「成田空港を軍事利用しないための要請について」と回答
国交大臣 石井 啓一 殿
防衛大臣 中谷 元 殿
2015年11月10日 三里塚平和塔奉賛会
成田空港から郷土と暮らしを守る会
成田空港を軍事利用しないための要請について
1972年(昭和47年)4月15日に、平和塔奉賛会と当時の運輸大臣、千葉県知事、東京国際空港公団は、「取極書」をとりかわし、その第3条で、4点の事項を約束するとした。(なお、当時の三里塚空港から郷土とくらしを守る会と三里塚農民組合は、空港公団の総裁と「交渉覚書」をかわした。三里塚空港から郷土とくらしを守る会は、その名称を「成田空港から郷土とくらしを守る会」と変更し、今日に至っている。)
(1)新東京国際空港(当時)は純然たる民間空港であり、安保条約およびこれに基づく地位協定の存在にもかかわらず、これを軍事的に利用することは絶対に認めない。
(2)新東京国際空港の騒音対策については、各種対策に努力する。
(3)周辺農民に対して現在用地買収未済の地主およびやむをえず集団移転を余儀なくされる地主に対して、その個々の要望を聞きその移転補償問題の解決に誠意をもって対処する。
(4)第二項、第三項の細目については、要望する主眼点について十分な政策再検討を加え、関係諸団体との間に別途協議する。
そして、第4条で、「本約定に関し、特に定めなき事項があったとき、または、疑義を生じたときは、別に協議する」、としています。
9月19日に強行採択された安保関連法の審議のなかで、「取極書」に反すると思われる事態が生じています。そこで以下の点について要請します。
1、「取極書」の約定をまもるために、国としてどのように努力されているか明らかにしてください。
国土交通省回答「約束についてと、その経緯については、防衛省側に伝えてある。防衛省は約束について、良く理解していただいていると思う」
2、成田空港の軍事利用とは、武器弾薬を運ぶ、戦闘地域に行く自衛隊員を輸送することは該当すると思いますが、どう考えますか。
国土交通省回答「防衛省が軍事的利用に当たるか、当たらないか適切に判断していただいていると考える」
3、2004年から2006年までのいわゆるイラク復興支援活動に於いて、成田空港から武器弾薬を輸送していないという根拠を示してください。
日本共産党の辰巳孝太郎参議院議員の質問「武器弾薬なども民間航空会社が運んだということでよろしいですね」に、中谷防衛大臣は、「民間の航空会社と契約をして運んだ」と答えました。ところが、「イラク特措法に基づく民間航空会社の実績とかそういうものについては、関連文書が破棄されているので確定的にこたえられない」と答えられています。
この回答は、到底納得できません。武器弾薬を運んでいない根拠を示してください。
防衛省回答「契約書が破棄されているので、回答するのは困難である」
4、「軍事的利用することを認めない」という約定に反する状況が生まれており、「取極書」の約定事項の第4条に基づいて、四者による協議の場を設定してください。
国土交通省「防衛省が適切に判断されていることなので、軍事的利用は行われていない、と判断している。従って、協議の場は必要ないと考えている」
以上