2009年2月10日提出の要望書
要 望 書
成田国際空港株式会社社長 森中小三郎 様
2009年2月10日
成田空港から郷土とくらしを守る会
会長 木内昭博
先日の質問書への回答ありがとうございました。
回答に基づき、下記事項を要望いたしますので、ご配慮のほどをよろしくお願いいたします。
1、先の回答で貴殿は「昨年3月に公表した30万回という数字は、『成田国際空港都市づくり推進会議』からの要請を受け、環境面、施設面及び運用面の制約を解消することができれば、現行の運用時間のままでも可能となる最大処理能力の試算を示したものであります。」と答えています。ここでは、「発着回数拡大」については述べていません。
しかるに、貴殿は先月23日の四者協議会の席上で、「成田空港の更なる容量拡大の検討に当たっての確認書」に同意し、「30万回時のコンターを作製する」と述べました。
発着回数を増やすことは騒音被害を拡大することに他なりません。
日夜、航空機騒音に悩まされている私たちは「これ以上の騒音はごめんだ。」と言うのが切実な気持ちです。
「成田空港の更なる容量拡大の検討に当たっての確認書」への同意を撤回して下さい。
2、 私たちは先の質問書で騒音対策や周辺対策について、「空港公団から貴社になって以降、騒音地域の住民は移転交渉や民家防音などの諸対策などで、貴社の姿勢が『画一的で、これまでの地域との約束や騒音下住民の苦しみと苦労を考慮しないものとなっている。』と痛感しています。」と書きました。
これに対し貴殿は先の回答で「(騒音対策について)こういった弊社の考えは、今後上場し完全民営化した後も、これまで通り変わるものではありません。」と述べています。しかしながらこの点についての私たちの心配が払拭されていません。
例えば、移転補償に際して、貴社は買い上げ価格について「路線価」での評価にこだわっています。
しかし、騒音下地域の「路線価」は航空機騒音と騒特法により、低下しています。しかし、「路線価」の下落は私たち住民には何の責任もありません。騒特法成立の際の国会付帯決議でも「住民の不利益にならないように」とされています。
しかし、移転を考えている住民はこの下落した「路線価」と、移転先の高い地価のギャップに悩んでおります。
貴社の買い上げ価格は「路線価」にこだわるのではなく、移転住民の不利益にならないように配慮するよう要望いたします。
その他の、騒音対策についても住民の立場を第一に考え行うよう要望いたします。
3、先の回答で貴殿は「騒防法・騒特法に基づいた各種周辺対策を基本に」と述べています。
しかし、私たちが望んでいるのは、現行法上の周辺対策・防音対策だけではありません。
全国各地の基地周辺騒音公害裁判の判決でも、「裁判を起こさない限り損害賠償が認められない現実」について、「法治国家としては異常な事態」とか、「違法状態」とか、「国の怠慢と言わざるを得ない」と指摘されています。
市民の一般生活での騒音についても、特定施設が発生する「周期的又は間欠的に変動する騒音は、その最大値の平均か90%レンジの上端値」が「住居地域で昼間50〜60dB、朝夕45〜50dB、夜間40〜50dB」を許容限度とし、事業者の遵守義務と知事の改善勧告・命令を定めています(騒音規制法)。
また、「騒音おばさん」として有名になった奈良県平群町では騒音防止条例を制定し、「昼間で65db(A)、夜間で60db(A)」としています。
しかし、成田空港周辺ではこれを大幅に上回る航空機騒音が広範囲に、日夜測定されています。
航空機騒音被害を我慢している住民一人一人に対する損害賠償を「過去分も含め」行うよう要望いたします。
以上