第33回騒音対策委員会質疑応答要旨
(2006年3月22日 ヒルトンホテル成田)
成田市長「第1点は北伸に伴うものであるが、北伸は北側住民にとっては大変深刻な問題である。そこで、(1)騒防法については一定の理解をしていただいたが、第1種区域の民家防音工事の基準をC工法からB工法にしていただきたいとの要望が住民から出ているのでご配慮いただきたい。(2)今回,成田市では谷間対策地域の民家防音工事を第1種区域なみの工法で行う事にしたが、民家防音工事の担当機関が別々になっていて住民にとっては非常に分かり難いので、これを一元化していただきたい。(3)は騒特法の線引きについてであるが、要望をしているところだが、地域住民が納得できる区域の設置をお願いしたい。
第2点は発生源対策であるが、空港近くでは逆噴射の音が影響が大きい。大阪空港では19時以降の逆噴射は禁止されている。成田でも午後10時以降と午前7時以前の逆噴射はやめていただきたい。
第3点は夜遅くの貨物便の飛行コースがずれているのではないか、との住民からの指摘があるので守るようにしてもらいたい。
なお、昨年度の要望事項の、・区域割りで地域の分断が出ないようにして欲しい、・評価方式を住民の感覚にあったように見直して欲しい、・空調機の機能回復が可能になる期間を短縮して欲しい、・夜10時以降の便数の10便以内を守って欲しい、・周辺対策交付金を安定的に交付できるような仕組みを作って欲しい、などの実現をお願いしたい。」
成田空港会社「北伸によって新たに広がる対策区域の民家防音対策にしっかりと対応していきたい。対策は国が定めた実施要領に基づいてやっていく。成田空港だけ特別なものと言うのは難しいが、シンポジュウムと円卓会議で求められた谷間対策や隣接区域対策を実施している。煩雑にはなっているが、今まで通りの分担でそれぞれ実施していかざるを得ない。」
千葉県「騒特法の線引きは集落を分断しない方向で今進めているところだ。」
成田空港会社「逆噴射は安全に着陸するためのものなので理解して欲しい。過去の調査ではA滑走路で7割、B滑走路で9割が逆噴射を行っている。機材の小型化でこの率が少なくなっていると認識している。今後も、安全運航の許す範囲で検討していきたい。」
国土交通省「飛行コースを守る事は重要な問題と認識している。常時監視しており、正当な理由のない逸脱は指導している。」
成田市長「引き続き努力をお願いしたい。住民からは様々な要望が出ているので、個別に相談させていただきたい。」
芝山町長「第1に空港周辺に広がる移転跡地の有効活用をお願いしたい。相当な面積があるが、荒れているところもあり、安全上も問題がある。有効利用については、『公共事業に限る』と言う条件があり、活用を考えるが難しい。
第2は平行滑走路の活用も定着してきており、飛行回数も増えている。芝山町は全町が騒音下になっている。地域住民の声に耳を傾けて欲しい。空港機能の拡充とともに地域の発展を図る上でも騒音評価基準の見直しを考えて欲しい。
第3に空港周辺の交通渋滞問題であるが、空港をまたぐ点で困難が多い。これを解決するには空港から離れたところから、空港に進入する車両と一般の車両を分ける事が必要。このための会社と県と地域との協議会設置を提案したい。」
成田空港会社「遊休地の有効活用では農地の貸し付けを行っている。緑化や道路などにも活用しているし、花を植えたり除草もしている。不法投機監視もしているが、他にどのような活用が出来るか相談していきたい。」
国土交通省「騒音評価値については逆転現象の原因とともに環境省でエネルギーベースを基本に慎重に検討している。地元の意見を環境省に伝えて協力していきたい。」
成田空港会社「騒音対策についえは引き続き努力していきたい。谷間対策地域の防音工事を第1種区域なみに充実させる対策を町が独自に実施するのであれば、積極的に協力をしていきたい。」
千葉県「交通渋滞については接続道路を流れがスムーズになる観点から検討する必要があると考えている。」
成田空港会社「進入道路の早めの分離については関係者で検討をしていきたい。」
芝山町長「WECPNLの検討のメドはどうなっているのか。」
国土交通省「平成19年度までに検討を進める事になっている。」
松尾町長「第1点は共同利用施設の改修に助成をお願いしたい。当部会の地区には共同利用施設が35個ある。これらは古いものでは20年以上経過し屋根などが傷んでいるが、財政が逼迫しており補修もままならない。新たに再助成をお願いしたい。
第2点目は谷間対策区域の拡大をお願いしたい。現在でも住民からの要望は強い。北伸となれば更に増える。」
成田空港会社「共同利用施設に対する新たな助成措置は国の制度上困難だが、交付金の活用等で相談したい。北伸による2015年コンターは南側では縮小するので、谷間対策区域の拡大は困難と思う。しかし、町などが独自で実施するのならば協力をしたい。」
下総町長「平行滑走路の北伸は当部会地域の住民にとっては想定外の事であり、ジャンボ機が離着陸するなど騒音の激しくなる事が予想され、住民が納得のできる説明と対策をお願いしたい。
従来から要望している平行滑走路東側の防音堤と防音林をもっと実効のあるものにしていただきたい。現状は航空機の尾翼が見えるもので十分な効果はない。
また、北伸による新たに計画される誘導路による騒音が心配される。この地上音に十分な防音対策をして欲しい。」
成田空港会社「北伸をしないと首都圏の航空需要が逼迫し、日本経済全体に重大な影響を与えてしまうと言う事を理解した欲しい。騒音対策は騒防法・騒特法に基づいてやっていきたい。防音堤と防音林についても北伸の計画が固まり次第、新たなものを考えたい。現状の樹木の生育が悪く別のものも検討する。誘導路の防音は防音壁や防音林を整備を検討し、供用開始までにはやりたい。」
富里市長「第1点はテレビの地上デジタル化への対応についてですが、成田中継局で受信しているところはアンテナの向きを変えるなどの対応が必要と思うが同対応したら良いのか。中継局を使っていないところなら、そのままの向きで出来ると思うが。また、デジタルでは航空機に夜障害は少ないと聞くが、確認を早期にやって欲しい。
第2点は空港周辺では空港のポテンシャルを生かしていきたいが、隣空工業団地とか交通網の整備に成田空港会社も協力をお願いしたい。」
成田空港会社「デジタル後の障害については確認をしたい。デジタル化の対応は一般家庭でも自己負担が基本なので、お願いしたい。中継局の扱いについては相談したい。」
千葉県「道路整備については平成11年の基本計画に基づいて整備をしている。」
佐原市長「第1点は深夜早朝便の発着制限と飛行コースの遵守をお願いしたい。
第2点は落下物は当初に比べて減ったが、あったら大変なので、引き続き減少への努力をお願いしたい。
第3点はレイクスポイントの高度引き下げであるが(1)騒音増加の影響を把握して欲しい。(2)迅速な情報公開をインターネットでお願いしたい。(3)4000フィートの使用を混雑時のみに限定してもらいたい。(4)騒音測定の通年固定局を佐原と栗源に設置していただきたい。
第4点は周辺対策交付金の対象地域を拡大して増額をしていただきたい。
第5点は地域振興策として道路網の整備と施設の整備をお願いしたい。
第6点は空港の経済波及効果が周辺地域にも均等に分散して恩恵を受けられるような施策をお願いしたい。
最後に、過激派の排除と撤退についてご支援をお願いしたい。」
国土交通省「22時台は10便以下になるように、スケジュールでは8便以下にしている。航空会社にも遅くならぬよう要請している。飛行コースについてだが、航空機の流をスムーズにするために面的な運用を行っているので、理解して欲しい。」
国土交通省「落下物はあれば危険なので重要。根絶に努力している。洋上脚下げの徹底や氷塊付着調査を行っている。今年も1月16日〜2月2日に行った。」
国土交通省「レイクスポイントの高度引き下げは空域に余裕がないので2本に分けたいと言う事だ。むやみに4000フィートを運用すると言う事は考えていない。管制上必要となる場合に限りと言う事だ。地元の方々と相談して実施したい。」
成田空港会社「2段階化が実施される前後に騒音測定を実施したい。固定局の設置については現状と大きな差があった場合に検討したい。公開についてだが、現在、翌日には測定値を公開している。飛行コースについても前日の分を相談センターなどで見る事が出来る。インターネットでの公開は今後検討したい。周辺対策交付金は2段階化で変更が必要なほどの影響はないと考えている。検証で大きな差があれば見直していきたい。地域振興策については自治体と個別に相談・検討させていただきたい。」
千葉県「国道51号線の整備を進めている。他の地域についても必要性が高いものから整備している。」
成田空港会社「経済波及効果が広がるようにビジットジャパンへの協力や空港内の外国人への案内など、各種情報提供などで協力している。今後も空港の活力・可能性について一緒に考えさせてもらいたい。周辺対策交付金が法令で定められている現状では対象地域の拡大は難しい。学校など公共施設への空調施設の維持管理費等はその相当分を交付金で出している。栗源町に過激派の施設がある事は申し訳なく思っている。関係機関と情報提供などで連携を密にして対処していきたい。」
河内町長「第1点はレイクスポイントの高度変更についてであるが、(1)4000フィートを使う時間帯を設定してもらいたい。(2)4000フィートを使う航空機は低騒音機だけに限ってもらいたい。
第2点は北伸について騒音区域住民への説明・周知について検討していただきたい。
第3点は稲敷市には固定局が現在9基あるが、これの増設をお願いしたい。
第4点は稲敷市には第1種区域はない。難しいとは思うが、住民からの要望は多い。対策基準の緩和について検討して拡大をして欲しい。また、河内町では隣接区域の対策をお願いしたい。」
国土交通省「4000フィートの運用について時間制限を、と言う事であるが、これはなかなか難しい。しかし、地元から混雑緩和のためにのみに限って欲しいと要望が出ているので要望に添うような形で運用したいと考えている。低騒音機のみを4000フィートと言う事であるがこれは難しい。そこで、乗り入れ制限など航空機全体の低騒音化で対応したいと考えている。」
国土交通省「住民の方々の理解が得られないといけないと考え、今までも住民の方々に説明をしてきたつもりだが、どうしたら良いか相談して周知をしたい。」
成田空港会社「航空事故等は絶対にあってはならないと考えており、安全運航を弊社の基本としている。また、事故が起こった時の訓練などをやり、地域にも協力している。騒音測定固定局の設置は現在は必要ないと考えているが、レイクスポイント高度引き下げの前後に行う騒音測定の結果によって変化があれば考えたい。第1種区域は75WECPNLと決まっており、成田空港だけ特別と言うのは難しい。隣接区域については北伸後の騒音の状況を見ながら個別に相談させていただきたい。」
成田空港から郷土とくらしを守る会「第1点はレイクスポイント問題で別案の検討をお願いしたい。新幹線の環境基準の規制値は70dB,特定工場周辺の規制値は夜間65dB、奈良県平群町で先頃制定された騒音防止条例も昼間65dB,夜間60dBとなっている。4000フィートになれば佐原周辺でも70dBをこえる騒音は常時出るようになる。そこで、騒音を増やさない別案、本会が示した8000フィートと6000フィートの2段階案などのような案にして欲しい。本会の案について航空安全会議の方にも見ていただいたが、『特に支障はない。』との事だった。
第2点は2015年コンターの詳細なデータを公開して欲しい。現在示されているデータではこのコンターが妥当なものかどうか検討のしようがない。どの時間にどのような機種が離着陸し、それがどの方面から来たのか、行くのか、その時にそれぞれの高度はどの地点でどうなるのか、騒音の誤差がどの程度か、などが明らかにならないと妥当かどうか分からないので。
第3点は騒音評価方式の問題であるが、現在のWECPNLは住民にとって厳しいものだ。うるさい時期の騒音と比較的うるさくない時の騒音を一緒にして1年の平均を取っている。拘置所で『寒いから毛布を1枚たしてくれ。』と言ったら、『夏は35度にもなる。今は寒いが、1年平均すれば20度だ。必要ない。』と言われているのと同じだ。騒音はうるさい時期で評価すべきだ。病気になっても後で静かになったから治ると言うものではない。また、個々の航空機の騒音の最高音を規制すべきだ。例えば、『70dB以上はだめ』と言うように。『そんな事をしたら、航空機が飛べなくなる。』と言うかもしれないが、その時には、その地域に防音対策をきちんとすれば良い。
第4点は市町村合併で交付金がどうなるのか伺いたい。また、隣接区域の防音工事を第1種区域なみにする事で会社は『自治体がやるなら、協力したい。』と言っているが、結局は特別交付金でまかなう事になると、ほかの対策にまわせる交付金が減る事になる。これでは困る。交付金そのものの増額を制度の改正も含めてお願いしたい。
第5点は騒音測定値とコースのインターネットによるリアルタイムの公開をお願いしたい。2000年に共生財団に行って聞いたところでは『能力的にはいつでも出来るが、警備上の問題で出来ない。』と言っていた。中部国際空港では開港当初からインターネット上で1分間隔で1秒毎の騒音値をリアルタイム公開している。成田空港会社で出来ないはずはない。警備上と言うが、航空無線を聞いていればどの航空機がどの辺りを飛んでいるか分かるので非公開の理由にはならない。
第6点はインターネットで検索したところ、日本の米軍関係の郵便番号(ZIPCODE)表に横田基地や三沢基地などと並んで『96336NARITA AIRPORT』と出ている。これは、従来からの『米軍の軍事郵便局は成田空港にはない。』とする説明と矛盾する。これはどういう事なのか説明して欲しい。
第7点だが、佐原の部会からも出ていたが、佐原周辺に常時騒音測定の固定局を設けて欲しい。空港からの距離はあるが、飛行の頻度は激しいのだから。
最後に、予定にはなかったのだが、今日示された合併に伴う騒音対策委員会の部会の編成変えの案であるが、この中に八街市がオブザーバーとなっているのは何故か。八街市は横風用滑走路の飛行コース直下になる。横風滑走路の飛行コース直下で騒音対策委員会に正式に入っていないのは八街市だけだ。この件は前の騒音対策委員会の組織替えの時にも要望し、『検討する』と言う答えだった。」
国土交通省「先ほどから説明しているように空域の問題などがあり、部内でも色々検討したが、高度を上げる事は水平飛行区間を設ける事が難しいなどの点で今回の案が最適と言う結論になった。」
成田空港会社「今回コンターの作成条件はつぎのとおりである。(従来提出のデータを読み上げる)これらのデータを国のコンター作成プログラムに入力して作成した。」
国土交通省「WECPNLは国際民間航空機関(ICAO)で考えられたもので、我が国の航空機の環境基準で用いられている。うるさい時期を基準とすると言う事はこの測定基準にそぐわない。今後はチャプター3などの導入で低騒音機の乗り入れを促進する事で対応したい。」
成田空港会社「周辺対策交付金の配分は合併後の市町村を対象にして行う。増額については自治体の要望を聞きながら対応したい。交付金は平行滑走路関係の対象世帯数などの増加や北伸完成後の発着回数の増加により増えていく事になる。情報公開については弊社の設置する35局についてはホームページ上で翌日に公開しているし、飛行経路についても相談センターなどで公開している。インターネットによる公開については今後検討していく。米軍郵便番号については私たちはどのようになっているか知る立場にない。佐原への固定局の設置については前後の騒音測定値に大きな変化があるかどうか見極めて考えていきたいと考えている。八街市についてであるが、平行滑走路が供用開始になり、横風用滑走路をどうするかが問題になった時に関係自治体と相談して考えたい。」
成田空港から郷土とくらしを守る会「八街市は今すぐ当然入るべきではないか。他の横風用コースに係る自治体は入っているではないか。」
成田空港会社「どこの自治体を指しているか分からないが、八街市の当局とは話をし、『オブザーバーで結構だ。』と言う事で一致している。」
以上