたい。移転にさいしては、法外援護の手段を講じ住民の要求である生活権の保障を完全に果すことを要求する。

@周辺の土地価格が高騰している現在、移転補償価格を引上げること。

A必ず移転者の納得する代替地を用意すること。

B建物だけ移転し、かよって農業することは困難である。申請があった場合は、土地補償を含めた全面補償とすること。

C移転希望区域内で、農業を継続する等移転を希望しない住民に対し、金銭による補償をする用意があるか、また、完全防音の住宅および作業をともなう農業団地の構想を支持するか、三里塚および芝山町千代田等の商店が騒音等の影響て転業を希望したとき、補償の必要を認めよ。

、空港公団が公表した「新東京国際空港周辺整備計画(案)」によれぱ、民家の防音補償を行なおうとする3bの区域は、芝山町と横芝町の境界で区切られている。このため、空港公団が目途とする八五WECPNLのコンターに含まれていながら、横芝町中台は3bの区域からはずされている。同様の矛盾が2および5aの区域にもある。同一条件には、同一補償の原則を認め実際の補償区域指定は、騒音コンターに墓き住民に不利にならぬよう留意し、概略部落境界、個人所有地等を考慮して修正する方法を採用せよ。

、農村の集落は一部落三○〜八○世帯が多く、集落と集落との距離も遠い場合が多い。現行基準の運輪省告示百六十一号は、防音工事の補助対象を利用世帯百以上としており、仮に数部落が一施設を共同利用することになると、むしろ推持管理に問題があり、遠くて不便であるということがからも共同利用施設本来の目的である児童の学習、老人の休養、部落の集会にぞぐわなくなる。

、また、現行の補助制度では、施設工事費の4分の1程度が補助されているにすぎず、騒音で苦しめられている地方自治体をさらに圧迫していることは大阪国際空港周辺の実例であきらかである。補助率を大巾に引上げよ。

、航空局は「授業中の教室の騒音は四五ホン以下が理想とされている。現行の基準では、七○ホン(c)から防音補助をしているがこれは約六五ホン(A)に相当する」と回答した。守る会調査による、芝山町菱田小と千代田小の授業中の校庭騒音は、中央値四〇ホン(A)九五%値四八ホンである。このような現状の教育環境を悪化させないために緊急の対策として承認を求める六○WECPNLはピークレベルの平均で約六五ホンであり、なかには七五ホン前後の妨害音を発生する航空機もあることを考えれば、高度の連続した集中を必要とする教育環境について最低の要求てある。

、すでに防音対象に選ばれた「二十五施設と同等の被害があれば同等の工事をする」という空港側の回答ば当然だが、公害予防の観点を認めている以上、空港公団発表のコンターからも明らかに七○WECPNL以上と推測される豊住小、中、大総小、松尾小、中、高は開港前に防音改築するべきではないか。

、防音工事費、冷房装置の推持管理費が地元財政を圧迫ししないよう全額空港公団が責任をもつこと。

、空港公団は、運動会、屋外実習、屋外の体育等騒音被害を防ぎ得ない対策として、騒音地域外に運動場実習地等の施設を代償としてつくる必要性を認めよ。その移動に要するバスや施設の推特管理費も空港公団が責任をもって補償すること。

、航空機騒音は、とかく人体に及ぼす影響が立証しにくいとされ、対策も限定されがちであるが「健康とは、たんに疾病やきょ弱でないことを意味するのではなく身体的にも精神的にも、また杜会的にも良好な状態をいう」と定義したWHO憲章にもどずいてその被害調査を進めよ。

、開港前に空港公団は、必ず周辺住民の睡眠実態(昼寝を含む)調査を行ない、年代別の就寝、起床時刻、寝室数を確保せよ。参考までに「守る会」が成田市荒海地区で調査した資料を提出する。

なお、本件交渉については、運輸省航空局長立会いのもとに行なわれたものである。