「航空機騒音対策基本方針案」に対する石井さんの意見書と回答 


 航空機騒音対策基本方針の案についての意見書

 成田国際空港周辺区域における航空機騒音対策基本方針の案について、次のとおり意見書を提出します。

 平成18年12月12日

 千葉県知事 堂本暁子 様

 住所 山武郡芝山町大里1406番地

  氏名 石井 昭        
 職業 農業          
  年齢 63歳         

 意見及びその理由は、別紙のとおりです。
 
(一)「騒特法」の規定に基づいて騒音防止区域を設定したり、施設整備などの周辺対策事業をいくら実施しても、騒音の発生そのものは減ることはないはずだ。この案の最大の問題点は、周辺住民が日々苦しめられている航空機騒音の発生源に対する規制が定められていないことである。その結果、周辺地域の土地利用や建築は規制されるが、騒音の発生源である空港の事業活動の規制によって騒音発生を低減させる対策が講じられず、周辺住民よりも空港優先の騒音対策になっている。
 
(二)次に、その理由を4点に亘って述べる。

(1)周辺住民に8時間の睡眠を保障するためには、夜10時以降の運航は認めるべきではないのに、便数は制限しているが、夜11時までの運航を認めている。周辺住民が心から求めているものは、周辺対策交付金でも、諸施設でもなく、田園地帯の静かさと静かな夜なのだということを、県当局は再認識すべきだ。

(2)睡眠障害を防ぐため、あるいは「夕べの一家団欒」を保障するためには、たとえ成田空港独自の着陸料金優遇制度の導入により低騒音機の発着率が拡大されようとも、朝方と夕方には、高騒音機の乗り入れ禁止と便数制限をすべきなのに、その措置を講じていない。

(3)「環境基準」の70W値が未達成の段階では、増便などすべきでないのに、厳しい歯止め策が講じられていないので、“国際航空需要に応えるため”との口実で、国は、形式的な『地元との協議』で押し付けてきている。

(4)「円卓会議」や『民営化に関する覚書』の理念に逆行する動きが強まっている。特に『覚書』では、“環境対策・共生策の充実”が強調されていたはずだ。ところが、『覚書』は3年経っても完全履行されず、店晒しの状態だ。更に、本年11月24日、安倍首相は、全空港の24時間化検討指示の発言までしている。周辺住民無視も甚だしい発言だ。今こそ、空港の事業活動への厳しい規制による強力な騒音発生源対策を講じるべきではないのか。


空第62号
平成19年1月18日


石井 昭 様

千葉県知事 堂本暁子

成田国際空港周辺地域における航空機騒音対策基本方針の変更の案に係る意見書について(回答)

 日頃より県政に対し御理解をいただきありがとうございます。
 また、このたびは航空機騒音対策基本方針の変更案につきまして貴重な御意見を頂きありがとうございます。頂いた御意見に対する県の見解は下記のとおりです。
 御意見につきましては、芝山町や国土交通省、空港会社等関係機関にお伝えをするとともに、空港周辺地域の皆様の生活環境保全と、地域と成田空港の調和ある発展を図るため、県としても努力をしてまいりますので、基本方針案に対する御理解をいただきたいと存じます。


 御意見を頂きました空港周辺の騒音問題への対策は、大きく分けて発生源対策、空港構造の改良、空港周辺対策によって行われております。
 今回縦覧いたしました航空機騒音対策基本方針は、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(騒特法)に基づき定めるもので、この法律は、航空機の低騒音化、便数の調整、時間規制等の発生源対策や空港構造の改良、空港周辺対策として防音工事の助成、移転補償等を進めても、同時に住宅の建築が進むようでは、航空機騒音聞題の抜本的解決が極めて困難となることから、空港周辺における宅地化進展への立地規制を行い、航空機騒音による障害の発生を未然に防止しあわせて適正かつ合理的な土地利用を図るための制度です。
 騒特法による立地規制で騒音の発生そのものは減ることはありませんが、発生源対策を講じてもなお問題の残る地域については、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(騒防法)による防音工事の助成、(財)成田空港周辺地域共生財団によるきめ細かな対策や騒特法による立地規制を併せて行い、総合的な環境対策としているところでありますので、本基本方針案にっきましては、御理解賜りますようお願いいたします。
 空港周辺地域の地域振興については、平成18年9月5日の国、県、関係市町・空港会社による四者協議会において確認をされているとおり、この四者協議会や、今年度、より実効性をもたせるべく、その下部組織として設置されたワーキンググループにおいて、新東京国際空港公団民営化に関する覚書に係る75項目の要望事項や北伸整備の過程で出された要望事項のうち空港圏共通の課題に関する具体的な協議や検封を引き続き行ってまいります。
 また、芝山町においては、平成18年9月5日の芝山町と国、県、空港会社による確認書でも確認されているとおり、民営化覚書項目のうちで芝山町独自の対応等について、現在「芝山町・成田空港共栄推進委員会」において、成田空港をめぐる課題が協議されているところです

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