国土交通大臣 赤羽一嘉氏への要望書


要望書

2021年2月4日

国土交通大臣 赤羽 一嘉 様

成田空港から郷土とくらしを守る会

会長 木内 昭博

 未曾有のイベントリスクである「新型コロナウイルス感染症」流行に対処する貴職の奮闘に感謝いたします。

 このような中ですが、貴省の推進している「首都圏空港機能強化計画」の一環である「成田空港機能強化計画」について、以下の項目について要望いたしますので、速やかな回答をお願いいたします。

要望の理由

 昨年初めに日本での流行が始まった「新型コロナウイルス感染症」の影響は、世界で猛威をふるい、未曾有の規模に拡大しています。

 航空業界の一般的な予測によりますと、「世界の航空需要が2019年度の水準に回復するのは、4年後の2024年以降になる」との事です。

 この影響により、世界の航空会社や空港運営会社も対応に追われ、経営破綻回避や建て直しのために、従来計画の見直しを行っているところです。

 これを、成田空港に当てはめますと、年間総発着回数が24万回前後に戻るのが2024年度頃、同30万回に達するのは、「機能強化計画策定」の「基本政策部会 下位予測」の2027年度から、2031年度以降にずれる見込みとなります。

 さらに、同50万回に達するのは、実に、「2052年度以降」になる見込みとなり、約30年後になります。

 その頃の航空業界の状況や、旅客機技術の進歩によって、現在の空港運営や、航空輸送形態が大きく変化していると考えられます。

 成田国際空港株式会社(NAA)は民営会社とは言え、株式は国が保有しており、事実上の国営会社です。

 現在の「新型コロナウイルス禍」を克服するためにも、国の税金を「新型コロナウイルス感染症」流行終息に向けて、全面的に活用すべきではないでしょうか。

 この意味からも、「成田空港機能強化計画」を一時凍結すべきです。

要望事項

 1、機能強化計画について

 (1) 個々のイベントリスクを予測することはできませんが、統計学的にイベントリスクを考慮した、需要予測の見直しが必要と考えられますがどう考えておられるのでしょうか。

 (2) これに基づく、第3滑走路建設計画やB滑走路北伸計画の再検討または一時凍結が必要ではないでしょうか。

 (3) ターミナルの新設や、そのアクセス、さらに、貨物地区の整備などを先行させるべきではないでしょうか。

 (4) 50万回時に、実施されるという「離発着スライド制」は、住民の生活への不安と、健康に大きな影響を及ぼすと考えられます。

    これについて、専門家に研究を依頼し、その結果を周辺住民に公開し、「離発着スライド制」の是非を判断すべきです。

    貴職の見解をお答え下さい。

2、当面の要望として

 (1) A滑走路直下と谷間地区住民の睡眠を妨害し、健康と命を危険にさらす「A滑走路運用時間」を直ちに、元の「午前6時〜午後11時」に戻して下さい。

 (2) 現在、被害を受けている騒音下住民一人一人に対する「損害賠償金」制度はありませんが、この「損害賠償金」制度の創設と法制化を考えて下さい。

 (3) 谷間地区をも含めて、騒防法第1種区域にある全戸を移転補償対象とする、法改正を考えて下さい

 (4) 土地や家屋などの成田国際空港株式会社による買い上げや移転交渉などにおいて、拡大される空港敷地内と、それ以外の騒音区域で取り扱いに、差別が見られます。
    空港敷地外の騒音区域で移転をする人たちに、懇切丁寧な説明と、具体的な条件などを早急に提示し、交渉するよう、社員の増強など、成田国際空港株式会社を指導してください。

以上


戻る