千葉県の「平成24年度成田空港周辺航空機騒音測定結果報告書」を読む


@WECPNLでは達成率69.4%、Ldenで試算すると54.8%

 今年の報告書で目を引くのは,なんと言っても,12月27日の出来事でも書いた、航空機騒音新評価指標である「Lden」による試算結果です。
 来年からの報告書はこの「Lden」が用いられることになります。
 旧評価指標の「WECPNL」で計算すると成田空港周辺での測定局の環境基準達成率が69.4%と前年比0.4ポイント増になるのに対し、新評価指標の「Lden」を使って試算したところ、達成率が54.8%と14.6ポイントも低下する、と言うのです。
 その比較表を下記に載せます。薄い黄色を着けた局が「WECPNLでは環境基準適合」なのに、「Ldenでは環境基準未達成」となる局です。

 これを,コンター図にしたものが下図になります。千葉県の報告書にあるコンター図は黒一色ですので、私が見やすいように,報告書の地図に色や注釈を加えてみました。図の中で、小さくて見にくいと思いますが、薄いピンクの色をつけた測定局が「Lden」の試算で「環境基準未達成」となる測定局です。
 薄黒のエリアが「環境基準未達成」になり、このエリアの外縁が「Lden 57dB コンター」と言うことになります。旧基準の「WECPNL70」コンターよりもかなり広くなることがわかります。

@飛行回数が増えて,コンターの先端が伸びる傾向が見られる

 報告書では「今回の測定結果を前年度の測定結果と比べると、A滑走路では70WECPNLコンターが南北方向にそれぞれ約1Km伸び、B滑走路でも70WECPNLコンターが北側で約1Km伸びている」と指摘しています。
 また、B滑走路については「75WECPNLコンターが滑走路の中心から延長方向に南側が約4Km、北側が約7Kmに達し、70WECPNLコンターは南側で約10Km,北側で約9Km に達している」と指摘しています。
 B滑走路について,何故,このように南側と北側でアンバランスになるのか、75WECPNLコンターと70WECPNLコンターで北と南で逆転するのかと疑問に思い、県の担当者に電話で質問してみたのですが、「離着陸の回数の関係や、使用機材が関係しているのではないかと思う」との答えで、担当者の方も困惑しているようでした。
 報告書では、全体的に前年度に比べて,コンターが伸びているのは「総発着機数がA滑走路で約16%、B滑走路で約11%増加していることが原因と考えられる」と書いています。

@飛行回数増加で騒音値が増加、早朝便の増加が影響か

 24年度の各測定局の年間WECPNL値の経年変化を見ますと、やはり、飛行回数の増加で特にA滑走路の騒音が前年度に比べて増加しています。
 報告書では指摘していませんが、LCCの参入で、6時〜7時の飛行回数が増えたことが大きく影響しているのではないかと考えられます。今年度(平成25年度)は「カーフュー弾力的運用」の影響も加わり、飛行回数ももっと増えるものと思われ、騒音はもっと増大するものと考えられます。
 発着航空機の低騒音化も,小型化も一段落したようですから、飛行回数増加を打ち消すような、騒音の軽減は望めないのではないのでしょうか。
 下記にA滑走路とB滑走路のWECPNL値経年変化図を載せておきます。

 なお、この報告書は平成24年4月1日から平成25年3月31日の測定結果に基づくもので、測定のデータは成田空港地域共生財団の「平成24年度 成田国際空港周辺航空機騒音測定結果(年報)」を元にしています。


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