航空セミナー「『2010年首都圏空港の変貌』~国際交流と地域活性化の新たなステージ~」
(2008年11月27日)報告【1】

NAA黒野特別顧問(前社長)の講演要旨


成田空港問題では用地の取得が問題とされてきたが、今や、用地の取得は機能拡充の障害にはならない。反対派の人が住んでいてもらって結構。駐機スポットは145基作ることになっている。

地元の雰囲気も劇的に変わっている。私が最初に30万回を持ち出すときは、怒鳴られるのを覚悟でやったが、地元に方々は静かに聴いてくれた。

C滑走路(横風用滑走路)を作るつもりはない。駐機場が足りなくなる。

2500m平行滑走路は99%2010年3月に供用開始になる。もしかしたら、前倒しも出来るかもしれない。

成田新高速鉄道は2010年中頃には使えるようになる。

30万回は単なる“構想”ではない。実現すべき課題だ。そのために、今、検討を進めている。

平行滑走路は2500mになれば、全ての機種が着陸可能になる。

従って、滑走路1本当たり計算上は年間18万回可能だが、余裕を見て15万回とする。2本の滑走路を独立運用する。そうすると、30万回になる。

そのためには、いろいろの課題があるので、それを今検討している。

2本で同時に離発着するためには飛行方式も変更しなければならない。

会社の経営も順調だ。配当も2.5〜3%出している。

2010年に22万回になるが、2万回増やすコストは1スロット当たり200万円だ。羽田空港再拡張では1スロット当たり670万円の計算になる。

現在の、(今回の金融不安の前だが)、需要予測によると、年3.7%増として、2010年の成田空港増枠と羽田空港増枠でも、2014年から2015年には首都圏の空港容量が足りなくなる。

「羽田空港国際化議論」と言う“関ヶ原の戦い”のおかげで、成田空港30万回が浮上し、実現の見通しが出てきた。

騒音被害を被っている人は周辺住民でもほんの一部、成田市でも多くの市民は住みよい街になり、感謝している。

国からも非常に心強い支援をいただいており、30万回は100%実現出来る。

首都圏への一極集中の是非だが、首都圏のパワーが国際競争力のパワーになる。東京で稼いでそれを地方に還元する。これが国全体の空港政策だ。

首都圏第3空港は30年ないと作れない。だから、時間軸から言うと、成田空港の30万回しかない。

首都圏第3空港を造るには多大なコストがかかる。コスト論ももとにして考えなければならない。


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