日本貨物航空エコ格納庫見学


 2012年12月18日に、日本航空技術協会主催の「日本貨物航空 航空見学会」に参加しました。この様子について、写真で紹介します。日本貨物航空の格納庫は成田空港の整備地区にあります。特徴は、壁面や天井に明かり取りの半透明素材がふんだんに使われていることです。

 

 左上の写真が日本貨物航空(NCA)地区の入口です。専用のゲートがあり、出入りは厳しくチェックされています。右上の写真が格納庫(後)と本社施設(前)の全景です。

  

 始めに、会議室で会社と格納庫についての説明がありました。左上が会社の概要です。日本郵船の子会社になっています。全従業員が707名となっています。
 この格納庫は「エコハンガー」とも呼ばれています。外光を取り入れることなどで通常の格納庫に比べて、二酸化炭素排出量が約30%削減されています。

 いよいよ格納庫内部の見学です。この日は、B747-400F型機のA整備が行われていました。格納庫の中は、以前見学した日本航空や全日空の格納庫に比べて、確かに明るくなっています。この日は、午後になって、日差しが陰ってきましたが、それでも十分な明るさでした。
 同社はこのB747-400F型機と最新鋭機であるB747-8F型機を所有していますが、これらを1機丸ごと納めて、整備できる格納庫です。写真の右隅の置かれている車両は機体に積もった雪を除去する車両です。これからの時期に活躍するでしょうね。

 

 機首部分のテラスから見ると、左の写真のような感じになります。右上の写真のようにエンジンやフラップの整備をしています。右下の写真のように、ベテラン整備士が若い整備士に、迎え角センサー(AOA)の整備について説明をしていました。左下の速度を測るピトー管には正常かどうかを見る検査装置が取り付けられていました。なお、ピトー管はこの下にもう1基あり、反対側にも2基ありますので、全部で4系統になります。

 

 格納庫の一隅に予備のエンジン置き場があります。左写真の左列の2基のエンジンはB747-400F型機のエンジン、右手前は補助動力装置、右奥はB747-8F型機のエンジン(GEnx-2B)です。B747-8F型機エンジンの方が直径が大きくなっています。この、B747-8F型機用エンジンはまだ使われていないもので、右写真のようにピカピカでした。
 会議室に置かれていたB747-8F型機の模型で驚いたのは、エンジン前部のファンブレードが波打つような形になっていたことです。残念ながら、実物ではシートがかぶせてあり、見られませんでした。シートをかぶせておかないと、湿気などで不具合が起こることもある、とのことでした。
 このエンジンのファンブレードの複雑な形態について質問したところ、「材質が炭素繊維強化複合材なので、このような複雑な形態も簡単にできる。このような複雑な形態が空気を送り込むために有効で、燃費の改善に役立っている」とのことです。もちろん、重量も軽くなるので、燃費が改善します。昨年、名古屋で開かれた「航空宇宙博覧会」で、「炭素繊維強化複合材でつくっても熱で変形しないのか」と聞きましたが、「エンジン前部であれば、温度は100度ぐらいにしかならないので、問題はない」とのことでした。

 会議室での説明の際に、「エンジンテストはどのようにしているのですか」と質問したところ、「今のエンジンは良くなっているので、フルパワーのエンジンテストはあまり行いません。必要があるときはそばにある、屋内型ノイズサプレッサーを使います。しかし、最新鋭の旅客機であるB777型機やB747-8F型機は屋内型ノイズサプレッサーに入らなくなっているので、整備場にある屋外のブラストフェンスで囲まれたところでやっています。」とのことでした。


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