2022年度騒音対策委員会での本会質問に対する文書回答


1.A滑走路の運用時間を開港当初の約束である「午前6時から午後11時」迄 に戻す事

(回答:国交省)
夜間飛行制限の変更に当たりましては、内窓等の防音工事の充実や低騒音機 への限定などの深夜早朝対策を講じることによって、少しでも騒音地域の影響 緩和を図りながら、運用することが必要と考えております。

(回答:NAA)
夜間飛行制限変更は、訪日外国人旅客に利便性の高いダイヤ設定を可能とす るとともに、LCC の高頻度運航、航空貨物のネットワーク拡大等を可能にし、観 光立国を目指す政府目標への貢献、激化する空港間競争を勝ち抜くうえで、必 要不可欠な施策です。また、新型コロナウイルスの影響により、旅客便の運休・ 減便が多くなっているものの、国内外の市民生活、生産活動を支える必要物資 の航空輸送は活発に行われており、成田空港がこうした需要に応え重要な社会 インフラとしての役割を果たすためには、引き続き、24 時までの運用時間(夜 間 1 時間延長)は必要だと考えております。
あわせて環境対策の実施が必要と認識しており、内窓設置工事の申請を、1 件でも多く頂けるよう周知に努め、延長する時間帯の運航機材を低騒音型機に 限定する等、周辺地域の生活環境保全に取り組んで参ります。
1.A滑走路の運用時間を開港当初の約束である「午前6時から午後11時」迄 に戻す事

2.「さらなる機能強化計画」は飛行コース直下住民への影響が大きい。
 ま た、新型コロナウイルス感染症による、需要激減の現状を踏まえて、再検 討を行うこと

(回答:国交省)
現在、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、航空需要が低迷しているも のの、IATA(国際航空運送協会)の予測によると、航空旅客の需要につい ては、2024年に2019年の水準までの回復が見込まれており、成田空港 の更なる機能強化は必要不可欠と認識しております。

(回答:NAA)
NAA としては、新型コロナウイルスの影響は甚大であり、コロナ影響前の水準 まで回復するには相当程度の期間を要するものの、これまでも成田空港では、 SARS や東日本大震災など幾度となく需要減を招くようなイベントが発生しま したが、結果的には一定の期間が経過すると需要が回復して、その後は更に拡 大していったということを経験しております。
加えて、世界の航空需要は、今後も増大していく見通しであり、首都圏の中 長期的な航空需要も、引き続き増大していくものと見込まれております。
更なる機能強化については、中長期的な航空需要に対応するために必要な施 策であり、また、我が国の成長戦略の一環として、首都圏空港の更なる機能強 化を着実に進める必要があるとの観点から、国からの財政支援も頂いているこ とから計画どおり進めて参ります。C 滑走路・ B 滑走路延伸の早期完成に向け、 引き続き丁寧かつ着実に進めていき、1 日も早く滑走路を供用できるように努力 して参ります。

3.現在、騒音被害を被っている住民人一人に対する賠償制度を創設するこ と

(回答:NAA)
成田空港では、直接、住民一人一人に対する賠償金のような制度はありませ んが、周辺市町においては、周辺対策交付金を活用し、個人(世帯)の民家防 音家屋の空調施設維持管理費や家屋等に係る固定資産税に対する補助金等が交 付されており、関係市町と NAA とで航空機騒音による負担軽減策等に努めてい るところです。
なお、周辺対策交付金については、騒防法の新たな対策区域の告示により 2020 年度から増額しており、2021 年度の交付総額は 2019 年度の約 1.7 倍となる約 71 億円に引き上げているとともに、新たに「地域振興枠」を創設し、教育・医 療・福祉等の地域振興に資する事業にも充てられるように使途についても拡大 いたしましたため、各市町おける施策に応じて柔軟にご活用頂ける制度となり ました。
また、騒音等により生じる障害の防止対策として、C 滑走路供用後の運用につ いては、空港全体の運用時間を 5 時から 0 時 30 分まで確保した上で、飛行経路 下の静穏時間を 7 時間確保できるスライド運用を導入することとなっており、 これまでの運用と同様に、各滑走路の運用時間は厳格に遵守するとともに、地 域の皆様の生活環境を保全する観点から、航空機からの騒音影響を軽減すべく、 緊急機等を除き、深夜早朝(5 時台及び 23 時以降)時間帯に運航する機材を低 騒音型機に限定するとともに、引き続き、低騒音型航空機ほど国際線着陸料を 優遇する料金制度の採用等、発生源である航空機騒音の軽減に努め、地域の環 境保全に努めて参ります。
さらに、更なる機能強化における深夜早朝の騒音防止対策として、寝室への 内窓設置工事を提案し、その後、公益財団法人成田空港周辺地域共生財団事業 として 2018 年 10 月から A 滑走路側の騒特法防止地区内で始まり、2020 年 4 月 以降は各滑走路の防止地区、防止地区に挟まれた谷間区域及び A 滑走路西側の B 工法区域まで拡大して実施しているところです。今後も一人でも多くの方に内 窓設置工事の申請を頂けるよう、関係市町と協力して参ります。

4.航空機の安全運航対策を徹底し、航空機からの部品脱落や氷塊落下など の対策をより徹底し、
 人的被害と物損被害に、当該航空会社に対する具体 的な罰則などを制度化すること

(回答:国交省)
落下物対策については、世界に類を見ない基準である「落下物防止対策基準」 を策定し、機体の改修や整備・点検の実施等ハード・ソフト双方の観点から、 本邦航空会社及び日本に乗り入れる外国航空会社に落下物防止対策を義務付け ており、これらが遵守されているかについては、定期的に確認し、必要に応じ て航空会社へ指導を行っています。
また、空港会社と協力しながら実施している駐機中の航空機に対する機体チ ェックについては、2021 年 4 月からその実施回数を増やし、未然防止策を徹底 しています。
さらに、落下物事案に関する情報収集・分析の強化を行うとともに、落下物 の原因者である航空会社(本邦社及び外航社)に対しては、事案に応じて、処 分等を行うなど、対応の強化を図っています。
国土交通省としては、こうした落下物対策の徹底的な実施を通じ、今後とも 空港周辺地域の安全・安心の確保に万全を期して参ります。

(回答:NAA)
本年 2 月 11 日に発生した日本貨物航空による部品欠落につきましては、一歩 間違えれば重大な結果を招きかねない事案であり、事案の重大性に鑑み、NAA よ り当該航空会社に対して「航空機落下物防止策の徹底」について要請文書を発 出し、原因の究明と再発防止を強く求めました。また、成田空港に就航する他 の航空会社(AOC 加盟社及び非加盟社)に対しても、点検強化を行う等、更なる 落下物防止策の徹底について要請文書を発出しております。
こうした航空機からの落下物事案は、決してあってはならないことであり、 何よりもまず未然に防ぐ対策が重要であると認識しております。原則としては、 航空会社にどのように点検、整備をして頂くか、航空機メーカーにどのように 対応をして頂くかが技術的にも重要だと考えておりますが、NAA では、落下物を 未然に防ぐための対策として、国と協力して駐機中の航空機に対し、注意すべ き機体の箇所をチェックする取り組みを実施しており、2021 年 4 月からは、機 体チェックの実施日数を増やし落下物対策を強化しております。また、(公財) 航空輸送技術研究センターの「航空機からの落下物・部品欠落等の予防に関す る調査研究ワーキンググループ」に参画して関係者との情報共有を深めている ところです。
NAA としては、このような取り組みを通じて、今後とも落下物の未然防止に向 けて、最大限の努力を行って参ります。
4.航空機の安全運航対策を徹底し、航空機からの部品脱落や氷塊落下など の対策をより徹底し、人的被害と物損被害に、当該航空会社に対する具体 的な罰則などを制度化すること
5、また、万が一、航空機からの落下物による被害が発生した場合には、四者協 議会で合意された、NAA の新たな落下物対策である「航空機落下物被害救済支援 制度」(「見舞金のお支払い」、実損が生じた際の「立替金のお支払」、地域の皆 様と航空会社との間に入った「円滑なサポート」)を 2018 年 4 月から運用開始 しております。

5.健康調査で、疫学的な調査を実施すること

(回答:NAA)
健康影響調査については、2018 年 3 月 13 日の四者協議会で締結した 「成田 国際空港の更なる機能強化に係る確認書」において NAA が実施することとして おり、その実施にあたっては、専門的知見及び公平性確保の観点から学識経験 者等から構成される成田国際空港航空機騒音健康影響調査委員会を 2019 年5月 に設立しております。
これまでの委員会での議論では、2019 年冬ダイヤ前に実施した事前調査の後、 2020 年度内を目標に本調査を実施することで確認されておりました。しかしな がら、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等もあり、航空機騒音の健康に与 える影響の有無を検証することは困難と判断され、2020 年度内の本調査の実施 が見送られております。
その後の委員会では今後の航空需要の回復予測時期等を情報提供していく中 で、回復時期まで本調査を実施しないことに対する地域の声の懸念等があげら れました。また、委員会での議論の過程において、2020 年 3 月 24 日告示によ り新たに騒防法第一種区域が追加指定されたこと等による騒音対策区域が拡大 されたことや今後の更なる機能強化計画により変化していく空港運用が周辺地 域に影響を及ぼすのかを継続して調査していくべき、という意見があったこと から、現在の対策区域における現況把握等のための調査を行うこととなり、成 田空港周辺にお住まいの方から 5,000 名を無作為に抽出し、2021 年 10 月 1 日 から 11 月 19 日までにアンケート調査を実施しております。調査実施にあたっ ては、県や関係市町の皆様の周知等のご協力により、約 6 割の方々から回答を 頂くことができました。現在は、頂いた回答結果を基に委員会で分析・審議し ているところです。
なお、航空機騒音が健康に影響を与えるか否かの最終的な結論の公表につい ては、これまで実施した調査の結果だけでの公表ではなく、今後予定している 本調査も含め総合的に分析し、公表していく予定となるため、引き続き関係す る皆様方のご理解ご協力を賜りますよう宜しくお願いいたします。


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