平成25年度
成田国際空港周辺航空機騒音測定結果 (年報)を読む


@初めて“Lden”による騒音評価

 この報告書は平成25年4月1日〜平成26年3月31日の結果について、成田国際空港地域共生財団がまとめたものになります。
 平成25年度年報の注目点は初めて評価指標に“ Lden ”が使われたことです。
 “WECPNL” とどのような違いがあるのか見てみましょう。
 このことについては、昨年12月に発行された千葉県の「平成24年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果報告書」にも、「新基準(Lden)による航空機騒音の評価試行」として、千葉県分は載っていますが、正式にはこの平成25年度年報が初めてとなります。

@“Lden”は“WECPNL”に比べて、評価値が高くなる

 千葉県報告書の評価試行での注目点は、「千葉県の『平成24年度成田空港周辺航空機騒音測定結果報告書』を読む」で書いたように、環境基準(旧基準・WECPNL では70、新基準・Lden で57デシベル) の達成率が、“ WECPNL”で計算した場合「69.4%」に対して、“Lden”で計算した場合は「54.8%」と大幅に下がることでした。
 このことから分かるのは “WECPNL”に比べて、“Lden”の方が高い評価になると言うことになります。

@「評価指標の差はおおむね13ポイント」との説明だった

 航空機騒音の評価方式が変更される際に受けた説明では「新旧の基準が同等でないと、混乱が起きるので、第1種区域は “WECPNL 75以上”であるが、新指標“Lden”では“70デシベル以上”とする」と言われました。
 従って、「騒防法の移転対象となる地域は“ WECPNL90以上=Lden73以上”、民家防音の助成対象となる地域は “WECPNL75以上=Lden62以上”とする」とのことでした。環境基準と騒防法第1種区域では、その数値差が「13」となっていました。

@実際の評価値差は「約11.5」

 上記の千葉県報告書にも両指標の差が載っていましたが、この年報でもこの差が一部ですが載っています。
 この両指標の差は平均で「約11.5」となっています。このことは、“Ldenの”方が“ WECPNL”よりも「約1.5ポイント高くなる」ことを示しています。
 このことを分かり易くするために、別表として、年報の結果と千葉県報告書の結果をまとめて載せてみました。
 この別表の中で、赤字で表したものが、「旧基準では騒防法の民家防音助成対象区域に入っていない所が、新基準で新たに対象区域になる」所になります。

@“Lden”は騒音下住民にとって“やさしい”が、指定区域の見直しには繋がらず

 このことは、新基準は騒音下住民にとって、騒防法第1種対象地域に新たに指定される確率が高くなる事を示しています。
 しかし、今回の年報での“まとめ”では「平成25年度の指定区域内の全測定局のLdenについては、 騒防法の第1種区域においては第2種区域に定める値未満、第2種区域においては第3種区域に定める値未満であった。また、無指定地域内の全測定局のLdenについては、第1種区域に定める値未満であった。」としており、このことから「現在の地域指定が適正であり、区域変更の必要性はない」との意味になります。
 これは、現在の地域指定が B747型機などの高騒音機比率が高かったときに、指定されたもので、多少の測定値上昇があっても、現状の地域指定を修正するまでにはいたらない、と言うことを示しています。今後、飛行回数が増えたときに、この“ Lden”値がどうなるかを注視したいと思います。

@“Lden”でも睡眠への影響は十分には考慮されていない

 また、“Lden”では夜間騒音については昼間に比べて機数を実際の10倍相当にすることになっていますが、睡眠に対する影響についての配慮が十分に考慮されている、とは言えません。
 特に、午後10時以降から翌朝午前6時までの飛行については、たった1機であっても“睡眠が浅くなったり”“目が覚めてしまったり”と言う影響があります。騒音による殺人事件などが相次ぎ、国民の多くが睡眠障害に悩む昨今、このような睡眠に対する影響を、評価値に加味することが、どうしても必要と思います。

@平成25年度の測定結果の特徴

 以下に、平成25年度の測定結果の特徴について、まとめてみました。詳しくは「年報」を見て下さい。

◇平成24年度と平成25年度の “Lden”による比較の出来る測定局では
 前年度よりもやや下がった地域は ・茨城県 ・A 北側飛行コース直下 ・ A 北側飛行コース西 ・B 北側飛行コース東 ・北側谷間
 ほぼ横ばいの地域は ・A 北側飛行コース西 ・B 南側飛行コース直下 ・南側谷間地区
 やや上がった地域は ・A 飛行コース直下 ・B 北側飛行コース直下 ・B 南側飛行コース東 ・空港側方
 (なお、“A”はA滑走路、“B”はB滑走路を指します)

◇総発着回数は
 
前年比(以下同じ)7%増の226,182回と過去最高となった。A滑走路は4%増、B滑走路は12%増と B滑走路の増加率が多くなっている。

◇WECPNLで前年度との騒音値を比較すると、大きく上昇したのは
 ○
芝山町大台局のプラス1.4ポイント増で、これは、A滑走路が南側からの着陸の際に、4000m滑走路として使えるようになり、A滑走路南端近くに着陸するようになったためと考えられる。
 芝山町高田西局の1.3ポイント増は、A滑走路の南向き離陸が前年度よりも多くなったためと考えられる。
 多古町の一鍬田局の1.8ポイント増、同町 梅の木の1.3ポイント増、同町 間倉局の1.0ポイント増は、B滑走路の離陸数が前年度比約50%増と大幅に増えたことが原因と考えられる。
 茨城県の江戸崎局の1.0ポイント増、東局の2.8ポイント増は、航空機の低騒音化により、設置当初の測定条件を実態に即したものに変更したためである。

◇高度と飛行コースの分布は
 
非常に数は少ないとは言え、離陸機において1000mもずれて飛ぶ飛行機がある。特に、B滑走路関係に多い。B滑走路で西側(A滑走路側)に1000mもずれるのは同時離陸の場合、危険がある。B滑走路の方が A滑走路に比べて、ばらつきが多い。

以上


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