第34回成田国際空港騒音対策委員会議事録
平成 19年 3月 29日 成田国際空港株式会社
第 34回成田国際空港騒音対策委員会
<議事次第> 開会 ‐委員長挨拶 委員紹介
議題報告・成田空港の現状及び環境対策実施状況について
質疑応答 閉会
。成 田 国 際 空 港 の 完 全 民 営 化 に 向 け た 最 近 の 動 き に つ いIC
役職等氏名備考
<成田地区部会> 成田市長 成田市議会議長 成田市議会空港対策特別委員会委員長 成田空港騒音対策地域連絡協議会会長 成田空港騒音対策地域連絡協議会事務局長
<芝山地区部会> 芝山町長 芝山町議会議長 芝山町商工会長 芝山町谷間地区代表
<山武・横芝光地区部会> 山武市長
横芝光町長
<多古地区部会> 多古町長
<富里地区部会> 富里市長
<香取・神崎地区部会> 香取市長 神崎町長
<河内・稲敷地区部会> 河内町長 稲敷市長
小泉 一成 岩澤衛 青野 勝行 平山 正吉 郡司 福男
相川 勝重 八角 憲章 飯高 稔雄 鈴木 征夫
椎名 千収 佐藤 晴彦
菅澤 英毅
相川 堅治
宇井 成一 石橋 輝一
野高 貴雄 高城 功
役職等氏名備考
<千葉県> 総合企画部長
<茨城県> 生活環境部長
<航空会社代表> 株式会社日本航空インターナショナル成田空港支店長
成 田国際空港 AOC議 長
<学識経験のある者> 千葉大学名誉教授 成田空港から郷土とくらしを守る会事務局長
<国土交通省> 航 空 局 成 田 国 際 空 港 課 長 東京航空局次長
東京航空局成 田国際空港長
<成田国際空港株式会社>
副社長 常務執行役員 地域共生部長
石渡 哲彦
替地 享二
福田 全良 中西 一夫
鈴木伸 岩田 公宏
一 郎
儀明 山田 邦男
唯野
田邊 英夫 伊藤 斉 後藤 幸雄
代理出席 総合企画部 理事 堺谷操
代理出席 生活環境部 環境対策課長 小関 雅志
代理出席 成田空港支店 総務部長 中西 真男
代理出席 FOSC(運 航小委員会)
】可月己
副議長
代理出席 東京航空局 保安部長
田中 利明
木村 茂夫
【司 会】 定刻となりました。ただいまから第34回成田国際空港騒音対策 委員会を開催させていただきます。本日の司会進行を務めさせていただきます 私は、成田国際空港株式会社地域共生部の伊藤と申します。よろしくお願いし ます。
それでは、議事次第にしたがいまして、本委員会の委員長であります成田国 際空港株式会社田邊よりご挨拶させていただきます。よろしくお願いします。
委員長挨拶
【田邊委員長】 NAA成 田国際空港会社副社長の田邊でございます。どうぞ よろしくお願いします。本日は年度末という大変お忙しい中でございますが、 この第34回騒音対策委員会にご出席を賜りまして誠にありがとうございまし た。騒音対策委員会を開催するにあたりまして、一言、ご挨拶を申し上げたい と思います。
これまで弊社では皆様の貴重な意見を賜りながら、航空機騒音対策をはじめ とする環境対策や、共生策に取り組んでまいりました。また地域と空港の共生 に努めてまいったところでございます。おかげさまで今 日まで大きな事故もな く、円滑に運営できましたのも、ひとえにご臨席の皆様をはじめとする地域の
皆様方のご協力によるものと心から感謝を申し上げる次第でございます。 さて昨年から最近までの成田空港の動きについて4点ほどお話させていただ
きます。 まず1点日ですが、北伸による平行滑走路の整備についてです。昨年の9月
に国や千葉県、周辺自治体、弊社の四者による四者協議会におきまして、騒音 対策の内容、発着回数の20万回から22万回への増加などを含めた北伸によ る平行滑走路の整備計画について合意をいただき、9月 15日に工事に着手し ました。これもひとえにご臨席の皆様をはじめ、地域の皆様方のご理解とご支 援の賜物と感謝を申し上げます。これからは北伸整備に伴う環境対策、共生策 についても工事の後追いにならないように、しつかりと実施していきたいと思
っています。現在、2009年 10月末までに工事を完成させて、2010年 -1-
の3月の供用開始を目指し、工事を進めています。 次に2点目ですが、成田空港の運用についてです。この1年間の動きを振り
返ってみますと、平成18年の発着回数は過去最高を記録した前年度の実績を 上回る18万9, 000回、それからご利用いただいたお客様については、前 年実績を1%上回り3, 190万人と、こちらも過去最高を記録しました。そ
して航空貨物については、前年同様の223万 トンとなりました。 次に3点日ですが、空港施設の整備状況についてです。1995年 に着手し
た第1ターミナルビルの改修工事が順調に進み、昨年の6月に南ウィングと第 5サテライトがグランドオープンしました。これにより第1旅客ターミナルビ ルは延べ床面積44万平米という我が国最大の旅客ターミナルビルに生まれ変
わりました。これを機に2つの旅客ターミナルの運用面でのアンバランス (片 方がだいぶ利用客が多かったという点)がありましたが、その解消を図るため に、それぞれのターミナルに入つている航空会社の再配置を実施しました。再 配置後ですが提携航空会社の乗り継ぎが、1ビルなら1ビル、2ビルなら2ビ ルというような同一ビル内で可能になり、お客様にとっても大変利用しやすく ならたと思つています。また第2旅客ターミナルビルも昨年の8月 に搭乗ゲー トを増設し、現在では店舗エリアの拡充等の改修工事を進めています。来る4 月9日には、ブランドモールとして成田5番街等が供用される予定となつてい ます。
次に4点目ですが、成田空港の今後についてです。民営化して4年目となる 今年は、弊社の形を固める非常に大切な年になるだけではなく、成田空港にと って将来を左右する重要な年になるのではないかと考えています。弊社では株 式上場に向けて、昨年10月に上場準備室を設置し、上場の準備を開始しまし た。収益拡大のために空港内のリテール事業等を積極的に展開するなど、非航 空収入の増大を図るとともに、業務の効率化による更なるコス トの削減に取 り 組んでいます。
また昨今、成田空港をとりまく環境が大きく変わりつつあります。羽田空港 の再拡張事業についても最近の情報によれば、3月末には着工することになっ たようですし、2010年 10月には供用開始が見込まれることが決まったと 聞き及んでいます。しかし、成田空港にとって北伸による平行滑走路整備以降
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の姿はまだ今の段階では白紙の状況にあります。成田空港は言 うまでもなく国 民の皆様のためのものですが、地域社会のものでもあります。平行滑走路の北 伸以降、地域社会として成田空港に何を期待するのか、そんな声もお聞かせい ただければ幸いです。私どもはこれからも地域のさまざまな声に耳を傾けて、 いっそ うきめ細かい環境対策や共生策に努めるとともに、生活環境・地域振興 についても地域の皆様方と一緒に取り組んでいきたいと考えています。そして 空港と地域が将来にわたつて、ともに栄え、支え合えるような関係を築いて成
田空港がどのようなことをしたら地域にとつて良い空港になるのか、また愛さ れる空港になるのか、よく考えて実践していきたいと考えています。この場を お借 りして変わらぬご支援のほどお願いいたします。
本日は、市町村合併後の新しい地区部会としての本委員会ということですが、 ご臨席の皆様のご意見を伺える大変貴重な機会ですので、時間の許すかぎり議
論をしていただき、有意義な場にしたいと考えています。よろしくお願い申し 上げます。皆様方のご協力をお願いいたしまして、冒頭の挨拶とさせていただ きます。どうもありがとうございました。
【司 会】 どうもありがとうございました。それでは報道関係の皆様、申し 訳 あ りま せ ん が 、 これ で ご退 室 を お 願 い しま す 。
委員紹介
【司 会】 続きまして、本日ご出席の委員の皆様を私からご紹介させていた だきます。
【※別紙名簿に従い、出席している委員を紹介】
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議事録確認者の指名
【司 会】 次に、議事録確認者の指名をさせていただきます。指名は、委員 長からお願いします。
【田邊委員長】 議事要旨を記録しますので、後日、委員の代表の方お二人に 内容等についてご確認 していただきたい と思います。
議事録確認者のご指名については、私の方に一任させていただいてよろしい ですか。
【異議なし】
【田邊委員長】 ありがとうございました。それでは、私の方から指名をさせ ていただきます。山武市の椎名委員な らびに河内町の野高委員のお二人にお願 いしたいと思います。よろしくお願い します。
議題報告
【司 会】 本日の議題に入らせていただきます。お手元にお配りしてある資 料を基に進めます。今日の議題のうち「成田空港の現状及び環境対策実施状況 について」につきましては、弊社地域共生部担当部長の行方より、また「成田 国際空港の完全民営化に向けた最近の動きについて」につきましては、国土交 通省航空局成田国際空港課長の羽尾様よりご報告します。議題報告終了後、1
0分程度、休憩を設けます。休憩後に引き続き質疑の方に入らせていただく予 定になっています。よろしくお願いいたします。
【議題 成田空港の現状及び環境対策実施状況について】
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【司 会】 それでは、議題1の報告「成田空港の現状及び環境対策実施状況 について」をよろしくお願いします。
【行方担当部長】 成田国際空港株式会社地域共生部の行方です。これから議 題報告のその1「成田国際空港の現状と環境対策実施状況について」をご報告
します。 まず目次ですが、今日の現状の説明について2点あります。1点目は成田国
際空港の運用等についてです。2006年 度の運用実績、2007年 3月期の 決算見込み、環境対策です。それから次に平行滑走路北伸整備の状況について
ご説明します。 まず運用状況ですが、こちら成田国際空港の主要な施設の図面です。これは
昨年 7月 10日 に平行滑走路の北伸整備に関する飛行場変更認可申請の時に作 つた図面です。成 田国際空港は昭和 53年 5月 20日 に開港 して、この 4, 0
00m滑走路とこれに付帯する施設で供用しました。その後、4,000m滑 走路と2, 180mの 暫定平行滑走路の2本で運用していて、供用している面 積というのは940haで す。まだ空港の中に3.6haほ ど未買収用地があ
ります。その結果まだ完全に完成 しているわけではありません。そして今回、 北伸整備 による平行滑走路の整備 とい うことで、暫定平行滑走路 2, 180m の滑走路のさらに北側に320m延 伸するのが北伸の計画です。それに付帯す
る誘導路の整備と未買収地を避けるような形で東側の誘導路を設置して、これ を完成させるというのが北伸の計画です。北伸終了後、成田空港の面積は1,
125haに なります。 次はこれまでの運用の実績です。成田空港の発着回数は2005年 度の実績
で18万8,000回 になつています。成田空港の年間の空港容量、発着可能 な回数は20万回と言われていますから、その94%について埋まっていると いうことです。開港当初、発着回数は6万5, 000回でしたが、平成 17年 度には18万8, 000回ということで、約3倍になつています。それからお 客様の数ですが、開港当初は年間816万人のご利用がありましたが、平成1 7年度には3, 145万人と4倍となっています。貨物の取扱量も開港当初は 年間45万トンでしたが、平成17年度は224万 トンで約5倍になりました。
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現在、成田空港の貨物の取扱量は世界第2位と言われていますが、最近、大韓 航空が貨物の取り扱いを強めています。仁川空港がハブとなり、2006年 度 は成田空港が2位から3位に転落する可能性があります。それだけ今、東アジ アと言うか、ソウル0上海等の経済成長が著しいということです。以上が最近
の運用実績です。 次に、これは 2007年 3月 期の決算の見込みです。連結決算、成 田空港株
式会社のグループ会社22社を含めた決算です。2005年 度と2006年 度 を比較しますと、2005年 度の営業収益は1, 712億円でした。2006
年度の今回の見通しは1, 840億円ということで128億円の増収になりま す。この増収は昨年6月に第2旅客ターミナルビルにナカミセというショッピ ングモール免税店をオープンしましたが、そこの業務収益が上がってきたとい
うことで128億円の増収になる見込みです。それから営業利益ですが200 5年度は420億円でした。2006年 度は300億円ということで120億
円の減益があるということです。これは大規模ターミナルビルの費用がこちら の方にのつかつてきて、前年から120億円の減益ということです。経常利益 も320億円から190億円となり、130億円の減益、そして当期利益は1
00億円となつています。経営実績としてはいい実績を保つているということ です。
次に騒音の測定値です。成田空港の周辺には102箇所の騒音の測定局があ りますが、日夜、成田空港を離発着する航空機の騒音を監視しています。この うち、空港会社は33局の測定局を持つています。2005年 度の共生財団の
発表ですが、102局 での測定の結果、すべて騒防法の基準内に収まっていま す。そして、前年度よりもW値 (=WECPNL)が 下がつた所は102局の うち79局ありました。全体的には騒音は下降の傾向にあります。それから残 念なことですが、逆転現象、これは皆様に騒音に対する不信感というものを植 え付けてしまったのですが、逆転現象が測定された測定局は28局あります。 158という小さな数字ですが、28局において逆転現象
測定値の最大で0。 が発生しているという状況です。以上が騒音測定の状況です。
次に北伸整備の状況についてご説明します。平行滑走路の北伸整備の図面で す。本来ですと、2, 500mの 平行滑走路を作る計画でしたが、ここに未買
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収地があるため、ここの農家の方々のご理解が得 られなかったということで、 暫定平行滑走路2, 180mの 滑走路をさらに北に320m伸 ばしたのが北伸 の計画です。そして、この北伸の計画については、皆様のご理解をいただきま
して、昨年9月に四者協議会において合意いただき、9月 15日に着工しまし た。工事の中で国道51号線というトンネルがあります。この切り替え工事は 一番時間がかかるということです。この工事については昨年12月 11日に本 格的に■lIしました。それからもう1つ大きな工事になるのが、未買収地を迂 回するような形で約2kmの東側の誘導路を作ることです。この工事について は、ここに東峰の森という弊社が所有している土地がありまして、その森に対 して昨年9月、未買収地に住んでいる方々から、「その本を切るな」という仮処 分の申請を裁判所に訴えられましたが、昨年12月にその申し入れは却下され ました。そして今年2月 26日に東側誘導路の工事に着手しました。この工事 に着手 したことにより、 2010年 3月 までの 2, 500m平 行滑走路の供用 については大きな障害がなくなりました。これからはどれだけ工事を早く進め て前倒 しにできるかとい うのが私たちの最大の努力だと思っています。工事が 完成すると北伸後には、この滑走路を用いて22万回の発着が可能になります。
繰 り返 しにな りますが、経緯について簡単に説明 します。 2005年 8月 に国 土交通大臣から平行滑走路の北伸整備の指示があ りました。10月 3日 に弊社 が平行滑走路の北伸整備の概要と、10年後に予測される騒音影響範囲等を地 域に説明をしました。そして概ね地域の理解が得られ、2006年 7月 10日 に平行滑走路の整備に関する飛行場の変更許可申請を申請し、9月 5日には四 者協議会において、平行滑走路の北伸整備 と発着回数 22万回への増加の合意 が得られました。そして9月 11日に飛行場の変更許可をいただき、15日に 着工、昨年の暮れには国道51号線の付け替え工事に着手しました。今年の2 月26日には東側の誘導路の工事に着手し、2009年 10月 31日には北伸 の平行滑走路の工事が完成する予定です。翌年の 2010年 3月 には供用 した いと思つています。そして国道51号線の付け替え工事の予想ですが、昨年1 2月 から飛行機、航空機が飛んでいない夜間の工事をずつとしていました。最 近になり、だいぶトンネルの掘削が終わりましたので、昼間でもトンネルの中 で工事ができる状況になりました。このように北伸の工事が順調に進んだこと
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は、ひとえに成田市、それから芝山町をはじめとした空港周辺の市町の皆様、 そして千葉県の皆様、そして成田空港騒音対策地域連絡協議会関係者の皆様の ご理解とご支援の賜物ということで非常に感謝しています。皆様の期待を裏切
らないためにも、きちんと平行滑走路を2010年 の3月までに供用したいと、 そして共生をさらにいっぱい積み、地域の皆様と共栄できるような空港に育て 上げたいと考えています。以上が成田空港の現状です。
次は環境対策の実施状況についてご説明したいと思います。一番目の項目は 環境対策の項目です。そして2番目の項目は全体計画です。そして3番目の項 目は平成 17年度までの実施の累計です。そして平成 18年度の実施見込み、 最後は平成 18年度までの累計ですが、この数字は未実施のところもあり、固 まった数字ではないので、その後若干、変わることもあるということをご承知
いただきたいと思います。 まず 1番 目の学校等の防音工事です。 この学校等の中には、学校の校舎、講
堂、病院、そして保育所等が入つています。そこの防音工事に対して助成する のが学校等の防音工事と助成であります。全体で空港の周りには129施設あ ります。平成 17年までには、そのうちの 120施設の学校等の防音工事が終 わりました。平成18年度の施設は成田市の久住中学校の今後の防音工事の助 成です。これまでかかった費用は214億円です。それから空調設備等機能回
復ですが、これは学校等の防音工事に際して設置した空調施設が設置以降15 年経つと非常に機能が低下してくるということで、それを更新したものです。 平成 17年度までに76の施設について更新しました。昨年度実績がありませ んが、それを合わせて1番目の学校等の防音工事については214億円使われ ました。
次に2番目の共同利用施設の整備です。これは学校等の防音設備等と同じよ うな形ですが、学習のためや集会のための施設、それから公民館などに対して 防音工事をする場合に助成するのが共同利用施設の整備です。全体計画として は140施設あります。そのうち平成17年度までには137の施設について 防音工事の助成を行いました。平成 18年度は特に実績はありません。それか ら空調設備の機能回復ですが、これも学校等と同じように空調施設が15年以
上経つと非常に機能が低下してきています。それに対して更新をするのが機能 -8-
回復です。これまで平成17年度までには88の施設について機能回復を行い、 平成 18年度は山武市の木刀、横芝光町の木戸台の共同利用施設の空調機能回 復を2件しました。全体の累計は31億円になつています。
次に3番目の住宅防音工事です。住宅防音工事 (1)ですが、この中には3 つの種類があります。「1種区域」とは、騒防法第 1種区域の告示で、すでに告 示の前にお住まいの方に対する住宅防音工事の助成、それから「再助成」とは 改築等にあたつた時の助成です。「告示日後」とは告示日後住宅への助成という
3つです。全体計画では4, 968戸あります。そして平成 17年度までには
4, 390戸の住宅防音工事の助成を行いました。そして平成 18年度は12 戸の住宅防音工事の助成を含めて、累計としては4,304戸 となっています。 それから再助成とは住宅防音工事の実施済みの住宅の改築に合わせて、防音工 事を行う場合に助成をするものです。これは平成7年4月から実施している制 度ですが、平成 17年度までの実績では55戸に対して再助成を行いました。 平成18年度は2戸ということです。最後に告示日後の住宅ですが、これは8 5WECPNLの 区域において、昭和51年1月 19日から昭和57年3月 3
0日までの間に建設した住宅、それから80Wから85Wの住宅の区域におい て、昭和54年7月 11日から昭和57年3月 30日までに建設した住宅を対 象とした防音工事の助成です。平成17年度までに43戸に対して助成を行い、 平成 18年度は 1戸です。(2)と して空調設備の機能回復がありますが、住宅 の皆様の所に付けてもらうエアコンの機能回復です。これは設置後10年ぐら い経つと、非常に性能が悪くなるのでその時に取り替える工事についてです。 全体計画は10, 673台 ありますが、平成の17年度までには5, 842台 終わつています。そして平成18年度は164台、この更新を実施しました。 それから再更新ですが、(3)の空調設備の機能回復再更新で、平成12年度か
らさらに10年後経つた空調機をさらにもう1回更新するということですが、 これも平成17年度までには880台終わつています。平成18年度には36 6台の再更新をしました。これら住宅防音工事にかかつた費用は、これまでの 累計で232億円となっています。
次に4番目の移転補償です。これは騒防法第2種区域及び騒特法の防止特別 地区80WECPNL以 上の地域ですが、そこにお住まいの方々に対する移転
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補償です。全体計画では963戸の計画があり、平成17年度にはその内の8 61戸に対して移転補償が終わりました。そして平成18年度は9戸の移転が あります。この内の1戸は第2種区域の移転であり、残りの9戸が騒特法によ
る防止特別地区の移転です。まだ93戸の残りがあります。これは環境対策と して 1, 621億円かかり、環境対策の費用の約半分がこの移転費用になつて
います。 次は5番目の緩衝緑地整備ですが、成田空港では平成7年3月に策定した成
田国際空港周辺緑化基本計画に基づき、防音林・防音堤の整備、周辺の緑地の 整備を行つています。防音林 0防音堤の整備については、全体計画が81.6
haあり、そのうち59.4haが 終わっています。緑地整備については、8
9.Ohaあ り、そのうち27.7ha終 わつています。そしてこの費用は1 億円とあり、これは4,000m滑 走路の南側のグリーンポート・エコアグリ パークの整備に使われた費用です。
次は電波障害対策です。電波障害対策については平成 16年度においてすべ ての対策は終了しています。この対策にこれまでかかった費用は207億円で す。それから騒音測定ですが、先ほどお話した成田空港会社の持つている33 の測定局の費用です。これが今年度は11億円、そしてこれまでの累計として
106億円かかりました。 それから最後に周辺対策交付金ですが、これは平成 17年度までに773億
円交付しています。そして平成18年度には40億円、これは空港周辺の10 市町および千葉県、それから茨城県に交付しています。これまでの累計は81 3億円で、これも環境対策事業費ということで25%が交付金です。平成18
年度の環境対策事業費は80億円、これまでの累計として3, 289億円にな っています。以上が平成 18年度の環境対策の実施状況です。
どうもご清聴ありがとうございました。以上です。
【司 会】 どうもありがとうございました。行方担当部長より成田空港の現 状及び環境対策実施状況についてご報告いただきました。
続きまして、成田国際空港の完全民営化に向けた最近の動きについて、成田 国際空港課長の羽尾様 よりご報告をいただきます。
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【羽尾成田国際空港課長】ご紹介いただきました航空局成田空港課長の羽尾で す。本日はこの時間をいただき、成田空港の会社の完全民営化に向けた最近の 動きについて、ご報告、ご説明をします。30分ほど説明したいと思いますの で、よろしくお願いいたします。お手元に2つの資料を準備いたしました。今 後の国際拠′点空港のあり方に関する懇談会報告の抜粋版と、今後の国際拠′点空 港のあり方に関する懇談会報告のイメージという2種類を用意しています。ま ずイメージで簡単にご説明 したいと思います。成田空港の経営形態については、 平成16年4月に現在の成田空港株式会社という特殊会社になつています。こ れは平成14年12月の閣議決定を受けて、まず特殊会社化するという、今後、 完全民営化に向けて取り組んでいく第一段の措置として特殊会社化したもので す。現在もそうですが、この株については国が100%保 有しているという状 況です。今後、完全民営化を進めていくことになれば、この株を100%市 場 に放出することになりますが、この場合に成田空港の経営が純民間企業として 行われていくという場合、それをどのように見ていくかということを念頭にお いて、この国際拠点空港のあり方に関する懇談会を有識者からなる場で去年の 秋から検討をはじめました。座長には一橋大学の山内先生に就任していただき、 約8人のメンバーで審議を半年余り行つてきました。報告書の前半は国際拠点 空港の果たす機能などについて、あるいは政策の方向というような総論的な話 になっています。後半には完全民営化を行う場合の課題とその解決の方法とな つています。この国際拠点空港という場合、現在、成田空港の話が今日の中心 ですが、同様に特殊会社であります関西国際空港株式会社、それから指定法人
として中部国際空港株式会社という3空港があります。これは我が国の国際輸 送の9割以上のシェアを占めていることから、この3空港を国際拠点空港とい う形にとらえ、今後、完全民営化していくという中で、どういうふうに整理し ていくかと議論を整理したものです。この国際拠点空港について完全民営化 云々の議論の前に、どういつた事業特性があり、空港はどういう機能を果たす べきかという点が整理されています。まず空港の事業特性としては、安全・安 心の確保やサービス水準の向上、それから事業継続性・安定性が必要な事業で あるのと、この空港の整備には巨額の資金と長い回収期間を要するという状況
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と、かつ他の施設の代替が困難で不可能な施設がありまして、地域的にその中 で独占の状況になつているというものです。成田の2本目の整備の目処がつい てきたということや、関西国際空港が8月には2本目の滑走路ができるという ことがあり、民間に経営を委ねる基盤が形成されつつあるという点、さらに空 港の場合に騒音などの外部不経済、それから一方で地域経済の活性化、こうい つた点で地域との共生が重要な事業であります。その上で拠点空港の果たすべ き機能ということです。
まず1つ目の黒点のところにあるように、社会経済の活性化あるいは国際競 争の強化に資する社会インフラであり、今後も増え続ける需要に的確に対応 し て容量の拡大を図られたネットワークの結節点として機能を果たすべきです。
さらに空港経営についてはコス ト削減あるいは非航空系収入の拡大によって使 用料の低減などを図つていく、公平公正で安全良質なサービスの提供を通じて 利用者利便の向上に努めます。騒音が地域に与える影響、地域経済に果たす役 割を踏まえて、地域との共生を果たしていきます。最後に経済面以外にも、わ が国の魅力・文化の世界への発信などといった機能があります。こういう整理 を報告書ではしています。
政策ですが、国際拠点空港をめぐる航空政策について、これまでの現状と今 後の環境の変化というものを整理しています。現状は皆様も感じているように、 我が国の政策 としては需要に対応 して空港を整備するとい うところにまず重点 を置いていました。あるいは、それに一生懸命でした。そういう意味で空港整 備をあまりに中心にしているということで、今後それぞれの国際拠点空港が発 揮すべき機能やそれぞれの役割・将来像を含めて政策的な方向性が示されては いなかったという整理がされています。一方で空港についても、これまでは主
として成田空港も開港以来、当初の状況から見ても、いわゆる安全な運航ある いは航空機の離着陸、利用者の利便の確保が中心でしたが、関西国際空港等の 開港の頃から非航空系いわゆる商業系の取 り組みも行つて利用者の利便に取 り 組むという、ようやく最近一生懸命になってきている状況だと整理されていま す。環境の変化 として、アジア各国を見れば複数の滑走路を有する大規模な空 港の整備が非常に進んでいます。わが国について見れば他のアジアに比べ色々 な事情により割高な着陸料になっています。着陸料を引き下げて国際競争力の
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強化の必要性が言われています。その他、観光の交流などあるいは商業面での 活性化といつた意味での、利用者の多様化するニーズヘの対応の高度化が求め られていると言われています。さらに行政改革の流れの中で、国際拠点空港の 完全民営化が方向性として閣議決定をされているヨーロッパなどを中心に各国 とも国際空港の民営化がどんどん進んでいます。加えてその資本・商圏の条件 を見ると、イギリスなどで民営化した結果、フェロビアルというスペインの建 設業者に買収された事例も起きています。インフラの投資ファンドが膨大な資
金を集めて資金の投資先を探している状況になっています。わが国でもM&A が進展をしている状況にあります。さらにこのM&Aの状況などは、ますます 今後変化が進んでいくと思われ、そのようなことに対して柔軟に対応していく 必要性があります。
次に今後の方向性です。国際拠点空港完全民営化について、空港においては 民間の創意工夫、経営の自主性を活かして効率的な経営を行つていくことが必 要です。その中で利用者に便利で快適なサービスの提供、あるいは機動的な空 港運営を利用者に機動的に反映していく形で拠点空港の完全民営化を進めてい
くことです。一方で、国においても国際拠点空港をめぐる航空政策を明確に提 示していくこと、これは具体的には空港の将来10年後にどのような機能を発 揮させるべきなのかという点を加えて完全民営化した空港について、一定の基 本的な運営のルールみたいなものを作成していくべきではないか。今、国が1
00%株を持ち、成田空港会社法という法律に基づいて監督していますが、完 全民営化により失つた場合でも、今までのような指導監督統制といつたもので はなく、いわゆる一定のルールを国民にも明らかな形の中で運営されていくよ
うな仕組みを作るべきだと言われています。一方で完全民営化すると、証券市 場で株が流通される中で監視されるという意味で、株主からの監視もあります し、カロえて会社に対しては、きちつとした情報の開示、地元あるいは利用者ヘ も情報の開示を求めて、適正な監視が行われていくようにと、仕組みの中で今
後進められていくべきだと言われています。 次に国際拠点空港の会社の完全民営化です。民間経営手法によつて空港経営
が効率化される、あるいは経営の自由度の向上によって創意工夫が発揮される。 さらに国有財産の圧縮による行政改革の推進が行われる。こういつた効果を経
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て、利用者利便の向上、良質のサービスの提供が期待されるという点と、わが 国の国際競争力の強化につながる。こういつた整理の元、すでに閣議決定など で方向が決まっていますが、完全民営化を行 うにあたって、そのままの形で全 てを純民間企業に委ねた場合に、果たしてそれでいいのかという点から課題が 提起されています。
1点目に政策と経営方針との不整合から来る課題があります。拠点空港の政 策と空港会社の経営方針とが整合しない場合が生じる恐れがあります。こうい った場合どのように確実に実施していくのかという′点。
2点目に事業特性から高い参入障壁、あるいは地域独占という観点、あるい は代替不可能の空港であるという点から見ると、利用する航空会社・貨物業者・
利用者から見ても、その利用料金・着陸料や旅客の払う施設使用料などが、そ のまま高騰・高止まりしてしまうという意味でのサービス水準の低下という事 態への恐れというものが出されています。
3点目に敵対的買収のリスクからくる課題です。市場で株が誰でも買えると いうことになりますと、空港の公共性を理解しない者、あるいは長期的な企業 価値の向上に関心がなく売 り抜けなどを考える者の買収が行われて、よくない 事態が生ずるのではないかということです。4点目に経営者として株価の維 持・配当を優先することから、環境対策などの公共的な観点からの投資が資本 的コストに見合わないことで、実施されない事態が生ずるのではないかという
恐れ、その他同じブロック圏内での、他の空港との役割分担、あるいは財務状 況の改善、これは特に関西国際空港株式会社のように1兆円を超える有利子債 を持っている会社を念頭に置いていますが、個々の空港毎の課題もきちつと整 理し明確に示さないと、株式市場で正当な評価を得られないという点が出され ています。完全民営化を進めるにあたって、こういった点を解決するために適 切な措置を講じていかないといけないということです。
そのための具体的な課題の解決策の方法です。この懇談会の報告でも個別具 体的にこうするべきだというふうに特定するところまではいたっていません。 一定の考え方あるいは方向を示しているというところです。その中で若千のご 報告をさせていただきますと、先ほどの課題を解決するためということで、「国 際拠′点空港政策を踏まえた空港機能の拡充に向けて」ですが、まず国も政策と
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して明確な将来像を提示する、将来計画を明らかにするという点、政策との整 合性を図られるようにするということ。その点は利用者・周辺地域にもきちつ と明示することが必要である。会社の方も実質的な経営を行つていく、その中 で投資判断は尊重されていくということでありますが、公共的な見地から必要 的な投資をどのように確保するか。場合によつては料金を値上げしてでも投資 を回収するということも含め、方策を考えていくということです。解決策の例 として国が方針を作成 し、会社がこれを基に事業の基本計画といつた形で利用 者や地域に、会社の5年、10年の将来像を示しながら事業を行つていくとい
う姿が描かれています。 「適正な料金水準の確保に向けて」というところですが、基本は民営化する
ということですから、自主性・創意工夫によつて、機動的に料金設定を行つて いくことが基本になります。ただし、株価の維持・配当の維持のための圧力、 あるいは独占による弊害ということもありますので、その弊害を回避すべく料 金についての必要最小限のルールを法律なりで制定していくことが必要である と思います。しかし、その中でも自由に自主的に経営を行つていくという意味 では、リテール事業などの非航空系事業の料金については、空港会社の創意工 夫に委ねるのが良いのではないか。ただしその場合も増収をすべて株主に配当 するだけではなく、一部は利用者にも還元されていくという方策が必要ではな いかという意見もありまして、さらに検討を深めるべきであると思います。
加えて、料金についても利用者の納得を得ることが大事ですので、料金に関 して情報の開示などの透明性の確保が重要であるという点も指摘されています。
解決策の具体例は、航空系事業の着陸料や旅客が支払 うPSFCと 言われます 旅客施設利用料などについて、適正な料金水準の確保を行 うための一定のルー ルに基づいて設定されることです。例えば届出をしてその料金が不当であれば、 国が変更命令を課すような仕組みであるとか、あるいは上限のみは国の認可を
かからしめて、下限については値下げするのは自由に委ねることなどが例示で あげられています。非航空系のリテール事業などについては、基本的に空港会 社の創意工夫に委ねていくという点をベースにすべきであります。
そ うした基礎情報の明示が重要であるとい う仕組みが示 されています。「適正 な資本構成・株主構成の確保に向けて」についてでございます。空港の公共性
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を理解 しない者、あるいは長期的な企業価値の向上に関心がない者で、高値売 り抜けや高値での買い取り要求を目指すような者からは、敵対的買収が行われ てしまうようなことを防御しなければいけないでしょう。外資が空港を支配す るといつた面についても、国家的な見地からの懸念、特定の株主が一気に大量 に株を持つて空港を支配するといつた面での空港経営の中立性を確保しなけれ ばいけないのではないかという面。解決策の例として、一定のルールを定める 対象 として、例えば外資による保有を制限すべきではないか、一株主による大 量保有を制限すべきではないか、拒否権付き株式いわゆる黄金株を発行して、 国がその一株を持つてよほどの事態については国がストップできるということ
を考えるべきではないかということです。ただし、ルール・制限を加えればカロ えるほど、株式の流動性は低下する恐れもありますし、経営者に対する市場圧 力の低下という懸念もありますので、こういつた点に留意しながら、さらに検
討を深めるべきであります。 4点目に「環境対策・地域共生策などの適切な実施に向けて」です。これは
公共的な見地から必要な環境対策などについて、空港会社の役割を踏まえつつ もその実施を確保すべきであります。成田空港の場合は特に、航空機騒音防止 法など以上の措置を講じてきています。交付金や共生財団による対策などを行 つていますが、このあり方を今後も整理 して適切な対策の実施を確保する必要
があります。 また、こういつた内容をきちっと地元へ情報提供し、双方向で意見交換がで
きるようにしていくこと。空港の地域の観光の活性化などの地域への役割をき ちつと果たしていくこと。最後に関空・中部は成田とは違う点を指摘していま す。地域環境対策等が適切に実施される方策として、例えばこの環境対策等の 実施をきちっと会社に義務付ける、あるいは空港会社の事業経営の指針に位置
づけられるようにするなどの点を検討すべきだということになっています。 次に適正な事業運営の確保に向けてですが、空港の運営事業が適正に続いて いかないといけない、事業の継続性・安定性が不可欠であります。さらに経営 の透明性・公開性も重要だとい う点で、他の運営事業・インフラ事業における 措置、制度などを参考に適正な事業運営確保を講じていくことが求められてい
ます。
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その他、成田・関空・中部それぞれに空港毎の課題が整理されています。成 田の場合、羽田空港との役割分担、2010年 10月 から国際線が3万回程度 就航されるという羽田空港との役割分担、それから内陸空港としての環境対策
の適切な実施、公団から特殊会社になる際に地元との合意事項などが取 り決め られていますが、そういつたものの取り扱い、平行滑走路2, 500m化 以後 の空港整備の方針などが、一定の整理をしつつ完全民営化に移っていくという ことが記載されています。関空・中部もそれぞれの課題が整備 されています。
以上が懇談会の報告の概要です。 実はこれを受けて今後4月に並行して交通政策審議会というところで、航空
分科会を設けて航空政策全般の審議をいただいているところです。この懇談会 の報告もそこで報告して、その審議会でさらに議論を深め、現在6月頃を目途 に方針を出していただいて、それを基にさらに完全民営化に向けた準備をして いくことになっています。
もう1つの資料の懇談会報告は、本騒音対策委員会に関わるような事項につ いて抜粋をしてきたものです。直接の懇談会報告の文言を見ていただく方がよ ろしいかと思い、作ってきたものです。
まず1番目は拠点空港の現状これまでの経緯・課題など報告から始まりまし て、2番目で事業特性と果たすべき機能です。空港の特殊性、独占的な性格が あることや事業を継続しないといけなしν性格であること、航空機騒音をはじめ
とする外部不経済を発生させる施設であるとい うことを忘れてはならない。特 に成田空港は内陸にあつて、環境対策の実施が強く求められている。一方で地 域の雇用を創出する場として、地域経済の活性化に寄与する施設として地域振 興の核となりうる特性を有しているということが触れられています。
そして国際空港の果たすべき機能の中でも、諸機能の中にカロえて2例、国際 拠点空港は騒音が地域に与える影響や、空港が地域経済に果たす役割などにつ いて十分に認識し、地域の中の空港としてまた地域振興の核として、地域との 共生という視点に立って運営を図つていくことが重要であるという記述がされ ているものです。
3番目で、拠点空港をめぐる航空政策とそれを取り巻く環境の変化というこ とです。4番目は、今後の拠点空港政策の方向と国と会社の役割というところ
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です。5番目として、完全民営化を円滑に進めるにあたっての課題と解決策の 方向についてです。
(1)は先ほど4つの懸念を掲げた上で、それぞれについて説明しています。 これは先ほど口頭でご説明した内容です。
(2)このような課題の解決策の方向です。1で拠′点空港政策を踏まえた空 港機能の拡充に向けてとい う中で、国がきちつと政策をベースとした指針を決 めることで、指針の内容が、国際拠点空港政策における国と会社の役割を踏ま えれば、例えば国は国際拠点空港の果たすべき役割、各空港の機能・能力のあ
り方、空港間の役割分担、周辺環境対策のあり方などの事項を中心とした国際 拠`点空港政策に関する基本的な指針を作成する。それを空港会社など関係者に 明示する。空港会社の方は、国の示した基本的な指針を踏まえつつ、事業に関 する基本的な計画を作成し、空港の設備維持管理やサービス内容、環境面での 取り組みに関わる計画内容を明らかにし、国の基本的な指針との適合を確保す る仕組みを設けることが考えられるということを整理 してあります。2で料金 の 話 、 3 で 適 正 な 資 本 構 成 ・ 株 主 の 構 成 の 確 保 に 向 け て とい う と こ ろ で す 。 株 主構成の部分については、 5)の ところですが、この文章の前は変な買収が起 こりうると書いたところを受けてですが、このため空港の公共性を理解 しない 者による敵対的買収、外国資本や特定の者による空港経営の支配を防止する必 要があり、そのための方策として株主の外資による保有、一株主による大量保 有、こういったものに関するルールの制定、それから拒否権付株式の発行など が考えられ、株式の流動性の低下・経営者に対する市場圧力の低下などに留意 しつつ、それらの導入についてさらに検討する必要があるというふうに整理さ
れています。4は環境対策・地域共生策などの適切な実施の確保に向けてとい うところです。ここはほぼ全てを提示してありますが、1)で空港会社を完全 民営化した場合に、経営者に対して株価の維持・配当の維持などの圧力が生じ る。また内陸空港である場合、騒音対策の実施は空港会社の社会的責任である
ものの、音の商法、今は会社法 となつていますが、この会社法では経営者 は株 主に対して利益向上の責務を負うという規定になっています。環境対策・地域 共生策などのうち資本コス トに見合わないと空港会社が判断する投資について は、積極的な取り組みが行われなくなる場合が想定される。このため公共的な
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見地から必要となる環境対策などについて、国・地方自治体 0空港会社の役割 を踏まえつつ、空港会社によつて所要の対策が実施されることを確保される方 策 を 講 じ る 必 要 が あ る と い う 基 本 的 な 考 え 方 が 述 べ ら れ て い ま す 。そ の う え で 、
2)で環境対策等の実施を義務付ける方策や環境対策等の実施が空港会社の事 業経営の指針として位置付けられることを確保される方策の可能性を含め、経 営者が株主に対して環境対策などを行うことが必要である旨を説明できるよう にする方策を検討する必要であるということで、きちつと義務付けなどをする
ことによつて、先ほどの会社法上、経営者が株主に対しての利益向上の責務を
負 う中でも、こういつた対策がきちんと講じられるような観点で記述してあり
ます。 3)ですが、特に成田空港は、いわゆる内陸空港でかつこれまでの設置に向
けた経緯などを踏まえ、ご承知の騒防法などで一般的に義務付けられている騒 音対策に加えまして、会社の方で地元自治体とも協力しながら、きめ細かな騒 音対策を行うといつた、一つは共生財団の設立、さらにアクセスを改善する鉄 道事業への協力、さらに周辺自治体への交付金の交付、こういつた対策をさま
ざま講じています。今後、完全民営化をするにあたつてはこれらの対策のあり 方・進め方について、整理して適切な環境対策などが講じられるよう措置する
ことが必要であります。 4)では、さらに国際拠点空港の運営にあたつて完全民営化された空港会社
の経営の自主性を尊重しなければならないものの、空港の運営は地域社会に対 して き わ め て 大 き な 影 響 を 与 え る こ とか ら、 空 港 運 営 の 現 状 、 環 境 対 策 な どの 内容、それから今後の空港の将来像などについて分かりやすく、また透明な形 で地域社会に示し、十分に地域と意見を交換することが必要だとしています。 会社が積極的に地域に対して空港の将来像などを発信することによつて空港を 地域振興の核と位置付ける地元社会が、受身ではなく自ら意見を発信すること を促され、結果として空港会社と地域との双方向対話を通じたよりよい空港と
地域との合意形成に向けた動きにつながることが期待できます。 また、拠点空港は地域にとつても空港を利用する多数の外国人を周辺地域に 呼び込むことによつて地域の観光活性化につながり、さらに空港機能の強化、 貨物施設の展開などを通じて地域経済の活性化が促されるなど、重要な役割を
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担うことで地域との十分な連携の下にこれらの役割を確実に果たしていくこと が望まれるというふうに整理されています。
最後に国際拠′点空港毎に見た課題の成田空港の部分です。羽田と成田の分担 です。役割分担について成田は国際線の基幹空港、羽田は国内線の基幹空港で あつて、かつ羽田空港は国際線について成田空港を補完するという基本的な考 え方を踏まえ、役割分担を明確にしていくことが必要です。さらに今後の首都 圏の需要はさらに伸びることが見込まれるが、その中で空港として、先ほどご
説明があった北伸整備後の空港機能のあり方についてどのように考え取り組ん でいくかの整理が必要だとしています。
次に成田空港は大規模な内陸空港で引き続き騒音対策などの環境対策の適切 な実施が求められており、設立に至る過去の経緯なども踏まえ、空港周辺自治 体との間のこれまでの合意事項の取り扱いをはじめ、地域の中の空港として地
域と空港との共生の観点からの課題についての整理が必要だと記述されていま す。
最後に終わりのところで、この整理については、今後の空港の整備及び運営 に関する基本的方策についての検討が行われている交通政策審議会航空分科会 に報告され、関連する諸施策に併せて審議検討のうえ、今後の我が国の航空政
策に適切に反映されることが望まれる形で締められています。いずれにしても、 私どもも懇談会の報告及び今後の審議会の審議の結果を踏まえて、成田国際空 港の完全民営化について的確に実施し、これまでの地域との関係を十分に損な わないようにしながら進めていく、そういった観点から検討をさらに深めてい きたいと思っています。今日はまず簡単に一昨日出されました懇談会報告のご 説明をさせていただきました。ありがとうございました。
【司 会】 羽尾様、どうもありがとうございました。以上を持ちまして議題 報告を終了させていただきます。次に質疑応答に入らせていただきますが、少 し休憩を取りたいと思います。約10分後の15時30分に再開させていただ きたいと思います。15時30分までにはお席にお戻り下さい。それでは休憩
に入 らせ ていただ きます。
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質疑応答
【司 会】 15時 30分になりますので、そろそろご着席をお願いしたいと 思います。それでは時間になりましたので、これより質疑応答に入らせていた だきたいと思います。質疑応答につきましてはおおむね17時頃を目処に終了
させ て い た だ く予 定 で ご ざい ま す の で 、 あ らか じめ ご了 承 い た だ き た い と思 い ます。質疑応答が終了したあと、別室、隣の部屋で懇親会を開催いたしますの で、ぜひご出席いただきますよう重ねてお願い申し上げます。それでは質疑応 答に入りたいと思いますので、委員長よろしくお願いします。
【田邊委員長】 それではただいまから質疑応答に入らせていただきます。質 疑につきましては議事の都合上時間も限られているということから、部会毎に 順次ご報告をいただければありがたいと思います。なお質疑に対する答弁につ いては、関係委員からいたしますのでよろしくお願いします。ではさつそくで すが成田地区部会の小泉委員からお願いします。
【成田地区部会 (小泉委員)】 成田地区部会の小泉です。本日は成田地区部会 から、市議会の岩澤議長、青野空港対策特別委員長、成田空港騒音対策地域連 絡協議会の平山会長、郡司事務局長の5名で出席させていただいています。地 区部会を3月 5日 に開催して意見をとりまとめましたので、発言させていただ
きます。 第1点目は航空機騒音の評価方法の見直しについてですが、評価方法の見直
しはもちろんのことですが、その基準値について、騒音下住民が不利益を被る ことのないよう、住民の感覚と乖離のない適正な基準値を定めて下さいますよ
う要望いた します。 第 2点 日ですが、民家防音工事についてです。現行法では一度助成を受けた
既存住宅は三度目の助成を受けることができません。現在の住宅を取り壊し新 たに建設する場合は、再助成の制度があることは承知していますが、防音工事
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実施後、一定の年数が経過した既存住宅についても遮音効果の維持が図られま すよう、防音工事の再施工に対する助成を要望いたします。
第 3点 日ですが、空調機の機能回復の申請年数の短縮についてです。空調機 の機能回復の申請年数は、現行では設置後10年を経過した後となっています が、2年短縮していただきたいということであります。過去にも要望しました が、機能の落ちた空調機のまま我慢しなければならないという声も聞こえてい ま す 。 再 度 要 望 させ て い た だ き ま す 。
第4点日ですが、騒音軽減のための発生源対策についてです。深夜早朝の航 空機の離発着に加え、スラス トリバース音は、騒音下住民の安眠に影響を及ぼ す な ど 、き わ め て 大 き な 苦 痛 を 与 え て い ま す 。そ こ で 発 生 源 対 策 の 強 化 と し て 、 再度航空会社に依頼するとともに、22時~23時の深夜便の便数を1日 10 便以下とする約束を厳守していただきますよう、改めて要望させていただきま す。
最後に第5点目として派川根木名川の改修と尾羽根川排水機の増馬力につい てです。平成 16年の台風22号、平成 18年の暴風雨の際に、ツト水機は能力 不足を来たして堤防も決壊寸前となり、水田に放流し危機を脱したということ が あ り ま し た 。 こ れ ら の 河 川 も 空 港 内 ツ ト水 の 放 流 先 の 一 つ で す か ら 、 空 港 と 地 域の共生策として、本事業の推進について特段のご配慮をお願いします。過去 に要望した事項もありますが、以上5点を成田部会より要望させていただきま すのでよろしくお願いします。以上です。
【田邊委員長】 ありがとうございました。ただいまの意見の第1点目の騒音 評価方法の見直しについてですが、これは国交省の羽尾委員からよろしくお願 い します。
【国土交通省 (羽尾課長)】 それではご説明をさせていただきます。 まず1点目のご指摘の部分ですが、現行のW方式、WECPNL(う るささ
指数)と言われる方式について、平行滑走路の供用開始後、A滑走路4, 00 0m滑走路側の測定地点において、平行滑走路側の飛行機の騒音を加味した方 がわずかながらもW値が下がる、いわゆる逆転現象が発生したということは事
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実です。NAAの方からご説明ありましたように、測つてみて28箇所ほどそ ういう実例があつたとい うことで、私どもも認識 しています。それは不適切な 点であるとして諸外国の環境基準などを踏まえ、環境省の方もこの3月 1日 に 環境大臣から中央環境審議会の方に対し、航空機騒音に関わります環境基準の 改正について諮問が行われたところです。現在、その中央環境審議会において 審議が行われているという状況です。私ども国土交通省として、環境省とも連 絡しながら審議を見守つているところですが、今回の諮問・審議の結果を見な がら見直 しにより、環境基準が諸外国の標準に見合 うものとなっていき、現行
の 基 準 値 に 比 べ 住 民 が 不 利 益 を被 る もの で な くな つ て い く と考 え て い ま す 。
【田邊委員長】 ありがとうございました。では続きまして2点目03点目が 空港会社の後藤部長にな ります。民家防音工事の恒久化と空調の関係ですが、
よろしくお願い します。
【成田国際空港株式会社 (後藤部長)】 それでは民家防音工事の恒久化につい てのご要望についてお答えをさせていただきます。一定の年数が経過した既存 家屋についても改築同様防音工事の再施工をしてほしいといつたご要望ですが、 改築以外の防音工事済の住宅に対するいわゆる2回日の防音工事は、ご要望の
とおり現制度では行うことができません。経年変化による遮音効果の低下は共 生財団が行つていますサッシ部品交換工事等の助成事業を活用することにより、 相当回復できるものと考えていますので、ぜひそちらの方をご利用いただきた いと思います。
それからもう一つの空調機の機能回復工事の申請年数の短縮の件ですが、空 調機の機能回復工事は、設置後10年を経過したもので現に故障しているかま たは機能停止の恐れのある機器を対象としています。空調機の更新時期 10年
という設定は、ほとんどのメーカーが通産省の指導及び自主判断で関係部品を 10年間程度保有していること、また、国の老朽化調査で10年を過ぎると空 調機の多くが故障をし始めるということが判明したことなどを総合的に勘案し て定めたものです。空調機の更新時期については、国に準じた方法で実施をし
ており、他空港との兼合いから見直しをするというのは難しいということをぜ - 23 -
ひ ご 理 解 を い た だ き た い と思 い ま す 。
【田邊委員長】 では続きまして、4点目ですが騒音発生源対策ですが、これ はリバース音と22時台の運航の関係があります。したがって空港会社と国交 省になりますので、まず空港会社の方からお願いします。
【成田国際空港株式会社 (後藤部長)】 それではリバースの件ですが、航空機 が着陸した際、滑走路上でエンジンからのジェット排気を逆方向に噴出させて 航空機を減速させる装置を作動させることによリリバース音が発生するという こ と で す が 、 こ れ は パ イ ロ ッ トが 航 空 機 を 安 全 に 着 陸 さ せ る た め に 止 む を 得 ず 行う操作ですので、ぜひともご理解をいただきたいと思います。リバース音の 抑制については、成田空港でも以前から周辺地域の方々の環境を改善すべく弊
社から航空会社に対して可能な限り控えていただくようお願いをしています。 滑走路の長さや航空機が滑走路を占有する時間等の問題もありまして、一概に は申し上げられませんが、ご要望の趣旨を踏まえ航空機の安全運航の許す範囲 内で、より実効性の高まる方策はないかどうか、今後も検討をしていきたいと 考えています。以上です。
【田邊委員長】 では続いて国交省の方でよろしくお願いします。
【国土交通省 (羽尾課長)】 私の方からご説明させていただきます。22時台 の便数制限について、シンポジウム・円卓会議以来お約束になっていますが、 未達成の状態が続いていると、私どもも誠に遺憾なことであると認識していま す。近年データを取つてみると、悪化の傾向にあります。これもかさねがさね 遺憾なことだと思つています。昨年以来この対策について少 し評価をしなけれ ばということで、まずは航空会社に対して航空機が遅延をした結果、22時台 に入り込んでいるということが多く見られます。これについて私ども幹部から 文書によって強力に指導の通知を去年 3月 に行つています。 さらに去年 5月 に は航空会社を呼びまして、なぜそうなっているのかと釈明を求めてヒアリング も実施しています。参考までに申しますと、各社とも努めますと申しており、
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加えてどのような対策を講じていくか聴取したところ、各社からは、例えば直 行便化を図りできるだけ遅れを防止するようにしていく、そして運航スケジュ ールを見直しますと、さらに機材の更新によつて整備が遅れるとい うことを防 止していこうということです。現場の作業をする方々や、海外の空港担当者ヘ
22時台制限というのがありますことを、さらに周知徹底を図ることを行いま すというお話をいただいています。こういったことを講じながら、改善に努め ていきたいと思つています。18年度については、現時点で得ている情報では 一昨年度までよりは改善の傾向にあるということですが、まだ22時を超えて いるということは事実です。一定の成果を出しつつあると認識していますが、
さらにこの対策の強化に努めていきたい と思つています。
【田邊委員長】 次は、5点目の河川の改修とツト水機場の問題です。これは千 葉県の堺谷理事 よろしくお願い します。
【千葉県 (堺谷理事)】 派川根木名川関係等の問題ですが、県は空港内のツト水 の放流先とい うことでは、根木名川水系の改修を行つてきました。ご要望の派 川根木名川についても地元のご意見に応えるために堤防のかさ上げ、副水路の 整備、逆流防止水門の設置を実施してきましたが、ご要望でありました平成1
6年、18年に200mmを 超える異常な大雨では堤防の高さまで水位が上が ってしまうということで、相対的に治水安全度が低下してきています。早急に 堤防の整備など、治水対策を進めていく必要があると考えています。平成 19 年度においても、予算の一層の確保に努めて推進を図つていきたいと考えてい ます。尾羽根川排水機場の問題ですが、利根川に対する内水施設 として国が整 備して管理している施設です。県としては隣接する根木名川・十日川の内水規 模と同程度の増強について国に要望していきたいと考えています。以上です。
【田邊委員長】 以上です。成田地区部会、よろしいですか。では続きまして、 芝山地区部会の相川委員からよろしくお願いします。
【芝山地区部会 (相川委員)】 芝山地区部会の相川です。よろしくお願いしま - 25 -
す。本日、芝山地区部会からは人角議長、飯高商工会長、そして騒音地区代表 の鈴木委員の4名で出席させていただいています。私どもから3項目について ご質問させていただきたいと思います。
まず1点目ですが、空港公団の民営化覚書75項目完全実施に対する国土交 通省の方針についての確認です。若干状況が変わっているようですが、昨年 1
2月 8日に開催されました航空局長の私的懇談会の今後の拠点空港のあり方に 関する懇談会でのことです。これについて成田空港・関西空港・中部空港の各 県担当者が意見を述べた中で、千葉県の理事の堺谷さんが空港会社が完全民営 化することにより地域への配慮が希薄化するのではないかという住民の懸念を 払拭するために民営化覚書75項目を完全民営化する前に加速して取り組むこ とが必要であること、また騒音下の住民に公共性の強化に加え、空港事業の持 続と拡張へのより深い理解を得るためにも地元自治体が空港経営に参画できる ように、上場までの株取得について特段の配慮をお願いしたいものと発言され ました。一部の委員の皆様に「千葉県や周辺自治体は要求ばかりで成田空港の
ために何もやつていない、いろんな経緯があるにしろ多岐にわたる覚書の要望 を実行するために国民の税金を使い、対策の恒久化など、いくらかかるか分か らないような要求が本当に正当な要求なのか」との発言をしているわけです。 「その上これほどの過大な要求をし、株の優先取得まで要望するのは盗人猛々 しい」。千葉県は周辺住民と成田空港が共生し今後共栄していこうと思つている
矢先ですが、このような発言がありました。この発言に対し千葉県が県や地元 自治体の過去の空港周辺整備などの経緯を説明しているところです。その後、 航空局長が民営化覚書について見解を述べていますが、周辺自治体としては四 者が協力し覚書の75項目については着実に進捗していくと思つています。時 間のかかる事項であるにせよ確実に履行してくれるものと確信したのに対し、 覚書については要望として出ているだけで、これをどうするのかというのはこ
れからの議論だと、今まで四者で話し合い確認してきたものを覆すような発言 がありました。国土交通省の皆様に確認 したいと思います。民営化覚書で四者 により確認し、国ならびに空港公団の過去の約束事項については、今後とも継 続し遵守するとの記述がありますが、空港公団民営化覚書の75項目の完全実 施は過去も現在も約束事項として遵守するという考えに変わりはないかどうか
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について、確認 させていただきたい と思います。 続いて 2点 日は、NAAの 株売却益の一部の地域振興費 としての留保 と周辺
自治体の株の先行取得の可能性についてです。空港会社の完全民営化による株 放出時に発生する売却益ですが、当然国の100%保 有であるために9割が空 港整備特別会計に、残り1割が一般会計に入るものと思います。空港周辺自治 体は国際空港の一役を担つていると自負しているわけですが、成田国際空港に 見合う社会資本の整備の整つた市町としては、まだまだ程遠いものです。特に 空港周辺の道路に至つては、空港利用者が年間3, 200万人来場し、32兆
円もの経済を動かしている動脈としては、あまりにも貧弱です。他の空港であ れば6車線ある進入道路も成田は4車線であります。国際拠点空港整備という 国家プロジェクトとしての整備ならば、本来空港整備と同時に行うべき交通ア クセスの整備は、国が行 うべきではないでしようか。私どもはそのように考え ています。千葉県と空港周辺自治体は限りある予算を割いて完全空港への整備 を担うべく道路整備を含めた社会整備を現在実施しています。そのため空港会 社より交付される周辺対策交付金は有効に活用していますが、決して十分なも のと私は言えないと思います。そこで株の売却益の一部を空港周辺の地域振興 対策費として留保し、活用できるように要望させていただきたいと思います。
自治体が空港経営に参画できるように、NAA株 の優先取得 と地域住民への 優先割当てです。周辺自治体と住民は、成田空港は公共性が高く企業として安 定した社会責任を履行 し、魅力ある企業であることを望んでいます。そのため
には、空港に要望するばかりではなく経営に参画し、空港の充実に理解しても らうためにも株主となり株の利益と空港が発展する利益を同時に得ることが空 港整備を理解してもらう最短の手立てだと思います。周辺自治体は空港会社に
対し株主として騒音対策や周辺対策の恒久化の社会的責任を求めることができ、 住民は魅力ある財産であり、空港発展の理解者となるために自治体への上場前 の譲渡と住民への初回の株売却時に優先取得と優先割当てなどの特別な配慮が できればお願いをしたいと思つています。
続いて3点日は、航空機による騒音評価方法の変更についてです。航空機に よる騒音評価方法の変更ですが、環境省が 3月 1日 に中央環境審議会に諮問 し、
うるささ指数 (W値)から時間帯補正等価騒音レベルLdenに 変更するとい - 27 -
う新聞報道についてです。世界の主流として使われている騒音評価指数のLd enで評価すると平行滑走路供用後に発生した航空機の発着回数が増加したに も関わらず、W値が減少する逆転現象は解消されるとのことですが、それだけ で騒音下住民が納得するとお思いでしょうか。今までW値に対し不信に思つて いた騒音の大きさをほんの少し減少させることで、飛行回数が倍くらいになつ
ても数値が変わらないという。住民には理解できない評価方法が今回変更のL denでは改善されるのかということです。そして、今後の環境基準の改正が あると思いますが、それに伴い騒音コンターの見直し、騒特法の防止地区なら びに防止特別地区、騒防法の第 1種区域の見直しが行われるのかについてご質 問させていただきます。関係者だけがわかるのではなく、騒音下住民が理解し やすく納得できるものか、国・県・空港会社においては、分かりやすい要約で
住民の周知もお願いしたいと要望したいと思います。 以上、3項目の質問です。当町としては、現在成田空港と共栄していくため
に四者で共栄推進委員会を立ち上げ協議しています。今後、住民とともに空港 機能の充実と理解をするためにも、国や空港会社の今以上の配慮と民営化後の 会社の発展だけでなく、社会全体での地域振興への取 り組みもぜひお願い申し 上げたいと思います。よろしくお願いします。
【田邊委員長】 ありがとうございました。ただいまの民営化覚書等、3点あ りま したので、 これは国交省の羽尾委員か らお願い します。
【国土交通省 (羽尾課長)】 それでは、お答えさせていただきます。 まず1点日の完全民営化の覚書75項目の実施に関しましてでございます。 今委員ご指摘のように先程ご説明した懇談会の中で、参加されている委員の方 か ら 、 色 ん な 観 点 か ら の 意 見 の 表 明 が あ り ま し た 。 成 田 空 港 の 問 題 の み な らず
関西空港と中部空港の話も含めましての国際空港の拠点のあり方を議論したと いうこともあり、色んな観点からの議論があつたということです。そのような 中で今委員から75項目の完全民営化覚書の扱い、過去も現在も約束事項とし て遵守するという認識についてどのようになっているのかというご指摘であり ま す の で 、 そ の 点 に つ い て お 答 え させ て い た だ き ま す が 、 私 ど も こ の 覚 書 平 成
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15年の2月 28日に当方の航空局長もサインをした上で取り交わしたもので す。この民営化覚書の項目というのは約束事項として遵守すべきものと認識し ています。この75項目については、空港会社、周辺自治体の関係者のご努力、 千葉県さんのご努力もあり、それなりに進捗が見られているところではありま すが、残つているものもあります。時間のかかるものもありますし、実現に向 けて検討が必要なものもあります。そういつた状況ですので、私ども引続き関 係者のご協力も得ながら最善の努力を尽くして実現に向けて取り組んでいきた
いと思つています。 その次に成田空港会社の株の売却益、これを一部地域振興費として充てられ
ないかという点と、周辺自治体の株の先行取得の可能性についてのご質問につ いてお答えさせていただきます。まず1点日の売却益の地域振興への充填・充 当関係です。このご質問の中で、これまでの周辺対策交付金など含めた地域振 興へのそのお金の充当これが不十分であるとい うご指摘にあたつてのご質問で すが、私ども現在までの努力いわゆる成田空港会社でも周辺対策交付金を投 じ て行つてきた努力というものは、当然騒音を深く住民にもご被害を与えている
という代価というよりかそれに見合うものとして行つてきたのですが、その評 価として相当な額が長年にわたり交付されているという事実は事実として認め られるものと思つています。また周辺の物流施設が次々と立地されており、そ の中から税収というものも各自治体の努力により、地域振興の財源として充て られているといつた点もあるかと思つています。一方で今後生じる売去「収入に ついてご関心をお持ちになるというのは当然のことかと思いますが、まずこの 売却収入、これは国家財政が逼迫する中で完全民営化の意図いわゆる株式を上
場して、上場益をそういつたものに充てていこうという意図もあります。さら に貴重な国民の財産ですので、これを有効に使つていくということが必要だと 位置付けられています。ならばどのように使つていくかということですが、こ れについては今後検討・調整を行つていくとい う位置付けです。現時点でそれ 以上のコメントはなかなか難しいということはご理解いただければと思います。
その次に自治体における株式の先行取得です。そもそもこの完全民営化をし ていくという主旨ですが、国家財政の観点により、効率的で機動的な民間経営 を導入して、その資源の有効活用をしていくということにあります。そういつ
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た意味で民間系の手法 0メ リットを最大限に発揮していくことが主眼です。そ の意味で完全民営化と申しますのは公的部門が株式を持たないと、いわゆる純 民間に経営を委ねるということです。したがって制度として地方自治体といっ た形での公的部門が持つという形でのスター トを国が制度設計において仕組む というのは非常に難しいものではないかと思つています。ただし、地域におけ る騒音対策の確実な実施、あるいは会社の経営が安定的に地域のことも考えな がら行われていくということにおけるその懸念、不安から出てきたご指摘かと も思いますが、そういった意味の騒音対策など含めた確実な実施ついては制度 化する中で会社において確実に実施されるように、そのために、これをきちっ と義務付けていくとか、こういつたことを含め措置を講じていかなければいけ
ないと、懇談会報告でも検討をさらに深めるようにと言われていますので、私 どもも十分認識 し重視 して取 り組んでいきたい と思つています。その点 ご理解
いただければ幸いです。 3点目の航空機による騒音評価方法の変更についてです。W方式について逆
転現象の発生などを踏まえ、あるいは海外の状況など見ていくということで現 在中央環境審議会において審議が行われています。Ldenと いう新方式が一 つの課題となっています。どのような改善効果があるのかということですが、 Ldenの 方式によると騒音エネルギーの総量に基づいて評価されるという意 味でエネルギーをきちっと測っていくことから、今生じているような逆転現象 は起きないのではないかと想像されます。ただ飛行回数が増えた場合にどのよ うになるかということですが、当然飛行回数が増えた場合、エネルギーが上が つていくとい う意味ではLdenの 数値においても、上がっていくと出てくる ものです。 もちろんエネルギーを総量 として測 りますので仮に飛行機の機材の
性能が向上して静かな飛行機が増えてくれば、その分もまたエネルギーに反映 されるという意味で、回数と飛行機の性能との両方を合わせ、総合的に判断さ れていくということです。その結果、数値が下がる場合も当然ながら生じるこ とです。またこの新方式の移行に伴って区域の見直しが行われるかどうかとい う点について、今後答申の内容を踏まえて検討されるべきものと承知していま
すが、ご懸念の地元への周知は非常に重要なことと思っています。環境省の方 で現在中央環境審議会が開かれています。私どももこの状況を見守り注視して
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いると言いましたように、状況・情報が得られれば適宜、皆様に可能なものは オープンにしていきたいと思つていますので、ご理解をいただければと思いま
す。 【田邊委員長】 ありがとうございました。よろしいですか。
【芝山地区部会 (相川委員)】 はい、ありがとうございました。 第1点ですが、私ども覚書というものは、それぞれが知恵を出し合って、お 互いの協力体制、あるいはそれぞれの思いを伝え合ったと思います。ぜひお願 いしたいと思います。遵守という意味は一般的に要望でもないし努力語でもあ りません。命がけで守る、実行するとい うことだと思います。ぜひともお願い
したいと思つています。 第2点 目ですが、民間手法が取れるのだと。確かに収入関係、今どうなつて
いるのかと、今ここで決めろとか、お返事というのは難しいと思いますが、地 域と空港の共栄また共生という観点からすると、予算がないとなかなかできま せん。できれば私どもは売却費のほんの一部でも結構ですので、それを騒音直 下の周辺自治体に充当していただきたい。非常に政策がやりやすくなりますの で、ぜひ ともお願い申し上げます。
第3点 日ですが、これから私どもにおいても未知の方向であります。ぜひ、 こうなるのだということを自治体にも、また周辺の住民の方々にも伝えていけ ればと思つていますので、ぜひともお願いしたいと思います。どうもありがと
うござい ま した。
【田邊委員長】 どうもありがとうございました。では続きまして山武・横芝 光地区部会ですが、椎名委員からお願いいた します。
【山武・横芝光地区部会 (椎名委員)】 当部会からは、横芝光町の佐藤町長さ
んもお見えですが、ご指名ですので私の方から3点程要望・質問させていただ
きたいと`思います。 1点 日として、完全民営化による周辺自治体への影響について質問と要望を
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したいと思っています。2点日として、空港南側の広域的発展を目指した地域 振興について要望をしたいと思つています。3点日として、航空機からの落下 物の問題がまだあるのかなということでお願いしたいと思っています。
航空局長の諮問機関であります「今後の国際拠点空港のあり方に関する懇談 会」において、国際空港のあり方、適正な運営確保等々、法整備も視野に入れ 様々な政策が検討されていることについて再確認の意味ですが、お願いしたい
と思います。ご苦言を申し上げますと昨年の12月開催された懇談会において 見識のある委員から私どもには理解しがたい発言があつたということについて、 残念であるということに触れさせていただきたいと思っています。
1点目の現在NAAは完全民営化に向けて、上場準備室を設け2008年 以 降いつでも上場できるよう準備を進めているとのことですし、経営管理体制や 内部統制などの社内体制の整備を行つているとお聞きしています。地域住民は NAAが完全民営化した場合、地域との関係がおろそかになってしまうのでは ないかと大変心配しています。民間企業となれば株主の意見を尊重することと な り、利益優先の考え方が予想 され周辺対策交付金や各種助成金の減額など、
地域への対策がなおざりになることが懸念されますが、完全民営化後の環境対 策や共生策について、どのようなお考えであるかをお聞かせいただきたいと思 います。
また、現在国の保有している株式を100%上 場したら成田空港は事実上、 国の手から離れるわけで、その場合羽田空港の国際化が促進されるのではない かということも危惧されるところであります。私どもは成田空港の発展なくし ては地域の発展はないとの立場から申し上げたいと思いますが、今まで地域経 済においては成田空港を美味しい実をつける果実に例えられていました。その
果実を騒音の対価という形でいただいていましたが、外部不経済への対価とい うこと先ほどもお聞きしましたが、これは当然のことであります。しかしなが ら、競争の時代に入つたことも間違いがないと羽田との競争、あるいは外国、
特に仁川空港との競争の時代に入つていることも否めないことであります。私 ども空港から少し遠い地域ですと、音はデメリットとして感じるのですが、メ リットの部分はまだまだ薄いかなと思っています。空港が元気であり続けてい
ただかないとこれからも困るなと思っています。周辺自治体が一丸となって空 - 32 -
港のメリット面に水をやり肥やしを施し、空港と一緒になり手を携えて綺麗な 花を咲かせて、すばらしい実をつけていただきたい。その実を私どもとしても いただきたいとい うのが空港南側の地域からの強い願いです。真の共栄につな がることは、このような考え方なのではないかと思つています。また一昨日の 経済財政諮問会議において、はじめて、航空政策が取り上げられ羽田空港と成 田空港との関係が議論されたとのことですが、地域としても成田空港を守って いきたいと考えていますので、周辺自治体に対して深いご理解を賜り、国際線
は 成 田 、 国 内 線 は 羽 田 、 と い う 住 み 分 け の 崩 れ る こ と の な い よ う に 、 こ の ′点 を 切に要望したいと思います。
2点 日として、空港南側の広域的発展を目指 した地域振興についてです。今 後北伸平行滑走路の整備に伴い発着回数22万回まで増加しますが、成田空港 がもたらす経済効果が空港周辺地域に波及し大きな発展へとつながることをご 期待申し上げます。 しかしながら空港南側に位置する当部会は、A滑走路なら びに平行滑走路の飛行コース直下にありながら、現在のところ税収も伸びず、
なかなかに恩恵を感じられないということで、結果として地域間の格差を強く 感じています。このような状況下で私どもは、まず空港周辺の道路網の整備に 重点をおいて、松尾横芝インターチェンジ周辺ならびに昨年開通した銚子連絡 道路を拠点にアクセスの強化を図り、国際物流に関する企業の誘致を促進し、 物流拠点となる施設整備が肝要であり、空港を核とした均衡のとれた発展およ び地域振興策が必要であると考えています。また空港の南側のアクセスの充実
を図るため芝山鉄道の延伸を強力に進め、JR総武本線に接続 させることによ り、利用者の増加が見込まれ総武本線の複線化につながるのではないかという よ うな こ と ま で 考 え て い ま す 。 こ の 空 港 の 南 側 の 地 域 振 興 を 促 進 ・ 推 進 す る た
め に は 空 港 関 連 企 業 の 誘 致 へ の 協 力 と諸 施 策 実 現 させ る た め に 、 よ リー 層 の 財
政的な支援を強く要望申し上げます。 3点 目として、航空機からの落下物の問題についてです。この問題は洋上で
の脚下げの遵守や航空機の整備・保守の徹底など関係機関のご努力により、以 前に比べて大幅な減少はしているものの、残念ながら昨年は 1件の落下物が確 認されました。幸い人的な事故にはいたつていませんが、南北を問わず飛行コ ース直下に住む住民の生命に関わることですので、これからも関係各位のさら
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なるご努力と落下物事故は絶対に発生させないという気概を持って対応してく だ さ る よ うお 願 い し ま す 。
締めくくりとして、副社長のご挨拶の中で成田空港の北伸以降の姿は自紙で あるとい うお言葉があ りました。新聞報道を見ると成田空港の国際化、あるい は24時間の運用などの議論が活発化しています。成田は国際線、羽田は国内
線という役割分担を見直そうという圧力を非常に感じている一方、成田空港の 将来に私ども完全民営化に移行することを考慮して大きな不安を感じています。 成田空港の将来は地域の発展と不可分であり、われわれ周辺自治体も騒音対策 や地域振興だけでなく、北伸以降は国際空港としての機能拡充を図つてぜひと
も国際空港としての機能拡充をこれからも続けて図つていただきたいというこ とを要望 として、私か らの質問 とさせていただきます。
【田邊委員長】 ありがとうございました。では、ただいま3点ありました。 まず第 1点 目の民営化後の環境共生策等についてですが、これは国交省の方か
らよろ しくお願 いいた します。
【国土交通省 (羽尾課長)】 お答えさせていただきます。完全民営化後の環境 対策・共生策についての確実な実施についてです。まず、その前に懇談会での 色々な意見の中で皆様の方に、不快と感じ取れるようなことがあったというの は十分承知しています。その後、この関係委員に直接成田空港の設置から今日 に 至 る ま で の 経 緯 や 皆 様 の こ れ ま で の 騒 音 下 で の 住 民 の ご 努 力・ ご 苦 労 も 含 め 、
さらにご理解をいただけるように説明しました。ここでご紹介させていただく
と、千葉県と関係市町の方から2月 2日 にも当局局長に対して、こういつた発 言にかかわらず、遵守事項の約束事項の遵守を含め、対策を講じるなどの意見 の 表 明 を い た だ き ま し た 。 私 ど も 誠 実 に 検 討 させ て い た だ く こ と も 含 め て お 話
して い ま す 。 さ ら に 、 懇 談 会 で も オ ー プ ン に し よ う と して い ま す が 、 私 ど も の 方からも懇談会でこれまでの成田空港に関わります騒音対策の実施の状況ある いは重要性を資料も含めご説明し、関係委員に理解を得るべく行っているわけ です。騒防法、騒特法の内容や、あるいは周辺対策交付金、共生財団の出現、 こ う い つ た 内 容 に つ い て も 十 分 ご 説 明 を し 、理 解 を 得 た と こ ろ で す 。そ の 結 果 、
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懇談会報告でそういった対策の重要性とは完全民営化して純民間会社になつて も当然重要であるという認識の下、さらに検討を深めるようにという報告をい ただいたところです。なお、その懇談会の場においても成田空港株式会社の方 から、環境対策 0共生策は非常に重要であり、さらに取り組んでいくと表明を いただいています。ただ、私 どもこの懇談会での議論ですが、今後純民間会社 にして株式を市場に放出すれば、どのような方が株を取得するかわかりません。 したがつて、どのような方が株主になつても現経営陣としてやると言つても株 主が変われば経営陣も変わりますから、制度的にあるいはその仕組みとしてき ちつと環境に対する共生策が講じられていくということについて普請をしたと
ころです。懇談会報告でも、そのような観点からその重要性と今後そのような 仕組みをさらに検討していくということが指摘されていますので、その点は十 分認識の上さらに検討を深めていきたいと思つています。例えば周辺対策交付 金などについても、制度として純民間にすれば、その制度自体をどのようにし ていくかという非常に難しい問題を手んでおりますが、そういつた意味でこれ
らも含めどのように確実な対策が講じられていくかという点をさらに勉強して
いきたいと思つています。 それから、ご不安を与えていますアジアゲー トウエイや経済財政諮問会議の
議論についてです。新聞・報道などで、特に民間議員などから空港の24時間 化という点で強く主張され、かつ羽田空港の国際化もこの3万回を2010年 の秋に第4本目の滑走路ができた段階で3万回に限らず、もつと飛ばすべきだ
とか、あるいは近距離に限らず、もつと飛ばすべきだとか意見が出されていま す。大変強い意見になつているのは事実です。私ども一昨日も経済財政諮問会 議で大臣も出席しました。大臣からも成田空港のこれまでの経緯だとか皆さん のご努力のご説明をし、かつこの羽田空港の4本目に至る千葉県のご努力とい
うものも、この各民間委員含め総理の前で説明をしていると聞いていますが、 各界の意見の中で今後成田空港の将来像を含め、きちつと明示していくという のが株を上場していくにあたり整理すべき課題です。まさにそういつた完全民 営化を進めるため地元のご理解を得られるためにも、重要な課題であると認識 しています。特に羽田との役割分担についてですが、成田空港は国際線の基幹 空港だと羽田空港は国内線の基幹空港で、羽田が3万回国際線を飛ばすように
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なっても、その成田空港を補完するという位置付けだという基本的考え方にた つていくのだということは明記されています。今後ともそういう扱いを前提に 進んでいくのではないかと思つていることをご紹介して、ご説明とさせていた
だきます。
【田邊委員長】 ありがとうございました。では次は、空港南側の関係です。 これ は 空 港 会 社 か らお 願 い しま す 。
【成田国際空港株式会社 (後藤部長)】 それでは空港南側の広域的な発展を目 指した地域振興についてお答えをさせていただきます。北伸整備による平行滑 走路2, 500mの供用に伴い、発着回数は22万回まで増加するということ でご理解をいただいたところですが、発着回数の増加等によってもたらされる 経済効果が周辺地域へ均等に波及をして周辺地域の発展が図られることが理想 であり望ましいと考えています。空港関連企業の誘致をはじめとした地域振興 のための諸対策の策定は基本的には周辺自治体や地域の皆様方が中心となって
行われるものと考えていますが、弊社としても地域と空港がともに発展し続け ていくためには、今後どうすればいいのかと空港南側の自治体の皆様や地元経 済団体等と一緒になって協議、検討する機会がありましたら、社員の派遣、資 料の提供などの形でできるだけ積極的に協力をさせていただきたいと考えてい ま す の で 、 ど うぞ ご理 解 を 賜 りた い と思 い ま す 。
【田邊委員長】 では次は落下物の問題です。これは国交省の成田空港の唯野 空港長 よろ しくお願 い します。
【国土交通省 (唯野空港長)】 私からお答えします。航空機からの落下物につ いてです。以前は大変多かったわけですが、それに比べると最近は大分減って きました。それでも年に平均すると2回程度発生しているという状況です。そ の根絶が大事だと思っています。最大限努力をしたいと思つています。少し過 去を振り返ると、国土交通省としては落下物対策として色々手を打つてきてい ます。その1つとして、特に各国の航空会社に働きかけているわけですが、そ
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れだけではなく航空機の製造メーカーやそのメーカーが所属 している国だとか にも働きかけをしてきました。その結果になりますが平成11年5月にアメリ カ連邦航空局から、バルブから漏水が起こり凍りついて氷塊になるということ が起こらないようにするための手立てとして、航空機の給排水部にかかる耐空 性改善命令というものを出していただきました。我が国においても同様に耐空 性改善通報を発出して対応を図つてきました。それ以来、氷塊の落下について は大幅に減少してきています。しかし残念ながら、根絶には至ってないのが正 直なところです。こういつた状況の中で成田空港の特に冬場について、至1着 し た航空機を毎年定期的に調査を行い、ドレーンなどから水が漏れて氷の付着が ないかどうかを調査しています。仮に付着が見られた場合、航空会社に対して 十分な注意喚起をしている状況です。今年についても1月 中旬から2月 にかけ て、一番寒い時ですが、実質2週間そういつたことを実施しました。また、別
の原因で氷が落下することがありますので、南側から着陸する航空機について は地上への氷塊落下防止を目的として、海の上で脚を下げ、もし氷が付いてい る場合、海の上で氷を落としてしまうという方法の義務付けを行つています。 そういった実施状況を押さえなければいけませんので、冬季を中心に何回か状 況を調査 しています。今年度も11月 から3月 にかけて実施 している状況です。 その結果、大体ここ数年で99%以上海上における脚下げが行われている状況 です。また、当然部品の落下について防止していかなければなりませんので、 航空会社に対して色々な機会を提えて、指導あるいは要請している状況です。
「しっかりやつて行くのだ、落下物の事故は絶対発生させないのだ」という気 概が大事ですので、そういう気概をもつて取り組んでいきたいと考えています。
【田邊委員長】 ありがとうございました。只今の点でよろしいですか。
【山武・横芝光地区部会 (椎名委員)】 今日の会議のお話は、完全民営化によ るメリットという国の財政面からの政策だと感じていますが、民営化のメリッ トば か り を 追 求 し て い て 、 も し 民 営 化 さ れ た 空 港 と 地 域 が う ま く 共 生 で き な い ということになると、本来民営化で求めていたメリット面、目的の達成ができ ない、したがつて外国との競争に負けてしまうということも起こりうると考え
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ます。地域との良好な関係があって、初めて民営化も成功すると考えています のでtどうぞよろしくお願いお申し上げます。
【田邊委員長】 ありがとうございました。十分心していくべき話だと思いま す。続きまして、若干時間が押しています。大変恐縮ですが時間の点も頭に入 れていただいて、以降進めていただければありがたいです。多古地区部会の菅 澤委員よろしくお願いいたします。
【多古地区部会 (菅澤委員)】 多古町の菅澤です。多古町地区部会から3点ほ ど要望したいと思います。
1点 日として騒音対策についての要望ですが、従来、地区住民から地上走行 音や低周波音によるものと考えられる騒音問題が指摘されています。新設され ます誘導路の南東、東南に位置する一鍬田地区、現在防音堤や防音壁 といった 設備がありません。新設誘導路については、地上音などの影響が懸念されます ので、この影響調査を適切な時期に対応をお願いしたいです。また、北伸に伴 い騒音区域の見直 しが行われましたが、今後隣接区域についても見直 しをして いただきたく要望します。
2点目として、空港周辺のアクセス問題です。2009年 度には平行滑走路 の北伸整備が完成 し、成田空港は日本の国際拠点空港としての更なる発展を期 待されています。また、首都圏中央自動車連絡道、大栄・横芝間の整備も促進 されていきます。これらの関連機能とプロジェクトのインパクトを波及させ、 空港周辺地域の一体的な振興を図るためには、空港の環状・放射状道路の整備 促進が必要不可欠です。また、空港により分断されています都市集積の進む西 側地域と人口の伸び悩みや都市基盤整備のたち遅れている東側地域を連携、一 体化するためにも道路整備が必要不可欠です。既に県において成田地域におけ る幹線道路網整備の基本方針が策定され、この方針に基づき一部事業はされて
いますが、空港東側の道路網整備が遅れているのが現状です。道路整備の強力 な推進を要望いたします。特に成田松尾線の多古町側への延伸整備と国道29
6号線の多車線整備をお願いします。さらに圏央道、道路網整備に合わせ空港 東側から空港内への進入路の整備を検討いただき、空港地域のバランスの取れ
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た発展に配慮されますよう、重ねてお願いを申し上げます。 3点日として地上デジタル放送への切り替えに伴う影響調査と共同受信施設
の有効活用について要望します。2011年 の地上デジタル放送への完全切り 換えが間近に迫つてきました。各世帯の地上デジタル放送への円滑な切り替え が重要な課題です。各中継局から地上デジタル放送が開始された際には、受信 調査を早急に実施いただき、難視聴地域の把握をしていただきますようお願い
します。また、特に多古町地域に多いこの難視聴地域における共同受信施設の 有効活用について、空港会社として最大限のご協力をいただけますよう要望し ます。成田空港は北伸整備に伴い、今後ますますその機能が充実され、日本の 国際拠点空港としての飛躍が期待されています。空港周辺地域として空港を核 とした連携を深め空港と共生していくことが今まで以上に重要なことと考えて います。国・県・空港会社の格段のご理解とご尽力をお願いして、要望とさせ
ていただきます。お願いします。
【田邊委員長】 ありがとうございました。3問ありました。これについては 空港会社と千葉県側の道路の整備の関係があります。まず空港会社から時間が 過ぎるということもありますので、できるだけ答弁を簡明にお願いします。
【成田国際空港株式会社 (後藤部長)】 それでは1問 目の騒音対策についてお 答 え し ま す 。空 港 東 側 の 誘 導 路 の 新 設 に 伴 う 近 隣 へ の 騒 音 等 の 影 響 に つ い て は 、 昨年7月 弊社が公表した平行滑走路の北伸整備に伴う環境取りまとめの中で調 査をいたしました。航空機の地上走行に起因する騒音等の影響は小さいとの予 測結果が出ています。なお空港東側誘導路の供用も航空機の地上走行により、 近隣の住民の皆様に騒音等による著しい影響を被る可能性が生じた場合には、 調査を行う等の適切な対応をしたいと思います。また、北伸平行滑走路整備に 伴 う 隣 接 区 域 の 見 直 し に つ い て は 、当 該 平 行 滑 走 路 の 供 用 後 見 直 し の 必 要 性 等 、
共生財団において協議するものと聞いていますので、ご理解を賜りたいと思い
ます。 道路問題の中で、空港東側のアクセスの件ですが、空港東側からの空港内ヘ
の進入路を整備することについては、用地の状況それから空港施設計画等、諸 - 39 -
施設の配置上の問題等を勘案すると、現状では大変難しいと考えています。県 道成田松尾線が多古町へ延長されることになれば、空港の南側入口へのアクセ スも大幅に改善されることになりますので、代替の機能も含めて空港への進入 方法の改善について検討をして参りたいと考えています。
3点目の地上デジタル放送の件ですが、地上デジタルテレビ放送は国いわゆ る総務省が推進 しているものでして、2011年 7月 には日本全国が現行のア ナログ放送からデジタル放送に切 り替わります。それまでの間、放送事業者は 同一の内容をアナログとデジタルとで並行して放送をしています。視聴者は随
時自己負担により、デジタル放送へ切り替えていくわけであります。地上波デ ジタルテレビ放送に切り替わりますと、航空機による電波障害は発生しないも のと伺っていますが、今後デジタル電波の受信が整い次第、確認をしたいと思
います。また、現在使用中の共同受信施設については、基本的に撤去をする方 針ですが、実際自治体等から施設を有効活用したいとお申し出があった場合に は、譲渡をするかご協力 したいと考えています。以上です。
【千葉県 (堺谷理事)】 千葉県の方から道路問題ですが、成田空港へのアクセ ス道路ということでも重要な役害1を果たしている圏央道については、開通目標 等を公表 した目標宣言プロジェク トに沿つて計画的に整備が進められています。 この大栄~横芝間については現在、都市計画と環境影響評価の手続きを進めて いまして、この手続き終了後に事業化されるよう国に強く働きかけているとこ ろです。それから成田松尾線の多古町側への延伸整備、国道296号線の4車
線化の問題については圏央道の進捗、周辺の交通状況等勘案しながら検討して いきたいと考えています。以上です。ありがとうございました。
【田邊委員長】 よろしいですか。
【多古地区部会 (菅澤委員)】 ご回答ありがとうございました。特に東側の進 入路の件ですが、空港が設置された後の多古町を強調しますと、国道296号 線、それから県道八街三里塚線、県道小見川鹿島港線等を含めて、付け替えに ほとんどなっていて、多古町から当初あった地域から3km以上も隔たつてい
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る道路網になつています。そういう面から特に南側から場内に入る、それから 取香側から入るルー トについて、今現在でも相当の渋滞をきたしている状況で すので、関西の伊丹空港等で実施された豊中市から空港ターミナルに直接の地 下道を作るというような事業、ああいう方式のルートを是非お考えをいただき たいという要望です。よろしくお願いします。
それから現在のアナログから地上デジタルヘの放送の問題ですが、多古町は 地形状、海抜40mの地域と海岸線から4~5mの地域との格差が大きすぎて、 空港会社の中継基地があるアンテナからも電波が取れないという状況下の中で、 今後も障害が発生すると大変な状況だという認識をしていますので、ぜひ今後
ともご配慮いただきたいということです。
【田邊委員長】 では続きまして富里地区部会相川委員からお願いします。
【富里地区部会 (相川委員)】 富里部会の相川です。道路整備については、何 人も質問がありましたので、いかにみなさんが要望しているかということが十 分わかったと思いますので省きたいと思います。国際空港ですので周辺の国道 はすべて4車線にしないと空港のグレー ドが上がらないのではないかと思いま すので、よろしくお願いします。
私からはその他の規制緩和についてぜひお願いしたい。富里には色々な企業 が来ますが、成田都市計画という中の規制がかかつています。したがつて建て られない、地方分権の時代で規制緩和の時代に何でこんなに強い規制があるの
だろうといつも非常に困つています。ぜひ規制緩和をお願いしたい。 それともう1つですが、羽尾課長にお聞きしたいのですが、国際拠点空港毎 に見た課題という問題を説明されたのですが、その (ハ)「空港周辺地方公共団 体との間のこれまでの合意事項の取り扱いをはじめ、地域の中の空港として地 域と空港との共生の観′点からの課題についても整備が必要である」となってい
ますが、これまでの合意事項も整理するのでしょうか。それとも地域と空港と 共生の観点からの課題についての整備が必要だと書かれているのですが、この 意味について教えていただきたいと、これは通告してありませんので、答えが なくても結構ですけど、お願いしたいと思います。以上です。
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【田邊委員長】 では今の点、道路はいいというお話ですが規制緩和。
【千葉県 (堺谷理事)】 ここですぐ県の担当としてお答えできないものですか ら、十分担当に伝えさせていただくとい うことでよろしいですか。
【田邊委員長】 ではもう1点は羽尾課長から課題説明を。
【国土交通省 (羽尾課長)】 先程のご質問の点について簡単にご説明させてい ただきます。 これは一番後に空港毎に見た課題の整理についてですが、それ以 前に環境対策・共生策については3空港共通でもないのですが、共通の所にど のようにこれから完全民営化後確保するかと記述してあります。したがって、 ここは上場するに当たって、例えば (イ )にありますのが羽田との関係、ある いは北伸後どういうふうに空港がなっていくのかという関係、それから地元の
環境対策の残つている問題、こういったものについてどのように進められてい くかというのをきちっと明確にしておかないと、上場の条件として、例えば証 券市場から買う人もいつたいどれだけのお金を地元関係で投資していくのだろ
うとか、あるいは羽田との関係で空港の競争力がどうなるのだろうというのが、 きちつと見えないといけないので、ここに記述してあります。ここの部分関空・ 中部は除いて書いてありませんが、いずれも整理が必要であるというのが基本、
文末を揃えているという問題でして、主旨は今申しました感 じです。
【田邊委員長】 では次にいきたいと思います。香取・神崎地区部会の宇井委 員からお願いします。
【香取・神崎地区部会 (宇井委員)】 香取・神崎地区部会の宇井です。本日は 石橋神崎町長と2名で参加していますが、代表して私から3点程要望させてい ただきたいと思います。お願いします。
1点目は、空港と周辺地域の振興についてです。今後アジア近隣諸国の更な る経済成長や交流の拡大等により国際航空需要は伸び続けていくことから、国
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内に留まらずアジア諸国の国際空港の競争が激しくなる。こういつたことが予 想されるわけです。その中で成田国際空港が国際拠点空港としての明確な位置 付けを前提として、空港の早期完全化の実現並びに空港と周辺地域が共に生き、 共に繁栄できる地域づくりに対して支援策を要望する次第です。また、暫定滑 走路の完成後の今後の成田国際空港の整備計画と合わせて、空港周辺の地域整 備計画、成田空港のポテンシャルを一層高め空港と周辺地域が共に発展するこ
とを目的として、地域を上げて成田国際空港をサポー トできる成田国際空港株
式会社と空港圏の市町との研究組織を新たに設置していただきますよう要望し
ます。 2点目は、標準飛行コース及び高度の遵守についてです。成田国際空港は騒
音の少ない航空機の乗り入れに努力されていますが、1日の平均発着回数が平 成 13年度 353回 だつたものが、平行滑走路供用開始後の平成 17年度には 515回 に増加 しています。また、航空貨物量の増加に伴い夜間等は騒音を耳 にする機会が増えています。香取市西部そして神崎町等の境界付近では、離陸 便が標準コースを逸脱して夜間に飛行する。それも混雑時の待避ではなく、次々 と飛行していくという苦情も寄せられている状況です。標準飛行コース及び高 度の遵守を徹底指導、監督されるようお願い申し上げます。更に航空機騒音の 通年測定局を神崎町に設置をしていただき、町民に測定結果の情報の公開を行 い監視体制の強化をお願いします。合わせて通年測定局のない地域に対し、定
期的な騒音測定とその公表もお願いします。 3′点日は、地域振興についてです。空港周辺アクセス道路の整備は党内地域
の活性化に寄与することはもとより、空港利用者また空港関係就業者等の利便 性の確保、そして交通渋滞の緩和等に必要不可欠ですが、県道成田下総線につ いて国道356号バイパスまでの県道としての整備、そして首都圏中央連絡自 動車道神崎インターチェンジと一体となります利根川景観を活かし、空港利用 者への情報提供、そして地域交流の場となりますハイウェイオアシスの整備に
当たり、支援と関係機関の働きかけをお願いします。また、教育・消防等の施 設を整備するには多額の費用を要するため、可能な限り空港周辺対策交付金の 交付をお願いし、更に交付金の対象範囲の拡大をしていただきますよう以上、 お願いを申し上げます。
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【田邊委員長】 ありがとうございました。まず第1′点目の周辺地域の振興の 関係ですが空港関係お願い します。
【成田国際空港株式会社 (後藤部長)】 それではお答えをします。国際航空需 要が高まり、国内外の諸空港との競争がますます激化する中で、今後成田空港 が首都圏の需要を背負って世界 トップクラスの国際空港としての役割を担い続 けるためには、地元の皆様の協力が不可欠であると考えています。地域 と空港 が 共 に 発 展 し続 け て い く た め に は 今 後 ど うす れ ば い い の か を 香 取 市 あ る い は 神 崎町の皆様、地元経済団体等が中心になり協議あるいは研究をするような機会 がありましたら、社員の派遣あるいは資料の提供等々の形で積極的に協力をさ
せていただきたいと考えています。以上です。
【田邊委員長】 では2点日ですが、これは国土交通省成田空港長とそれから 空港会社とそれぞれお願いしたいと思います。
【国土交通省 (唯野空港長)】 それでは私の方からは飛行コースと高度の遵守 に つ い て お 答 え を させ て い た だ き ま す 。 飛 行 コー ス に つ い て は 、 離 陸 を した 後 直線で上昇していく、それから着陸をしてくるのに直線で降下してくるという こういうことで規制を作りまして、航空会社に対してはその遵守徹底の指導を し て い る と こ ろ で す 。ま た 、当 然 監 視 も 行 つ て い ま す 。残 念 な が ら そ こ か ら 先 、
香取 0神崎地区については、標準飛行コースの幅の中を飛ぶという形で運用し ています。一方でその幅の中を更に違 うコースを飛んでいるときがあるという お話がありましたが、航空機が輻較する場合にどうしても管制の都合上この交 通の円滑な流れを作り出すために誘導していることがあります。あるいは気象 状況によっては、例えば舌L気流が起 こってそこを避けなければいけないことも あります。そういう場合にはどうしても面的な運用を行つていますので是非ご
理解をいただけないかと思います。 それから高度については、定められた飛行高度がありますのでその遵守を徹
底指導しています。昨年から北側の着陸についてご協力をいただきまして、一 - 44 -
部の航空機ですが高度を下げています。それによつて円滑な運用ができていま すので、改めてお礼を申し上げます。以上です。
【成田国際空港株式会社 (後藤部長)】 それでは通年測定局の件です。航空機 の騒音常時測定局については現在県・関係自治体及び弊社が設置した測定局が 空港周辺の102ヶ所に設置をされています。これらの測定局は暫定平行滑走 路の供用に合わせて、県並びに関係自治体等と調整しながら増設および再配置 を行つています。適正な騒音測定を行 うことができるバランスのとれた配置と なつています。弊社の常時測定局は1点日として騒防法に基づく騒音対策区域 の検証・監視を行うため、第一種区域の近傍に設置するということ、それから
2点 目として航空機の運航が集中する飛行コース下に設置する等の基本的な考 え方に基づき設置しています。また、常時測定と共に第一種区域の境界付近に おいては区域指定の検証を行うための短期測定も夏季と冬季に実施をしており、 これ らの総合的な騒音測定によつて十分な監視体制の下に騒音の監視を行つて いますので、神崎町に新たに測定局を増設することは現在のところ考えていま せん。なお、騒音の測定結果においては弊社設置の33ヶ所の日毎及び月毎の 測定結果を弊社のホームページに公開をしていますし、空港周辺に102ヶ所 設置されている全ての常時測定局に関しては、成田空港周辺地域共生財団のホ ームページにおいても公開しています。以上です
【田邊委員長】 続いて3問目については千葉県と空港会社ですが、まずは千
葉県から 次お願いします。 '贋
【千葉県 (堺谷理事)】 道路問題ですが、圏央道の神崎インターと一体となる ハイウェイオアシスの整備の件ですが、1つはこの圏央道の茨城県の境から大 栄の間について、平成 16年度から用地買収、工事に着手しています。平成 1
8年度は同じように用地買収と工事を実施しました。それから平成16年12 月に国土交通省から圏央道の新しい休憩施設等については、地域活性化及びコ ス ト削 減 等 の 観 点 か ら 道 の 駅 と 一 体 整 備 す る と い う 方 針 が 出 さ れ て い ま す 。 今 後、神崎町を主体として国土交通省、千葉県等で構成する協議会を設立してパ
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?キングエリアの設置等について検討することにしています。県としてもこの 仮称「神崎パーキングエリア」設置については道路利用者の利便性と地域の活 性化を図る上で重要と考えていますので地元の町等とともに国等に働きかけて いきたいと思います。それから県道成田下総線の延伸については、周辺の交通 状況等を見ながら研究していきたいと考えています。以上です。
【成田国際空港株式会社 (後藤部長)】 それではもう1点です。周辺対策交付 金の増額についてのご要望ですが、教育施設等の公共施設に対する防音工事に ついては騒防法に基づき助成を行つているところであり、その防音工事助成を 受けた施設の維持費相当分を周辺対策交付金において毎年交付をしています。 航空機災害対応のための消防施設については、整備内容に応じてご協力してい ます。引き続き具体的な内容等お伺いしながら相談したいと考えていますので よ ろ し くお 願 い 申 し上 げ ま す 。
【田邊委員長】 よろしいですか。では、続きまして河内・稲敷地区部会の野 高委員よろしくお願いします。
【河内・稲敷地区部会 (野高委員)】 それでは稲敷・河内地区を代表して3点 程要望等申し上げます。今 日は稲敷市長の高木市長も一緒に参っています。
第 1点 目は地域住民の説明等に関することです。平行滑走路の北伸や高度変 更等によって今後さらに騒音レベルの増加が懸念されるところです。これまで も住民の皆さんからは問い合わせや要望が寄せ られていますが、今後は更に多 くなるだろ うと考えています。 このよ うな中、地域住民の合意形成は最重要で あるとの認識の下、空港関係諸施策が円滑に進むよう、空港側としても色々と
ご 検 討 を い た だ き た く お 願 い 申 し上 げ ま す 。 ま た 、 航 空 機 の 混 雑 に よ る 危 険 度 の高まりも懸念されます。航空機事故防止等を想定した対策についてもしつか
りとご検討をしていただきたい とお願い申し上げます。 2点 目は騒音測定についてです。現在、稲敷市においては9基、河内町にお
いては4基の固定測定局が設置 されていますが、便数増カロや着陸機の面的運用 の反映を考えると滑走路延長線への設置だけではなく広範囲な固定測定局の増
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設をお願い申し上げます。 3点目は防音対策についてです。稲敷地区において河内町以外は騒音区域の
指定はありません。基準を下回つているとい うことですが、騒音に対する苦情 や民家防音対策の要望が多く寄せられていることも事実です。このようなこと から防音対策区域の拡大について要望します。また、河内町において平行滑走 路の北伸により第 1種区域が新たに設けられるところでありますので、当該区 域の対策に隣接する区域の対策についても1贋調に進歩するよう酉己慮お願いする ところです。以上の3点について特段のご配慮よろしくお願い申し上げます。
以上です。
【田邊委員長】 ありがとうございました。3間です。いずれも空港関係の話 です のでお願 い します。
【成田国際空港株式会社 (後藤部長)】 それでは1点 日です。地域住民への説 明及び周知についてですが、地域の皆様からの問い合わせについて弊社におい て空港の南北と茨城県に地域相談センターを開設して対応していますが、今後
とも地域からの苦情要望については迅速かつ適切な対応を心掛けていきたいと 考えています。また、航空機事故等を想定した対策に関しては、空港内外の関 係機関と常に緊密な連携を図りながら危機管理対策の充実に努めるとともに、 今後航空機事故にかかる対策訓練等が実施される際には積極的に協力したいと 考 えています。
続きまして2点 目の航空機騒音常時測定局の増設についてです。航空機騒音 常時測定局については、現在県関係自治体及び弊社が設置した測定局が空港の 周辺に102ヶ所設置されています。これらの測定局は暫定平行滑走路の供用 に 合 わ せ て 、県 及 び 関 係 自 治 体 と 調 整 を し な が ら 増 設 及 び 再 配 置 を 行 つ て き て 、 適正な騒音測定を行うことができるバランスのとれた配置となつていると認識
して い ま す 。 弊 社 の 常 時 測 定 局 は 、 騒 防 法 に 基 づ く騒 音 対 策 区 域 の検 証 監 視 を 行 うため、第一種区域の近傍、航空機の運航が集中する飛行コース下に設置を するなど基本的な考え方に基づいて設置してあります。また、常時測定ととも に 第 一 種 区 域 の 境 界 付 近 に お い て は 区 域 指 定 の 検 証 を 行 うた め の 短 期 測 定 、 夏
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冬実施していまして、これらの総合的な騒音測定により十分な監視体制の下に 騒音の監視を行つていますので、何卒ご理解の程よろしくお願いします。
3点目の騒音対策の充実についてですが、平行滑走路の北伸整備に伴う騒音 対策については、弊社が一昨年10月に公表した予測騒音コンターを基本とし、 国が平行滑走路北側における騒音区域の拡大の見直しを行うこととなっていま す。北伸に伴 う騒音の影響範囲等を勘案 しても、河内町を除く稲敷地域におい て騒音区域を拡大するということは難 しいと思われます。なお、騒防法の告示 につきましては明日の3月 30日を予定しています。なお、北伸による平行滑 走路の供用後も騒音の影響を把握するために常時測定局による騒音監視を行う
とともに、第 1種区域の境界付近において区域指定の検証を行 うための短期測 定を夏期冬期に実施することとしています。また、平行滑走路の北伸整備に伴 いまして河内町に新たに設けられることとなる騒音区域の防音対策については、 北伸の平行滑走路の供用による騒音の影響等の状況変化を適切に考慮して河内 町当局とよく相談させていただきながらきめ細かな対応を実施していきたいと 考えていますので、よろしくご理解を賜りたいと思います。以上です。
【田邊委員長】 よろしいですか、ありがとうございました。では最後になり ますが成田空港から郷土とくらしを守る会の岩田委員からお願いします。
【郷土とくらしを守る会 (岩田委員)】 それでは質問します。 第1点日は2月 6日の毎日新聞に黒野社長がインタビューを出していますが、
それについてお伺いしたいと思います。黒野社長は空港の機能拡張について話 しています。はっきりは言つていませんが、この機能拡張というのは平行滑走 路の3,000m級 の滑走路を作ること、それから発着回数の拡大を指してい ると読み取れるわけですが、我々としては納得できないところがあります。す でに工事が始まっていますが、今の北伸の2,500m化 を行うときの説明会、 色々な話を聞いてみますと住民からは切実な話が出ているわけです。例えば「も う今でも限度なのだ、これ以上は困る」という話も出ているし、それからもつ と切実なのは2,180mの 滑走路が供用開始になってから、「飛行機の音が聞
こえてくるとどこにいても頭痛がしてくる、だからもう鎮痛剤は離せないのだ」 - 48 -
という人もいるわけです。それから「夜寝ようと思つてもいつ飛行機がまた飛 んでくるかと思うと非常に寝つきが悪くなる。だから結局寝るためには睡眠剤 を飲むしかない、あるいは酒を飲んで紛わして寝るしかない」と切実な意見は 会社の方も聞いていたと思 うのです。そのような意見があるにもかかわらず、
これから3, 000m級 にするのだとか、インタビュー記事の中でヒースロー 空港の例を挙げて、「ヒースロー空港では3,000m級 滑走路2本で年間発着 回数は48万回もやつてるじやないか」と黒野さんはおっしゃる。とんでもな いことだと思います。こういうことをおつしやるというのは騒音に本当に苦し んでいる住民の気持ちがわかつていないのではないかと考えぎるを得ないと思 います。2, 500mの 滑走路について言えば、私が 28回の騒音対策委員会
で「南側の用地問題が解決したら平行滑走路3, 000m級 にするのではない か」と質問しましたら、当時は空港公団でしたが、その空港公団の平山共生部 長は「そういうことは考えておりません。もし南側に延ばせたとしても (あの 頃は供用開始になつていませんけれ ども)北伸部分については、滑走路の航空 灯などを設置したりして、使わないのだ」とはつきりお答えになつていました。 その答えと今回の黒野社長の発言と乖離しているのではないかというわけです。 我々としては黒野社長の発言が非常に気になる。しかもこの中で黒野さんが言 っているのは「2, 500mで 十分というならば成田空港の地位は低下する」
と、あるいは「東峰地区住民の納得がなければ地域は負け空港も負けると、だ から機能拡張がなければ地域の発展もないのだよ」と、要するに地域の発展が ないと脅 して、「なんとかおまえら考えろ」と言つているのに等 しいのではない かという気がします。これはちょつとひどい発言なのではと思い、認められな いのではないかということです。
第2点目は、騒音被害を被っている住民は全体の周辺市町村全体の人口から 見れば数は多くないが、非常に苦しんでいます。ところがそういう人に対する 直接の補償制度というのは今何もありません。もちろん周辺対策交付金はあり ます。この周辺対策交付金はそういう騒音地域に使われていることは間違いな いわけですが、騒音に苦しんでいる住民一人一人に対しての補償制度というの は現在何もない。例えば状況は違 うかもしれませんが、このところ判決が続い ている基地騒音の判決を読んでみますと、その中で裁判長はこういうことを言
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つています。「裁判をしなければ騒音に苦しむ人達の補償が受けられないという のは国の怠慢だ、早くこういう状況を何とかしなさい」という判決をだしてい ます。多分基地周辺でも色々な周辺対策交付金のようなものがあると思います。
しかし個人個人に対する補償、私達は例えば騒音の程度によって住民一人一人 に対して年間いくらいくら、それで騒音が激しくなればその額は上がる、騒音 が低くなればその額は下がるというような補償制度を作るべきではないかと思 います。
それから第3点日は、空港の軍事利用の問題です。アメリカがアジアのこの 日本の周辺で、「事を起こした際に民間空港を利用 したい」と日本の政府に申し 出ているようです。その中に成田空港を使いたいということも名前を挙げては
つきりと言つていると聞いています。これを具体化するために今年に入って特 に新聞なんかでも報道されていますが、「共同作戦計画5055」 の検討が進ん でいるという状況があるわけです。ところが成田空港については、前身の空港 公団それと私達守る会、日本山妙法寺とで成田空港の軍事的利用はしないとい う約束があります。これについては当時の歴代の運輸大臣と国会答弁等で確認 をしています。米軍や自衛隊等の成田空港の利用はないと私達は考えています。 成田空港株式会社の方では、昨年4月に国民保護法に基づく保護計画を策定し
ているようです。当然、保護計画があるということはそれに基づく訓練や演習 というものが考えられるのではないかと思います。私たちとしては、例え訓練 や演習であっても、その米軍関係や自衛隊関係の参加をするような訓練や演習 は認められないと考えています。一度でも訓練や何かであっても、軍事訓練と いうのは戦争行為の1つであることは間違いないわけで、それに備えるわけで すから、その米軍や自衛隊の利用が1回でもあれば、もし事が起こった場合に 軍事施設とみなされて攻撃の対象になっても全くおかしくはない。そういう事 態は避けなければいけないということで、訓練や演習であつても米軍や自衛隊
を参加させないという約束をしていただきたいと思います。 それから第4点日は、飛行コースの問題です。私のところに千葉県旭市の人 から「自分の家の上空を成田空港に離発着する飛行機が年中飛行しているが、 飛行コースがあるのか」という問い合わせのメールがきました。それで私も調 べてみて、今日、配られている環境報告書の24ページにその標準飛行コース
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の図が出ていますが、これを見ても旭市の上空というのは、ほんのわずか北の 方に西の方へ旋回する航空機の飛行コースが1つあるだけです。とくに北側離 陸の場合には他にないのです。しかし「年中飛んでいる」と言つています。ま
るつきり信用するのも何かと思い、1月 9日現地へ行き、実際に測定をしまし た。簡単な方法ですがカメラを使いました。すると確かに飛んでいるのです。 もちろん旋回する飛行機もありました。それは遥か手前の方から旋回して西ヘ 向かつていく、ところが明らかに私が測定している真上の近くを通つて太平洋 の海岸に抜けていく飛行機が何機もありました。そういう標準飛行コースはな いはずです。ですから、この人の言っていることは間違いないとい うことがわ
かりました。この人から年中メールがきます。今日はこういう状況で飛んでい た、今日はこういう風に飛んでいたと。やつぱり標準コースではないところに 飛行機を飛ばすことは、まずいのではないかと思います。指導をもつと徹底し ていただきたいと思います。
第 5点 日ですが、騒音の評価基準、評価方式についての問題です。世界で多 く用いられているLden(読 売新聞で、はつきりLdenに したいのだとい う報道がありました。環境省は色々な方式について世界中の方式を調べていま
す。その評価方式)との相関関係についてお伺いしたいです。例えばWECP NLあるいはLdenの 評価方式と被害間隔との双方関係をきちつとしていた だかないと困ると思います。現在のままですとLdenに 変えたら何が変わる のか、確かに逆転現象がなくなります。ただ逆転現象がなくなるということで 終わつてはいけないと思います。私達もいろいろ調べているわけですが、WE
CPNLが 同じ音の飛行機が2倍飛んでも、あのWECPNLの 値が3ポイン トしか上がらないのです。ところがLdenで 計算してみても、まつたく同じ です。Ldenで 機数が倍になつても、結局ポイントは3ポイントしか上がり
ません。ところが現在のW値ですと、その騒音区域の区割りは5ポイントです。 ですから結局3ポイントだけしか上がらないということは、場所によつては倍 の飛行機が飛んできても騒音区域の変更はないということになります。果たし てこれでいいのだろうかと考えるわけです。その被害間隔、例えばWECPN
Lで数値が変わると住民はどう感じるのか、あるいはLdenで 数値が変わつ たらどう感 じるのかということを、調べたデータに基づいて今度の諮問が行わ
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れているのかどうか。それを抜きにして、そのWECPNLと かLdenに 変 えるとか、それだけのことで終わってしまうのか、しかも区害Jり の基準はまた 5ポイントずつ区切つていくと、あまり変化がないじゃないかということにな つてしまうわけです。住民としては、もう少し検討していただきたい。もしそ ういうデータがないのならば、ちゃんとした科学的な調査を行ない、その上で
結論を出 していただきたい と思います。以上です。
【田邊委員長】 はい。ありがとうございました。問題は5問ありました。最 初に空港会社からお願いします。
【成田国際空港株式会社 (後藤部長)】 それでは平行滑走路再延長の件につい て回答させていただきます。現在2, 500mの平行滑走路北伸整備について は、2009年度内の供用を目指して工事を進めています。供用時には年間の 発着回数は22万回となるというところまでは地域の方々のご理解を得て決ま つています。したがって当然成田空港について北伸整備以降どうするのかとい
う の は 自 紙 の 状 態 で す 。こ の よ う な 状 況 の 中 で 成 田 空 港 の 将 来 計 画 に つ い て は 、 地域の発意と協力なくして事態が進んでいかない構図となっていることから、 弊社の社長は「そこに留まっていいかどうか、どのように地域の方々はお考え なのか」といったような主旨で発言したわけです。ぜひともご理解をいただき た い と思 い ま す 。
【田邊委員長】 はい。あと残る質問は国交省側になります。よろしくお願い します。
【国土交通省 (羽 尾課長)】 住民の方々への直接の補助制度の創設についてで すが、これは成田空港わが国の国際空港の5割を占めるシェアで3, 000万 人を超える量があるなどといった公共性の観点、現在の受忍限度の観点などか
ら極めて難 しいものだと考えていますが、ご承知のように騒音対策については、 これまでも成 田空港会社あるいは県の方のご努力をいただいて、発生源対策、 住宅防音工事の実施などといった周辺対策を実施していて、それなりの効果も
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あげているということで総合的にご理解いただければ幸いです。その次の成田 空港の軍事的利用についてのご質問ですが、空港建設に関わる地元の方々との これまでの経緯、過去における国会答弁の重み、あるいは国民保護法における 審議、こういつたものの状況などを踏まえて慎重に検討し対応をしていくべき ものと考えています。その次に、飛行コースについては東京航空局からお答え していただきますが、私の方から環境策については先ほどご説明したとおりで す。最後に航空機の騒音評価方法の見直しについてです。住民の方々の被害の
感覚とLdenの 相関関係についてのご指摘ですが、現在環境審議会を主催し ています環境省にきちつとお伝えしたいと思つています。
【国土交通省(唯野空港長)】 飛行コースについてお答えをしたいと思います。 先ほどの24ページの図をもう一度ご覧いただきたいと思います。少し専門的 になつて申し訳ないですが、滑走路に着陸する航路は途中からほぼ直線状にな っています。また離陸していく航路も、途中まで直線状になつています。 しか
し、その先の曲線部では、標準飛行経路が緑色の線で示してありますが、実際 の航跡はかなリバラついているのがご覧いただけると思います。実は着陸する ときには、計器着陸装置というものがありまして無線で着陸を誘導します。こ れでほぼまつすぐに入れます。離陸していくときには、しばらくの間は離陸し た滑走路の延長線上を上がっていきますので、ほぼブレないで行くことができ ます。ところがコースが回つていく部分については、これを援助するための施 設が今の時代まだありませんのでどうしてもブレてしまいます。実は標準飛行 経路に幅があります。この場合ですと片側約7km、 全幅14kmぐ らいある と思つていただければと思います。ただその幅の全部が一面に使われているわ けではなく、見ていただいたらわかるように、中心をなるべく通ろうとします ので、中心部の頻度が高く、中心から離れるほど頻度が低くなっていきます。
そういう飛び方が今の現実です。それと標準の飛び方以外に、ある部分をどう しても避けなければいけないとき、航空機が混んでいるため、航空機間の間隔 を調整する必要があるときなどには、横にふらざるを得ません。そういときに は、標準飛行経路の中心に乗ろうとするのではない飛ばし方をします。そうい うことが面的な運用になつてしまいます。この辺については、ぜひご理解をい
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ただきたいと思います。
【田邊委員長】 はい。ありがとうございました。よろしいですか。
【成田空港から郷土とくらしを守る会 (岩 田委員)】 今の標準飛行コースです けど、私が調べたとき特別なことはありませんでした。天候は快晴、風もそん なに強くなく、それで混雑というわけでもない。それには当たらないのではな いかなと思います。でも幅14kmとなると、これは事実上「北総地域は全部
飛ばしてもいいのだ」という解釈になる気がします。
【国土交通省 (唯野空港長)】 幅14kmというのは14km使い切るという 意味ではなく、真ん中を通ろうとするわけですが、飛行機の性能によっては早 く上昇する飛行機もありますし、遅く上昇する飛行機もあるわけです。そのタ イミングなどで、右に曲がっていくカーブの半径も違ってくるわけです。それ を 援 助 して 曲線 の 上 を 航 空 機 が き ち ん と飛 ん で い くた め の 地 上 援 助 施 設 が あ れ ばまた別ですが、今まだこの時代にはできていません。 したがってそんな飛ば
し 方 を せ ざ る を 得 な い と い う こ と で す 。幅 い っ ぱ い と い う わ け で は あ り ま せ ん 。 なるべく真ん中に行こうとしています。
【田邊委員長】 よろしいですか。予定時間を過ぎてしまい申しわけございま せん。本日は本当に長時間にわたり貴重なご意見をいただきました。誠にあり がとうございました。今日いただきましたご意見については、今後の環境対策 なり共生策に反映させるよう努力して参りたいと思つております。
今後ども引き続きご支援・ご協力のほどお願い申し上げます。本日は本当に ど う も あ りが と うご ざ い ま した 。
【司 会】 これを持ちまして、第34回成田国際空港騒音対策委員会を閉会 させ て い た だ き ま す 。
本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。 引き続きまして、隣の会場で懇親会をご用意しております。各委員の随行の
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皆様もぜひ一緒にご参加いただきたいと思つております。それでは隣の部屋で 用意しておりますのでよろしくお願いします。本日はどうもありがとうござい ました。
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本議事録は相1違:ないことを証する。 平成 19年 6月 18日
‐ 第34回成田国‐際‐空|1港騒音対策委員会委員 山武市長 1織名 千
第34回成田酸際空港鑽音対策委員会委員 打内町長 野高 費
曇 千 醜欝
繭