「平成22年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果(年報)」を読む
@発着回数は2.3%増
発着回数は平成19〜21年度は減り続けていましたが、22年度(平成22年4月1日〜平成23年3月31日)は前年度に比べて2.3%増加しました。
@「事前承認制度」が20時以降を除き撤廃・A滑走路が離陸、B滑走路が着陸で主に運用
平成22年3月28日から、事前に使う滑走路を指定する「事前承認制度」が20時以降を除いて、撤廃されました。これにより、A滑走路が主に離陸・B滑走路が主に着陸という運用が始まりました。これによって、前年度に比べて、発着回数がB滑走路で21%増加し、A滑走路は7%減少しました。
@B滑走路のB747-400型機発着が14.5倍に
この運用により、前年度に比べて、騒音の高いB747-400型機の発着がB滑走路で14.5倍となり、A滑走路では39.6%減少しました。これが、発着回数の増加と共に、B滑走路直下の騒音増大の一因になったと思われます。
@全測定局で騒防法の基準をクリアー
測定の結果、全測定局(105局)で騒防法(『公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律』)の基準をクリアーしました。
ただ、これは「航空機騒音にかかる環境基準」値ではありません。
@B滑走路直下のWECPNL値が増加
上記のような、滑走路運用方式が変わった事により、下図にあるように、B滑走路直下地域でのWECPNL値が上がっています。
B滑走路直下地域では、WECPNL値が2.9〜1.2WECPNLほど増加しています。
これに対して、A滑走路直下地域では、0.7〜2.4WECPNLほど減少しています。
A滑走路西側では、北側はおおむね0.5WECPNLほど減少していますが、南側ではわずかですが増加傾向です。
B滑走路東側では、減少傾向で最大2.9WECPNL減少していますが、南側の横芝光町宝米だけは何故か、1.4WECPNL増加しています。
谷間地域では、北側は減少していますが、南側はわずかですが増加する傾向があります。
下に全測定点の測定結果を載せます。
@貨物便の騒音が低い
意外だったのは、貨物便の騒音の方が旅客便よりも低い事です。15年ぐらい前は「貨物便、(特に夜の)の騒音がうるさい」と言うのが、騒音下の人たちの常識でした。
ここのところの、世界景気の低迷や貨物機の機種が小型化している事が影響しているのかも知れません。
@やはり、同時離陸の監視は必要
高度と飛行コースの測定結果を見ますと、下の図にあるように、ひどい飛行コースずれがあります。最大で1700mほどのずれでしょうか。A滑走路とB滑走路の間隔は2500mです。従って、同時離陸機がお互いの方向に1250mずつずれると、衝突する事になります。ただ、高度差もありますから、確率的には非常に小さいものになると思いますが、怖いのは機体の故障で、制御できなくなった時ではないでしょうか。
いずれにしても、管制官による監視は絶対に必要ですね。滅多にない事なので、監視するのも大変でしょうが。