第48回騒音対策委員会 本会質問要旨と回答
第48回騒音対策委員会 質問要旨と回答
成田空港から郷土とくらしを守る会
1項目目
世界の空港運営では、空港機能の充実だけでなく、騒音下住民への影響を軽減する運営が主流となっています。
英国ではヒースロー空港の拡張について、空港運営会社とロンドン市長が、騒音被害の増大を理由とし、反対を表明しています。
フランスではドゴール空港の運営会社が、ドゴール空港のこれ以上の拡張について、その予定はないと明言しています。
オランダのスキポール空港の運営会社は、騒音軽減のため、発着回数の削減を表明しています。これらの方針について、政府や航空会社などは反発していますが、周辺住民への騒音影響や、地球温暖化ガスの排出規制を重視すれば、この方針は正当なものと考えるべきではないでしょうか。
(回答:国土交通省)
諸外国における各空港の運営方針は、各々の国や地域の事情を勘案して定め られたものと思われ、当該空港の運営方針に対してコメントできる立場ではあ りませんが、空港と地域との共生は大変重要との認識のもと、国土交通省として も引き続き地域の声をよく聞き、真摯に受け止めながら、関係機関と連携して、 空港周辺の地域づくりに最大限協力して参りたいと考えています。 (回答:成田国際空港株式会社) 成田空港では、首都圏空港の航空需要に対応し我が国の経済成長や地域の振 興に貢献していくという使命を果たすため現在、更なる機能強化に取り組んで おります。 |
2項目目
(1)C滑走路が完成するまでの飛行コースと飛行方針を早く明らかにして下さい。
年間発着回数を34万回に増やすに当たって、A滑走路の北伸とC滑走路が完成していない段階で、発着回数を増やせるのは、早朝と夜間の時間帯しかないと考えられます。
国やNAAは騒音下住民への影響をどう考えているのか、このことについて、飛行コース直下住民に説明すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
(回答:国土交通省) 我が国の国際競争力の強化等の観点から、首都圏空港の容量拡大による機能 強化は必要不可欠であると考えております。 (回答:成田国際空港株式会社) |
(2)C滑走路完成後の離発着機「スライド運用」について、早期に住民に説明し、理解を得て下さい。
機能強化計画が完成する予定の2029年度末に、「飛行時間について『スライド制』を考えている」と言っていますが、この運用方針については、今もって騒音下住民に何の説明もありません。
早く案を示して了解を得る努力をして下さい。
国土交通省やNAAはこの「スライド制」を自画自賛していますが、ヒースロー空港の「スライド制」では、深夜・早朝の時間帯において、機種や回数について厳しい制限をかけ、深夜・早朝時間帯での飛行を厳しく監視し、違反した場合には罰則を科しています。
成田空港でも、このような制限を考えているのでしょうか。
また、離発着の方向を、一定期間ごとに交換し、平等に均等化すると言っていますが、この“期間”の長さはどのように決めるのでしょうか。
「スライド制」による住民への身体的・精神的影響について、科学的な調査、研究を行う考えはあるのでしょうか。
(回答:国土交通省) スライド運用については、飛行経路直下にお住まいの皆様の生活環境保全に 配慮したものとして導入を予定しており、その運用方法に高いご関心があるこ とは承知しておりますが、空港運用の観点から多岐にわたる事項を整理してい く必要があることから、検討を進めているところです。 (回答:成田国際空港株式会社) スライド運用につきましては、地域の視点、空港運用の視点等、多岐に渡る事 項を整理し決定していく必要があることから、引き続き航空局をはじめとする 関係者と共に整理した上で、地域のご理解が得られるよう適宜適切な時期に説 明してまいりたいと考えております。 |
3項目目
NAAの田村社長は先頃の記者会見で、人手不足への対策として、「働く人たちが空港周辺に喜んで住める環境を整備したい」と発言した、との事ですが、開港以来、約50年の長きにわたり、騒音に悩まされている飛行コース直下の住民に「喜んでもらえる」対策を考えているのでしょうか。
例えば、防音家屋についても、最新の防音技術による防音家屋の新築や改修などを検討する「小委員会」などを設置して、少しでも騒音を軽減するすべきではないでしょうか。
(回答:成田国際空港株式会社)
当社においては、2020 年2月 10 日より、これまでのマイナスの影響をゼロ にする地域共生策だけでなく、地域にプラスの影響を提供できるよう空港周辺 の地域振興等にかかる取組みを迅速かつ着実に推進することを目的に、地域共 生部内に「機能強化・地域振興調整室」を設置し、地域資源を活用した地域振 興の取り組みを進めてまいりました。 |
4項目目
この項目については、本会のミスで、山武市が委員として出席している事から、審問を撤回し、陳謝しました。
今回の会議でも、横芝光町・山武市支部会として、山武市市長が出席していました。
NAAは「ゲートウェイ成田」に対して、用地の約4割を年間約1800万円で貸与している、との事ですが、この貸与料は順調にNAAに 、入金されているのでしょうか。
(回答:国土交通省) 当社では造成工事を目的とした土地賃貸借契約を締結しており、土地賃貸借 料については支払っていただいております。 |
本会からの再質問と回答
第1点目は、スライド制について、再度聞きたい。ヒースロー空港ではスライド制で、2本の滑走路ながら年間発着回数が45万回をこなしている。
成田空港では将来50万回と言うが、C滑走路を新設しなくても、良いのではないのか。
また、ヨーロッパでは、住民の健康調査というと、調査人数が100万人単位で行われ、しかも、5年から10年にわたる長期の調査をしている。この結果も踏まえて、長期にわたる調査をしていただきたい。
第2点目は、この騒音対策委員会についてですが、もっと開かれた会議にしていただきたい。私たちは1972年に、航空局長立ち会いの下で、当時の空港公団総裁との間で「航空機騒音に関する覚書」を取り交わしました。
この中でも騒音対策委員会についての議論を行いました。騒音対策委員会は公開で、被害住民の意見も自由に発言できるようにする、と言う事になっていました。
ところが、45年も経っているのに報道陣さえ会場で傍聴できない。これをもっともっと開かれたものにしてほしい。
第3点目は千葉県が毎年出している昨年度の「成田空港周辺の騒音調査年報」が今だに公開されていない、以前は前年の12月には公表されていました、
先日、県の大気汚染課に電話したとこ「2月には公表される」とのことだったが、今もって 、発表されていません。
この県の「年表」は周辺地域の航空機騒音に関する環境基準達成率を明らかにしてくれます。
ここが共生財団の「年報」とは違うところです。早く 、発表して下さい。
最後に、ここに出席している方々全員にお願いしたい事があります。
周辺に住んでいる方々が成田国際空港株式会社からの交付金などで、住みやすい街を作り、空港で働く人たちが「住んでみたい街」を目指すことは大事なことと思うですが、これは、約50年にわったって 、日夜の航空機騒音を我慢しながら暮らしてきた、騒音下の人達の苦労がある、ということを忘れないでいただきたい。
この人たちが「騒音はあるけれど、慣れ親しんだこのふる里に住み続けたい」と思えるように、配慮していただければと思います。
その意味でも、もっと防音効果のある住宅を考えていただきたい。
以上です。
国土交通省回答 スライド制についての質問があったが、今回は34万回についての話を四者協議会で説明を行った。 C滑走路が完成したとしても、すぐにスライド制をとるわけではない。 |
以上