健康調査についての要望書と回答


 去る、2014年1月23日に成田国際空港株式会社(NAA)本社において、この要望書についての回答を聞きました。「文書回答はしない」とのことでしたので、録音を取りました。回答とそれについての質疑応答で約1時間半話し合いましたので、その要約を下記に書きます。質疑は話しがあちこち飛ぶところもありますので、項目別にまとめて書きます。本会参加者は副会長の成田市議 鵜澤治、多古町議 石渡悦子、事務局長の岩田でした。


2013年12月16日

成田国際空港株式会社社長 夏目 誠 様

成田空港から郷土とくらしを守る会
会長 木内昭博

健康調査についての要望書

 「30万回合意」に基づく航空機騒音の影響調査が始まるとのことですが、これについて、様々の疑問点が生じています。
 以下の点につき質問し、要望いたします。

1、 調査回答者に、クオカードなどの配布が行われるとのことですが、このようなことが調査前に告知されることは、安岡委員長がコメントで述べている「公正中立的な健康調査」を行う上で障害になるのではないでしょうか。見解を教えて下さい。

回答;第3者委員会で審議して、出来るだけ多くの回答を得たいとの意図で行う事になった。これは、一般的に、このような調査の場合に行われており、調査の障害にはならないと考えている。

2、 前から本会が要望していますが、健康調査委員会に複数の住民代表を参加させて下さい。

回答;公正中立に行うために決めたもので、学識経験者による委員会の設置をすることにした。

3、 調査について以下の各点について教えて下さい。
 (1) 1次調査と2次調査を合わせて、調査対象者は何名ぐらいになるのでしょうか。

回答;現在第1次調査として、成田市と芝山町から約1000名を抽出して行っている。この調査結果に基づいて第2次調査人数などを決める。

 (2) 1次調査と2次調査の位置づけを教えて下さい。

回答;第2次調査は来年にどのように行うか、第1次調査の結果を第3者委員会で審議して決めることになる。第2次調査は周辺全域の第3〜1種騒音地区、隣接地区、谷間地区の住民を対象としておこなう。

 (3) 1次調査と2次調査の設問は同じものでしょうか。結果は別々に出すのでしょうか。

回答;第1次調査の結果を検証して、第2次調査を行うので、設問などは違ってくる可能性がある。

 (4) 騒音の影響を受けやすい弱者である、乳幼児や子供、病気療養者への影響はどのように調査するのでしょうか。

回答;調査は一般的に、設問などを理解出来る、成人を対象として行う。

4、 調査対象者について以下の点を要望いたします。
 (1) 調査対象者はできれば、調査地域全住民にして下さい。

回答;対象地区全体では約1万世帯となるので、全部を対象とすることは難しい。調査対象は5集団から選ぶ。

 (2) 調査対象者は世帯単位でなく、個人単位で選んで下さい。

回答;今回は世帯単位ではなく、個人単位で、住所・氏名を明記して回答してもらう。

 (3) 調査対象者の年齢は20〜80才ではなく、10〜80才にして下さい。

回答;このような調査は一般的に成人を対象とするものであるので、20〜80才を対象として行う。

5、 少なくても100名以上の住民を対象に、睡眠中の心拍数や血圧を測定する調査を行って下さい。

回答;今回の調査は一般的に個人の感覚を、アンケートによって答えてもらうものである。回答の中で、リスクがあると委員会が判断したものについては、受診するように勧めるなどのフォローを行う。

6、 静穏な地域の住民との比較を行うために、騒音調査地域と同じような農村地帯で、航空機騒音がない地域の人にも調査を実施して下さい。具体的な対象地域を教えて下さい。

回答;航空機騒音がなく、調査地域と生活環境の似ている地域を、比較のために調査する予定である。

以上


質疑応答

【委員会の構成について】

本会;本会は当初から「公正中立の委員会の設置と、住民代表を委員会に入れるべき」と主張していたが、何故、住民代表を入れないのか。

NAA;調査の中立と公正を維持するために学識経験者で構成した。

本会;住民代表が入ったからと言って、中立公正が阻害されるとは考えられない。住民の感覚で意見を言うだけだ。今回の「Quoカード」配布事前告知も、住民感覚から言えばおかしい。住民の意見を取り入れるためにも代表を入れるべきだ。南北の成田市と芝山町から少なくても1人づつ入れて欲しい。

NAA;住民代表は入っていないが、委員会にはオブザーバーとして周辺自治体の関係者が傍聴している。何か意見があれば、委員会終了後にも出せるようにはなっている。

本会;自治体関係者の中に、騒音地域に住んでいる人がいたとしても、個人的意見ではなく、“自治体職員”としての立場で出ているので、一住民としての意見は出しにくい。

本会;第3者委員会の名簿が公表されていないのは何故か。公表するのが、「公正・中立」の立場ではないのか。

NAA;調査が終わって、報告書が出れば、そこでは委員の名前も載ると思う。

【Quoカード問題について】

本会;今回の調査が、成田国際空港株式会社(NAA)のお金で行われるものであるから、事前に「回答すればQuoカードなどを差し上げます」と告知するのは、一種の利益誘導であり、「公平中立」を阻害するのは明らかだ。

NAA;第3者委員会が決めたことであり、一般的も行われていることから、問題はないと判断した。あくまでも「回答数を確保したい」と言う事だ。

本会;調査数を確保したい、とのことであるが、それならば、騒音地域全住民への調査をすれば良いではないか。

NAA;数が膨大になり、それは難しい。

【調査対象年齢について】

本会;子供などの弱者についての影響を調べるためにも、対象年齢は10才からとすべきではないのか。第2次調査では10〜80才として欲しい。

NAA;このような調査では一般的に「成人」としている。

本会;成人と言っても、諸外国では16才程度から選挙に参加している例もある。このような調査の回答は騒音地域に住んでいれば、10才程度で回答出来るはずだ。幼児などの弱者への影響は今回の調査では行わない、と言う事か。

NAA;調査の最後に、自由に意見を書ける欄が設けられているので、そこに書いてもらえば良い。

【血圧や心拍の影響調査について】

本会;自覚がなくても、夜間の騒音が心拍や血圧を高め、そのストレスが長い年月にわたって、心身に影響があることも考えられる。今回のようなアンケート調査では、このような影響については分からない。今回はこのような調査は行わない、と言う事か。

NAA;ストレスがかかり、リスクがあると判断される回答があれば、医療機関で診察してもらうように指導するなどの、フォローをすることになっている。

【調査費用について】

本会;今回の調査には成田国際空港株式会社(NAA)としてどのくらいの予算を組んでいるのか。

NAA;調査が始まったばかりで、まだ分からない。第1次調査の結果によっても違ってくる。

本会;「全住民への調査は難しい」とのことだが、「今後どのような2次調査が行われるか分からない」ということは、予算に上限は設けていない、と言う事か。

NAA;いや、上限を設けていない、ということではない。

以上


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