ー2007年3月29日 第34回騒音対策委員会での国土交通省説明資料ー

今後の国際拠点空港のあり方に関する懇談会報告
平成19年3月27)
(抜粋版)

1 国際拠点空港の現状、これまでの経緯及び課題
(1)国際拠点空港の現状
(2)国際拠点空港のこれまでの経緯
(3)今後の課題


2 国際拠点空港の事業特性と果たすべき機能
(1)国際拠点空港の事業特性

ホ 他方、国際拠点空港については、例えぱ、成田国際空港については、平成21年度末の供用開始を目指し、平行清走路の北伸2,500m化が進められ、関西国際空港については、本年8月には二本目の滑走路の供用開始が予定されていることから、既に一定程度その施設整備が進んでいるとの見方ができる。(中略) いずれにしても、こうした一定程度の施設整備の進捗とともに、それぞれの国際拠点空港については、今後も相当程度の航空需要が見込まれているところであり、これらに鑑みると、国際拠点空港として必要な施設のあり方の整理次第の要素もあるが、概ねその運営を民間の経営に委ねる基盤が形成されつつあると見ることもできる。

へ なお・こうした特性と併せて、国際拠点空港が航空機騒音をはじめとする外部不経済を発生させる施設であるということも忘れてはならない。特に、成田国際空港は内陸空港であり・環境対策の実施が強く求められている。その一方で、地域の雇用を創出する場として、また、地域経済の活性化に寄与する施設として、地域振興の核となりうる特性を有していることもまた事実である。

(2)国際拠点空港が果たすべき機能

二 一方で、国際拠点空港は、その騒音が空港周辺地域に与える影響や、空港が地域経済に果たす役割等についても十分に認識し、地域の中の空港として、また、地域振興の核として、地域との共生という視点に立って、その運営を行っていくことも重要である。

3 これまでの国際拠点空港政策とそれを取り巻く環境の変化
(1)基本的方向
(2)国際拠点空港政策を取り巻く環境の変化及び今後の動向の見通し

4 今後の国際拠点空港政策の方向並ぴに国及び空港会社の役割
(1)基本的方向
(2)国及び空港会社の役割
(3)完全民営化の意義・効果等


5 完全民営化を円滑に進めるに当たっての課題とその解決策の方向
(1)国際拠点空港の完全民営化を円滑に進めるに当たっての課題

 国際拠点空港を完全民営化する場合、その事業特性や資本市場との関係等から、次のような事態が生ずるおそれがあるため、これらの課題に留意する必要がある。なお、先に掲げた平成13年の閣議決定(「特殊法人等整理合理化計画」)においても、完全民営化に際しては、「会社の業務が独占の弊害を生むことがないよう留意する」と明記されている。

@国の国際拠点空港政策と空港会社の経営方針との不整合から<る課題
A高い参入障壁による地域独占・代替不可能性からくる課題
B敵対的買収のリスクからくる課題
C市場圧力による株価雄持・配当維持の優先からくる課題


(2)国際拠点空港の完全民営化を円沼に進めるに当たっての課題の解決策の方向
イ 基本的な考え方
ロ 具体的な解決策の方向

@国際拠点空港政策を踏まえた空港機能の拡充に向けて
4) 
このため、今後の国際拠点空港政策における国及び空港会社の役割を踏まえれば、例えば、国は、国際拠点空港の果たすべき役割、各空港の機能・能力のあり方、空港間の役割分担、周辺環境対策のあり方等の事項を中心とした国際拠点空港政策に関する基本的な指針を作成、空港会社等に対し明示し、空港会社は国の示した基本的な指針を踏まえつつ、事業に関する基本的な計画を作成し、空港の整備・維持管理やサービス内容、環境面での取組みに係る計画内容を明らかにし、国の基本的な指針との適合を確保する仕組みを設けることが考えられる。

A適正な料金水準の確保に向けて
B適正な資本構成の確保に向けて

5) このため、空港の公共性を理解しない者による敵対的買収、外国資本や特定の者による空港経営の支配を防止する必要があり、そのための方策として、例えば、株式の外資による保有及び一株主による大量保有に関するルールの制定、拒否権付株式の発行等が考えられ、株式の流動性の低下、経営者に対する市場圧力の低下等に留意しつつ、それらの導入についてさらに検討する必要がある。

C環境対策・地域共生策等の適切な実施の確保に向けて

1) 空港会社を完全民営化した場合、その経営者に対して株価の維持、配当の維持等の圧力が生じること、また、内陸空港である場合は、騒音対策等の実施は空港会社の社会的責任であるものの、会社法上、経営者は株主に対して利益向上の責務を負うこと等から、環境対策・地域共生策等のうち資本コストに見合わないと空港会社が判断する投資については、積極的な取組みが行われなくなる場合が想定される。このため、公共的な見地から必要となる環境対策等について、国、地元自治体、空港会社の役割を踏まえつつ、空港会社によって所要の対策が実施されることを確保する方策を講ずる必要がある。

2) このため、例えば、環境対策・地域共生策等の実施を義務付ける方策や環境対策・地域振興等の実施が空港会社の事業経営の指針として位置づけられることを確保する方策の可能性を含め、経営者が株主に対して環境対策・地域共生策等を行うことが必要である旨を説明できるようにする方策を検討する必要がある。

3) 特に、成田国際空港については、大型機が頻繁に発着する二本の滑走路を内陸に有する空港であるとともに、建設の過程で大きな混乱が生じた経緯等を踏まえ、「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」等で一般的に義務付けられている騒音対策に加えて、地元自治体とも協力しっつ、きめ細かな騒音対策等を行う共生財団の設立やアクセスを改善する鉄道事業への協力、周辺自治体への交付金の交付等様々な対策を講じているところである。今後、空港会社の完全民営化に当たっては、これらの対策のあり方、進め方について整理し、適切な環境対策・地域共生策等が講じられるよう措置することが必要である。

4) さらに、国際拠点空港の運営に当たって、完全民営化された空港会社の経営の自主性を尊重しなければならないものの、空港の運営は地域社会に対して極めて大きな影響を与えることから、空港運営の現状、環境対策・地域共生策等の内容、今後の空港の将来像等について、できる限り分かりやすく、また、透明な形で地域社会に示し、十分に地域と意見を交換することが必要である。このように、空港会社が積極的に地域に対して空港の将来像等を発信することによって、空港を地域振興の核と位置づける地元地域社会が、受け身ではなく自ら意見を発信することが促され、結果として空港会社と地域との双方向の対話を通じたより良い空港と地域との合意形成に向けた動きにつながることが期待できる。

5) また、国際拠点空港は、地域にとっても、空港を利用する多数の外国人を空港周辺地域に呼び込むことによって地域の観光の活性化にもつながり、さらに、発着枠の拡大や商業施設の充実といった空港機能の強化、空港周辺の貨物関係施設の展開等を通じて地域経済の活性化が促されるといった点でも、地域の中で重要な役割を担うものであり、地域との十分な連携の下に、これらの役割を確実に果たしていくことが望まれる。

Dその他、適正な事業運営の確保に向けて

6 国際拠点空港ごとに見た課題
(1) 成田国際空港

イ 成田国際空港については、首都圏の国際航空需要への対応が求められるが、四本目の滑走路の整備後に一部の発着枠を国際線に開放することが見込まれている羽田空港との間での役割分担について、「成田国際空港は国際線の基幹空港であり、羽田空港は国内線の基幹空港であり、かつ、国際線について成田国際空港を補完するもの」という基本的考え方を踏まえ、この役割分担を明確にすることが必要である。

ロ また、首都圏の国際航空需要は今後も引き続き増大することが見込まれるが、その中で成田国際空港として、北伸整備(2,500m化)後の空港機能のあり方について、どのように考え、取り組んでいくのかの整理が必要である。

ハ このほか、成田国際空港は大規模な内陸空港であり、引き続き、騒音対策等の環境対策の適切な実施が求められており、これに加え、設立に至る過去の経緯なども踏まえ、空港周辺地方公共団体との間のこれまでの合意事項の取扱いをはじめ、地域の中の空港として、地域と空港との共生の観点からの課題についても、整理が必要である。

(2)聞西国際空港
(3)中部国際空港


終わりに-今後の進め方等

(中略)
 このためにも、これら当懇談会における整理の結果については、先ずは、今後の空港の整備及び運営等に関する基本的方策についての検討が行われている交通政策審議会航空分科会に報告され、関連する諸施策とも併せて審議・検討が行われ、今後の我が国の航空政策に適切に反映されることが望まれる。

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