《暫定平行滑走路北側再延伸計画についての声明》
騒音被害を拡大する「暫定滑走路再延伸」検討を
直ちに撤回し、真の住民合意に向け話し合いの場を
2005年1月15日
成田空港から郷土とくらしを守る会
さる11日、北側国土交通大臣と黒野成田国際空港株式会社社長が会談し、その席で北側大臣は黒野社長に暫定平行滑走路の用地交渉の期限を3月末までとして、同時に、暫定平行滑走路の北への再延伸に向けた検討に入るように指示しました。
私たち、「成田空港から郷土とくらしを守る会」は現暫定平行滑走路の建設に際しても、次の理由から建設に反対しました。(1999年5月26日声明)
第1に暫定平行滑走路の南端に生活している地権者がおり、生活権を脅かすことになること。
第2に強引な今回の計画が半年前に結ばれた「共生大綱」の話し合い解決の趣旨に反すること。
第3に暫定平行滑走路北部(千葉県成田市・下総町、茨城県)の住民に本来計画にない予想外の騒音被害が及ぶ恐れがあること。
第4に将来、平行滑走路が3000m級の滑走路として使用され騒音被害区域を大幅に拡大する可能性があること、です。
これらの状況は現在でも全く変わっていません。
さらに、私たちはこれらの問題を話し合いで解決するため、暫定平行滑走路計画を白紙に戻し、当局と関係住民、さらに、航空・空港関係者が一堂に会して白紙で成田空港の将来を話し合う場を設けるように提案しました。
しかし、建設は強行され、暫定平行滑走路は2002年4月18日に供用開始されました。
この供用開始後、心配されていた通り、この滑走路が非常に使いにくい滑走路であることが事実を持って証明されました。
当初から心配されていた「短い滑走路」の危険が2003年1月27日には70mのオーバーラン事故となってしまいました。この事故は、直接原因は滑走路の短さではないにしても、滑走路が2500mあれば防げた可能性がありました。
また、南端に1本しかないエプロンとの出入り口が狭くなり、航空機の交互通行を余儀なくし、航空機同士が接触したり、接触寸前で立ち往生する事態がおこりました。
さらに、誘導路の「くの字」部分で着陸機を待って一時停止を余儀なくされています。
今回、北側大臣が指示した北への再延伸で解決される問題は上記した問題点のうち「滑走路の長さ」だけにすぎません。他の問題は未解決になります。
これでは、平行滑走路を十分に活用することはできません。
黒野社長は「話し合いをぎりぎりまで続ける。」としていますが、「ジャンボが飛び始めると、騒音が激しくなりますから、移転してください。」と一方で脅かしながらの交渉ではなく、白紙の状態で関係者が一堂に会する場を設定した上で成田空港の将来を考えるべきではないでしょうか。
北側大臣は「首都圏の航空需要が逼迫している。国際競争に負けてしまう。」と言いますが、「首都圏の航空需要の逼迫」は「成田空港が国際線の基幹空港」との位置づけを堅持し、騒音被害に配慮して、羽田空港などとの連携でしのぐしかないと思います。
また、黒野社長は「2007年の完全民営化までには平行滑走路に何らかの筋道をつけなければ、投資家は納得しない。」と言っていますが、「完全民営化」はNTT民営化に見られるように「2007年」と言う期限があるわけではありません。
また、北への再延伸となれば、国道51号線のトンネル部分の補強工事などがあり、供用開始までに6〜7年かかるとの報道もあります。
私たち、「成田空港から郷土とくらしを守る会は」以上のような諸般の事情を勘案したとき、暫定平行滑走路を北に再延伸するのではなく、この方針を撤回し、白紙の立場で当局と関係住民、さらに、航空・空港関係者が一堂に会して、白紙で成田空港の将来を話し合う場を設け、当初計画の2500m滑走路を納得の上で建設すべきと考えます。
以上