芝山町「空港と暮らし」推進協議会設立趣意書

 激動する内外の情勢を受けて、日本の航空、とりわけ空港をめぐる状況は今、大きな転換期を迎えています。航空輸送については、アジアゲートウエイ構想に象徴される航空自由化が急進展しつつあり、空港の整備運営についても空港法の制定など新しい局面に入りました。このため国際線では関西空港、中部空港など国際拠点空港間の熾烈な競争、国内線では航空会社の経営難に起因する地方路線の縮小が顕在化してきています。首都圏においても、羽田空港の第四滑走路の整備、その完成に伴う国際線の大幅な増枠が進められようとしており、成田空港にとって、これまでとは異なる展開になる公算が強まってきました。

 このような状況のなかで、成田空港は我が国最大の国際拠点空港としての実績を重ね、地球的規模の国際航空ネットワークの結節点としての役割を担っています。成田空港としては、今後とも、この立場を持続していくことが強く期待されています。現在、北伸によるB滑走路の2500m化、完成後の年間発着回数22万回化のプロジェクトが進められていますが、最近ではそれ以上の発着枠増大にっいても議論されるようになりました。それと平行して空港会杜の完全民営化についても着々と準備が進められています。このように、成田空港もまた大きな転換期を迎え、変貌を余儀なくされようとしています。

 芝山町はその成田空港と密接不可分の関係にあります。しかし、不幸なことに、長年にわたる紛争の後遺症が癒えたとはいえず、内陸空港に特有の深刻な環境問題に悩まされてきました。現在の町の70%強の地域が航空機騒音の被害を受けていますが、期待されている問題解決の道はいぜんとして見出されていません。このことは町づくりのめざすべき方向を導き出すうえで、大きな支障になっています。しかし、その一方で、空港がもたらす経済波及効果は大きく、空港が発展するにっれて町の財政は潤い、道路や農業用水など社会資本整備が着実に進んだことも事実です。

 こうした状況を冷静に受けとめ、透徹した視点で考えれぱ、空港が発展し、同時に地域も発展するという図式を定着させる以外に、進むべき道はありません。芝山町から発信した「共存共生から共栄へ」の理念はそれを明示したものと理解されるべきでしょう。成田空港が転換期を迎えた今日、いまこそ住民が結束し、立ち上がることが必要です。空港と地域の共栄をめざし、町づくりの将来像を見定めて、騒音問題の克服と同時に、空港のポテンシャルを最大限活かすことによって、安心安全、歴史文化を活用し、豊かさを実感できる暮らしを確立していくことが急務です。そのためには、国、地方自治体、空港会社など関係機関に意見具申し、確かな対応を求める組織が不可欠です。と同時に住民自らもこの組織を軸に、行動を起こし前進しなくてはなりません。

 芝山町「空港と暮らし推進協議会」は、そのために設立した組織です。この主旨をご理解いただき、ご賛同賜わりますよう謹んでお願い申し上げます。

芝山町「空港と暮らし」推進協議会


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