「平成20年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果」を読む


 去る9月3日に成田空港周辺地域共生財団に行って、「平成20年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果(年報)」をもらってきました。その内容をかいつまんで感想も含めて以下に書きます。

1、発着回数は1.4%減に
 まず、1年間の総発着回数ですが、1.4%減となりました。A滑走路は1.9%減、B滑走路は0.5%減でした。この原因として、年度の前半は燃油の高騰による燃油サーチャージャーの増大を上げており、年度後半は米国の金融不安に端を発する世界景気の後退、を上げています。この需要後退の中で「年間発着回数30万回」が本当に必要なのでしょうか。もう少し、需要の動向を見ながら検討すべきではないでしょうか。
 午前6時から午後11時までの運用時間帯以外に発着した航空機は25機でした。前年度よりも16機増加しています。この内訳を見ますと、滑走路閉鎖によるものが2機、悪天候によるものが12機、機材のトラブル・燃料不足によるものが2機、急病が2機、降雪によるものが5機、その他が2機となっています。
 寝端に来られますと、寝そびれたりして、つらいものです。

2、機種は小型化・従来型ジャンボ機は59.9%減に
 発着した航空機の機種は小型化が進んでいます。
 A滑走路では従来型のB747型機が前年度に比べて59.9%減と激減しました。新型のB747型機も7.0%減となっています。これに対して、より小型のB767型機は35.4%増、A330が20.7%増、もっと小さいB737型機が5.4%増となっています。
 B滑走路ではB767型機が8.9%減、B777型機が11.3%減、A320型機が26%増、B737型機が実に97%増となっています。

滑走路別機種割合の経年変化

3、航空機騒音は全体としてやや低下するも、B滑走路直下はほとんど変わらず
 航空機騒音は全体としては、発着回数の減少と機材の小型化で少し減少しています。
 茨城県と千葉県のA滑走路直下地域では明らかに減少しています。
 しかし、千葉県のB滑走路直下地域ではほぼ前年度並みです。これは、前年度に比べて発着回数が変わらなかったことが影響している、と思われます。10月からはB滑走路が2500mで使われることになりますから、中・長距離便も使用することになり、この影響が心配されます。B滑走路が着陸専用で使われるとなると、その影響は予測できません。
 さらに、年間発着回数が22万回になる来年3月末以降の平成22年度の騒音がどうなるのか、地元では不安視されています。

A滑走路直下地域の騒音経年変化
B滑走路直下地域の騒音経年変化

 千葉県の両滑走路に挟まれた谷間地域の騒音はほんのわずか減少しています。
 3月の騒音対策委員会でも私の方から指摘しましたが、相変わらず、「夏になると蝉の鳴き声が大きく、正確な測定ができない」として測定数が極端に落ちてしまう測定局があるようです。これでは、正確な測定はできないと思いますので、測定局の移動をお願いします。
 全測定局の測定結果は別紙を見て下さい。

4、逆転局は103局中28局
 いわゆる、逆転現象の生じた測定局は103測定局中28局でした。しかし、逆転の幅は最大でー0.13WECPNLで、ほんのわずかでした。前年度は最大ー0.17WECPNLでしたので、やや少なくなりました。

5、大きくずれているもののある・飛行コース
 飛行コースの測定結果ですが、図にもあるようにかなり大きくずれているものもありました。この理由については、報告書ではふれられていません。もしかすると、下図の範囲内に入らないような、大きな飛行コースずれがある可能性も否定できません。

以上


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